瀬戸内海の海象は、内海としての独自の特徴を持っている。半閉鎖的水域で、浅海域が多いため、大洋の持つ恒常性がやや弱く、気象や河川流入の影響を受けやすい。このため季節による水温変化も大きく、降雨による塩分濃度の変化や赤潮なども発生しやすい。

 瀬戸内海の海水は、太平洋等の外海とは紀伊水道、豊後水道及び関門海峡を経て交換されている。また、瀬戸内海は潮汐の差が比較的大きく、東部海域で1~3m、西部海域では3~4mに及ぶ。この潮汐差と幅の狭い海峡が多いため、潮の干満に応じて数ノットの潮流を生じ、渦潮が見られるほど潮流の速い海峡が各所に点在する。鳴門、速吸瀬戸などの狭水道では、5~10ノットにも及び、地形の複雑さも加えて独特の海象を呈している。

瀬戸内海の潮流図

瀬戸内海の水深図

出典:「瀬戸内海の環境」((社)瀬戸内海環境保全協会)に基づき作成

瀬戸内海の水深図

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