報道発表資料

平成19年10月4日
自然環境
この記事を印刷

ツシマヤマネコの飼育下繁殖事業について

 ツシマヤマネコの保護増殖の取組の一環として、環境省は福岡市動物園と連携し、飼育下繁殖に取り組んできたところです。これまでに23頭が福岡市動物園で成育し、井の頭自然文化園及びよこはま動物園ズーラシアの協力も得て、飼育下繁殖事業は順調に進んでいると考えています。
 この度、飼育下個体群の危険分散等を目的として、新たに「富山市ファミリーパーク」に御協力頂き、ツシマヤマネコを2頭移動し、飼育していただくことになりましたのでお知らせします。
 また、ツシマヤマネコの保護意識が、普及啓発によって一層高まることを目的とした一般公開について、10月20日(土)から井の頭自然文化園及びよこはま動物園ズーラシアで開始されることとなりましたのでお知らせします。
 さらに、福岡市動物園から、今年度生まれの個体2頭を含む計3頭を対馬に里帰り(移送)させます。
 今年度の飼育下における繁殖は、飼育下個体群の遺伝的多様性を高める目的で、対馬で保護された2頭を井の頭自然文化園及びよこはま動物園ズーラシアに移動し、繁殖を試みるほか、福岡市動物園においても引き続き繁殖を試みます。

1 ツシマヤマネコとは

ツシマヤマネコは、我が国では長崎県対馬にのみ生息し、かつては対馬島内全域にわたり広く分布していたが、生息環境の悪化等により危機的な状況にある。
 平成6年に、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(通称「種の保存法」)に基づく国内希少野生動植物種に指定され、平成7年に同法に基づく保護増殖事業計画(環境省及び農林水産省告示)を策定し、保護の取組を進めている。
 平成19年8月に当省が公表したレッドリストでは、絶滅危惧IA類に分類されており、平成17年9月に発表した調査結果によれば現在野生下には80〜110頭生息していると推定されている。

2 飼育下繁殖事業の経緯

 平成5年に「ツシマヤマネコ人工繁殖基本計画策定調査」を実施し、平成8年より野生個体の確保を開始し、5頭の個体が確保できた平成11年より福岡市動物園の協力を得て飼育下繁殖事業を開始した。
 平成12年4月に初めて繁殖に成功し、その後も福岡市動物園関係者の多大な御努力により、これまで23頭が福岡市動物園で成育している。また、平成18年11月から、災害や感染症の発生などに備えて危険分散を図る目的で、井の頭自然文化園及びよこはま動物園ズーラシアに個体を移動し、飼育している。
 現在、飼育下繁殖のために捕獲した個体も合わせて福岡市動物園で17頭、井の頭自然文化園で2頭、対馬野生生物保護センターで12頭、よこはま動物園ズーラシアで2頭、併せて33頭を繁殖個体群として飼養している。
環境省では、飼育下個体群の最終目標として、遺伝的多様性を維持した持続可能な飼育下個体群を確立するために、100頭程度の繁殖個体群を維持することが重要と考えている。

3 分散協力動物園の追加

 環境省は分散飼育について、専門家等の意見を踏まえつつ、社団法人日本動物園水族館協会と連携して、動物園との調整を進め、この度「富山市ファミリーパーク」にオス1頭、メス1頭、計2頭のツシマヤマネコを移動させ、分散飼育を進めることとした。なお、同園への個体の移動は11月中を予定している。

4 飼育下個体の公開

 近年の飼育下繁殖事業の成功に伴い飼育個体が増加し、老齢や遺伝的多様性の為等により必ずしも全ての個体が繁殖に参加できる状況ではなくなってきているため、例えば兄弟が十分子孫を残している等の理由により繁殖に参加する可能性が低い個体については、福岡市動物園以外の動物園においても、普及啓発を行う目的で一般に公開する。
 各地の動物園で個体を公開し、全国的な普及啓発を行うことは、生息環境である対馬及びツシマヤマネコの現状を広く国民に伝えることができ、対馬島外からの保護の支援が促進されることが期待され、ツシマヤマネコの保護に役立つものと判断した。
 今年度は、井の頭自然文化園及びよこはま動物園ズーラシアで、10月20日(土)から一般公開を開始する。富山市ファミリーパークにおいても、将来的に一般公開を開始する予定。
 なお、将来対馬において野生復帰を行う飼育下繁殖個体については、平成16年8月策定の「ツシマヤマネコ再導入基本構想」において野生復帰のために誕生時からの専用の飼育方法、訓練が必要であるとされており、現在飼育している飼育下個体を野生復帰させることは想定されないこととなった。今後野生復帰事業のスケジュールを考慮しつつ、野生復帰候補個体を動物園と協力して生産していく予定。

5 福岡市動物園からの対馬への里帰り(移送)及び今年度の繁殖計画

 飼育頭数が施設の上限に達している福岡市動物園より、今年度生まれの2頭及び平成17年生まれの1頭、計3頭を対馬野生生物保護センターに里帰り(移送)する。
 また、昨年に引き続き、対馬で保護され、野生復帰が困難であると判断される2頭を対馬野生生物保護センターから井の頭自然文化園及びよこはま動物園ズーラシアに移動し、飼育下個体群の遺伝的多様性を高める目的で繁殖を試みるものとする。なお、福岡市動物園においても、引き続き繁殖を試みる予定。

連絡先
環境省自然環境局野生生物課
課長 星野 一昭(6460)
 補佐 西山 理行(6475)
 補佐 北橋 義明(6464)
 直通 (03)5521-8283

ページ先頭へ