持続可能な
地域の未来づくりに向けた
SDGsリーダー研修

研修地紹介

阿蘇山を水源とし有明海に注ぐ筑後川の写真

久留米市・うきは市は、阿蘇山を水源とし有明海に注ぐ筑後川の中流から下流域に位置します。
うきは市は、筑後川の中流域に当たり、北は筑後川、南には耳納連山が横たわっており、高低差がある地理的特徴を活かした果物作りが盛んです。果物を代表とする資源の循環、人の循環が生み出されており、九州各地から人が集まる人気スポットとなっています。
また、筑後川流域には、旧久留米藩が産業として推奨した久留米絣を代表とする、伝統的産業が今でも息づいているだけでなく、近年では高付加価値化に成功しています。
地域の伝統産業を現代版にどのように展開していくか、新しい取組がここにあります。

久留米市・うきは市の魅力

(1) 地場資源をつなぐ、人の輪づくり

うきは市には、市内のオススメを案内してくれるコンシェルジュのいる施設があり、様々なイベントが開催されています。また、年間を通じてフルーツ狩りが楽しめる観光農園や、江戸時代の製法でこだわりの製麺を行う企業、市の特産物であるフルーツを与えたブランド豚及び加工品を販売している企業などがあります。これらの施設・企業等の視察を通じて、地場資源をつなぐ、人の輪づくりについて学びます。

ウキハコ(うきは観光みらいづくり公社)

うきはのいいトコを詰め込んだ交流空間ウキハコの概観の写真

ウキハコは、うきは市「道の駅うきは」の横に併設された交流空間で、2018年に営業を開始しました。
中に入ると、市内のお店のパンフレットやショップカードが置かれているだけでなく、コンシェルジュの方々が訪れた方の要望にあわせて、市内でのお勧めの場所を案内してくださいます。また、うきは市の農家さんや作家さんとの交流が楽しめる体験・体感イベントも開催されています。
観光客の方に繰り返し訪れてもらう工夫、訪れてくださった方に市内を楽しんでいただくための工夫が、随所に盛り込まれているところです。
今回は、ウキハコをどのような場にするかの検討から実際のイベントの企画立案、運営まで携わる、ウキハココンシェルジュの加藤さんにお話を伺います。

うきは果樹の村「やまんどん」

果樹園の下で微笑むやまんどん代表の末次さんの写真

やまんどんさんは、春のイチゴに始まり、初夏のブルーベリー、夏のブドウ、秋の梨、冬の柿と年間通じてフルーツ狩りが楽しめる観光農園です。
元々は、果物農家でしたが、うきは市がグリーンツーリズムを推進したことにあわせて、観光農園へと切り替えました。その後、農園内に湧き水が出たことをきっかけに、更に事業を広げ、カフェ経営にも乗り出します。果物狩り、カフェ、湧き水とお客さまと様々な接点を持つことで、大人気スポットになっています。

長尾製麺

麺を確認する長尾製麺7代目長尾さんの写真

うきは市吉井町の長尾製麺さんは、創業200年以上、江戸時代から続く老舗です。
専務の長尾洋介さんは、製麺業が大規模化・機械化する中で生き残りを考え、特に「おいしさ」を追求。「手延べそうめん」作りにおいて常識とされる油を、一切使わない製法で作る「吉井素麺」はその代表作です。江戸時代の製法を、文献から独自に研究し復活させました。
ラーメンも大好きだという専務。自らがデザインした個性的なパッケージの袋ラーメン「ラーメン仮面」も発売し、話題を集めています。

リバーワイルド

リバーワイルドの店内の写真

リバーワイルドさんは、養豚からウィンナーやハムの加工、カフェ経営まで、多角的に営んでいるところです。養豚では、うきは周辺の特産物であるフルーツなどを豚に与え、「葡萄豚」、「柿豚」、「桃豚」などと、ブランド化し販売をしています。またそれだけでなく、育て加工したお肉を、料理家の方をお招きし調理いただき、参加者と一緒に堪能する料理会も開催しています。敷地内には、このような料理会をゆっくりと楽しめる施設「Phantom」を建設。また、参加者の方同士が楽しめるようなコーディネイトもしています。

(2) 地場産品が生み出す経済循環

久留米市・うきは市の南に位置する八女市・みやま市には、日本のジーンズ「MONPE」で注目され、九州ちくごのものづくりを伝える「地域文化商社」や、60年以上も前の機械を大切に使いながら伝統工芸の技術の継承・革新に挑戦している企業、そして地域の材料・手作りにこだわり、美しいデザインで海外からも評価されている花火製造所など、伝統と地域を守る取組を展開するところがあります。これらの施設をまわり、地場産品が生み出す経済循環について学びます。

うなぎの寝床

うなぎの寝床の店内の写真

うなぎの寝床さんは、「九州ちくごのものづくりを伝える」という命題を元に、2012年7月にアンテナショップとしてオープン。しかしながら、お店だけでは、地域文化は継続させられないことを実感し、メーカーとしての活動や、動画制作、コンサルティング、通訳、翻訳、EC構築、webサイト制作など多岐にわたる活動を展開されるようになりました。地域文化を担保していくために経済を回す「地域文化商社」として、作り手や地域がやれなさそうなことを補完していけるような活動を目指しています。

下川織物

久留米絣を干している下川織物の概観の写真

久留米絣の製造・販売を行う下川織物さんでは、伝統工芸の技術の継承・革新への挑戦を理念として、海外プロジェクト、国内コラボレーション企画など、久留米絣の可能性を広げる取組を多数展開しています。
昭和のレトロなベルト式の力織機を60年以上使い続けるなど、この織機でしか生み出せない織物の風合いにこだわり続け、伝統を継承するとともに、グローバルに海外展開する独自のスタイルを確立。更に次世代につないでいくために、新たな可能性を探り続けています。

筒井時正玩具花火製造所

筒井時正玩具花火製造所の線香花火の写真

筒井時正玩具花火製造所さんで作られる花火は、今でも全て手作りです。
特に関西を中心に親しまれてきたスボ手牡丹という線香花火の製造は、国内唯一です。材料として、八女の手すき和紙を使ったり、今では手に入りづらくなった持ち手部分の「スボ」と言う稲藁の芯を確保するために、新規就農して米作りを始めたり、更には、ワークショップの開催、美しいデザインへのこだわりなど、伝統と地域を守るため、多角的な取組を展開されています。