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<地盤沈下情報(原町)>

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1.概要

(1) 地盤沈下等の概要

南相馬市原町区内の常磐線磐城太田駅付近を中心に昭和44年度頃から地盤沈下の被害が認められ、家屋の破損、用水路の通水不能、道路の破壊等が生じはじめた。沈下の最も著しい地点では最近までの累計沈下量が約1.6mに達している。沈下の原因としては、地下水の過剰汲み上げによるもののほか、特に泥炭地帯であることによる沈下も加わっていると考えられている。 福島県は昭和47年から地下水採取の届出制等条例による規制を始めた。また、昭和50年6月より原町市公害対策条例により地下水採取を許可制とし、その後昭和54年6月には、工業用水法に基づき地域指定が行われ、昭和58年10月に水源転換命令がなされ、昭和59年10月から施行された。
 なお、平成12年4月1日からは原町市環境基本条例が施行され、原町市公害対策条例は廃止された。 また、平成18年1月1日からは南相馬市環境基本条例が施行され、原町市環境基本条例は廃止された。

(2) 地形、地質の概要

平野部では第三紀層の基盤上に、第四紀層が分布し、基盤岩は平野内に丘陵地として散在する。 第四紀層は、厚さ20m程度であり、西側の山地からの河川により堆積した扇状地性の礫層の上位で海寄りでは粘土層が分布する。河川沿いの沖積地で泥炭層が分布する地域は、地盤沈下が生じやすい地質である。 地下水は、第三紀層からも採取されている。

2.地下水採取の状況

南相馬市環境基本条例に基づく許可件数は、工業用6井、農業用401井、水道用7井の計414井(平成17年度)が設置されている。また、工業用水法に基づく届出は転換命令時の昭和58年度末で38井、21,200m3/日の揚水量が、転換命令施行後、平成9年度末現在では、3井362m3/日(特例井戸の稼働日平均揚水量)に減少している。

3.地盤沈下等の状況

地盤沈下の範囲は、主に常磐線沿線から海側の太田川沿いの沖積低地を中心とする地域であり、特に磐城太田駅、東の大甕、米々沢地区を中心とした地域では沈下量が大きく、累計沈下量の最大は1.6mに達している。 南相馬市は昭和49年2月より、地盤沈下の著しい地域において水準測量を実施してきたが、それによると昭和59年以降沈下は沈静化し、平成8年度~平成16年度間の測定結果では、全ての地点で沈下量は1㎝未満であった。 また、地下水位は水源転換が行われた昭和59年以降急激な上昇を示し、平成元年以降は安定して推移している。

4.被害

国道、県道及び農道の損壊、用水路の通水不能、溜池の堰堤の沈下による越水の危険、家屋の損壊、水田の傾斜による湛水不良、その他種々の障害を生じたが、復旧作業はほぼ終了した。

4.対策

(1) 監視測定

昭和48年度以降、南相馬市が独自に沈下量の顕著な地域を中心として、38 地点において水準測量調査を実施した。(最後の調査は、平成16年度に実施)。国土地理院による水準測量結果を含め、昭和30年から平成8年3月までの累計沈下量をみると、米々沢地区で最大165cm に達し。大甕地区においても約144cm 沈下していた。このことから大甕、高及び米々沢一帯が、地盤沈下の中心になっているとみられる。 沈下の傾向は、昭和30年から昭和49年までは顕著だが、その後は鈍化している。

・観測井による調査
  大甕地区に深さ30m と200m の2 本の観測井を昭和49 年に設置し、それぞれに沈下計と水位計を取り付けて観測した。 地下水位の変化は、両観測井ともに工業用水給水開始頃から急速に水位が上昇、その値は、供用開始後2 年間で30m 観測井が約5.2m、200m 観測井が約9.5m となっている。その理由として。水源転換命令により工業井戸からの取水が停止されたことによる地下水位の上昇が考えられる。なお、平成23 年度は、東日本大震災による機器の破損のため測定を見送り、平成24年度から測定を再開している。

(2) 地下水等の採取規制

原町における沈下原因としては、沈下の発生時期と工場及び農業用地の開発等による地下水の利用増加の時期とが一致していることから、地下水の過剰な採取によるものと考えられる。地下水の過剰な採取を規制するものとして、昭和49年に原町市公害対策条例の一部改正を行い、市街地を中心に約93km2の地域を地下水採取規制地域に指定、その指定地域内で、新たに揚水設備を設置する場合には、許可を受けることを必要とした。昭和54年6月に大甕地区周辺地域約41km2が工業用水法に基づく指定地域とした。
 表流水への水源転換のため、県が事業主体となって旧原町市南部を流下する太田川の上流に建設していた「横川ダム」の本体が昭和58年3月15日に完成し、表流水が確保される見込みとなったため、昭和58年10月1日に工業用水法に基づく井戸の水源転換命令が告示され、1年後の昭和59年10月1日以降は工業用水法施行規則に定める許可基準を満たさない既設井戸の使用が禁止された。