プロジェクト
CDP報告会

Water Styleサミット with CDP 2016 Water日本報告会 開催レポート

パネルディスカッション

ファシリテーター

  • 橋本 淳司 氏 (水ジャーナリスト/アクアコミュニケーター アクアスフィア 水教育研究所 所長)

パネリスト

  • 高橋 康夫 氏 (環境省 水・大気環境局 局長)
  • 森澤 充世 氏 (CDPジャパンディレクター)
  • 竹本 和彦 氏 (国連大学サステイナビリティ高等研究所 所長)
  • 金子 洋平 氏 (花王株式会社 サステナビリティ推進部 エコ戦略推進グループ部長)

「水から考えるSDGs目標にむけたそれぞれのWater Style 」

Water Styleサミットのパネルディスカッションとして、国連で採択されたSDGsの目標6として水が掲げられたことから、「水から考えるSDGs目標にむけたそれぞれのWater Style」と題し、主催者挨拶を行った3者および花王株式会社から金子洋平エコ戦略推進グループ部長にパネリストとして登壇いただき、ファシリテーターとしてアクアスフィア水環境研究所所長の橋本淳司氏に進行いただきました。

パネルディスカッションのようす 橋本氏より、水の重要性とSDGsとの関連を動画と合わせて解説された後、SDGsについて地域や私たちの暮らしとの繋がりや、世界に向けた取組などについてパネリストからお話しいただきました。森澤氏からはCDP質問書とSDGsの関連や水と気候変動のほかウォーター・リーダーシップについて、竹本氏からは、UNU‐IASにおける取組として持続可能な水と都市のためのイニシアチブとSDGsへの貢献について、金子氏からは、花王の水に対する取組として化学物質管理、節水商品、サプライチェーンについて、高橋氏からは、SDGsの目標に資するアジアでの取組のほか日本の水環境の課題と改善の取組をお話しいただきました。

続いて、それぞれの取り組み紹介に対して、パネリスト間でクロストークを行いました。

竹本 和彦 氏 (国連大学サステイナビリティ高等研究所 所長) まず、森澤氏より「SDGsの目標17について国連大学としてどのように取組んでいますか。」と質問があり、竹本氏は「SDGsは途上国を含む全ての国が実施するものであり、ESCAPと協力し、支援の必要な途上国の応援を試みている。また、国内では様々な研究プロジェクトを通じて、多くのステークホルダーをまきこんだ施策の提言、活動の掘り下げを実施することを心がけている。」と答えられました。

森澤 充世 氏 (CDPジャパンディレクター) 竹本氏より「ウォーター・リーダーシップのためのKPIにおいて、特に重要だと思われる点について」説明を求められ、森澤氏は「水はコモディティであるためそこで使うだけでは無く、どこからきているのか、サプライヤーの原料調達においても重要になってくる。企業は、サプライヤーへの説明や、投資家はエンゲージメントによる評価など、それぞれが協働で取組むことが重要である。その際にKPIを活用していただきたい。」と答えられました。

※KPI・・・ (Key Performance Indicators) 目標達成指標。定量的計測が難しいものを定量化する場合に使われることが多い。

高橋 康夫 氏 (環境省 水・大気環境局 局長) 金子氏からは「水質環境基準は皆に受け入れられることが大切だと思いますが、新たな指標について、今後どのように活用・展開されていくのでしょうか。」と質問があり、高橋氏は「今までは、悪影響のある物質に対して基準を設けて、それに対して排水規制を行ってきたが、底層DOは魚などの水生生物の生息環境を直接評価する指標として導入しており、非常にチャレンジングなものであると考えている。実際に、具体的な数値を当てはめていかなければならないが、その水域でどのような魚を保全していくのか、それを達成するために負荷の削減に向けて藻場干潟を増やしていくことや、底質を改善するなど、様々な対策が必要になってくる。」と答えられました。

金子 洋平 氏 (花王株式会社 サステナビリティ推進部 エコ戦略推進グループ部長) 高橋氏から「産官学等の連携について企業として、どのように進めていくべきだと考えていますか。」と質問があり、金子氏からは、「1つは、Water Styleを発信していくべき。消費者に企業、自治体、地域が節水するための知恵や技術に関して情報を提供していくことが、重要である。気候変動の取り組みで指標となっているScience Based Targetsのように、水に関しても皆が納得する指標を、産官学が連携してつくることで、企業も行動しやすく、社内でも意識しやすくなる。」と答えられました。

パネルディスカッションのまとめとして、今後の取り組み方針や重要性についてそれぞれのWater Styleをお話ししていただきました。

高橋氏からは、「環境省では、産官学、NPO等と連携し、ウォータープロジェクトを通じて取り組んでいきたい。」、竹本氏からは、「SDGsの目標達成に向けて、中小の途上国を中心に支援していくとともにGEOCのパートナーシップや、調査研究活動を通じて貢献していきたい」とコメントいただきました。 また金子氏からは「花王は、水があって成り立っていることから、これからも水を汚さない、必要以上の水を使わない、サプライチェーン全体で取り組むことを深めていきたい」 、CDPの森澤氏からは、「水はコモディティであり様々なコミュニティーとの協働が必要であり、今後も企業と自治体が協働で取り組むことが重要である」と述べられました。 

橋本 淳司 氏 (水ジャーナリスト/アクアコミュニケーター アクアスフィア 水教育研究所 所長) 最後に、ファシリテーターの橋本氏より、「自ら行動するそれぞれのMy Water Styleも考える必要もあるが、それぞれが協働で取り組むOur Water Styleとして、考え行動を起こしていく必要がある」と締めくくられました。  

※Science Based Targets・・・WWF、CDP、国連グローバル・コンパクト、WRI(世界資源研究所)による共同イニシアチブ。世界の平均気温の上昇を「2度未満」に抑えるために、企業に対して、科学的な知見と整合した形で、削減目標を設定するよう求めるもの。

資料

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