大臣談話・大臣記者会見要旨

望月大臣記者会見録(平成27年5月8日(金)9:03 ~9:35  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 本日は報告する案件はございません。よろしくお願いします。

2.質疑応答

(問)共同通信の高田です。約束草案についてお伺いします。先月30日に2013年度比で26%削減するという日本の案が示されましたが、これについて大臣の受け止めと、将来どうやって達成していくのか教えてください。
(答)4月30日の中環審・産構審の合同専門家会合でお示ししましたが、我が国の新たな削減目標案は、国内の排出削減・吸収量の確保により、2030年度に2013年度比マイナス26.0%、2005年度比ではマイナス25.4%の水準にすることとしており、国際的にも遜色のない水準であると考えています。
 達成でございますけれども、数字の出し方はさまざまあると思いますが、我々は今回のCOPに向けて、必ず実現可能な数字を出していかなければいけないと考えております。技術的制約、コスト面とかさまざまな課題を十分に考慮した裏付けのある対策・施策や技術の積み上げにより策定しており、実現可能な削減目標に向かって進んで行きたいと考えております。
(問)関連なのですが、昨日の報道で、世界の大気中のCO2濃度が今年3月に月平均値で、観測史上初めて400ppm超え、過去最高を記録したという発表ありました。非常に厳しいかと思いますが、日本はどのように将来削減を実現していくのかお聞かせください。
(答)アメリカのNOAA(海洋大気局)が、世界40か所の観測結果をもとに、二酸化炭素の世界全体の月ごとの平均濃度を分析したという報道だと思いますが、今年の3月に初めて400ppmを超えて、400.83ppmと、観測史上最も高くなったと発表されております。今回、地球温暖化の主要な原因物質である二酸化炭素の濃度が、過去最高を記録したというニュースを見させていただいて、私も大変深刻に受け止めております。COPを始め、気候変動についての様々な会議がございますけれども、そういったことを通して、世界の国々がなんとかしなくてはいけないということで知恵を絞っているところです。我々も深刻な問題だと受け止めております。地球温暖化対策に一層取り組んでいくため、着実に国内での削減を進めるとともに、さらに技術開発を進め、JCM等を活用し、世界全体の温室効果ガス排出削減に積極的に取り組んで行きたいと考えております。
(問)最後に指定廃棄物についてお伺いします。宮城県の詳細調査の件なんですけれども、昨年雪解けを待って詳細調査をするとおっしゃっていましたが、今後どのように進めていかれるおつもりでしょうか。
(答)なんとか昨年にボーリング調査を始めたいと考えておりましたが、昨年11月でしたか、比較的早く雪が降り始めて、機材が運び込めないという中で、私自身が、「来年春の雪解けを待って、3カ所で実施可能となり次第、速やかに開始する予定」と申し上げたところです。加美町の詳細調査候補地に通じる道路が、今月末まで通行止めの予定であることは報道を通じて承知しております。報道が事実であるとすれば、今月中に3か所で現地調査を実施することは困難であると考えております。こういった間にもさまざまな機会を通じて、地元の方々や県民の皆様にひとつひとつ丁寧に説明をさせていただく努力を積み重ねているところでございます。現地での調査については、通行止めの解除も含めて3カ所で実施可能となり次第、開始したいと考えております。

(問)河北新報の門田です。今の質問に関連してなんですが、解除して始めるということは、住民の理解を得ながらという言葉は常に大臣の会見ではあったんですが、その点についてどのようになされるのでしょうか。
(答)これは一貫して申してきたように、住民の皆様に丁寧に説明する努力を行うことが第一のことであり、しっかりと理解していただけるよう説明する努力を積み重ねているところです。現地での調査ができる状況になれば進めて行きたいと思います。ただ、そういった話は皆さんにお願いしている最中でございます。まだ日にちは決まったわけではございませんが、現地の様子を見ながら、それからそういった努力を積み重ねて、時期が来たら進めて行きたいと思います。

(問)共同通信の角です。2点お伺いします。数日前の話だと思いますが、チェルノブイリ原発の立ち入り禁止区域で森林火災が起きて、もう沈火したそうですけれども、一時期は森林に残っている放射性物質が飛散されるのではないかとの懸念があったそうです。環境省で除染を進めている福島県では、面積の7割くらいが森林だそうで、森林機能を維持するために基本的には除染をしないという方針ですが、今後福島県であったり、帰還困難区域や中間貯蔵施設用地として国が進めていた地域で、大規模な森林火災が発生した場合、どう対応するのか教えてください。
(事務方)大変失礼なんですけども、その件についてお答えする者がいないので改めて事務的に報告したいと思います。
(問)ドローンが官邸の屋上に来て、それに福島県の汚染土壌が積み込まれていたことだったんですけれども、実際福島県で除染の仮置き場等に汚染された土壌が、誰でも簡単に手に入れることができて今回このように悪用されたんですけれども、これについて環境省として何が出来るのか非常に難しいでしょうけれども、どのように受け止めているのでしょうか。
(答)官邸の警備上の問題でございまして、我々としても非常に遺憾だと思っております。土壌が福島県の物なのかどうなのかは、警察において捜査中でございまして、そういった内容についてお答えする資料等ございませんので、発言は控えさせていただきます。環境省としても、除染をしている地域の皆さんと連絡を取りあって、そういったものに対するより一層の、できる限りの注意は払っていきたいと思います。
(問)環境省のほうで、指定廃棄物にせよ福島県除染土壌にせよ安全に管理しましょうという取組を行っている中で、基準を超えるような線量の汚染土壌を、まあ供述ですけれども、福島県から持ってきて、それを有害物質であるということで、ある意味脅しに使ったわけですけれども、被災者の方からすると不謹慎でかつ感情を逆撫でするような行為だと思いますけれども、環境大臣としてどのように受け止めているのでしょうか。
(答)たいへん残念で、憤りを感じる事件と思っております。こういうことによって、福島県の皆さんの心配が増えることがないように、そして風評被害が起きないように、我々もしっかりと対処しないといけないと思っております。

(問)朝日新聞の香取です。よろしくお願いします。約束草案について、先程冒頭で発言いただきましたが、これをまとめるに当たってのポイントですが、どういうところを中心に、皆から最終的に2013年度26パーセント減というようにまとめたのか教えていただきたいです。
(答)先程も話をさせていただきましたが、この2030年目標で2013年度よりマイナス26パーセント、そして2005年比ではマイナス25.4パーセントの数字は、様々な見方があると思いますが、我が国で努力を積み重ねて、最大限の数字を積み重ねてきたものです。評価の仕方は色々あるかと思います。最初25パーセントくらいではないか、あるいはまた30パーセント以上の数字ではないか、といった報道のみなさんの考え方をなるほどなと思いました。2030年我が国は様々考え方ありますけれども、我々は環境先進国の一つとして、また先進国の中でも排出量が非常に多いといわれる中での、我が国の責任がございます。その中でできる限りのものを積んで、こういった数字になったのかなと思っております。希望するだけなら色々な数字が出てくるわけでありますけれども、国民の生活に非常に関係がある電力料金とか、技術的にそういったものを加味して積み上げていった中で26パーセントという数字が出てきました。いろんな国からこの数字が我が国としては最大限努力したなということを理解していただけるような数字であると、我々は思っております。これが確実に実行されるように、今後、足元から努力をしていかなければいけないと思っております。
(問)もう1点、最後のところ、国際的に説明をしなければならないという点で、まずこれまで使っていた2005年という基準年を2013年に変えたことをどのように説明するかということと、もう一つは約束草案を提出するときには、なぜこれが公平で野心的か、国際的に温室効果ガスを安定なレベルに保つためにどのような貢献をするのかという点を説明しなければいけないと思うのですけれども、どのように説明していくか、この2点についてお伺いしたいと思います
(答)何年度比という出し方は非常に難しい問題であると思います。ヨーロッパは1990年比の数字を出しております。その数字がその国にとって、出しやすい数字といいますか、2005年は2005年でやりやすい数字だとか、様々ございます。我が国は2005年比と2013年比という数字で示しておりますが、2005年比と2013年比の違いは0.6パーセント位で、そう変わった数字ではないと思っております。もちろん0.6パーセントというのはある意味では大きい数字かもしれませんが、そういう中で、これから我が国が直近の2013年から、2030年に向かって進めていく、これからの努力というものを出していく意味では非常に大切であるため、2005年に加えて、2013年を基準年にして、世界にこれから示していきたいと考えております。世界の国々がそれぞれこれからCOP21に向けて、必ず実現可能で公平で、その国の実情に見合ったことをよく考えて必ず実効的な数字を出しましょうということでございますので、我々は今からのCO2を減らしていかなければならないということで、こういう数字を出させていただいて、今後主張していきたいと思っております。
(事務方)御質問いただいた後半の、公平性や野心度それから条約2条との関係は、御指摘いただいたように、約束草案の中では各国が含めなければならない情報になっておりますので、先日この点に関しても中環審と産構審の専門家会合でいくつか貴重な意見をいただいております。これらを踏まえて政府の中でどのようなことが書き込めるか検討して、約束草案の政府の原案を作る際には、その件も盛り込んだ上で作りたいと思っております。

(問)共同通信の川口と申します。約束草案の前提になった、エネルギーミックスの関係なんですけれども、再生可能エネルギーが22から24パーセントになったと。これに対して今すぐに認定されている分だけでも20.5パーセントくらいになるのではないのか、ちょっと30年の未来の話をするには少なすぎるのではないかという指摘があるようですけれども、環境省では様々な計算がなされている中でこの数字は今後22から24というのをどういうふうに考えているか、これから与党協議もあるけれども、上積みの余地がないのかというのを1点目教えてください。
 それから2点目なんですけれども、今回まとまった約束草案の要綱案には、今後少し変わる余地があるのか、それとも今政府の中で自信をもって我が国の約束草案の案でありますというふうに考えていらっしゃるのかというところを2点お願いいたします。
(答)まずは1問目の問題ですけれども、再生可能エネルギーの22から24という数字なんですが、これは様々な考え方があると思います。例えば太陽光などの申請がたくさん来ています。そういったものを含めると相当の数字までいってしまうのではないかという御意見もございます。一方で数年前再生可能エネルギーをなるべく多く作ろうということで非常に高い買取価格を設定したところ、将来の電気料金が高くなる。あるいは総量が増えてきて、系統的にオーバーしてしまうおそれもあり、調整しなくててはいけないというようなことを考えた時に、今申込みがあるものがどれくらい動くだろうということも想定しまして、例えば4割くらいは申請をしてもやらないだろうということになりますと6割ぐらいだとどうか、などといった基礎的な議論を積み重ねまして、現実的に考えると22とか24という数字がめいいっぱいかなと、これから何年かの間にコストの面で安いものも出来てくるということも含めて、今現在では実現できる最大限がこの数字かなと考えております。もちろんこれから相当先には可能性が出てくることも、我々は期待しているところでありますが、現実的には世界に約束できる数字を作っていかなくてはいけないということで、このような数字が出てきたということでございます。
 もう一つの御質問は、これは変更の余地ということでございますが、4月30日の中環審と産構審では約束草案の要綱については非常にいろんな御意見がでました。そしてまた今後この要綱をもとに約束草案の政府案をとりまとめてパブリックコメントをします。そこでまたいろんな御意見が出てくると思います。そうした上で、地球温暖化対策推進本部で決定して国連に提出するという予定をしております。これまで喧々諤々の議論を積み重ねてここまで来ておりますので、基本的にはこの数字を簡単に変えるということではありませんけれども、国民の声がどういうものか我々はしっかりと耳を傾けていかなけてばならないというふうに思っています。約束草案の決定には、パブリックコメントの必要な手続を経る必要がありますが、G7サミットの際には総理が国際的に遜色の無い野心的な目標に関する日本の考え方をしっかりと説明出来るように、最終的にまとめていきたいなと思っております。

(問)千葉日報の石井と申します。千葉市の指定廃棄物の関係についてお伺いします。地元の住民ないしは東京湾で操業されている漁業者の方から、今回の処分場の計画については反対の声が上がっているのですが、環境省としてどのように安全性等を地元に説明していくのでしょうか。市議会や市などに説明していくかと思いますが、そのスケジュールと、また、漁業者から風評被害の声があがっていますので、この点についてどのように考えていらっしゃるのかお聞かせください。
(答)様々な団体からいろいろな声が出ているという話を聞いております。千葉県において2つの市民団体から、4月30日に市長と議会宛に様々なご意見が出たということも報道で承知をしております。環境省としてはまず施設の必要性、安全性について、地元の皆さんのご理解が得られるように、丁寧に説明をさせていただくことが重要だと思っております。どのような形で説明するのが良いかは、今後、千葉市や千葉県とよく相談していきたいと思います。県全体の問題でもございますので、千葉県や、地元の千葉市とよく相談して、丁寧な説明を尽くしていきたい、まずそこから始めたいと思っております。

(問)熊本日日新聞の高橋と申します。5月1日の水俣病犠牲者慰霊式にご出席された後の会見で、大臣が原因企業チッソの子会社の株式の売却について、未だ救済の終了とは言えない、状況のひとつにはあたらないという認識を示されていますが、その中で訴訟を起こしている人が大勢いるという発言をされています。大臣のお考えでは、救済の終了というのは、訴訟の数と公健法の認定申請の状況を元に判断するという認識でよろしいでしょうか。
(答)私は当時のことはよくわかりませんが、多くの皆さんが努力して、政治的に解決しようという中で、様々な方々が救済されたと承知しております。特措法の申請期限が切れまして、今は本来の公健法に戻って、できる限り皆さんの声を聞かせていただきたいと思っております。ただ、そういう中で引き続き認定申請者が増えているという状況があります。そうした皆さんの内容についてはまだ我々も把握しきれておりませんので、今後どうなるかということも分かりません。ただ、その中で公健法をしっかり運用させていただいて、できる限りたくさんの皆さんに対する努力をさせていただきたいと思っております。そういう状況の中では、まだ株式譲渡を承認できる環境にはないと考えております。環境大臣として、こういう状況の中でまだ株式譲渡をすることを認定することはできないという発言をさせていただきました。救済の終了だとは到底言い難いということで、譲渡については、まだするべきではないという気持ちを持っております。