法令・告示・通達

一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める命令の運用に伴う留意事項について

公布日:平成10年07月16日
環水企301・衛環63

(各都道府県・各政令市廃棄物主管部(局)長あて環境庁水質保全局企画課海洋環境・廃棄物対策室長・厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課長通知)
 一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める命令の一部を改正する命令(平成一〇年総理府・厚生省令第二号。以下「平成一〇年改正命令」という。)の施行については、別途、環境庁水質保全局長及び厚生省生活衛生局水道環境部長通知(平成一〇年七月一六日付け環水企第三〇〇号・生衛発第一一四八号)により指示されたところであるが、平成一〇年改正命令による改正後の一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める命令(昭和五二年総理府・厚生省令第一号。以下「命令」という。)の運用に伴う留意事項について、別添のとおり定めたので、最終処分場の設置者等への指導につき、遺憾のないよう願いたい。
 なお、昭和五三年二月四日付け環水企第一六号・環産第四号・環整第一七号による環境庁水質保全局企画課長、厚生省環境衛生局水道環境部参事官及び同部環境整備課長通知は廃止する。

別表
 一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める命令の運用に伴う留意事項について

Ⅰ 一般廃棄物の最終処分場の構造基準(第一条第一項)

 一 一般廃棄物の最終処分場(各号列記以外の部分)

   一般廃棄物の最終処分場は、命令第一条第一項第一号にいう埋立地のほか、埋立処分を行うために必要な場所及び関連付帯設備を併せた総体としての施設をいうものであること。

 二 囲い(第一号)

   囲いは人により容易に破壊されず、かつ、人が通り抜けられない構造であり、相当の高さを有するものであること。ただし、埋立地が人のみだりに立ち入ることができないようになっている事業場内にある場合、又は埋立地の周囲が人のみだりに立ち入ることができない海面、河川、崖等の地形である場合は、その周囲については囲いを設ける必要がないこと。
   埋立地の開口部を閉鎖して埋立処分以外の用に供する場合にあっては、囲い、杭その他の設備により埋立地の範囲を明示すること。なお、その他の設備には、標識、境界線等が該当すること。

 三 立札(第二号)

   一般廃棄物の種類は、ごみ、粗大ごみ、焼却灰、し尿処理汚泥等に区分して記載すること。連絡先は最終処分場の管理全般について責任をもって対応しうる者の住所、氏名、電話番号等を記載すること。その他の設備としては、看板、壁面埋込板等が挙げられること。

 四 地滑り防止工、沈下防止工(第三号)

   最終処分場の地盤が地滑り(水面埋立地(廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和四六年政令第三〇〇号。以下「令」という。)第五条第二項に規定する水面埋立地をいう。以下同じ。)にあっては、滑り。)を起こすと最終処分場の機能が阻害され、また、最終処分場に設けられる浸出液処理設備等の設備が沈下を起こすとこれらの設備の機能が阻害されるので、地滑り防止工又は沈下防止工を設ける必要があること。地滑り防止工としては、滑動力軽減のための排土、地表水の浸透防止工、地下水の排除設備、滑り抑制のための工作物の設置等があり、また、沈下防止工としては、土質安定処理、地盤置換、杭基礎工、ケーソン基礎工等があること。
   最終処分場の設置する場所が、斜面、崖等である場合には地滑りの有無を、軟弱地盤等である場合には沈下の有無を細心の注意を払って検討し、必要な地盤支持力等が十分に安全性をもって確保される工法を採用すること。

 五 擁壁等(第四号)

   擁壁、えん堤等の種類及び構造は、埋立地の地形、地質、土質の条件及び必要な高さ等を勘案して決定すること。また、擁壁等が埋立地の一部を構成する場合には、保有水等の擁壁等からの浸出を防止するために命令第一条第一項第五号イ(一)の遮水層と同等の遮水の機能を有する必要があること。なお、埋立地の周囲が、一般廃棄物の流出しない地形である場合は、擁壁等を設ける必要がないこと。
   水面埋立地にあっては、護岸が擁壁等に該当するものであること。

 六 構造耐力(第四号イ)

   荷重及び外力として自重、土圧、水圧、地震力を、さらに水面埋立地においては波力を採用して擁壁等の安定計算(静的設計計算をいう。)を行い、安全性を確認すること。安定計算の対象としては、基礎地盤の支持力、擁壁等構造物の転倒及び滑動等があり十分な安全率を見込んで行うこと。
   その他の荷重及び外力としては、積載荷重、積雪荷重、風圧力があり、埋立地の状況に応じて採用すること。

 七 腐食防止(第四号ロ)

   擁壁等に使用される材料には、コンクリート、鋼材、土砂等があるが、コンクリート、鋼材等は接触する水等の性状により腐食される場合があり、なかでも広く使われているコンクリートについては、酸、海水、塩類、動植物油類等が影響を及ぼすことが知られているので十分注意することが必要であること。
   擁壁等の腐食防止対策として、例えばコンクリートの場合にあってはその配合設計、打ち込み、養生等の施工管理での対応のほか、樹脂等による被覆、塗装、アスファルト被覆等の措置が、また、鋼材の場合にあってはモルタル又はコンクリート被覆、樹脂等による被覆、塗装、電気防食、腐食を考慮した厚さの設定等の措置があること。

 八 水質汚染防止措置(第五号柱書き)

   括弧書に規定する埋立地の内部を内部仕切設備により区画して逐次埋立処分を行う埋立地(以下「区画埋立地」という。)は、埋立処分が長期間にわたる場合、あるいは埋立地の面積が広い場合等に行われるものであること。
   ただし書の一般廃棄物には、平成一〇年三月五日付け衛環第八号厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課長通知の一に掲げる一般廃棄物及び平成一〇年三月二六日付け環水企第一一一号・衛環第二三号環境庁水質保全局企画課長及び厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課長通知に掲げる目標基準適合溶融固化物が該当すること。

 九 表面遮水工(第五号イ)

  (一) 表面遮水工の構成

    埋立地の地下の全面に不透水性地層がない場合は、命令第一条第一項第五号イ(一)から(三)までに規定する遮水層、基礎地盤及び遮光のための不織布等で構成される遮水工(表面遮水工)を設けること。

  (二) 不透水性地層

    不透水性地層が存在するか否かの判断は、厚さが五メートル以上であり、かつ、透水係数が毎秒一〇〇ナノメートル(毎秒1×10-5センチメートル)(岩盤にあってはルジオン値が一)以下である地層又はこれと同等以上の遮水の効力を有する地層が連続して存在しているか否かを調査して行うこと。
    ここで、「これと同等以上の遮水の効力を有する地層」とは、透水係数が毎秒一〇〇ナノメートル(毎秒1×10-5センチメートル)(岩盤にあっては、ルジオン値が一)以下であって、厚さ及び透水係数又はルジオン値から判断して遮水の効力が同等以上であると認められるものであること。ただし、透水係数又はルジオン値が十分に小さな地層であっても厚さが五mに満たないものである場合の遮水の効力の評価は、一定の透水係数又はルジオン値及び厚さを有する地層が連続して存在していることを十分に確認することにより行うこととし、また、埋立処分される廃棄物の荷重や遮水工等の施工時に生じる負荷等に起因する埋立地底面部の沈下による当該地層への影響について十分に把握した上で行うこと。
    なお、地盤改良等により、本文に示す厚さ及び透水係数等を有する地層と同等以上の遮水の効力を有するようにした地層は不透水性地層に該当するものであること。

  (三) 透水係数の測定方法

    透水係数は、原位置において試験を行う場合は、地盤工学会基準(以下「JGS」という。)一三一四(一九九五年)によるボーリング孔を用いた透水試験方法、JGS一三一五(一九九五年)による揚水試験方法、JGS一三一六(一九九五年)による締め固めた地盤の透水試験方法等により求めること。室内において試験を行う場合は日本工業規格A一二一八(一九九三年)により求めること。

  (四) ルジオン値の測定方法

    ルジオン値は、JGS一三二三(一九九五年)によるルジオン試験方法等により求めること。

 一〇 遮水層(第五号イ(一))

  (一) 表面遮水工における遮水層の構造

    遮水の機能を高める観点から、複数の遮水材を組み合わせた構造としており、立地場所の地形、地質、地下水等の自然的条件及び現場の状況に応じて適切に選択して施工すること。

  (二) 法面の遮水層

    埋立地の法面勾配は、遮水工の施工性、滑り、盛土の安定性の観点から五〇パーセント未満を原則とすること。ただし、地形の制約からこれにより難いためやむを得ず五〇パーセント以上とする場合には、命令第一条第一項第五号イ(一)(イ)から(ハ)までに規定する遮水層を設けることが困難なことがあるため、予想される保有水等の水位よりも高い位置にある法面に限り、命令第一条第一項第五号イ(一)ただし書に規定する遮水層を設けることができること。
    保有水等の水位が達するおそれがある高さは、当該地域の降雨の状況並びに保有水等集排水設備及び調整池による排水機能等を勘案して設定すること。

  (三) 命令第一条第一項第五号イ(一)(イ)に規定する遮水層

    粘土その他の材料の層の透水係数は毎秒一〇ナノメートル(毎秒1×10-6センチメートル)以下としているが、これは現場発生土又は購入土にベントナイト等を混合し十分に締め固めることにより達成可能なものであること。
    また、遮水シートと粘土等の層との間は空隙のないように敷設すること。

  (四) 命令第一条第一項第五号イ(一)(ロ)に規定する遮水層

    アスファルト・コンクリートの層の透水係数は毎秒一ナノメートル(毎秒1×10-7センチメートル)以下としているが、これはアスファルト・コンクリートを十分に締め固めることにより達成可能なものであること。
    遮水シートとアスファルト・コンクリートの層との間は空隙のないように敷設すること。

  (五) 命令第一条第一項第五号イ(一)(ハ)に規定する遮水層

    遮水シートを保護する観点から、基礎地盤と遮水シートが接する面に不織布等による保護層を敷設すること。
    二重の遮水シートの間には、埋立作業又は埋立作業用の車両の走行による衝撃その他の負荷により双方の遮水シートが同時に損傷することを防止することができる十分な厚さと強度を有する不織布、合成樹脂等の材料を挿入すること。

  (六) 遮水シート

    表面遮水工の遮水材として遮水シートを使用することが一般的に行われており、その材料としては合成ゴム系、合成樹脂系及びアスファルト系のものが一般的に用いられていること。
    遮水シートの厚さは、施工作業及び埋立作業によりその表面に傷が発生した場合又は品質が劣化した場合においても十分な強度及び遮水性を確保すること並びに補修等を可能とすることを考慮して、アスファルト系以外の遮水シートについては一・五ミリメートル以上、アスファルト系の遮水シートについては三ミリメートル以上とすること。
    命令第一条第一項第五号イ(一)に規定する保有水等の浸出を防止するために必要な遮水の効力、強度及び耐久力を有する遮水シートとは以下の性質を有するものをいうこと。なお、遮水シートの接合部についても同様の性質又は性能を有する必要があること。

   ① 遮水の効力

    遮水シートの材質について埋立地内部の保有水等を浸出させない十分な遮水性を有すること。また、遮水シートの表面に穴、亀裂等が認められないこと。

   ② 強度

     廃棄物又は保有水等により想定される荷重、埋立作業用の車両等による衝撃力、これらにより生じる安定計算上許容しうる基礎地盤の変位並びに想定される温度応力に対し、強度及び伸びにより対応できる性能を有すること。

   ③ 耐久力
    ア 耐候性

      遮水シートは、紫外線の影響によりその品質が劣化するおそれがあることから、紫外線に長期間暴露したとしても引っ張りに対する遮水シートの強度や伸びの率が、暴露前と比較して大きく劣化しない性質を有すること。

    イ 熱安定性

      遮水シートの表面温度は直射日光により夏期には摂氏約六〇度から七〇度まで上昇する一方、冬期は摂氏氷点下約二〇度まで低下する可能性があり、また、廃棄物の分解反応により埋立地の層の内部の温度が上昇することがあるため、これらの温度変化に対する耐性を有すること。

    ウ 耐酸性、耐アルカリ性等

      埋立地の保有水等の水素イオン濃度を想定して、酸性及びアルカリ性に耐えうる性質を有すること。
      このほか、耐油性その他の埋め立てられる廃棄物の化学的な性状に対する耐性を有すること。

    エ その他

      大気中のオゾンの影響による品質劣化や、曲げによる応力が継続した場合に発生するひび割れに対する耐性を有すること。

   ④ その他

     遮水シートの敷設、接合等において不具合が生じないよう、施工性のよいものであること。

 一一 基礎地盤(第五号イ(二))

   基礎地盤の施工は、その上部に設けられる遮水層の損傷を防止するため、突起物や角れき等の除去、抜根を行った上で整形及び締め固め等を行い、十分な強度を有し、かつ、その表面が平滑になるよう整地すること。なお、命令第一条第一項第五号イ(一)(ハ)に規定する遮水層の場合には、基礎地盤の凹凸が遮水シートに及ぼす影響が同号イ(一)(イ)又は(ロ)に規定する遮水層よりも大きいと考えられるため、特に平滑に仕上げる必要があること。

 一二 遮水層の不織布等による被覆(第五号イ(三))

   遮水シート、ゴムアスファルト等の日射により劣化するおそれがあるものが遮水層の表面に敷設された場合は、遮光の効力及び耐久力を有する不織布等で覆うこと。

 一三 鉛直遮水工等(第五号ロ)

   埋立地の地下の全面に不透水性地層があることが確認されている場合の措置であり、当該不透水性地層に到達するまでの間の地層に対して命令第一条第一項第五号ロに規定する鉛直遮水工又は表面遮水工を、埋立地の地形、地質、地下水等の自然的条件及び現場の状況に応じて適切に選択して施工すること。その他の工法としては、アスファルト・コンクリートで目地止めした水密コンクリート製ケーソンを設置する方法等があるが、遮水の効力について同号ロに規定する鉛直遮水工等と同等以上であることを確認した上で採用すること。
   水面埋立地において護岸が遮水工に該当する場合には、護岸が遮水機能を有していなければならないこと。

 一四 地下水集排水設備(第五号ハ)

   地下水の湧出等がある場合には、これにより遮水機能が損なわれることがないよう地下水集排水設備を設ける必要があること。
   地下水集排水設備の構造及び配置は、地下水の湧水箇所、湧水量、埋立地底部の地形等を勘案して決定すること。

 一五 保有水等集排水設備(第五号ニ)

   埋立地からの保有水等の浸出による公共の水域及び地下水の汚染のおそれがないよう、保有水等を有効に集め速やかに排除できる集排水設備を設置する必要があること。
   集排水設備としては、管渠又は蛇篭を埋立地の底面に敷設する等の工法がとられるが、埋立地の地形条件、保有水等の流出量等を考慮に入れて施工するとともに、スケール等による断面の縮小にも対応できるよう管路の径を十分に大きくとること。また、目詰まり防止のため管渠等のまわりに砕石等の被覆材を敷設することも有効であること。
   本文の括弧書は、水面埋立処分を行う埋立地にあっては、一般廃棄物の投入に伴い余剰となる保有水等を排出することが要求されるので、集水のための設備は必要ではなく、余水吐き、吐水ポンプ等の排水設備を設けなければならないことを規定していること。
   ただし書は、埋立地の開口部が屋根又はシート等で覆われ雨水が入らないように措置されている埋立地(以下「被覆型埋立地」という。)であって、腐敗せず、かつ、保有水が生じない一般廃棄物のみを埋め立てるものにあっては、保有水等集排水設備の設置は必要でないことを規定しており、被覆型埋立地であっても、生ごみや泥状の廃棄物を埋立てるものについては、保有水等集排水設備の設置が必要であること。

 一六 調整池(第五号ホ)

   調整池は耐水構造とし、亀裂や漏水の生じるおそれのないものとすること。調整池の容量は、保有水等集排水設備により集められる保有水等の量、浸出液処理設備の規模等を勘案して設定すること。
   ただし書は、保有水等の集水のための設備の設置を必要としない水面埋立処分を行う最終処分場又は排除した保有水等を下水道等に放流するための貯留槽が設けられている最終処分場にあっては、調整池を設置する必要がないことを規定したものであること。

 一七 浸出液処理設備(第五号ヘ)

   浸出液処理設備からの放流水の水質を、排水基準を定める総理府令(昭和四六年総理府令第三五号。以下「排水基準令」という。)第一条に規定する排水基準(生物化学的酸素要求量、化学的酸素要求量及び浮遊物質量については、命令第一条第一項第五号ヘの表に掲げる数値)及び廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四五年法律第一三七号。以下「法」という。)第八条第二項第七号に規定する一般廃棄物処理施設の維持管理に関する計画(以下「維持管理計画」という。)に定める数値に適合させることができる浸出液処理設備を設置すること。
   「排水基準を定める総理府令第一条に規定する排水基準」とは、排水基準令第一条に規定する別表第一及び別表第二に掲げる許容限度をいうものであること。なお、排水基準令別表第二の備考二の規定は除かれているので、一日当たりの平均的な放流水の量が五〇立方メートル未満の場合においても当該排水基準を遵守しなければならないことに留意すること。また、当該排水基準は、その規定の仕方により、水質汚濁防止法第三条第三項に基づく上乗せ排水基準の適用はないこと。
   浸出液処理設備を設けるに当たっては、浸出液処理設備で処理する浸出液の量が最小となり、かつ、平均化されるようにすること。そのためには、一般廃棄物の締固め、覆土等を行い、雨水及び地表水の埋立地内への浸透を抑制し、埋立地から浸出してくる保有水等と分離して放流することが有効であること。浸出液処理設備としては、浸出液の質に応じて沈殿設備、ばっ気設備、ろ過設備等の設備を組み合わせて設置することが一般的であること。
   浸出液処理設備の規模は、保有水等集排水設備により集められる保有水等の量、調整池の容量等を勘案して設定すること。なお、浸出水処理設備の処理能力は、少なくとも当該地域における日平均降雨量に対応したものとすること。

 一八 開渠(第六号)

   地表水が埋立地内に流入しないように集水域に応じた開渠その他の設備で地表水を排除し、保有水等の量を抑制することが必要であること。

Ⅱ 一般廃棄物の最終処分場の維持管理基準(第一条第二項)

 一 飛散、流出(第一号)

   一般廃棄物が埋立地の外部に飛散、流出しないようにする必要な措置とは、覆土、転圧締固め等のほか、飛散防止ネット等の措置であること。フィルム状の廃プラスチック類等の飛散しやすい一般廃棄物の場合は、埋立作業中及び埋立作業終了後速やかに、飛散、流出の防止のための措置を講ずる必要があること。なお、本号の規定は、一般廃棄物が埋立地以外の最終処分場の部分へ飛散、流出することも禁止していることに留意すること。

 二 悪臭(第二号)

   悪臭が最終処分場の外に発散することのないようにする必要な措置とは、覆土、消臭剤の散布等の措置をいうこと。

 三 火災(第三号)

   火災の発生を防止するために、必要に応じ可燃性の一般廃棄物に対する覆土、可燃性の発生ガスの排除等の措置をとるとともに、火災発生時に対処しうる消火器、貯水槽散水器を設ける等の措置をとること。

 四 衛生害虫等(第四号)

   衛生害虫等により最終処分場の周辺の生活環境に支障をきたさないようにするため、覆土、薬剤散布等の措置が必要であること。

 五 囲い(第五号)

   囲いが破損した場合には補修、復旧すること。
   埋立処分が終了した埋立地を閉鎖して埋立処分以外の用に供する場合にあっては、囲い、杭その他の設備により埋立地の範囲を明らかにしておくこと。また、一般廃棄物の最終処分場であること及び埋立地の状況に応じた利用に当たっての注意事項がわかるように、埋立処分以外の用に供する場所又はその周囲に立札、標識等を設置すること。
   また、埋立処分以外の用に供されるとしても、引き続き最終処分場としての維持管理は必要であり、命令に定める構造基準及び維持管理基準並びに維持管理計画を遵守し、生活環境の保全上の支障が生じることがないよう留意すること。

 六 立札(第六号)

   立札その他の設備の前に物を置くなどして表示が見えないようにしないこと。
   立札その他の設備が汚損し、又は破損した場合は補修、復旧すること。
   また、表示事項に変更が生じた場合は速やかに書換えること。

 七 擁壁等の点検(第七号)

   擁壁等の点検及び補修が的確に行えるよう、必要に応じ、これらの作業を実施できる敷地を確保しておくこと。
   擁壁等の大部分は地下に埋設されるので、擁壁等の点検は、地上に現われている部分に対する視認が一般的であること。また、沈下等の有無を確認すること。
   定期点検の頻度は、擁壁等の状況を勘案して適宜設定すること。また、地震、台風等の異常事態の直後には臨時点検を行うこと。
   なお、構造耐力上応力の集中する箇所等について、事前に点検箇所を定めておくこと。

 八 遮水工の砂等による被覆(第八号)

   遮水シート、ゴムアスファルト等を用いる遮水工にあっては、埋め立てられた廃棄物の荷重や埋立作業用の機材による負荷が原因で遮水工が損傷しないよう、廃棄物を埋め立てる前に遮水工の表面に砂等を敷き、保護する必要があること。被覆に用いる物の材料は原則として砂等の粒径の小さいものを用いることとし、厚さを五〇センチメートル以上とすることを目安とすること。ただし、遮水工が急斜面に設けられ、これを砂で覆うことが難しい場合には、遮水工の損傷を防ぐことができる十分な厚さと強度を有する不織布等を用いても差し支えないこと。

 九 遮水工の点検(第九号)

   遮水工の大部分は廃棄物により覆われることとなるため、遮水工の点検は、地上に現れている部分について、視認等により、遮水シート及びその上部に敷設された不織布等の劣化や破損の有無、接合部の状況等を点検し、破損又はそのおそれがある場合には修復等を行うこと。
   定期点検の頻度は、遮水工の状況を勘案して適宜設定すること。なお、地震、台風等の異常事態の直後には、臨時点検を行うこと。

 一〇 地下水等の水質検査(第一〇号柱書き)

   地下水等の水質検査は、最終処分場の遮水工が機能し、周縁の地下水等の汚染が生じていないことを確認するためのものであること。
   水質検査を行う地下水は、最終処分場による地下水の水質への影響の有無を判断することができる二箇所以上の観測井又は地下水集排水設備により採取されたものとすること。観測井は既存の井戸を活用しても差し支えないこと。なお、地下水の流向が把握できる場合には、原則として、最終処分場の上流側及び下流側にそれぞれ観測井を設置し、双方の地下水の水質を比較することにより地下水の汚染を把握すること。
   括弧書は、水面埋立処分を行う最終処分場であってその周縁が水域の場合には、排水設備の周辺等を含む水域の二箇所以上を採取場所とすることを規定していること。ただし、水面埋立処分を行う最終処分場であっても、その周縁の一部又は全部が陸地である場合には、当該埋立地における水質検査については、陸上の埋立地と同様の考え方により採取場所を定めること。

 一一 埋立処分開始前の地下水等の検査(第一〇号イ)

   埋立処分開始前の地下水等の水質を把握し、埋立処分開始後の地下水等の水質と比較して水質の状況を評価できるようにするためのものであり、地下水等検査項目、電気伝導率及び塩化物イオン濃度のすべてを測定すること。
   電気伝導率及び塩化物イオン濃度は、汚染物質の混入に対する応答性がよいことから地下水等検査項目に加えて測定することとしたものであること。
   ただし、検査を行う地下水等の電気伝導率又は塩化物イオン濃度の測定値が高く、地下水等の水質の悪化の状況を的確に把握できないと判断される場合にあっては測定を省略しても差し支えないこと。このような場合に該当するものとしては、海面埋立処分を行う最終処分場等があること。

 一二 埋立処分開始後の地下水等の検査(第一〇号ロ)

   地下水等検査項目のうち、埋め立てる一般廃棄物の性状、保有水等集排水設備により集められた保有水等の水質検査の結果等を勘案し、地下水等の汚染が生ずるおそれがないことが明らかな項目については水質検査を省略して差し支えないこと。なお、地下水等検査項目の測定は一年に一回以上行うこととされているが、検査を行う地下水等の電気伝導率又は塩化物イオン濃度の測定値が高く、地下水等の水質の悪化の状況を的確に把握できないと判断される場合にあっては、六か月に一回以上行うこととすること。

 一三 電気伝導率又は塩化物イオン濃度の測定(第一〇号ハ)

   電気伝導率又は塩化物イオン濃度のいずれかのうち、埋立処分開始前の測定値が低く埋立処分開始後の水質の変動を十分に把握することができるものを選定して測定すること。

 一四 電気伝導率又は塩化物イオン濃度の異状時の措置(第一〇号ニ)

   電気伝導率又は塩化物イオン濃度が埋立処分開始前と比較して明らかに上昇するなど異状が認められた場合には、速やかに地下水等検査項目の測定を行うこと。

 一五 地下水等の水質の悪化が認められた場合の措置(第一一号)

   地下水等検査項目に係る水質検査の結果、水質の悪化が認められる場合とは、埋立処分開始前と埋立処分開始後の水質検査の結果を比較して、地下水等検査項目の濃度が明らかに上昇している場合であること。
   水質悪化の原因が当該最終処分場以外にあることが明らかであるものとは、最終処分場の設置者が実施した既存の水質検査結果から判断して地下水の水質の変動が自然的な要因に由来するものと判断できる場合、最終処分場の近傍に汚染源があることが明らかな場合等における水質の悪化をいうこと。
   地下水等の水質の悪化が認められた場合には、水質の詳細な調査を始めとする水質悪化の原因の調査の実施、新たな廃棄物の搬入の中止等の生活環境の保全上必要な措置を講じること。また、地下水等の水質の悪化が認められたことを都道府県知事等に連絡すること。
   平成一〇年改正命令の施行の際に既に埋立処分を開始している最終処分場にあっては、埋立処分開始後に実施した地下水等の水質の測定値により水質の悪化を判断すること。なお、この場合、最終処分場周辺の既存の測定値と比較することも有効であること。

 一六 被覆型埋立地における雨水流入防止(第一二号)

   被覆型埋立地にあっては、屋根、シート等が破損しないよう適切に維持管理を行うこと。また、屋根、シート等が破損した場合には、直ちに補修、復旧を行うこと。

 一七 調整池の点検(第一三号)

   目視により調整池の亀裂や漏水等の有無の点検を行い、異状が認められた場合には、速やかに補修、復旧を行うこと。

 一八 浸出液処理設備の維持管理(第一四号)

   浸出液処理設備の機能を点検し、損壊、機能不良、薬剤不足等が判明した場合は、補修、改良、補充等を行うこと。また、放流水の水質検査の結果、排水基準等を超えていれば、直ちに放流を中止し、その原因を調査するとともに必要な措置を講じること。この場合、浸出液の量や質の予測不備、異常出水時対策や調整機能の欠如、容量不足、処理方式の不適等に起因することが多いので、これらの点に留意すること。
   水質検査の頻度は、排水基準等に係る項目のうち、水素イオン濃度、生物化学的酸素要求量又は化学的酸素要求量、浮遊物質量及び窒素含有量(以下「水素イオン濃度等」という。)を除く項目にあっては一年に一回以上とし、水素イオン濃度等にあっては一月に一回以上、また、排水基準等に係る項目であって維持管理計画にその測定頻度が規定されている場合はその頻度とするが、水質検査の結果についてその前に行った検査の結果と比較して大きく濃度が上昇しているなど変動が見られる場合にあっては、適宜頻度を増やすこと。
   なお、水素イオン濃度等のうち埋め立てる一般廃棄物の性状等に照らし、公共の水域等の汚染が生ずるおそれがないことが明らかな項目に係る水質検査の頻度については、一年に一回以上とできること。

 一九 開渠の維持管理(第一五号)

   開渠その他の設備から土砂等を除去し、常に良好な状態にしておくこと。
   開渠等に堆積した土砂の除去等の維持管理を速やかに行うため、必要に応じ、管理用道路の設置その他の開渠等への到達を容易にするための措置を講じること。

 二〇 発生ガスの排除(第一六号)

   腐敗性の一般廃棄物の埋立地にあってはメタンガス等が発生するので、通気装置を埋立処分の進行状況にあわせて埋立地に適宜配置していくことが必要であること。埋立地内で発生したガスは、遮水工や覆土と廃棄物の境界に沿って流れることが多いため、通気装置は、多孔管、蛇篭等を法面に沿って設けることが有効であること。さらに、埋立地の面積が広い場合には、法面に設置した通気装置に加えて埋立地の内部に竪型の通気装置も設置すること。
   また、排除したガスをその性状及び発生量に応じて処理すること。

 二一 開口部の閉鎖(第一七号)

   埋立地の開口部からの一般廃棄物の飛散・流出、悪臭の発生、火災の発生及び雨水の浸透を抑制する等のため、埋立地の開口部を土砂で覆い、転圧締固めを行い、おおむね五〇センチメートル以上の厚さとなるようにする等の方法により閉鎖する必要があること。
   その他これに類する覆いとは、五〇センチメートルの厚さの土砂と同等の強度及び透水性を有するものをいうこと。
   被覆型埋立地については、雨水等の浸透を防止する観点から、命令第一条第一項第五項イ(一)に定めるいずれかの要件を備えた遮水層の上に不織布を敷設し、さらにこれを保護するために土砂で覆った覆い又はこれと同等以上の遮水の効力、遮光の効力、十分な強度及び耐久力を有する覆いにより閉鎖すること。

 二二 覆いの損壊防止(第一八号)

   定期的に命令第一条第二項第一七号に規定する覆いの点検を行い、損傷のおそれがある場合には補修、復旧を行うこと。

 二三 記録の作成及び保存(第一九号)

   埋立地に内部仕切設備がある場合には、その仕切りに囲まれた区画ごとに、埋め立てられた一般廃棄物の種類及び数量を記録すること。
   また、擁壁等の点検、放流水の検査、遮水工の補修等を行った場合は、その結果を記録すること。
   作成された記録は、最終処分場の廃止までの間保存すること。

Ⅲ 一般廃棄物の最終処分場の廃止基準(第一条第三項)

 一 共通項目(各号列記以外の部分)

   廃棄物が埋め立てられていない一般廃棄物の最終処分場は、各号の規定によらず廃止できること。

 二 構造基準への適合(第一号)

   地滑り防止工又は沈下防止工、擁壁等、遮水工、地下水集排水設備、保有水等集排水設備及び開渠等について、構造基準に適合していないと認められないこと。また、擁壁等については、その安定計算を行った際の荷重条件に合致しない状態で廃棄物が埋め立てられていないこと。
   なお、囲い、立札、調整池及び浸出液処理設備については廃止に当たり設置されている必要がないこと。

 三 悪臭の発散防止に関する措置(第二号)

   覆土等の措置が講じられていることにより悪臭の発生が認められないこと。

 四 火災の発生防止に関する措置(第三号)

   覆土、可燃性の発生ガスの排除等の措置が講じられていることにより火災の発生のおそれがないこと。

 五 衛生害虫等の発生防止に関する措置(第四号)

   覆土等の措置が講じられていることにより、はえ等の衛生害虫等の異常な発生が認められないこと。

 六 地下水等の水質(第五号)

   埋立処分開始後の地下水等検査項目に係る地下水等の水質検査の結果、命令の別表下欄に掲げる基準に現に適合していないと認められる場合、又は埋立処分開始前及び開始後の水質検査結果に基づく水質の変動をみて当該基準に適合しなくなるおそれがあると認められる場合は、廃止の基準に適合しないものであること。
   ただし、これらに該当する場合であっても、埋立処分開始前及び開始後の水質検査結果に基づく水質の変動をみて水質が悪化したと認められない場合、又は最終処分場以外の原因により水質が悪化したことが明らかな場合にあっては、この限りではないこと。

 七 保有水等の水質(第六号)

   廃止の確認の申請の直前二年間以上にわたり測定された保有水等の水質検査の結果がすべて排水基準等に適合していること。また、水質検査の結果には、廃棄物の埋立処分終了後に実施されたものが含まれている必要があること。
   本文の括弧書は、例えば埋め立てる一般廃棄物を不燃性のごみから生ごみに変更するなどその性状を著しく変更した場合には、当該変更以後の二年間以上の水質検査の結果をもって適合を判断することを規定したものであること。
   ただし書は、保有水等が発生しない被覆型埋立地にあっては、本文の規定を適用しないことを定めたものであること。

 八 ガスの発生(第七号)

   廃止の確認の申請の直前にガスの発生がほとんど認められないこと、又は廃止の確認の申請の直前二年間以上にわたりガスの発生量の増加が認められないことを確認すること。また、ガスの発生量に係る測定の結果には、埋立処分終了後に実施されたものが含まれている必要があること。
   埋立地からのガスの発生は気圧の影響を受けることから、測定は曇天時に行うなど気圧の高い時を避け、かつ、各測定時の気圧ができるだけ等しくなるようにすること。
   ガスの発生量の測定は、第一条第二項第一三号の規定による通気装置等から適当な箇所を選定し、流量の測定を行うこと。このほか、埋立地上部の植物の枯死や目視によりガスの発生が認められるなど埋立地からガスが発生している可能性があって付近に通気装置等がない場合は、そこに採取管を設置して測定すること。
   流量の測定の方法は、超音波流量計、熱式流量計を用いる方法によるほか、透明な管を通気装置に接続し、煙等を吹き込み、その管内の移動速度を測る方法もあること。なお、熱式流量計については、メタンガスによる爆発のおそれがある場合には防爆型の計器を用いること。
   測定の頻度は、ガスの発生が認められた場合は原則として三か月に一回以上とすること。
   このほか、ガスの採取地点の選定に当たっては、「廃棄物最終処分場安定化監視マニュアル」(平成元年一一月三〇日付け環水企第三一一号環境庁水質保全局企画課海洋汚染・廃棄物対策室長通知の別添。以下「安定化監視マニュアル」という。)を参考とすること。

 九 埋立地の内部の温度(第八号)

   廃止の確認の申請の直前の埋立地内部の温度の状態について確認すること。
   命令第一条第三項第八号の異常な高温になっていないとは、埋立地の内部と周辺の地中の温度の差が摂氏二〇度未満である状態をいうこと。なお、周辺の地中の温度は実地で測定するほか、既存の測定値を活用しても差し支えないこと。
   温度の測定は、第一条第二項第一三号の規定による通気装置等から適当な箇所を選定し、熱電対式等の温度計を用いて行うこと。地表より鉛直方向に一メートル間隔で測定し地表の温度の影響を受けないと判断される深さにおいて、周辺の土地における同じ深さの地中温度と比較すること。
   このほか、埋立地内部の温度の測定地点の選定については、安定化監視マニュアルを参考とすること。

 一〇 覆い(第九号)

   覆土等の覆いの損壊が認められないこと。
   区画埋立地にあっては、すべての区画が覆いにより閉鎖されていること。

 一一 被覆型埋立地の覆い(第一〇号)

   被覆型埋立地への雨水等の浸透を防ぐため、覆いの沈下、亀裂その他の変形により、遮水の効力が低下し、又は低下するおそれがないことを確認すること。

 一二 生活環境の保全上の支障(第一一号)

   最終処分場が周辺地域の生活環境に及ぼす影響による生活環境の保全上の支障とは、命令第一条第二項第一〇号の規定による水質検査のために設置した観測井等以外で採取された地下水の水質の埋立地からの浸出液による悪化や、埋立地から発生したガスや放流水による周辺の作物の立枯れ等が該当すること。

Ⅳ 産業廃棄物の最終処分場の構造基準(第二条第一項)

 一 共通項目(各号列記以外の部分)

   産業廃棄物の最終処分場については、Ⅰの一に準じて取り扱うものであること。
   また、産業廃棄物の最終処分場に係る構造基準のうち、地滑り防止工及び沈下防止工については、Ⅰの四に準じて取り扱うものであること。

 二 立札(第一号)

   遮断型最終処分場(令第七条第一四号イに掲げる産業廃棄物の最終処分場をいう。以下同じ。)のうち、令第六条の四第一項第三号イ(一)から(六)までに掲げる特別管理産業廃棄物の埋立処分の用に供されるものにあっては「有害な特別管理産業廃棄物の最終処分場」と、令第六条第一項第三号ハ(一)から(五)までに掲げる産業廃棄物の埋立処分の用に供されるものにあっては「有害な産業廃棄物の最終処分場」と、また安定型最終処分場(令第七条第一四号ロに掲げる産業廃棄物の最終処分場をいう。以下同じ。)又は管理型最終処分場(令第七条第一四号ハに掲げる産業廃棄物の最終処分場をいう。以下同じ。)にあっては「産業廃棄物の最終処分場」と区分して表示しなければならないこと。
   産業廃棄物の種類は、法第二条第四項及び令第二条に規定する区分によるものであるが、有害な特別管理産業廃棄物が埋め立てられる最終処分場又は有害な産業廃棄物が埋め立てられる最終処分場である場合には、含有する有害物質の種類ごとに細分した産業廃棄物の種類に区分して記載すること。
   連絡先は、最終処分場の管理全般について責任をもって対応しうる者の住所、氏名、電話番号等を記載すること。
   その他の設備としては、看板、壁面埋込板等があげられること。

 三 遮断型最終処分場(第二号)

  (一) 開渠(第二号柱書き)

    遮断型最終処分場の開渠については、Ⅰの一八に準じて取り扱うものであること。

  (二) 囲い(第二号イ)

    遮断型最終処分場の囲いについては、Ⅰの二に準じて取り扱うものであること。ただし、埋立地を閉鎖して埋立処分以外の用に供する場合の囲い等に関する規定の適用はないこと。

  (三) 外周仕切設備(第二号ロ)

    命令第二条第一項第二号ロ(一)は、遮断の効力を規定する要件であること。外周仕切設備の材料は埋立地をその外部と遮断するために必要な遮断の効力が得られるものでなければならず、水密性を有する鉄筋コンクリートを使用することとし、鉄筋コンクリートの遮断の効力を圧縮強度及び厚さにより具体的に規定していること。
    命令第二条第一項第二号ロ(二)は、構造耐力を規定する要件であり、Ⅰの六に準じて取り扱うものであること。
    命令第二条第一項第二号ロ(三)は、産業廃棄物と接する面の耐水性及び耐食性に関する規定であり、高分子材料による被覆、塗装等により対応すること。
    命令第二条第一項第二号ロ(四)は、外周仕切設備の外面の腐食防止を規定する要件であり、Ⅰの七に準じて取り扱うものであること。
    命令第二条第一項第二号ロ(五)は、点検を可能とする構造に関する規定であり、外周仕切設備の側面部及び底面部の周囲に、点検路や点検のためビデオカメラ等の機器を通すことができる空間を設ける構造等とすること。

  (四) 内部仕切設備(第二号ハ)

    埋立地の内部は、一区画の面積がおおむね五〇平方メートル以下、又は容量がおおむね二五〇立方メートル以下となるように区画すること。ただし、埋立地の面積が五〇平方メートル以下、かつ、容量が二五〇立方メートル以下である場合には、内部仕切設備を設ける必要がないこと。
    遮断の効力、構造耐力、遮水の効力及び腐食防止の効力については、外周仕切設備についての規定に準じて取り扱うものであること。

 四 安定型最終処分場(第三号)

  (一) 擁壁等(第三号柱書き)

    安定型最終処分場の擁壁等については、Ⅰの五に準じて取り扱うものであること。

  (二) 囲い(第三号イ)

    安定型最終処分場の囲いについては、Ⅰの二に準じて取り扱うものであること。

  (三) 雨水等の排出設備(第三号ロ)

    擁壁等の安定を保持するため、必要に応じ、埋立地内部の雨水等を排出するための排水管、蛇篭等を設置すること。なお、これらの設備の設置により、擁壁等の構造耐力上の安全性を損なわないよう留意すること。
    また、排出の必要がある雨水等を少なくする方法として、埋立地への地表水の流入を防止することができる側溝等の設置も有効であること。

  (四) 浸透水の採取設備(第三号ハ)

    浸透水の採取設備は、埋め立てられた安定型産業廃棄物の層を通過した雨水等を採取して水質を検査することにより、安定型産業廃棄物以外の廃棄物の混入の有無を確認するためのものであり、埋立地の内部に敷設された多孔性の管や蛇篭等で構成されること。
    浸透水の採取設備は、埋立処分が行われている場所の廃棄物の層を通過する浸透水を採取できるよう、当該場所の変更に伴って、必要に応じ、場所を変更して設置すること。

 五 管理型最終処分場(第四号)

   管理型最終処分場の囲い、擁壁等、水質汚染防止措置、開渠等については、それぞれⅠの二及び五から一八までに準じて取り扱うものであること。

Ⅴ 産業廃棄物の最終処分場の維持管理基準(第二条第二項)

 一 共通項目(各号列記以外の部分)

   産業廃棄物の飛散、流出、悪臭、火災、衛生害虫等及び立札については、それぞれⅡの一から四まで及び六に準じて取り扱うものであること。

 二 遮断型最終処分場(第一号)

  (一) 地下水等の水質検査等、雨水流入防止、開渠(第一号柱書き)

    遮断型最終処分場の地下水等の水質検査、地下水等の水質の悪化が認められた場合の措置、雨水流入防止及び開渠の維持管理については、それぞれⅡの一〇から一六まで及び一九に準じて取り扱うものであること。

  (二) 囲い(第一号イ)

    遮断型最終処分場の囲いはⅡの五に準じて取り扱うものであること。ただし、埋立地を閉鎖して埋立処分以外の用に供する場合の囲い等に関する規定の適用はないこと。

  (三) たまり水の排除(第一号ロ)

    遮断型最終処分場にあっては、埋立地の内部にたまっている水を排除しなければ埋立処分を開始できないこと。括弧書は、区画埋立地の場合は、埋立処分を行う区画についてのみ、たまっている水の排除を行えば足りることを規定していること。

  (四) 外周仕切設備、内部仕切設備(第一号ハ)

    外周仕切設備の点検の方法は、点検路からの目視、外周仕切設備の周囲の空間からのビデオカメラによる撮影、熱赤外線映像法等により行うこと。
    定期点検の頻度は、設備の状況を勘案して適宜設定すること。なお、地震、台風等の異常事態の直後には臨時点検を行うこと。
    点検の結果、外周仕切設備若しくは内部仕切設備の損壊又は保有水の浸出のおそれがあると認められる場合には、速やかに廃棄物の搬入及び埋立処分を中止するとともに、これらの設備の補修等の必要な措置を講ずること。
    廃棄物の搬入及び埋立処分を中止した後、補修等の必要な措置を講じた場合は、廃棄物の搬入及び埋立処分を再開できるものであること。

  (五) 開口部の閉鎖(第一号ニ)

    遮断型最終処分場にあっては、命令第二条第一項第二号ロ(一)から(四)までに掲げる要件を備えた覆いにより閉鎖しなければならないこと。
    なお、区画埋立地にあっては、埋立処分の終了した区画について同様の要件を備えた覆いにより閉鎖しなければならないものであることを命令第一条第二項第一七号の括弧書において規定していることに留意すること。

  (六) 覆いの点検(第一号ホ)

    遮断型最終処分場の閉鎖した区画の覆いについては、目視により定期的に点検し、異状が認められる場合は補修、復旧を行わなければならないこと。
    定期点検の頻度は、覆いの状況を勘案して適宜設定すること。なお、地震、台風等の異常事態の直後には臨時点検を行うこと。

  (七) 記録の作成及び保存(第一号ヘ)

    記録の作成及び保存については、Ⅱの二三に準じて取り扱うものであること。なお、産業廃棄物の種類については、当該産業廃棄物が含有する有害物質の種類ごとに細分した産業廃棄物の種類とすること。

 三 安定型最終処分場(第二号)

  (一) 擁壁等の点検、記録の作成及び保存(第二号柱書き)

    安定型最終処分場の擁壁等の点検並びに記録の作成及び保存については、それぞれⅡの七及び二三に準じて取り扱うものであること。なお、産業廃棄物の種類及び数量の記録については、令第六条第一項第三号イ(一)から(六)までに掲げる安定型産業廃棄物の種類ごとに区分して記載すること。

  (二) 囲い(第二号イ)

    囲いが破損した場合には、補修、復旧すること。
    埋立地を命令第二条第二項第二号トに規定する覆いで閉鎖し、埋立地を埋立処分以外の用に供する場合にあっては、囲い、杭その他の設備により埋立地の範囲を明らかにしておくこと。また、埋立処分以外の用に供するとしても、引き続き最終処分場としての維持管理は必要であり、命令に定める構造基準及び維持管理基準並びに維持管理計画を遵守し、生活環境の保全上の支障が生じることがないよう留意すること

  (三) 展開検査(第二号ロ)

    安定型最終処分場への安定型産業廃棄物以外の廃棄物の埋立処分を防ぐために展開検査を行うこと。展開検査とは、埋立処分の前に廃棄物を搬入車両等から降ろして拡げ、目視により安定型産業廃棄物以外の廃棄物の付着又は混入の有無を確認するものであり、搬入された廃棄物の全量を対象に、最終処分場内の埋立地以外の場所又は埋立地内部であって埋立処分が終了している場所など安定型産業廃棄物以外の廃棄物の付着又は混入が認められた場合に当該廃棄物の回収が容易に行える場所を定めて行うこと。

  (四) 地下水の水質検査(第二号ハ)

    安定型最終処分場の地下水の水質検査は、Ⅱの一〇から一二までに準じて取り扱うものであること。ただし、水面埋立処分を行う最終処分場に係る規定及び電気伝導率又は塩化物イオン濃度に係る規定の適用はないこと。
    浸透水の水質検査結果及び埋め立てられる安定型産業廃棄物の性状等を勘案し、検出されないと考えられる項目については、地下水の水質検査を省略して差し支えないこと。

  (五) 地下水の水質の悪化が認められた場合の措置(第二号ニ)

    安定型最終処分場の地下水の水質の悪化が認められた場合の措置は、Ⅱの一五に準じて取り扱うものであること。

  (六) 浸透水の水質検査(第二号ホ)

    採取される浸透水に廃棄物の層を通過した雨水等以外のものが混入するおそれがある場合には、これを防止するため採取口への蓋の設置等の措置を行うこと。

  (七) 浸透水の水質の基準不適合時の措置(第二号ヘ)

    浸透水の水質が命令第二条第二項第二号ヘに規定する基準に不適合となった場合には、廃棄物の搬入及び埋立処分を中止し、基準に不適合となった原因の調査等の措置を講ずること。また、浸透水の水質が基準に不適合となったことを都道府県知事等に連絡すること。
    廃棄物の搬入及び埋立処分を中止した後、上記の調査結果に基づき、浸透水が基準に適合しない原因となった廃棄物の撤去等の生活環境の保全上必要な措置を講じた場合は、廃棄物の搬入及び埋立処分を再開できるものであること。

  (八) 開口部の閉鎖(第二号ト)

    安定型最終処分場において、埋立処分が終了した埋立地を埋立処分以外の用に供する場合には、Ⅱの二一に準じて取り扱うものであること。ただし、被覆型埋立地に係る規定の適用はないこと。
    なお、埋立処分が終了した埋立地については、当該埋立地を埋立処分以外の用に供しない場合であっても、令第六条第一項第三号柱書きにおいてその規定の例によるとされた令第三条第一項第三号ホに基づき、土砂で覆う必要があることに留意すること。

  (九) 覆いの損壊防止(第二号チ)

    安定型最終処分場の覆いについては、Ⅱの二二に準じて取り扱うものであること。

 四 管理型最終処分場(第三号)

   管理型最終処分場の囲い、擁壁等の点検、遮水工の砂等による被覆、遮水工の点検、地下水等の水質検査、地下水等の水質の悪化が認められた場合の措置、被覆型埋立地における雨水流入防止、調整池の点検、浸出液処理設備の維持管理、開渠の維持管理、発生ガスの排除、開口部の閉鎖、覆いの損壊防止並びに記録の作成及び保存については、それぞれⅡの五及び七から二三までに準じて取り扱うものであること。
   括弧書は、鉱さい、ばいじん等のガスの発生するおそれのない産業廃棄物のみを埋め立てる最終処分場にあっては、命令第二条第二項第一六号に規定する通気装置を設ける必要がないことを定めたものであること。

Ⅵ 産業廃棄物の最終処分場の廃止の基準(第二条第三項)

 一 共通項目(柱書き)

   産業廃棄物の最終処分場の悪臭の発散防止に関する措置、火災の発生防止に関する措置、衛生害虫等の発生防止に関する措置及び生活環境の保全上の支障については、それぞれⅢの三から五まで及び一二に準じて取り扱うものであること。
   また、廃棄物が埋め立てられていない産業廃棄物の最終処分場については、Ⅲの一に準じて取り扱うものであること。

 二 遮断型最終処分場(第一号)

  (一) 地下水等の水質(第一号柱書き)

    遮断型最終処分場の地下水等の水質については、Ⅲの六に準じて取り扱うものであること。

  (二) 構造基準への適合(第一号イ)

    遮断型最終処分場の地滑り防止工又は沈下防止工及び外周仕切設備について、構造基準に適合していないと認められないこと。

  (三) 覆い(第一号ロ)

    命令第二条第一項第二号ロ(一)から(四)までに掲げる要件を備えた覆いの損壊が認められないこと。
    区画埋立地にあっては、すべての区画が覆いにより閉鎖されていること。

  (四) 埋め立てられた産業廃棄物又は外周仕切設備について講じる措置(第一号ハ)

    埋め立てられた産業廃棄物又は外周仕切設備について命令第二条第三項第一号ハに基づき環境庁長官及び厚生大臣が定める措置については、追って告示すること。

 三 安定型最終処分場(第二号)

  (一) ガスの発生、埋立地の内部の温度(第二号柱書き)

    安定型最終処分場のガスの発生及び埋立地の内部の温度については、それぞれⅢの八及び九に準じて取り扱うものであること。ただし、ガスの発生量又は埋立地の内部の温度の測定の場所は、命令第二条第一項第三号ハの規定により設置された浸透水採取設備等から適当な箇所を選定して行うこと。

  (二) 構造基準への適合(第二号イ)

    安定型最終処分場の地滑り防止工又は沈下防止工、擁壁等及び雨水等の排出設備について、構造基準に適合していないと認められないこと。

  (三) 地下水の水質(第二号ロ)

    安定型最終処分場の地下水の水質については、Ⅲの六に準じて取り扱うものであること。

  (四) 浸透水の水質(第二号ハ)

    廃止の申請の直前に行われた浸透水の水質検査の結果が、命令第二条第三項第二号ハの表の下欄に定める基準に適合していること。

  (五) 覆い(第二号ニ)

    安定型最終処分場の覆いについては、Ⅲの一〇に準じて取り扱うものであること。

 四 管理型最終処分場(第三号)

   管理型最終処分場の地下水等の水質、保有水等の水質、ガスの発生、埋立地の内部の温度、覆い、被覆型埋立地の覆いについては、それぞれⅢの六から一一までに準じて取り扱うものであること。
   構造基準への適合については、Ⅲの二に準じて取り扱うものであること。

Ⅶ 水質検査の方法(第三条)

  地下水等の水質、浸出液処理設備からの放流水の水質、廃止の際の保有水等の水質及び安定型最終処分場の浸透水の水質に関する検査は、平成一〇年六月環境庁・厚生省告示第一号「一般廃棄物の最終処分場又は産業廃棄物の最終処分場に係る水質検査の方法」に基づき行うこと。