報道発表資料

平成9年7月18日 この記事を印刷

外因性内分泌攪乱化学物質問題に関する研究班の中間報告書について

環境中の化学物質が生体の内分泌機能の変調を生じ、生態系や健康上の影響を及ぼす問題について、環境庁では「外因性内分泌攪乱化学物質問題に関する研究班」を設置し、本問題に関するこれまでの知見の整理と我が国における環境の現状及び今後の解明すべき課題などに関して検討を行ってきたが、今般、中間報告がとりまとめられた。
 環境庁としては、本中間報告を踏まえ、我が国における内分泌攪乱化学物質に関する今後の調査研究体制等について検討することとしている。
1 経緯
 内分泌攪乱化学物質は、生殖と発育という生物の生存のための基本的な条件に影響を及ぼし得ることから、新たな環境問題を引き起こすことが国際的に懸念されている。我が国においても内分泌攪乱化学物質の環境中の状況や健康及び生態への影響などが十分解明されているとはいえないことから、環境庁では「外因性内分泌攪乱化学物質問題に関する研究班」を設置し、主として、これまでの内外の文献から現状における知見を整理するとともに、環境モニタリングの結果などに基づき我が国における本問題の現状と今後の解明すべき課題などに関して検討を行った。

2 中間報告書の概要
(1)内分泌攪乱化学物質について
 ・ 内分泌攪乱化学物質の定義は現時点では必ずしも定まっていないが、これまでの研究結果から見ると内分泌攪乱を生じるおそれのある化学物質は環境中に数多く存在している可能性がある。しかし、生態系や人がこれらの化学物質にどの程度暴露され、また、どの程度の暴露でどのような影響を生じるかなどの関係は明らかとなっていない。
 ・ 内分泌攪乱を生じるおそれのある化学物質の中には、環境中の各媒体に残留し、これまでのモニタリング調査で検出されているものもある。我が国において実際に内分泌攪乱による影響を生じたと考えられる例としては、巻き貝(イボニシ)の雄性化が報告されている。
 ・ 世界的には、生態影響については、米国フロリダ州における化学物質流出事故によると考えられるワニの生殖器の奇形や野生生物の脱雄性化や脱雌性化等様々な例が報告されている。
 ・ 人の健康影響については、ホルモン薬による膣がんの誘導等の例が報告されているが、環境中の内分泌攪乱化学物質の影響を示すと考えられる一般住民における精子数の減少や乳がんの増加などについては諸説があり、結論に至っていない。

(2)内分泌攪乱化学物質問題の考え方
 ・ 化学物質の内分泌攪乱影響については、農薬などにおいて繁殖試験などが行われている以外には国内でのデータは乏しく、また、これまでに行われた内分泌攪乱という観点からの調査研究もきわめて限られている。
 ・ 内分泌攪乱化学物質は、世代を越えて影響を及ぼすことが懸念されており、次世代への影響を含めて検討される必要があることから、長期的な視点が必要である。
 ・ ホルモンの種類は数多く、内分泌系への影響も多様であり、また、胎児期や乳児期などには影響を受けやすいなど様々な要因を考慮した調査研究が必要である。
 ・ 人工の化学物質以外に食品などに含まれる植物由来のホルモン様化学物質(Phyto-estrogen)があり、これらは生体固有のホルモンの合成、代謝に影響を及ぼすことが知られていることから、これらと外因性の内分泌攪乱化学物質との関係についても検討する必要がある。

(3)今後の課題
  これまでに得られている知見からは、一般生活において内分泌攪乱化学物質が人に影響を及ぼしているか否かを判断することは困難であり、今後一層の調査研究の推進が必要である。
 {1}実態調査
 環境モニタリングの充実や野生生物の影響調査を行うとともに、人の健康影響調査についても検討する必要がある。
 {2}研究解明
  内分泌攪乱化学物質については、作用メカニズムの解明などを目指した研究が必要である。また、内分泌攪乱化学物質についてのリスク評価やスクリーニング手法を含めた試験法を検討する必要がある。
 {3}研究情報
  内分泌攪乱化学物質については、国内外にわたる研究情報交換の仕組みが必要である。具体的には、国際的研究目録(インベントリー)の充実や、国内においては研究者間の連携のためのワークショップの開催、学際的な共同研究が必要である。

3 今後の予定
 環境庁としては、本中間報告をふまえ、我が国における内分泌攪乱化学物質に関する今後の調査研究体制などについて検討することとしている。

添付資料

連絡先
環境庁企画調整局環境保健部環境安全課
課 長 中島 正治(内6350)
 専門官 椎葉 茂樹(内6352)

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