環境再生・資源循環

廃棄物処理における新型インフルエンザ対策Q&A

新型インフルエンザに関する基礎情報について

新型インフルエンザの概要

Q1 新型インフルエンザとは何ですか。
A1 新型インフルエンザは、新型インフルエンザウイルスが人に感染して起こる疾患です。新型インフルエンザウイルスは、従来、鳥類にのみ感染していた鳥インフルエンザウイルスが変化し、人から人へと効率よく感染できるようになったものです。現在、地球規模で発生している鳥インフルエンザウイルス(H5N1)が、新型インフルエンザウイルスに変化することが懸念されています。

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通常のインフルエンザと新型インフルエンザとの違い

Q2 通常のインフルエンザと新型インフルエンザはどう違うのですか。
A2 毎年冬を中心に流行する通常のインフルエンザも新型インフルエンザ
も、それぞれ同じインフルエンザウイルスの仲間によって引き起こされる疾患です。通常のインフルエンザは、風邪の症状である、のどの痛み、鼻汁、くしゃみや咳等に加え、悪寒、高熱、筋肉痛等の全身症状を発症するのが特徴です。
 新型インフルエンザについては、不明な点もありますが、通常のインフルエンザよりも重症化する可能性が指摘されています。

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新型インフルエンザの流行規模

Q3 国内でどのぐらいの人が感染するのですか。
A3 大部分の人が新型インフルエンザウイルスへの免疫を持っていないことや、都市部への人口集中等の社会的状況から、短期間に多くの人が感染し、新型インフルエンザが世界的に大流行(パンデミック)する可能性が示唆されています。
 新型インフルエンザが流行した場合、全人口の約25%の人が感染し、医療機関を受診する患者は最大で2,500万人と想定されています。また、事業者への影響として、最大で40%の従業員が10日間程度欠勤すると推計されており、社会・経済に大きな影響を与えることが想定されています。

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新型インフルエンザの発生時期

Q4 新型インフルエンザはいつ発生するのですか。
A4 20世紀に流行した新型インフルエンザには、スペイン・インフルエンザ(1918年)、アジア・インフルエンザ(1957年)、香港・インフルエンザ(1968年)などがあり、これらは、およそ10年から40年の周期で流行してきました。ただし、次の新型インフルエンザがいつ出現するのか、予測することは出来ません。

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新型インフルエンザの感染経路

Q5 新型インフルエンザはどのように感染するのですか。
A5 通常のインフルエンザの主な感染経路は、[1]感染した人の咳、くしゃみなどの飛沫とともに排出されたウイルスを吸入することによる飛沫感染と、[2]飛沫等に触った手で目や鼻、口に触れることで、ウイルスが体内に入ることによる接触感染です。
 新型インフルエンザも、通常のインフルエンザと同様に、飛沫感染と接触感染が主な感染経路と推測されています。

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基本的な感染防止策

Q6 新型インフルエンザの感染を防ぐためにはどうしたらよいのですか。
A6 新型インフルエンザもインフルエンザの一種であり、感染防止策は通常のインフルエンザと同じです。具体的には、感染機会を減らすため、対人距離を保持(2m以上)することや人混みや繁華街へのむやみな外出を控えること、外出後の手洗い、マスクの着用を徹底することなどが重要です。
 また、咳やくしゃみをする際には、ティシュで口元を覆ったり、マスクを着用することなどによって他人を感染させないことも重要です(咳エチケット)。

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国における新型インフルエンザ対策

Q7 発生に備えて、国ではどのような対策が進められているのですか。
A7 政府においては、感染拡大を可能な限り抑制することで、社会・経済を破綻に至らせないようにするため、「新型インフルエンザ及び鳥インフルエンザに関する関係省庁対策会議」を設置し、「新型インフルエンザ対策行動計画」や「新型インフルエンザ対策ガイドライン」等を策定しています。また、これらの計画等に基づき、抗インフルエンザウイルス薬の備蓄や国民への情報提供等の対策を推進しています。

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廃棄物処理における新型インフルエンザ対策について

廃棄物処理に関する一般的事項

Q8 新型インフルエンザ発生に伴いどのような廃棄物が排出されますか。
A8 医療機関や検査機関からは、新型インフルエンザの診断、治療、検査等に使用された医療器材が感染性廃棄物として排出されます。また、一般家庭や事業所からは、新型インフルエンザ感染者の呼吸器系分泌物(鼻水、痰等)が付着したティッシュ等が一般廃棄物として排出されます。

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Q9 また、それらの廃棄物はどのように処理すればよいですか。
A9 新型インフルエンザウイルスもインフルエンザウイルスの一種なので、通常のインフルエンザに係る廃棄物と同様の方法で処理すればよいと考えられます。
 医療機関等から排出される感染性廃棄物については、「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」に基づき処理してください。また、一般家庭等から排出されるティッシュ等については、ゴミ袋等に入れ封をして排出するなど、通常のインフルエンザの感染に伴い排出される廃棄物と同様の方法で処理してください。

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廃棄物処理事業者等が取るべき措置について(事業継続計画の策定と実施)

Q10 新型インフルエンザが流行しても、廃棄物処理事業は継続しなければならないのですか。
A10 廃棄物処理を含め、医療やライフライン関係事業者など、その事業の停止により最低限の国民生活の維持に支障をきたすおそれのある事業者については、新型インフルエンザ流行時においても、事業の継続が求められることになります。

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Q11 廃棄物処理事業を継続するため、どのような措置を講じればよいのですか。
A11 一般廃棄物については市町村や一般廃棄物処理業者が、産業廃棄物については産業廃棄物処理業者(以下、「廃棄物処理事業者」という。)が、事前に新型インフルエンザ対策について検討し、それらを事業継続計画としてとりまとめ、準備を行う必要があります。新型インフルエンザ発生時には、当該計画に基づき、感染防止策等の対策を速やかに実施することが求められます。

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事業継続計画の内容

Q12 具体的にどのような内容について、計画を策定すればよいのですか。
A12 具体的には、各廃棄物処理事業者において、主に[1]新型インフルエンザ対策の体制整備、[2]業務内容を踏まえた感染防止策、[3]人員及び物資の確保、[4]人員が不足した場合に備えた優先業務の特定(重要業務の絞り込み)等について、あらかじめ検討し、事業継続計画としてとりまとめることが必要です。
 また、計画が各々の事業形態に見合ったものとなるよう、事業特性や事業規模、都道府県等で策定している新型インフルエンザ行動計画等を考慮するとともに、計画に基づく対策を円滑に実施するため、従業員への教育・訓練を実施したり、定期的に計画を見直すことも重要です。

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Q13 計画内容([1]~[4])の検討に当たって、どのような点に留意したらよいですか。
A13 それぞれの留意点等については、以下のとおりです。

[1] 新型インフルエンザ対策の体制整備

 新型インフルエンザ発生時における危機管理体制を構築し、意思決定方法や指揮命令系統を明確にすることや、新型インフルエンザに関する情報収集及び緊急時の連絡体制を整備するといった観点から検討しましょう。

[2] 業務内容を踏まえた感染防止策

 廃棄物処理事業においても、勤務時間外も含め、基本的な感染防止策(Q6参照)に従って対策を行うことが基本となりますが、それらに加え、業務上、感染者や不特定多数の人と接触する可能性などの感染リスクを評価した上で、それぞれの業務内容に合わせた感染防止策を定めることが必要です。
 以下に、廃棄物処理事業者において考えられる感染防止策の例を示します。

業務内容感染防止策(例)
収集運搬・処分
  • 手袋、マスク等(以下「個人防護具」という。)の使用
  • 肌の露出の少ない作業着(長袖・長ズボン)の着用
  • 積卸し作業終了後の消毒薬による手指消毒の実施
  • 作業終了後の事務所での手洗い及び手指消毒、うがいの実施
  • 運搬車両・処分施設の定期的な清掃及び消毒の実施
事務所内業務
  • 接客や窓口業務における対人距離を保持、個人防護具使用の徹底
  • 訪問者の立入(場所、人数等)制限
  • 事務所入室前の体温測定の実施(発熱がある場合、入室禁止)
  • 事務所内の定期的な清掃及び消毒の実施

[3] 人員及び物資の確保

 新型インフルエンザ発生時に、従業員が長期にわたり多数欠勤した場合に備えて、あらかじめ、代替要員の手配や処理実務担当者の優先的確保などを含む人員計画について検討することが必要です。また、製造業者の事業自粛等により、燃料や薬剤等の廃棄物処理に必須の物資(消耗品等)が不足し、調達が困難となるおそれがあるものはあらかじめ備蓄を増やすなどの対応を検討することが求められます。

[4] 優先業務の特定(重要業務の絞り込み)

 人員や物資が不足した場合であっても事業を継続できるよう、あらかじめ、非常事態においてどのような業務が重要(必要)となるかを検討し、優先業務を特定しておきます。具体的には、生活環境保全上の支障の有無や、社会機能維持等の観点から検討することが必要であり、腐敗しやすい可燃ごみや、医療機関やライフライン関連事業から排出される廃棄物の処理を優先することなどが考えられます。

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新型インフルエンザ発生後の対応

Q14 実際に新型インフルエンザが発生した場合、どう対応したらよいのですか。
A14 事業継続計画に従って、速やかに感染防止策等の対策を実施しましょう。また、従業員が発症した場合、すぐに保健所等が設置する発熱相談センターに連絡して、その指示に従って対処する必要があることから、緊急時の問合せ先(発熱相談センターなど)をあらかじめ把握しておくことが重要です。

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廃棄物の適正処理確保の観点から留意すべき事項

Q15 その他、廃棄物の適正処理確保の観点から留意すべき事項はありますか。
A15 現時点では、新型インフルエンザウイルスに関する知見が十分ではないことから、新型インフルエンザの発生規模等について十分な予測を行うことは困難ですが、医療機関から排出される感染性廃棄物が急激に増加することや、廃棄物処理における関係者や住民が混乱することが懸念されます。新型インフルエンザ対策については、これらについても留意しつつ検討することが望ましいと考えられます。

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