廃棄物・特定有害廃棄物等の輸出入

平成25年2月20日

埼玉県の輸出事業者T

経済産業省貿易経済協力局
貿易管理部
貿易管理課長  吉田 泰彦

経済産業省産業技術環境局
環境指導室長  實國 慎一

環境省関東地方環境事務所
所長   森谷 賢


特定有害廃棄物等の未承認輸出既遂について(厳重注意)

貴社が横浜港から香港向けに平成24年7月10日リユース目的として輸出した貨物(使用済みノートPC等)について、香港当局が有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約で規制する有害廃棄物に該当すると判断し、日本に対して通告するとともに、当該貨物を横浜港にシップバックさせた。

当該貨物を調べるとともにヒアリング調査等を実施し、貴社に当該貨物の分析を依頼したところ、分析結果によれば、鉛の含有値が特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律(平成4年法律第108号)(以下、「バーゼル法」という。)第2条第1項第1号イの規定に基づく告示(平成5年環境庁、厚生省、通商産業省告示第二号)により規定される基準値(0.1%)を超過していることが判明した。

このため、当該貨物がバーゼル法第2条第1項に規定する特定有害廃棄物等に該当することが明らかとなった。

特定有害廃棄物等を輸出する場合には、バーゼル法第4条第1項の規定のとおり、外国為替及び外国貿易法(昭和24年法律第228号)第48条第3項の規定により輸出の承認を受ける義務がある。それにもかかわらず、今般、貴社は当該輸出の承認を受けずに輸出を行った。平成23年11月21日のベトナム向けブラウン管テレビの輸出未遂の件に続いて今回の輸出についても法令上の手続が講じられていなかったことは、法令違反として問題であるばかりでなく、我が国の貿易管理に対する信頼を損ねる悪質な行為として誠に遺憾であり、厳重に注意する。

また、今後、このような事態が発生しないよう、次の措置を求める。

  1. 今般の未承認輸出に至った原因を明らかにし、今後同様の事態が発生しないための再発防止策を策定すること。また、策定された再発防止策及び当該貨物の処分方法を記載した顛末書(経緯書)を平成25年3月6日までに経済産業省及び環境省に提出すること。
  2. 国内へ引き取った貨物について国内で処分する場合は、地方自治体の指示に従って環境上適正に処分し、処分完了した旨を後日報告すること。
  3. 国内へ引き取った貨物について再輸出を行う場合は、中古利用可能なものを選別し、直接再生利用するために調整された状態にして必要な手続を行うなど法令を遵守すること。
  4. 今後、上記3.に限らず、輸出を行う場合にあたっては、貴社の責任において輸出貨物の由来、性状等の把握及び十分な品質管理の確保に努め、特定有害廃棄物等を所定の手続を経ることなく輸出することがないなど、法令を遵守すること。
  5. 今後5年間、当該貨物と同種の貨物の輸出を行う場合にあたっては、経済産業省又は環境省への事前相談を行うこと。