報道発表資料

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2013年06月11日
  • 水・土壌

被災地における第3次土壌環境モニタリング調査結果の公表について(お知らせ)

 環境省では、東日本大震災を受け、被災地の土壌環境について、土壌汚染対策法に定める特定有害物質等を対象としたモニタリング調査(第3次)を実施しましたので、その結果を公表します。

 東日本大震災に伴う津波や津波堆積物等(以下、津波等とする)に由来する新たな土壌汚染の有無、程度を把握し、対応の必要性の有無や方法等について検討するため、環境省では平成23年及び同24年に調査を行ってきました。前2回の調査結果を踏まえ、第3次調査として平成24年12月に土壌環境モニタリング調査を実施しました。
 本調査は、被災地における第1次及び第2次調査の結果、土壌溶出量基準値等を上回った地点のうち、津波等由来や人為的原因による土壌汚染である可能性が考えられた3地点(北沼港湾運動公園、江名市民サービスセンター及び本吉町大谷305)について、当該基準値等を上回った特定有害物質を対象に、第1次及び第2次調査よりも広い範囲(対象地点より最大3キロメートル程度)について、汚染範囲を確認するとともに汚染原因を解析することを目的として行ったものです。
 本調査の結果、各調査対象地について、土壌溶出量基準値等を超過した調査地点が認められましたが、土壌溶出量基準値を上回った地点については、近隣における飲用井戸の有無を調査し、地下水摂取のおそれがないことが確認されました。また、土壌含有量基準値を上回った地点については、土地の利用状況を調査し、土壌の直接摂取のおそれがないことが確認されました。
 なお、本調査では、各調査対象地について、津波等由来による土壌汚染は確認されませんでした。今後は、土地の所有者等である自治体において必要に応じた調査や措置が取られることとなります。

【参考】各地点の調査結果概要

(1)北沼港湾運動公園(青森県八戸市)

 これまでに鉛について土壌溶出量基準値及び土壌含有量基準値超過が確認されており、汚染原因として、津波等由来、大気由来及び盛土由来の可能性について調査を行いました。

[1] 結果概要

 水平方向では10地点(津波等由来7地点、大気由来4地点(1地点重複))で調査を行い、1地点(測定値0.018 mg/kg)で土壌溶出量基準値を、4地点(測定値170~520 mg/kg)で土壌含有量基準値を上回る値が確認されました。
 (鉛の土壌溶出量基準値は0.01 mg/kg、土壌含有量基準値は150 mg/kg)

[2] 解析

 7地点における津波等由来の調査の結果、当該公園の周辺地において鉛溶出量については津波浸水のない4地点のうち1地点で土壌溶出量基準値を超過したこと、また、鉛含有量については津波浸水のない4地点のうち2地点で土壌含有量基準値を超過したことから、当該公園における鉛の土壌汚染原因は津波等由来によるものではないと考えられます。
 4地点における大気由来の調査の結果、1地点で土壌含有量基準値を超過し、固定排出源からの距離による濃度分布傾向が見られました。また、蛍光X線分析による鉛、亜鉛及び銅の3項目間の相関係数が高く、同一起源の汚染由来であると考えられることから、当該公園及び周辺地における鉛の土壌汚染原因は大気由来による可能性が考えられます。ただし、当該公園における汚染の寄与の程度は不明でした。
 入手資料による盛土由来の調査の結果、当該公園の造成時に盛土が搬入されていること、また、工事記録により公園内の一部区域において鉱さいを含む盛土が使用されていることが確認されました。したがって、当該公園における鉛の土壌汚染原因は盛土由来による可能性が考えられます。ただし、当該公園の盛土の正確な履歴及び汚染の寄与の程度は不明でした。
 以上の調査結果より、当該公園の鉛の土壌汚染は大気由来や盛土由来である可能性が考えられましたが、それぞれの汚染の寄与の程度は不明でした。

(2)江名市民サービスセンター(福島県いわき市)

 これまでに鉛について土壌溶出量基準値及び土壌含有量基準値超過が確認されており、汚染原因として、津波等由来、大気由来及び盛土由来の可能性について調査を行いました。

[1] 結果概要
  • 水平方向では12地点(津波等由来6地点、大気由来7地点(1地点重複))で調査を行い、土壌溶出量は全地点で基準値適合であり、2地点(測定値200~460 mg/kg)で土壌含有量基準値を上回る値が確認されました。
  • 深度方向では3地点7深度(22検体、最深50 cm)で調査を行い、3地点最深25 cm(測定値200~1100 mg/kg)で土壌含有量基準値を上回る値が確認されました。
     (鉛の土壌溶出量基準値は0.01 mg/kg、土壌含有量基準値は150 mg/kg)
[2] 解析

 6地点における津波等由来の調査の結果、鉛溶出量は全ての地点で土壌溶出量基準値適合でした。また、鉛含有量は津波浸水のない3地点中1地点において土壌含有量基準値を超過していました。よって、津波浸水のない箇所であっても土壌含有量基準値を超過していたことから、当該調査地点における鉛の土壌汚染原因は津波等由来によるものではないと考えられます。
 7地点における大気由来の調査の結果、全ての地点で土壌溶出量基準値および土壌含有量基準値に適合しており、深度方向への濃度減衰傾向も認められませんでした。したがって、当該調査地点の鉛の土壌汚染は大気由来によるものではないと考えられます。
 3地点における深度方向の調査による盛土由来の調査の結果、土壌含有量基準値を超過した3地点はいずれも盛土部分でした。また、そのうち1地点について、深度20 cm付近でビニール片やプラスチック片を主とした廃棄物が確認されたため、廃棄物混り土を分析したところ、周辺の基準値超過土壌と同様の濃度分布傾向を示しました。
 以上の結果より、当該調査地点の鉛の土壌汚染は廃棄物由来もしくは不均質な盛土由来であり、盛土中の局在的なものであると考えられます。

(3)本吉町大谷305(宮城県気仙沼市)

 これまでにヒ素について土壌溶出量基準値超過が確認されており、汚染原因として、津波等由来及び盛土由来の可能性について調査を行いました。

[1] 結果概要
  • 水平方向では10地点(すべて津波等由来)で調査を行い、1地点(測定値0.019 mg/L)で土壌溶出量基準値を上回る値であり、また、土壌溶出量は全地点で基準値適合であることが確認されました。
  • 深度方向では3地点最大8深度(22検体、最深2.8 m)で調査を行い、3地点最深25 cm(測定値0.013~0.32 mg/L)で土壌溶出量基準値を上回る値が、1地点最深25 cm(測定値320~1400 mg/kg)で土壌含有量基準値を上回る値が確認されました。
     (ヒ素の土壌溶出量基準値は0.01 mg/kg、土壌含有量基準値は150 mg/kg)
[2] 解析

 10地点における津波由来等の調査の結果、ヒ素溶出量は津波浸水のない6地点のうち1地点で土壌溶出量基準値を超過し、また、ヒ素含有量は全ての地点で土壌含有量基準値適合でした。したがって、当該調査地点のヒ素の土壌汚染は津波等由来によるものではないと考えられます。
 3地点における深度方向の調査による盛土由来の調査の結果、確認された土質のうち、最も表層に分布していた盛土(盛土Aとする)について、ヒ素のみが突出して高い濃度を示し、その他の重金属類は概ねバックグラウンドと同程度の濃度でした。したがって、当該調査地点の土壌汚染原因は盛土Aであり、盛土Aはヒ素が高濃度で含まれるものであると考えられます。ただし、正確な盛土の履歴は不明でした。

添付資料

連絡先
環境省水・大気環境局土壌環境課
代表   :03-3581-3351
直通   :03-5521-8322
課長   :加藤 庸之(内線6510)
課長補佐:紺野 道昭(内線6592)
担当   :友金 寛和(内線6593)

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