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I.産業廃棄物の排出・処理状況について
[産業廃棄物排出・処理状況調査(平成8年度実績)による]


1.調 査 方 法

(1) 調査対象

(1) 調査対象 47都道府県
(2) 対象業種 「日本標準産業分類(平成5年10月改訂)/総務庁」をもとに抽出した産業廃棄物の排出が想定される大分類11業種
(3) 対象廃棄物 廃棄物の処理及び清掃に関する法律に規定する産業廃棄物18種類

(2) データの集計、解析

 都道府県から厚生省に報告されたデータをもとに、調査年度や未調査業種等について産業活動指標を用いて補正した。

2.調査結果の概要

(1) 産業廃棄物の排出状況

(1) 全国総排出量
 平成8年度における全国の産業廃棄物の総排出量は約4億500万トンとなっており、平成2年度以降ほぼ横這い傾向である(図-1参照)

図-1

(2) 業種別排出量
 産業廃棄物の排出量を業種別にみると、排出割合の高いものから電気・ガス・熱供給・水道業(下水道業を含む)が約7,997万トン(全体の19.8%)、建設業が約7,714万トン(全体の19.1%)、農業が約7,252万トン(17.9%)、パルプ・紙・紙加工品製造業が約2,830万トン(7.0%)、鉄鋼業が約2,803万トン(6.9%)、鉱業が約2,800万トン(6.9%)となっており、この6業種で約8割を占めている(図-2、別紙表-1参照)。

図-2 図-2 産業廃棄物の業種別排出量

(3) 種類別排出量
 産業廃棄物の排出量を種類別にみると、汚泥の排出量が最も多く、約1億9,316万トン(全体の47.7%)であり、次いで、動物のふん尿が約7,221万トン、建設廃材が約6,139万トンとなっており、この3品目で全排出量の約8割を占めている(図-3、別紙表-2参照)。

図-3 図-3 産業廃棄物の種類別排出量

(4) 地域別排出量
 産業廃棄物の排出量を地域別にみると、関東地方の排出量が最も多く、約1億1,020万トン(全体の27.2%)であり、次いで、近畿地方の約6,256万トン、中部地方の約6,094万トン、九州地方の約5,352万トンの順になっている(図-4参照)。

図-4 図-4 産業廃棄物の地域別排出量


表-1 産業廃棄物の業種別排出量

業         種
 
平成7年度 平成8年度
排出量(千t) 割合(%) 排出量(千t) 割合(%)
農         業   73,336 18.6 72,517 17.9
林         業   0 0.0 0 0.0
漁         業   68 0.0 58 0.0
鉱         業   27,717 7.0 27,999 6.9
建    設    業   75,201 19.1 77,138 19.1
製    造    業   130,910 33.2 136,563 33.8
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
食  料  品  製  造  業 10,514 2.7 11,696 2.9
飲料・たばこ・飼料 6,253 1.6 5,331 1.3
繊   維   工   業 1,483 0.4 2,550 0.6
衣服・その他の繊維製品 190 0.0 198 0.0
木  材  ・  木  製  品 3,989 1.0 4,071 1.0
家  具  ・  装  備  品 468 0.1 464 0.1
パ ル プ ・ 紙 ・ 紙 加 工 品 25,879 6.6 28,296 7.0
出 版 ・ 印 刷 ・ 同 関 連 953 0.2 1,083 0.3
化   学   工   業 18,807 4.8 17,840 4.4
石 油 製 品 ・ 石 炭 製 品 730 0.2 808 0.2
プラスチック製品 1,276 0.3 1,421 0.4
ゴ   ム   製   品 303 0.1 314 0.1
なめし革・同製品・毛皮 138 0.0 157 0.0
窯 業 ・ 土 石 製 品 15,738 4.0 15,791 3.9
鉄     鋼     業 27,051 6.9 28,033 6.9
非   鉄   金   属 3,578 0.9 3,794 0.9
金   属   製   品 3,103 0.8 3,470 0.9
一  般  機  械  器  具 1,834 0.5 1,721 0.4
電  気  機  械  器  具 3,621 0.9 4,092 1.0
輸送用機械器具 4,018 1.0 4,163 1.0
精  密  機  械  器  具 221 0.0 228 0.1
そ     の     他 762 0.2 1,043 0.3
電気・ガス・熱供給業・水道業   77,635 19.7 79,970 19.8
運  輸  ・  通  信  業   971 0.2 1,102 0.3
卸  売  ・  小  売  業   5,716 1.5 5,689 1.4
サ  ー  ビ  ス  業   2,245 0.6 3,546 0.9
公         務   12 0.0 21 0.0
合         計   393,812 100.0 404,602 100.0
*各業種の産業廃棄物排出量は、四捨五入してあるため合算した値は合計値と異なる。

表2産業廃棄物の種類別排出量

(2) 産業廃棄物の処理状況

(1) 処理フロー
 総排出量約4億500万トンのうち、中間処理されたものは約3億1,800万トン(全体の79%)、直接再生利用されたものは約5,300万トン(13%)、直接最終処分されたものは約3,300万トン(8%)となっている。
 また、中間処理された産業廃棄物約3億1,800万トンは、約1億3,200万トンまで減量化され、再生利用(約9,700万トン)または最終処分(約3,400万トン)されている。
 結局、排出された産業廃棄物全体の37%にあたる約1億5,000万トンが再生利用され、17%にあたる6,800万トンが最終処分されている(図-5参照)。

図-5 図-5 全国産業廃棄物の処理のフロー

(2) 総排出量、最終処分量、減量化量、再生利用量の推移
 前年度の排出処理状況と比較すると、再生利用量は平成7年度が1憶4,700万トン(全排出量に対する割合は37%)に対し、1億5,000万トン(同37%)と横ばいで推移している。
 減量化量は平成7年度が約1億7,800万トン(同45%)に対し、約1億8,700万トン(同46%)と増加している。
 最終処分量については、平成6年度が約8, 000万トン、平成7年度が約6,900万トンと減少したのに対し、さらに平成8年度も約6,800万トンと引き続き減少傾向にある。
 図-6に、産業廃棄物の最終処分量、減量化量及び再利用量の推移を示す。

図-6 図-6 産業廃棄物の再生利用量、減量化量、最終処分量


(3) 産業廃棄物の種類別の処理状況
 産業廃棄物の種類別にみると、再生利用率が高いものは、鉱さい(79%)、金属くず(77%)、動物のふん尿(75%)、建設廃材(71%)等であり、逆に再生利用率が低いものは、廃アルカリ(6%)、汚泥(7%)、ゴムくず(16%)、廃酸(20%)等である。
 最終処分の比率が高い廃棄物は、ゴムくず(63%)、ガラスくず及び陶磁器くず(60%)、動物の死体(49%)、廃プラスチック類(47%)等である。
 図-7に、産業廃棄物の種類別に再生利用率、中間処理による減量化率及び最終処分率を示す。

図-7


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