廃棄物処理基準等専門委員会の報告について

厚生省水道環境部

平成9年10月29日


○ 廃棄物の最終処分場に関する基準等、廃棄物処理に係る基準の明確化、強化を検討するため、平成8年9月の生活環境審議会廃棄物処理部会で廃棄物処理基準等専門委員会の設置を了承。

○ 同専門委員会からは、本年7月にダイオキシン対策についての報告を得、それを踏まえて、廃棄物処理法施行令・施行規則を改正し、廃棄物焼却施設の構造・維持管理基準の見直し等を行ったところ。

○ 同専門委員会は、近く最終処分場に関する基準等の見直しのための検討結果をとりまとめ生活環境審議会廃棄物処理部会に報告書を提出する予定。

○ 厚生省では、この報告書を受け、廃棄物処理法に基づく関係基準の設定、改正を行う予定。


(参考)

廃棄物処理基準等専門委員会(座長;藤田賢二埼玉大学大学院教授)における主な検討事項

1 最終処分場関係

(1)構造基準、維持管理基準の強化・明確化

・遮水工の機能強化、放流水水質基準の強化など
(2)上記と関連した、最終処分場における廃棄物の搬入管理方法
・安定型最終処分場に搬入する廃棄物の見直し、搬入時の「展開検査」義務づけなど

2 その他

(1)廃棄物処理施設の設置者が新たに行うこととされた生活環境影響調査の実施方法

(2)産業廃棄物の保管基準の強化・明確化

(3)有害廃棄物の無害化処理の推進

・PCBの化学処理による無害化基準の設定など


廃棄物処理基準等専門委員会報告骨子

第1 最終処分場関係

1 安定型最終処分場

(1) 安定型産業廃棄物の範囲の見直し

安定型産業廃棄物以外の物の混入・付着した廃棄物が安定型最終処分場に埋め立てられないよう、安定型産業廃棄物以外の物の混入・付着の蓋然性が高い廃棄物等は安定型産業廃棄物から除外。

(2) 搬入管理の徹底

安定型最終処分場の設置者による搬入廃棄物の展開検査の義務づけ等によ り、安定型産業廃棄物以外の物が混入・付着した廃棄物の埋立処分を防止。

(3) 定期的な点検

地下水汚染が生じていないことを確認するため、新たに、地下水水質の定期的な点検を実施し、地下水質に異常があれば必要な措置を実施。


2 管理型最終処分場及び一般廃棄物最終処分場

(1) 遮水機能の強化

○ 遮水工を構成する基礎地盤、遮水シート等の遮水層、上部保護層の各部分の構造にわたって基準を明確化。

・遮水層は、一定の遮水性がある粘性土と遮水シートの組み合わせなど二 層構造化等。
○ 地下水を有効に排除することが可能な地下水集排水設備の設置。

(2) 浸出水処理の強化

○ 浸出水処理設備の放流水の基準の強化。
○ 放流水の水質検査の項目、頻度の明確化等。

(3) 定期的な点検の強化

○ 地下水水質検査の項目、頻度等の明確化。
○ 水質検査の結果、異常があった場合の必要な措置の実施。


3 遮断型最終処分場

○ 有害な産業廃棄物については、同種の廃棄物の多くがすでに無害化処理されていることから、今後は無害化処理をしないままでの埋立処分を回避することが適当。
○ 無害化処理技術がない廃棄物が生じた場合には、遮断型最終処分場の方式 によることも含め、排出事業者責任の下での廃棄物の性状に応じた適切な保管等の管理の方法について検討を進めるべき。


4 最終処分場の廃止の基準

○ 最終処分場の廃止の基準については、廃棄物処理施設としての通常の維持 管理を続けなくても、そのままであれば生活環境の保全上の問題が生じるおそれがなくなっていることを判断するものとして設定すべき。
○ 具体的には浸出水の水質が一定の基準を満たしていること等。


第2 生活環境影響調査

○ 廃棄物処理施設の設置に当たり、施設周辺の生活環境に及ぼす影響について行う調査の事項は、施設の稼働並びに当該施設に係る廃棄物の搬出入及び保管に伴って生じる大気汚染、水質汚濁、騒音、振動及び悪臭とすること。
○ 調査対象地域の設定並びに現況把握、予測及び考察についての技術的手法を明確化。


第3 保管基準

産業廃棄物の保管については、処理施設の能力に比して過大である事例や、保管の場所の囲いを越えて飛散するおそれがある事例等がみられ、そのような状態に至る前に改善措置を講じやすくするよう基準を明確化、強化すべき。

1 保管の方法

○ 保管の場所に設ける囲いの強度、表示内容の基準を強化。
○ 屋外で廃棄物から浸出する汚水が生活環境保全上問題を生じさせないようにするため、保管の場所の底面の被覆、汚水の集水・処理の基準を明確化。
○ 廃棄物が崩落しないよう急勾配の積上げを規制。

2.保管量

○ 保管と称して廃棄物を大量に集め、事実上放置するような事例がみられる ため、保管可能量の上限基準を設定。


第4 特別管理産業廃棄物

1.PCBの処理

PCBについて、近年、化学処理等の新技術が開発されて実用化が実証され、また、欧米においてはこのような技術を用いてPCBの処理が行われており、新技術を踏まえた処理基準等を定めること。

(1) 廃PCB等の処分基準の見直し

廃PCB等(廃PCB及びPCBを含む廃油)を分解する、脱塩素化処理の方法、超臨界水などによる酸化処理の方法を用いた無害化処理基準を設定。

(2) PCB汚染物の処分基準の明確化

廃PCB等の処理体制の整備とあわせてPCB汚染物(PCBが付着した金属くず等)の処分基準を明確化。

2.その他

未規制の有害化学物質等の問題も指摘されていることから、その廃棄物としての排出の動向、国際的な規制の動向、処理技術等に係る知見の集積状況等を踏まえ、引き続き特別管理産業廃棄物の追加指定等について検討すべきである。

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