環境再生・資源循環

平成25年度巨大地震発生時における災害廃棄物対策検討委員会第5回議事概要

開催日時及び開催場所

日時:平成26年2月28日(金) 16:00~18:34
場所:イイノホール&カンファレンスセンター

出席委員(五十音順、敬称略)

浅利 美鈴、宇山 竜二、大迫 政浩、大塚 直、勝見 武、貴田 晶子、近藤 守
酒井 伸一、佐々木 五郎、笹出 陽康、杉本 明、鈴木 武、永田 尚人、濱田 雅巳
平山 修久、福本 富夫、森 浩志、吉井 真

会議の概要

(1)災害廃棄物の発生量の推計について

 資料2に基づき、事務局より説明があり、災害廃棄物の発生量の推計方法に関する検討について、本委員会において概ね了承された。

 火災焼失分についての発生原単位について、他事例も存在することから、次年度以降も精査すべしとの意見があり、次年度以降は地域の条件を具体的に想定しながら検討を精緻化していく旨の説明があった。

(2)災害廃棄物等の要処理量と処理施設における処理可能量との比較検討について

 資料3に基づき、事務局より説明があり、質疑応答が行われた。質疑応答の主な内容は以下のとおり。

  • 焼却施設は安全運転のために余裕が必要。故障することもある。個々の焼却施設の余裕率の整理を行うことで、現実味があるキャパシティの分析が可能となるのではないかとの意見があり、次年度以降、具体の検討を進めるにあたっては個々の施設の事情を考慮して現実味のある条件を設定することが重要と認識している旨の回答があった。
  • 既存施設における災害廃棄物を受け入れる際の分担率について、資料3に記載していない他の事例について、その背景も含めて整理してはどうかとの意見があり、参考となるデータについて整理する旨の回答があった。
  • 施設への被災を考慮するにあたり、ユーティリティの途絶による影響は加味しているかとの質問があり、東日本大震災の事例に基づいた形で加味している旨の回答があった。
  • 津波堆積物の要処理割合の設定値について、低すぎるのではないか、津波堆積物の性状等についても地域による違いなどの視点を考慮すべきではないかとの意見があり、東日本大震災における現状の実績として整理した数値である旨の回答があり、処理が完了した後、改めて数字を精査する必要があるとの回答があった。
  • 相当年数という用語については、処分容量を考慮していない数字であり、誤解を与える可能性もあるため、表現を変えるか、説明書きをしっかり書いた方がよいのではないかとの意見があった。

(3)災害時における廃棄物処理対策に関する調査結果について

 資料4に基づき、事務局より説明があった。委員からの主な意見は以下のとおり。

  • 協定の締結に関して、市町村が主体となって協定を締結することも重要であるが、都道府県が主体となり、県内の市町村と連携した協定も重要であるとの意見があった。
  • 協定の締結率だけではなく協定の中身についても精査してほしいとの意見があった。

(4)本年度の取りまとめの骨子(素案)について

 資料5に基づき、事務局より説明があった。委員からの主な意見は以下のとおり。

  • 役割分担をみると、従来の延長線上の検討を行っている印象を受ける。国が前に出ていくことを明確にしていただきたい旨の意見があった。
  • 廃棄物処理施設の防災拠点化については、新設あるいは更新施設が対象であり、災害時における余裕分の考え方については、国が施設の構造等の制約条件も加味しつつ一定の考え方を提示できないかとの意見があった。
  • 衛生状態悪化・環境汚染の最小化による国民の健康の維持については、災害廃棄物を処理することでどのように環境が変わったのかという変化がわかるような環境モニタリング体制の構築という視点も重要であるとの意見があった。
  • 燃料輸送の拠点となるような港湾が被災した場合を想定し、燃料輸送のルートを事前に準備しておくことが重要であり、燃料確保の検討については、国だけでなく民間事業者も考えておくべき論点であるとの意見があった。
  • 首都直下地震を想定した場合、木密地帯における収集運搬作業は大型トラックではなく2~4トン車での作業となることを想定し、車両台数のポテンシャル量の整理と合わせてそれらを動かす人材を確保・育成していくことは重要であるとの意見があった。
  • 巨大地震発生時は被害を迅速に把握して対応することが重要であるため、発災後に追加的な対応が可能なものについては、推計時に過大な見積もりとなるよう検討するのではなく、発災後に追加で柔軟な対応を取るという整理をしてはいかがかとの意見があった。
  • 広域連携による処理について、地域ブロックを超えた広域連携の仕組みについてさらに検討を進めてほしいとの意見があった。
  • 柔軟な災害廃棄物処理目標と強靭な廃棄物処理システムの確保について、取り組むべき大きな題目のひとつとして資源循環という視点を追加すべきとの意見があった。
  • 災害廃棄物等の再生利用の積極的な推進については大いに賛成だが、法律や規制を緩和すべきではなく、より良いリサイクルを目指すにあたって処理期間が長期化することはやむを得ないとして議論を進めるべきとの意見があった。
  • 海面処分場整備に関連して、大量の災害廃棄物を処理するにあたって、跡地利用関連の財政措置については納得いくが、廃止基準の緩和については疑問があるとの意見があった。
  • 再生資材の利用促進のための環境規制面の取り扱いの改善については、施設側の環境規制面だけではなく、リサイクル品に関しても検討しているのかとの意見があった。
  • 東日本大震災の事例では、学術分野の貢献も大きかったため、地域における環境研究機関や大学等の地力を強化する中で、地域ごとに災害に対して対応する力やネットワークづくりが必要であるとの意見があった。
  • 民間事業者の能力・人材・ノウハウ等の活用については、発災後は地元業者への雇用についても尊重しながら東日本大震災での事例を踏まえつつ検討すべきとの意見があった。
  • 発災後は専門性を有する人材やジェネラリストの両者が必要になることから、行政の組織力強化について、人事管理についても踏み込んで、教育・研修体制を検討すべきとの意見があった。
  • 制度的な対応に関する検討について、災害対策基本法に基づく特例措置の内容や、施設の設置に関する手続の簡素化などが重要との意見があった。
  • 災害廃棄物の処理に関する知見や技術について、東日本大震災以外の災害事例のアーカイブスを行うとともに、東日本大震災で得られた経験や知見を体系的に整理する必要があるとの意見があった。
  • 今後の具体的な課題の検討については、次年度以降、取り組むべき検討と密接に関係してくるため、技術的・システム的課題に関する題目を追加いただきたい旨の意見があった。

(5)その他について

 事務局より次回検討委員会の日程について説明があった。また、本日の会議の議事録について原案を作成し、委員への確認後、環境省のホームページに記載する予定であるとの説明があった。

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