環境再生・資源循環

第1回PCB廃棄物早期処理推進ワーキンググループ議事要旨

日時

平成27年9月10日(木) 15:30~17:50

場所

JA共済ビル カンファレンスホール

出席委員

浅岡委員、有門委員、上野委員、大塚委員、織委員、親里委員、鬼沢委員、近藤委員、酒井委員、高橋委員、梶川代理人(田畑委員)、中井委員、中杉委員、前川代理人(野崎委員)、眞柄委員、松田委員、宮金委員

(オブザーバー等)

中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)

中間貯蔵・環境安全事業株式会社の事業所が立地する関係自治体

(室蘭市、江東区、愛知県、大阪府、福岡県)

経済産業省 産業技術環境局環境指導室

経済産業省 商務流通保安グループ電力安全課

産業廃棄物処理事業振興財団

議事

  • PCB廃棄物処理基本計画に基づく取組の進捗状況と今後の課題について

議事概要等

  • 会議は公開で行われた。
  • 事務局より、「PCB廃棄物早期処理推進ワーキンググループ」開催要領(案)の説明があった。

  • 事務局より、PCB廃棄物処理基本計画に基づく取組の進捗状況と今後の課題について説明があり、委員より意見があった。

主な意見等

(1)PCB廃棄物処理基本計画に基づく取組の進捗状況と今後の課題について

(中杉委員) 電気事業法について、使用を廃止した時に届出がなされないままで廃止した場合はどうやって追っていくのか。使用しているものをリスト化し、使用している場所と事業所が実際に残っているのかどうかの紐付けをしてチェックするような体制がつくられているのか。

(電力安全課) 具体的な対応についてはこの場ではわからないが、必要に応じて地方監督部が確認に行くことはできると思う。その点は確認の上、次回以降に御報告をさせていただく。

(眞柄委員) 電気事業法の関係で電気工作物、事業用電気工作物と一般用電気工作物の3つの用語の違いは何か。

(電力安全課) 電気事業法の中では電気工作物を事業用電気工作物と一般用電気工作物の2つに大きく区分している。一般用電気工作物は一般家庭や小さな商店等に設置されている電気工作物が該当し、事業用電気工作物は発電所、電気を使用する事業者サイドに設置されている電気工作物等が該当する。

(眞柄委員) 一般用電気工作物に対しても運用業務を管理する者、従事する者、巡視、保安点検をする者が業に当たっているのか。

(電力安全課) 第42条の保安規程は事業用電気工作物が対象であるので、一般用電気工作物については該当しない。

(高橋委員) 今後掘り起こされるものがあることを踏まえて、使用し続ける事業者と使用中機器として残るおそれのある機器数としてどの程度の数量を想定しているのか。また事業者が使用し続ける理由やJESCOへの処理委託を忌避している理由として、処理費用等の負担と記載されているが、これは費用負担をする能力があるのに意図的に処理費用等の負担を忌避しているということなのか。

(酒井主査) PCB特措法の施行規則での届出における使用中の報告の現状について、どの程度この制度の中で使用中のものが報告されているのか。

(環境省) 使用中機器数の増加分の規模感について、8ページの表2に、PCB特措法の届出の中で使用中の欄に記載されている高濃度トランス・コンデンサ、安定器に該当すると思われるものを整理した数字を記載している。全国で高濃度のトランスが約550万台、コンデンサ類が約6400台、安定器が約10万個あるといった報告になっている。さらに届出で把握されていないものを掘り起こし調査で掘り起こす。例えば北九州市の掘り起こし調査は5年をかけて実施し、その時点で、北九州市で届出されて把握していた高濃度のトランス・コンデンサの約1割が見つかった。規模感としてはその程度を想定。

 費用負担を理由に処理が進んでいない場合の状況について、本当に費用負担が難しい方とそうではない方の両方があり得ると聞いている。

(高橋委員) 処理期限を過ぎてもPCB使用製品の使用を継続する事業者数が相当数残るおそれがあるとのことだが、その相当数というのはどのくらいの規模感でイメージされているのか。

(環境省) 使用中の機器が使用をやめることを誰が決めるのかというと、今は持ち主が決めるしかできない形になっているので、その先が読めないということを課題として整理している。1つのトレンドとしては、8ページ下の使用中機器の合計数を示しているグラフでは年々減少傾向にあるが、このままの傾向で進むかどうかは予測がつかない。

(鬼沢委員) 関係資料の10ページの御説明で、地元の自治体と情報共有を図っているという御説明があったが、具体的にどういう情報共有をされているのか。

(電力安全課) 自治体への情報提供としては、監督部が保有しているPCBデータベースや自家用電気工作物のデータベースを都道府県や市に提供している。

(環境省) 補足すると、大きく2種類の情報を経済産業省さんから環境省あるいは都道府県市に共有いただいている。1つは自家用電気工作物として、PCB含有の有無を問わず電気工作物として経済産業省が把握しているデータ。もう一種類のデータが電気関係報告規則に基づいてPCBを使用しているトランス・コンデンサの届出データであり、この情報には製造番号等の細かい情報が入っている。

(大塚委員) PCB特措法第8条の届出では使用しているだけでも届け出ることになっているのか。本人が廃棄する意思がなければここで届出は出てこないと思うが、そういうことは余り考えなくてもよいのか。

(環境省) 御指摘いただいた点は、この全体の制度の中での課題の1つとして資料でも整理しており、PCB特措法に基づく届出は、廃棄物を持っていることが前提であり、使用中の機器しか持っていない方はPCB特措法に基づく届出義務は発生していない。

 資料2の12ページに表3をつけているが、PCB特措法に基づく届出によって出てきた数字の保管量と使用量を足した数字になっている。使用中と廃棄物の割合自体はデータが少ないので確たることは言えないが、合計数の大体1割ぐらいが掘り起こし調査で新たに見つかる量ではないかと考えている。

(酒井主査) 1割というのは、表3の保管量と使用量の合計を母数としたときの1割なのか。

(環境省) おおよそその程度ではないかと考えている。

(浅岡委員) PCB特措法を制定したときに、先行する電気事業法に対してどのような位置づけにするかという検討はしたのか。それからPCB特措法を施行していくに当たり、電気事業法との矛盾等について検討がされたのか。

(環境省) 参考資料3の1番の経緯の(3)にあるが、PCB特措法は平成13年に成立、施行した法律であり、これに合わせて電気事業法の中では電気関係報告規則が改正されたということになっている。時系列的には、先行する電気事業法では昭和51年からPCBが入った電気工作物を新規に設置することが禁止された。そのときに附則でこのとき既に設置されていたものは、(2)番で引き続き使用が認められているということになったが、平成13年PCB特措法ができるときに、特措法が基本的に廃棄物に対する法律であるので、使用中の機器の状況を捕捉する手段として電気事業法側では使用中の機器に対する届出制度を作り、PCB特措法については、廃棄物の保管業者に届出をしていただく住み分けで制度ができたというところだと思う。

(浅岡委員) 施行されて14年ぐらいたっている。施行後5年ぐらいで見直し等は行ったのか。

(環境省) 制定時に附則でPCB特措法は施行10年を経過してから見直しをするという規定になっているため、本ワーキンググループの親検討会が平成22年に立ち上がり、施行後10年に基づいた見直しの検討を開始した。

 その結論として、1つは処理期限の延長、あるいはJESCOについての処理体制の再構築等が行われた。それに加えて、掘り起こし調査などの経済産業省との連携のもとでの取組等を位置づけていったところである。

(酒井主査)それでは、期限内処理完了のために必要な追加的方策について御意見をいただきたい。今回いただいた御意見を踏まえ、事務局において必要な追加的方策を案として取りまとめてもらい、次回のワーキンググループに提示してもらいたい。

(中井委員)電力業界として高濃度PCBについては、処理期限に向けて計画的な処理を継続していく所存である。

 計画的に処理を進めようとしている事業者に対する措置と、悪意のあるような業者との間では少し配慮をする必要があると思う。

 廃棄物の搬出側と受入側の計画を整合させる必要がある。現在JESCO様への搬入については年度ごとの調整になっているが、事業者のほうがどのような形で処理に搬出していくのかについて、複数年の搬入計画を立てられるような形になるとありがたく思う。

 PCB特措法の届出と電気事業法上の届出について、届出を行う際に両方の内容等が整合すると届出を出す側としてもミスの低減や負担の軽減にもなると思うので御検討いただきたい。

 もう一つ最後に、微量PCBについては高濃度とは違う特殊性があるので、引き続き配慮いただきたい。

(高橋委員) 高濃度のPCBについては処理期限に向けて計画的に使用中機器の廃止や、JESCOへの処理委託を進めている。計画的に対応を行っている事業者への配慮をお願いしたい。

 低濃度関連について、絶縁油の封じ切り機器であるコンデンサ類のPCB汚染の有無の確認については、今のうちから方策を進めていただきたい。確認方法がないまま使用停止期限が設定されれば、PCBに汚染されている恐れがある全ての封じ切りコンデンサ類を停止せざるを得なくなるため、PCB廃棄物でないものも廃棄物として取り扱わないといけなくなり、更新費用もかさむ。

(鬼沢委員) 製造メーカーであれば、どの機種で高濃度PCBを使っているのか低濃度を使っているか、あるいはいつからのものについては使っていない等がはっきりわかっているのではないかと思うので、もっと製造メーカーからの情報も得て掘り起こしを早く進めていく必要があるのではないか。

 また、PCBの処理を早く進めていかなくてはいけないという危機感が社会全体に伝わっていない気がするので、関係者だけでなく社会全体が早く処理をしないと大変なことになるという危機感が伝わる情報の発信を心がけなければならないのではないか。

(織委員) 高濃度PCBと低濃度PCBとの違いが、一般市民の方に中々わかっていただけないということがまだあるため、高濃度PCBと低濃度PCBをしっかり分けて考えて、高濃度PCBについては地域住民の信頼を確保するために、確実・迅速に何よりも安全に処理をしていかなければならないという大命題があると思う。

 また、事業者の方は費用の負担等の公平性を気にしており意見としても多いが、ある部分公平性を犠牲にしてでもスピーディーに処理をしていくという地元ニーズがあるのではないか、この辺は事業者の方にも覚悟を決めて取り組んでいただかなければいけないと思う。

 掘り起こし調査は北九州が行った掘り起こし調査をほかの自治体でもやるということになると、国がバックアップするようなシステムやベストプラクティス等がないと難しいと思う。

 もう一点、電事法とPCB特措法の使用中と廃棄物の隙間の問題が出てくると思う。基本はなるべく特措法の世界に行くように、どこから廃棄物になってどこまでが使用中だということが不明確なままではなく、早く処理をしなければならないので早目に廃棄物の世界に入っていけるように基準等の検討が必要なのではないかと思う。

 低濃度は、高濃度とは異なり効率的に処理をしていくために、もう少し規制緩和の部分で筐体の処理とか切断について事業者の方が柔軟に対応できるように、廃掃法、特措法の例外的な処理をしながら緩和策というものをぜひ検討していただきたい。また、地域住民の方に高濃度との違い等を理解していただくために、きめ細やかなリスクコミュニケーションが必要だと感じている。

(親里委員) 本ワーキングについては、処理完了期限内に1日でも早く確実にPCB廃棄物を処理完了するという共通の目的に向かって建設的な議論を重ねたい。

 処理対象物の把握から完了まで非常に時間的に厳しい状況があるので、今回のワーキングの中では追加的法策を極力早く仕上げていくことが求められている。このために優先度が高いところや合意が得られる部分をよく見極めた上で方策をまとめていくほうがよい。具体的には、JESCO様の処理完了期限の近さの観点から、まずは高濃度PCBを対象とする方策を優先してまとめたほうが速やかな意見集約につながるのではないか。

 低濃度PCBについても議論を加速する必要があるが、処理対象機器の把握、あるいは使用中機器の考え方等については、高濃度以上に熟慮が必要であり、高濃度PCBとは分けて検討したほうがよい。

(大塚委員) 使用中のPCB使用製品の規制について、第39条の省令で昭和51年の施行の際に、現に施設があるものについては従前の例によるという附則が問題になると思う。使用中のPCBについて使用停止を命ずるようなことを考えるべきではないかという議論もある。危険物であるし、既に40年ぐらい利用しており減価償却というか既にある程度利益を得ていると思う。製造が禁止されており、既に危険性については行政的に指導されているということもあると思うので、使用の停止を考えてもいいのではないか。ペットフード法とか飼料の安全性に関する法律でも使用の禁止に関する法律があり、これは人間の健康にかかわる話なので、ますます使用停止ということを考えてもいいのではないかと思う。電気事業法では第51条にも使用停止に関する規定があるので、その点も含めて御検討いただきたい。

 PCB特措法の第16条の改善命令について、法第10条の政令で定める期間が施行令第3条で平成39年3月31日になっており、それに違反しないと改善命令が出せないのは余り役に立たない規定になっていると思うので、ぜひ改正してもっと早い時期に改善命令が出せるようにしないと、何のためにある規定かわからなくなってしまう。ある程度、あらかじめ対処できることが必要だと思うので、期間を前に倒して違反について改善命令を出せるようにすることは必須だと思う。

 電気事業法の対象でない安定器について、PCB特措法で電気事業法と同じような使用に関しての規制ができるようにすることも、御検討いただきたい。

 掘り起こし調査について、アンケート調査を送っても回答しない事業者に対して調査命令を出すということも是非御検討いただきたい。一般用電気工作物に関しては、調査命令の規定が電気事業法にある。調査命令の規定について作っていただくとよいと思う。

 電気事業法第42条の届出に関して、これはもう少し新しくすることを経済産業省のほうでも検討していただきたい。

 資料2で、支援と電気保安関係の方の協力の必要性が指摘されている。そもそもPCBに関しては製造者が処理拠点をつくろうとして、住民の反対でうまくいかなかった。拡大生産者責任の発想をとって、製造者の方にも今まで以上に基金にお金を入れていただき、基金を充実させることを御検討いただきたい。

 PCB特措法に基づく届出とJESCOへの登録を一体化させる必要があることについては、その通りだと思うので御検討いただきたい。

(眞柄委員) 前回の検討委員会の後にJESCO北海道事業所の監視円卓会議が開催され、その際に室蘭市や円卓会議の方々から大きく3つの問題点が指摘されたのでそれをご紹介したいと思う。

 1つは、室蘭のPCBの円卓会議は始まって10年ですが、その関係者ですら自分の中にどういう蛍光灯の安定器が使われているか知らないということが明らかになった。

 もう一つは、安定器の輸送について色々なルールがあってよくわからないということが出てきた。

 もう一つ、破産・廃業した際に、その事業所に存在しているPCBをどうするか、ルールがないことが指摘された。

 改めてPCBについて国民の関心を増すような広報活動を積極的にする必要があると思う。例えば室蘭の場合、東京から安定器が来ることになっているが、今東京にこれだけのものがあるということを前提に、大雑把ではあるが処理のロードマップを書いているが、本当にそれで大丈夫なのか、東京はこの数を約束してくれるのかという意見があった。そういう意味で掘り起こし調査をできるだけ早くして、例えば室蘭の事業所で本当に36年までに計画的に処理できる量であるかということは、それぞれの都道府県から正確な数値、あるいは関係者の方々が納得できるような負荷を早く出していただきたいという意見が出てきた。

(中杉委員) 北九州はあと4年のうちで終わらないといけないということを考えると、あれをやって駄目だったからこれという時間的余裕はなく、ものすごく抜本的な方策を考えないと間に合わない。その基礎として、使用を限定する制度のようなものを考えていかざるを得ないだろう。使用を限定する制度としては、POPsのうち必ずしもPCBだけではなくほかのものもある。化学物質の製造を禁止している化審法という法律があるが、その法律の中では使用者に対する規制はないので、その法律を改正して使用を禁止するにしても時間が間に合わない。

 全く新しい法律ができるのを待つ余裕はないので、電気事業法とPCB特措法、今ある2つの法律の中でどこまでカバーできるかをベースに据えた上で、計画的に使用されているものをどうするか、それにどう対応していくのか検討するべき。そのほかにもいろんな取組を組み合わせてやらないと法律を作っただけで全てが解決するわけではない。ただ、時間が迫っているということを考えると、抜本的なものを今の時点で早急につくらないと間に合わない。

 東京の処理施設の安全委員会を預かっている立場から言うと、そういうことをしてもらわないととても不安である。法律を作るよりも抜本的な、ほかの案があればそれで結構だが、本当に確実に効果のある策を早急に考えないといけないと思う。考え方として基本になるのは、期限を切って使用を制限していくということではないかと思う。

(松田委員) 平成39年までという期限は、POPs条約に合わせるということ、かつ、各事業所間の均一化を図るということで苦肉の策だったのだろう。それを実行するにあたり、最終的に処理しなければいけない量に対して処理のスピードを考えあわせると、どのくらいの期間が本当に必要なのか。かつ最悪のケースを考えたときに、どのようになるのかということが明らかにされておらず、一般の方々はその辺のリスクがよくわからないのではないか。

 それと、どこが一番処理全体の速度を律速しているのかというオーバーオールの観点からの議論がないと思う。そのオーバーオールのところをきちんと把握した上で色々な方法論があるので、まず現状の把握、認識、それの公表、かつ一般市民の方々への重要性、緊急性のPRを積極的にやることが良いと思う。

(上野委員) 使用中のPCB使用製品が一刻も早く全て使用を終了するということが、期限を考えると非常に重要なことだと思う。電気事業法の改正がPCB特措法と同時にあったが、その後見直しがなされておらず、特に第39条のところの最後の事項について、昭和51年時点から使用がずっと続けられている、ここの法律を改正していただきたい。 

 安定器について、安定器は室内で使用されており、PCBが漏れ出して室内環境を汚染するということがかなり懸念される。その点を踏まえて啓蒙活動が非常に大事ではないか。

(浅岡委員) 北九州はPCB特措法が制定されて以降の動きを見て、何故こういう形で掘り起こし等がある程度順調にいったかということを考えると、ピンポイントに相手を選んで自治体が積極的に動いたという結果ではないかと思う。それは単に使用量の掘り起こし、保管量の掘り起こしだけでなくて、これは確実に処理をしないといけないという処理プログラムを同時に組み合わせて相手に要求していった。

 先程、法律関係を確認したのはなぜかというと、今の電気事業法とPCB特措法で十分使用禁止の法令になっているのではないか。期限が設定されればそこで使用禁止が自動的に設定されている。そうするとその期限が来た瞬間に使用している使用者は違法行為になる、前倒しに処理をしなければ物理的に違法で罰則の対象になるというシステムが確立しているので、それを使用者に説明すればいいだけだという論理がある。

 今後何を本当にやるべきかというと、各自治体にPCB処理に関して温度差があると思うので、それをどうやって処理をしないといけないというところへ集中させるかということの方策を考えることと、自治体の責任を明確化して動いてもらうというシナリオをつくるのが、このワーキンググループの方向性ではないかと思う。

(梶川代理人) 使用中の機器から廃止に至るところが現行の電気事業法のままではスムーズにいかないのではないか、漏れがあるのではないかという感じがする。現行のままでは、PCB使用機器の処理は事業者の自由な意思に委ねられていると言わざるを得ないので、計画的な処理に仕向けるような方策、法整備も含めて、検討をできる限りスピーディーにやっていただきたい。

 使用中の機器に関して、都道府県市での立入検査や掘り起こし調査等、いろいろ苦労をしているので、明確な権限を持って我々が調査、立ち入りができる方策を検討していただき、できるならば法整備という形で実現していただきたい。

(前川代理人) 電気関係報告規則で使用中のものに対して届出の義務が課されているが、実態では電気主任技術者への浸透度が非常に低い。そういった方にきちんと届出の促進を徹底していただきたい。

 届出の制度に関して、PCB含有の安定器、個人のお医者さんが持っているレントゲンの小さなコンデンサ、その他小型機器のようなものは電気工作物には該当しないので届出の義務はなく、今のところ把握のしようがないので、このワーキングでそういったものの把握の仕方を検討していただきたい。

 低濃度PCBについてもできるところから、例えば抜油ができるコンデンサ以外のトランスとかは、電気事業法で1年に1回点検をしなければならないので、そういった機会を利用して抜油し、全体的に低濃度PCBのトランスだけでもどのくらいの量があるか把握しないと、平成39年の処理期限までに処理は完了しないのではないかと思う。

 届出の様式について、電気事業法に基づく使用中機器の届出に関しては詳細な記載があるが、電気事業法の電気工作物の届出に関してはそこまでの詳細なものはない。PCB特措法の届出と電気事業法の届出の様式を一致させることによって製造年月日等がわかってくるというところもありますので、そういったことも御検討いただきたい。

(近藤委員) 自治体の立入検査権限付与についてお願いしたい。また、PCB特措法と電気事業法の届出情報を突合して漏れがないか確認していただきたい。

 現行制度では、処理未了の保管事業者に平成39年の時点で命令をかけても、PCB処理施設がなく処理できない。処理期限よりも前倒しをして計画的に処理ができる範囲の中で、命令がかけられるようにしていただきたい。またこれらの命令に対して従わない者が出てくる可能性があるので、行政代執行等の権限についても検討していただきたい。

(有門委員) 実際に処理施設が立地している自治体、それと掘り起こしなどを的確にやっていかないといけないという立場から、電気事業法の関係で、経済産業省さんには本気になっていただきたい。使用中のPCB使用機器についてストックホルム条約を守れるように本気になって考えていただきたい。

(宮金委員) 北九州エリアは、トランス・コンデンサ、安定器のいずれも一番早く計画的処理期限が来るので、受け入れ自治体としては非常に危機感を覚えている。

 まず、広く国民にPCBの処理が重要であるということがまだ伝わっておらず、事業者の中にも意識が欠落している事業者が一定数いるだろうということがあるので、政府公報でテレビCM等を活用しながら広く周知・広報活動をしていただきたい。

 製造者の責任について、PCB特措法の第4条とか国の基本計画の中にも、製造者は普及啓発や国、自治体が実施する施策に協力しなければならないと明記されているので、環境省、経済産業省等から製造者にも協力を要請して一緒になってやっていただくことが必要だと思う。

 掘り起こしの件について、昨年環境省がマニュアルを作り説明会等をして、今年から本格的に大半の自治体が掘り起こしをやっていくことになっている。その掘り起こしの対象を電気事業法に基づく届出事業者を対象にしたらいいと書いてあるが、北九州がやってきた掘り起こしはその範囲に限定しておらず、例えば総務省の経済センサスの統計データを使ったり、5人未満の事業所まで踏み込んでやった結果、1割見つかった。そもそも電気事業法の届出事業者を対象にすると、安定器や低圧のトランス・コンデンサは漏れており、全部見つかるわけがないと我々は思っているので、もっと幅広くしていく必要があるのではないか。

 北九州は調査完了に5年かかった。市町村都道府県レベルで規模に差があるので一概に5年かかるとは言わないが、トランス・コンデンサは3年半の期限の中で処理を完了するとすれば、少なくとも今年度、来年度中には掘り起こしは終わっておかなければいけない。今日御参加ではないが搬出事業者、搬出元の自治体にもアクセルを踏んでいただき当事者意識を持っていただかなければいけない、国からももっと強い指導をしていただく必要があると思う。

 使用中の機器の問題については受入れ自治体としても、使用中止期限を定めていただきたい。計画的な処理に向けてやっていただいている事業者もいるということですが、それが全てであるわけではない。しかも計画的にやっていただいている事業者についても、受入自治体としては計画的処理期限内がもう当たり前の話だと認識している。それに向かった形の計画であれば、特措法の届出をしていて登録をしていない事業者も一定数いるということなので、使用期限はいつまで、JESCO登録の期限もこれまでだという形で、合わせた形で強制力を持てるような取組を考えていただきたい。

 使用中の機器の話で北九州としても、もっと経済産業省さんに本気度を見せていただきたい。誠に辛辣な言い方で申しわけないが、「早期処理に向けた関係者の連絡会」で、使用中の問題について具体的な取組策を検討していきましょうという会議で、経済産業省さんからも具体的な取組例ということで、名簿の精度が低い等の意見を自治体から出させていただいており、その名簿の精度を上げると書いていらっしゃるのですが、一例をとりますと届出があった段階で速やかにデータを入力すると、そのような内容を公然とおっしゃる感覚が地元の自治体としては理解に苦しむ。もっと自治体が最終的には権限を持って、使用中の機器について事業者に対して指導ができるような対策を出していただきたい。北九州は地道にお願いに行って市内の分の高濃度については完了した。だから自治体が強制力を持った取扱いができるような形で制度を改正するのもわからなくもないが、その前にもっとやれよと北九州としては言いたい。経験とかノウハウとかを含めて、以前から環境省さんを通じて各自治体にも水平展開をするお手伝いをさせていただくと申し上げているので、もっと国がリーダーシップを発揮していただきたい。

 環境省さんにも一言申し上げたいのですが、地元で開催される監視会議とか広域の会議などにも環境省さんに御出席いただいて、処理期限内に処理を完了するというのは当たり前のことで、その達成のためにはあらゆる手を尽くしていくということで出席の都度発言していただいている。なので、その発言を実際の行動で示していただきたい。

(酒井主査) 本日、委員の方々から追加的方策に対しましてさまざまな御意見を頂戴した。前回の7月31日の検討委員会の場でもいただいている。それを踏まえると環境省のみならず、経済産業省が所管している事項に関しての御意見も多くあった。この時点で経済産業省と環境省からコメントをいただける点があればコメントしていただければと思う。

(電力安全課) PCBを含有した機器を期限内に処理するということは、我々としてもそういう認識でいる。PCB電気工作物の具体的な諸手続きを行っているのは、地方の産業保安監督部であるが、そこを通じて事業者に対して期限内の処理などについて周知徹底を図ることは既にやっている。実際に御苦労されている自治体などから見るとまだまだ足りないという御意見をいただいたので、それについてはこれからもより充実させていくということに取り組んでいきたいと思う。

 事業者への周知とともに、期限内の処理に向けた御意見をいただいた。この場で引き続き御議論を継続させていただくことになっているので、御意見を伺いながら期限内の処理に向けて環境省とともに今後とも取り組んでいきたいと思っている。

(環境指導室) 経済産業省としてJESCOの処理期限内に適正に処理することが重要と考えているのは、電力安全課の磯部から申し上げたとおりである。

 制度的にしっかりと処理期限内に実施していくために、1つ意見があるのでこの場で申し上げさせていただく。この検討会のメンバーには中小企業の関係者の方が入っておらず、中小企業関係団体からは、特に安定器についてJESCOの処理費用や運搬費、保管費の負担が大きく困っているとの声を聞いている。環境省、JESCO、自治体の御尽力により既に中小企業者の軽減制度や分割制度などがあることは認識しているが、多数の安定器を保有する場合や、JESCO処分施設から遠方にある場合など当該施設を活用しても、処理費用などが払えないとの声があるので、JESCOの処理期限までの処理を円滑に進めるためには、中小企業の方々の声にも一定の配慮が必要と考えているので、今後検討事項の1つとしていただきたい。今後とも中小企業への影響にも十分留意しながら、環境省と連携して取り組んでいきたいと考えている。

(環境省)本日いただいた意見は大きく5点いただいたと理解している。

 まず第1点目、PCB処理の期限については、特に高濃度については必ず守らなければいけない期限であり、1日も早く達成すべき期限であるので、危機意識を持って取り組むべきであり、社会全体の危機意識を高める取組をしっかりと国としてやっていくべきではないかという御指摘を賜ったので、しっかり重く受け止めたいと考えている。

 2点目として、制度的な対応に関する部分で、現在、PCB特措法、電気事業法という関係法令があるが、例えば使用中のものから廃棄物への橋渡しをスムーズにするとか、立ち入り調査権限、届出関係の整理、行政代執行等、制度的な課題が数多くあり、この制度的課題、対応についても検討すべきではないかという御指摘については、本日いただいた御意見を踏まえてどういった対応があり得るのかをしっかり検討していきたいと考えている。

 3点目として、制度面のみならず現行の運用の改善点や関係機関の連携強化、にしっかり取り組むべきではないかという御指摘であり、私どもとしてまだまだ至らない部分についてはどういった形で連携の強化をさらに図っていけるか、しっかりと検討していきたいと考えている。

 4点目として、処理期限を確実に達成するという観点から、本当に処理しなければいけない量がどのくらいあるのか、使用中のもの、廃棄物となったもの、これも含めて把握することが第一の前提ではないか、ここについては把握するための掘り起こし調査等をあらゆる手だてを尽くしてやっていくべきではないかという御指摘であり、そこは大変重要なポイントだと理解しているので、どういった対応を取り得るのか検討していきたいと考えている。

 最後5点目、今回の検討会の視点は、高濃度のPCBと低濃度のPCB両方を視野に入れた検討会であり、その中でまずは処理期限が間近に迫っている高濃度を重点的に検討すべきではないかという御意見と同時に、低濃度についても期限は先ではあるが、今からできるところについては、必要な部分はやっていくべきではないかという御指摘であり、そうした御指摘を踏まえて対応を考えていきたいと考えている。

 本日いただいた御意見を踏まえ、経済産業省と関係の皆様方とも検討を進めた上で、どういった対策があり得るのかについて、行政内部でも検討を進めていきたいと考えている。特に北九州市の宮金課長から、言葉だけではなくて実行に移すべきという御指摘を賜ったので、そうした声にしっかりとお応えできるように、経済産業省とともに検討を今後も深めていきたい。