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平成10年度振動規制法施行状況調査

平成11年12月7日


 環境庁は、全国の都道府県等の報告に基づき、平成10年度における振動苦情の状況及び振動規制法の施行状況を取りまとめた。その概要は次のとおりである。
(1)振動苦情の状況
 振動苦情の件数は、平成 10 年度は 2,124 件で、前年度に比べると約 5.9 % 減少した。
 苦情の発生源別内訳をみると、建設作業が約 49.2 %、工場・事業場が 約 33.5 %、道路交通が約 11.3 %等であった。

(2)振動規制法の施行状況
 法に基づく規制対象地域は、全国の約 51.0 %に当たる 1,659 市区町村で 指定が行われている。この中、平成 10 年度中に、新たに5町1村に規制対象 地域が指定された。
 同地域において規制対象となる工場・事業場及び建設作業に対する苦情に ついては立入検査が 502 件、行政指導が 521 件実施された。
法に基づく改善勧告及び改善命令は行われなかった(前年度は改善勧告1件)。

 環境庁としては、今後とも、振動規制法に基づく振動対策の推進を図っていく。
1.目 的

  環境庁では、振動防止行政の一層の推進を図るため、毎年度、全国の都道府県、
 指定都市及び中核市を通じ、振動に係る苦情の状況、振動規制法に基づく各種措置の
 施行状況等について調査を行い、その結果を取りまとめている。

2.調査結果

(1)振動苦情の状況

 [1] 平成10年度に全国の地方公共団体が受けた振動に係る苦情の件数は 2,124 件で
   あった。これは、平成9年度( 2,257 件)と比べて 133 件、約 5.9 %の減少と
   なる。
 [2] 苦情件数を都道府県別にみると、東京都の 546 件が最も多く、次いで大阪府
   265 件、神奈川県 263 件の順となっており、この3都府県で全国の振動苦情件数
   の約 50.6 %を占めている。(表1参照)
   苦情件数の都道府県別対前年度増減状況をみると、減少件数の大きいのは、
   埼玉県、兵庫県等であり、増加件数の大きいのは、東京都等である。(表2参照)


 [3] 苦情件数を発生源別にみると、建設作業が 1,046 件(約 49.2 %)で最も多く、
   次いで工場・事業場 711 件(約 33.5 %)、道路交通 239 件(約 11.3 %)、
   鉄道 63 件(約 2.9 %)の順となっている。(図2参照)
   また、平成9年度と比較すると建設作業に係る苦情が 10 件増加したが、それ以外
   の工場・事業場に係る苦情等は、全体的に減少している。


 [4] 規制対象とそれ以外の苦情件数との比較
   工場・事業場に対する苦情総数 711 件のうち、法の規制対象となる指定地域内の
   特定工場等に対するものは、約 31.6 %の 225 件であり、建設作業に対する苦情
   総数 1,046 件のうち、同指定地域内の特定建設作業に対する苦情は約 34.9 %の
   365 件となっている。(表3参照)


(2)地域指定の状況
  振動規制法に基づき地域指定が行われている市区町村数は平成10年度末現在
  1,659(平成9年度 1,653 )で、全国の市区町村数の約 51.0 %に相当する。
  (表4参照)


(3)工場・事業場に対する規制の状況
 [1] 特定工場等及び特定施設の届出数
   振動規制法に基づき届出された特定工場等の総数は、平成10年度末現在
   119,762(平成9年度末現在 118,466 )となっている。
   また、特定施設の総数は 862,809(同 861,053 )となっている。
    特定工場等の内訳をみると、金属加工機械を設置しているものが約 35.0 %と
   最も多く、次いで、圧縮機を設置しているものが約 25.1 %、織機を設置している
   ものが約 17.6 %の順となっている。
   特定施設の内訳をみると、織機が約 36.3 %と最も多く、次いで、金属加工機械が
   約 33.7 %、圧縮機が約 15.6 %の順となっている。
  (表5−1、表5−2参照)


   特定工場等数及び特定建設作業件数については、工場・事業場の指標となる特定
   工場等の総数は 119,762 件(平成9年度 118,466 件)と微増の傾向が続き、
   特定建設作業件数は 25,358 件(同 26,727 件)と平成9年度に引き続き若干
   減少した。(表6参照)


 [2] 法に基づく措置等の状況
   指定地域内の特定工場等に係る苦情 225 件(平成9年度 226 件)に対して、
   平成10年度中に行われた振動規制法に基づく措置の件数は、報告の徴収 44 件
   (同 42 件)、立入検査 189 件(同 193 件)、振動の測定 109 件(同 115 件)
   であった。振動測定の結果、規制基準を超えていたものは 26 件(同 20 件)で
   あった。改善勧告及び改善命令は行われていない。(平成9年度改善勧告1件)
   また、振動防止に関する行政指導が 189 件(同 198 件)行われた。(表7参照)


(4)特定建設作業に対する規制の状況
 [1] 特定建設作業の実施届出件数
   平成10年度中の特定建設作業実施届出件数は 25,358 件(平成9年度26,727件)
   であり、その内訳をみると、くい打機等を使用するもの 8,479 件(同 9,604 件)
   及び、ブレーカーを使用するもの 16,122 件(同 16,403 件)が多くを占めて
   いる。(表8参照)


 [2] 法に基づく措置等の状況
   指定地域内の特定建設作業に対する苦情 365 件(平成9年度 328 件)に対して、
   平成10年度に行われた振動規制法に基づく措置の件数は、報告の徴収 60 件
   (同 56 件)、立入検査 314 件(同 282 件)、振動の測定 99 件(同 75 件)で
   あった。振動測定の結果、基準を超えていたものは 34 件(同 10 件)であった。
   改善勧告及び改善命令は行われていない。(同 0 件)
   なお、振動防止に関する行政指導が 333 件(同 300 件)行われた。(表9参照)


(5)道路交通振動に対する措置の状況
   指定地域内の道路交通振動の苦情 224 件(平成9年度 264 件)に対して、振動の
   測定は 113 件(同 145 件)行われており、要請限度を超えていたものは3件
   (同3件)であった。また、道路管理者に対する要請及び都道府県公安委員会に
   対する要請は行われていない。(同0件)
   なお、これらの振動規制法に基づく措置のほか、道路管理者に対する協力依頼等の
   措置が 85 件(同 96 件)、都道府県公安委員会に対する同様の措置が7件
   (同 11 件)行われた。(表10参照)