プロジェクト
Water Style

Japan Water Style ミーティング

TOTO株式会社インタビュー

TOTO株式会社 ESG推進部部長 青野拓氏

「あしたを、ちがう「まいにち」に。」をコーポレートメッセージとして、快適なトイレをはじめ、住まいに関するさまざまな商品を提供しているTOTO株式会社。今回は、ESG推進部部長 青野 拓氏に、TOTO株式会社が考える水リスクやその取組などについてお話を伺いました。

主力商品である水洗トイレをはじめ、お風呂やキッチンなど住まいの水に関わる商品を提供しておられる御社において、事業活動と「水」との関わりをどのようにお考えになられておられるか、お聞かせください

TOTOは、1917年に創立し、再来年2017年に100周年を迎えます。

初代社長の大倉和親は、欧米で知った衛生的な水洗トイレを日本でも提供したいと、当時の日本では下水道もほとんど整備されていない環境の中、私費を投じて製陶研究所を1912年に創設し、研究の末に日本で初めて陶製水洗腰掛便器を1914年に開発したのです。こうした経緯からも、TOTOと「水」との関わりは、その創業からということになると思います。

現在では、98年の歴史の中で事業を拡大してまいりまして、水洗トイレを中心に、お風呂やシステムキッチン、洗面化粧台など幅広い商品を提供していますが、いずれも「水」と関わった商品を取り扱っていますので、TOTOでは「水」を大変重要なものとして考えています。

御社の事業の継続と、今後の発展に向けて、「水」に対する意識や考え、または具体的な取組みなどお持ちでしょうか?

インタビューのようす1 事業としては、売上ベースで国内が75%、海外が23%という割合となっていますが、今後、海外売上の比率が拡大していくと考えております。

こうした事業展開にあたって、TOTOの事業活動プランであります「TOTO Vプラン2017」は、「TOTOグローバル環境ビジョン」という環境ビジョンと一体となって進めていくこととしています。つまり、事業活動プランの推進・達成が、環境ビジョンの推進・達成に、また環境ビジョンの推進・達成が、事業活動プランの推進・達成につながるということになっているのです。また、「TOTOグローバル環境ビジョン」では、そのメッセージとして「水と地球の、あしたのために。」と謳っています。資源としての水を見つめなおすことで、環境貢献に全力を注ぐこととしているほか、6つのテーマ設定のうち、一つ目のテーマを「水を大切に」として、地球温暖化防止とともに、最重要テーマとしています。

具体的な取組みとしては、事業ライフサイクルに係る水使用をみますと、商品生産に係る水使用は、用水で135.6万立方メートル。うち再生利用は57.8万立方メートルで、排水量は127.2万立方メートルとなっています。一方、商品の使用に係る水使用は21.6億立方メートルと、生産に係る水使用量の約1,000倍以上と、圧倒的に商品使用時の水の消費が多いことが分かっています。

そこでTOTOとしては、当然、製造時の水使用量についても各製造拠点における再生水の利用などの使用量の削減に向けた取組みを引き続き進めてまいりますが、商品の使用時における水の消費にこそ、注目を置いており、事業活動上も重要な意味をもっていると考えています。

インタビューのようす2 事業の中心となる衛生陶器、いわゆる水洗トイレでは、1回の洗浄水量の削減が長年の課題であり、いかに洗浄性能や衛生性を保ったまま、洗浄水を少なくすることができるかということに取り組んでまいりました。1965年当時の商品では、1回の洗浄水量(大洗浄)は20リットル、2リットルのペットボトル10本分が必要でしたが、10年後の1976年の商品では13リットルに、1994年には10リットルにまで削減し、近年では2012年に発売した「ネオレスト ハイブリッドシリーズ」で、3.8リットル(床排水の場合)にまで洗浄水量を削減できるようになりました。

またシャワーでは、お湯に空気を含ませることで、湯量を35%削減させつつ、湯量の削減を感じさせない快適な浴び心地を実現させた「エアイン®シャワー」など、「節湯(せつゆ)=湯を減らす事」を念頭においた商品開発をしています。

こうした商品や技術を、国内で普及させていくとともに、今後の海外での事業展開などに活かしながら、世界の水事業などにも貢献していきたいと考えています。

御社にとってのステークホルダーとして、事業活動における資源調達、バリューチェーン、サプライヤー、商品を使用されるお客様などがいらっしゃると思いますが、今後、持続可能な水循環のために、御社が最も重要と考えておられるステークホルダーと、そのリレーションシップのお考えなどについて、お聞かせください

バリューチェーンで見た際に、どこに一番のインパクトがあるかと考えますと、商品の使用の段階になるかと思いますので、やはりお客様が重要なステークホルダーだと考えています。

リレーションシップにつきましては、たとえば、水洗トイレを例に挙げますと、自動車や家電商品よりも一般的に長く、一度お買い上げいただきますと、次にお買い替えいただくのは統計的には、約20年と言われています。ですので、一度ご自宅をご購入されたお客様が、一生の間で何度、お買換えいただけるかと考えると、その機会は非常に少なく、その分、最初にお買い上げいただく商品がどれだけ環境に配慮されたものであるかということが、地球環境という面でも、経済的な面でも非常に重要だと考えています。

そのため、技術開発や新たな商品提供は当然重要ではありますが、その商品を使っていただくための努力というものがより重要だと考えており、お買い上げの際のご説明や環境配慮に関する情報提供など、丁寧に対応差し上げ、よりよい商品をお買い上げいただけるよう努力してまいりたいと考えています。

また、資源調達に関しては、CDPウォーターなどを参考に、これからバリューチェーンでも水の把握ができるように進めていきたいと考えています。

私たち一人ひとりもまた、水循環を支える重要なステークホルダーであり、水循環に対する知識や意識を持っていただく必要があると思いますが、御社では、お客様などに対して、どのような働きかけを重要視されていますか?取組なども含めて聞かせください

インタビューのようす3 お客様に向けて、ということでお話させていただきますと、やはりまず、商品を通じてお伝えしていきたいという思いがあります。

商品の機能、性能、環境面や経済面での利点などをしっかりとご説明して、お買い替えなどの機会があれば是非使ってくださいとお伝えする、またリフォーム、TOTOではリモデルと申しておりますが、リモデルをご検討される際に、リモデル自体の利便性や快適性とともにご提案していくことが重要だと考えています。

またもう一つのアプローチとして、2005年に設立し、今年で10年を迎えました「TOTO水環境基金」の活動があります。この基金は、お客様や株主様、社員など、様々なステークホルダーの方々の関わりから拠出され、NPOや市民団体の水環境保全活動などに活用するものですが、TOTO社員が活動に参加させていただいたり、支援額については、TOTOの節水商品の売上げに応じてマッチングギフトをTOTOが提供するという「活動すればするほど、活動の輪が広がる」ことを目指した仕組みになっています。昨年、2014年には25団体、この10年では延べ180の団体に助成しており、27,266人の方々にご参加いただいています。こうした活動を今後も継続していくことで、皆さんとのつながりを構築する機会を持ち続けていきたいと思っていますし、それが意識の醸成にもつながっていくと思います。

このように商品を通じて、お客様への「水」に対するメッセージをお伝えするということと、各地域の取組みを応援することでTOTOの思いをお伝えするという、2つのアプローチを大切にしています。

最後に、プロジェクトに参加している企業の皆さんに向けて一言お願いします

インタビューのようす4 それぞれの企業の皆様が、それぞれの思いで、このウォータープロジェクトにご参加されておられると思います。そして、事業活動に関わる水についても、将来にわたってサステナブルに事業を展開していくため、それぞれに工夫をされていらっしゃると思います。

こうした事業活動での取組みを通じて、水とのかかわり、水の大切さ、水との向き合い方を、お客様や地域の方々にお伝えし、お客様の暮らしの向上や事業活動の発展に結び付けていくことを目指して、一緒に取り組んでいきましょう。

<企業インタビュー>

企業インタビュー

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