報道発表資料

平成19年8月3日
自然環境
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哺乳類、汽水・淡水魚類、昆虫類、貝類、植物I及び植物IIのレッドリストの見直しについて

 環境省では、平成14年度よりレッドリスト(絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト)の見直し作業を進めてきました。今般、哺乳類、汽水・淡水魚類、昆虫類、貝類、植物I(維管束植物)及び植物II(維管束植物以外)について、新たなレッドリストを取りまとめましたので公表します。

<絶滅のおそれのある種としてレッドリストに掲載された種数の表>
各分類群 旧リスト 新リスト
哺乳類レッドリスト 48種 42種 別添資料1
汽水・淡水魚類レッドリスト 76種 144種 別添資料2
昆虫類レッドリスト 171種 239種 別添資料3
貝類レッドリスト 251種 377種 別添資料4
植物Iレッドリスト 1665種 1690種 別添資料5
植物IIレッドリスト 329種 463種 別添資料6
(6分類群のレッドリスト合計) 2540種 2955種

 今回公表の6分類群と平成18年12月に公表済みの4分類群と併せ、全10分類群の見直し作業が終了したことになります。
 これにより、絶滅のおそれのある種としてレッドリストに掲載された種数は、全10分類群合計で2694種(旧リスト)から3155種(新リスト)となりました。
 環境省としては、新リストの周知に努めるとともに、必要な保護対策を検討することとしています。

1 環境省版レッドリストについて

 環境省版レッドリスト(絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト)とは、日本に生息又は生育する野生生物について、生物学的観点から個々の種の絶滅の危険度を評価し、絶滅のおそれのある種を選定し、リストにまとめたものである。
 動物では、[1]哺乳類 [2]鳥類 [3]爬虫類 [4]両生類 [5]汽水・淡水魚類 [6]昆虫類 [7]貝類 [8]その他無脊椎動物(クモ形類、甲殻類等)の分類群ごとに、植物では、[9]植物I(維管束植物)及び [10]植物II(維管束植物以外:蘚苔類、藻類、地衣類、菌類)の分類群ごとに作成している。
 評価対象種の基本的な条件は別添資料7に、見直しの経緯や検討体制は別添資料8に、またレッドリストカテゴリーの詳細な定義は別添資料9に示すとおりである。

2 哺乳類レッドリストについて

 対象となる種の生息状況等を評価した結果、哺乳類の新しいレッドリストを別添資料1のとおり取りまとめた。レッドリスト掲載種の新旧のランクの対照表は別添資料10のとおり。
 また、レッドリストに掲げられた種数(亜種を含む)は表1のとおり。

哺乳類レッドリスト見直しで明らかになった点

[1]
絶滅のおそれのある種の総数は前回の平成10年公表(平成14年一部変更)のレッドリストでは48種であったが、今回42種となった。
[2]
コウモリ類については、情報の集積が進んだこと等から大幅な変更を行った。評価対象とした46種のうち、4種のランクが上がり、13種のランクが下がった(ランクが下がったもののうち8種はランク外)。オリイコキクガシラコウモリ、イリオモテコキクガシラコウモリ等が絶滅危惧II類から絶滅危惧IB類となる等ランクが上がる種がある一方、これまで絶滅危惧IB類としていたヒメホオヒゲコウモリ、ヒメホリカワコウモリはランク外と判定した。
[3]
イリオモテヤマネコについては、減少傾向が見られることから絶滅危惧IB類からIA類とした。ジュゴンについては、今回新たに評価を行い、絶滅危惧IA類と判定した。
[4]
ヤクシマザルは増加傾向にあることから、準絶滅危惧からランク外とした。また、地域個体群として掲載していたホンドザルの下北個体群についても増加傾向にあること等からランク外とした。
[5]
トゲネズミ類については、これまでアマミトゲネズミと同種とされてきた徳之島のものが新種記載されトクノシマトゲネズミとされた。そのため新たに評価し絶滅危惧IB類と判定した(アマミトゲネズミもこれまでと同様に絶滅危惧IB類)。

3 汽水・淡水魚類レッドリストについて

 対象となる種の生息状況等を評価した結果、汽水・淡水魚類の新しいレッドリストを別添資料2のとおり取りまとめた。レッドリスト掲載種の新旧のランクの対照表は別添資料11のとおり。
 なお、レッドリストに掲げられた種数(亜種を含む)は表2のとおり。

汽水・淡水魚類レッドリスト見直しで明らかになった点

[1]
これまでリュウキュウアユ等一部の魚類だけを評価対象としていたが、今回カワボラ等の南西諸島の種について、全面的な評価を新たに行った(評価対象種は約300種から、約400種に増加)。加えて、これまでの評価対象種についても、多くの種で生息状況の悪化が見られた結果、絶滅のおそれのある種の総数は前回の平成11年公表のレッドリストでの76種から増加し、今回144種となった。
[2]
田園地帯を生息地とする多くの種が、より上位のランクへ移行していた。特に、ゼニタナゴ、イチモンジタナゴ等のタナゴ類の多くの種に絶滅のおそれがあり、深刻な状態にあることが明らかとなった。
[3]
琵琶湖のニゴロブナ、ゲンゴロウブナが、ランク外から各々絶滅危惧IB類となった。ニゴロブナ等のランクが上がった背景にはオオクチバス等の外来種の影響があると考えられる。また、アカメが準絶滅危惧種から絶滅危惧IB類となった。
[4]
メダカについては、分類の見直しに伴い北日本集団と南日本集団に分割されたことから、新たに各々について評価した(ランクはこれまでと同様に、各々絶滅危惧II類)。ドジョウ類等についても、新たな知見に基づき分類単位の変更が行われたことから、それらの知見を踏まえ評価を行った。
[5]
チョウザメはこれまで評価の対象とされていなかったが、我が国にも在来の個体群がかつて存在していたことから、新たに日本産の種として評価をし、絶滅種として加えた。

4 昆虫類レッドリストについて

 対象となる種の生息状況等を評価した結果、新しい昆虫類のレッドリストを別添資料3のとおり取りまとめた。レッドリスト掲載種の新旧のランクの対照表は別添資料12のとおり。
 なお、レッドリストに掲げられた種数(亜種を含む)は表3のとおり。

昆虫類レッドリスト見直しで明らかになった点

[1]
絶滅のおそれのある種の総数は前回の平成12年公表(平成18年一部変更)のレッドリストでは171種であったが、今回239種となった。特に、コウチュウ目で絶滅のおそれのある種が38種増加した。
[2]
小笠原諸島、南西諸島等の島嶼部の昆虫類の深刻な状況が明らかになった。特に小笠原諸島のオガサワラムツボシタマムシ母島亜種等のコウチュウ目の多くはランクが上がった。これはグリーンアノール等の外来種の影響が大きい。
[3]
オオイチモンジシマゲンゴロウ等のゲンゴロウ類(コウチュウ目)についてもランクが上がった種が多い。これらの原因として、生息環境の悪化や捕獲による影響が指摘された。
[4]
神奈川県を基準産地とするキイロネクイハムシ1種が新たに絶滅種とされ、昆虫類の絶滅種は3種となった。

5 貝類レッドリストについて

 対象となる種の生息状況等を評価した結果、新しい貝類のレッドリストを別添資料4のとおり取りまとめた。レッドリスト掲載種の新旧のランクの対照表は別添資料13のとおり。
 なお、レッドリストに掲げられた種数(亜種を含む)は表4のとおり。

貝類レッドリスト見直しで明らかになった点

[1]
これまで淡水及び陸生の貝類のみを対象に評価を行ってきたが、今回は河口域等の汽水域の貝類も新たに評価した(約100種を新たに評価)。絶滅のおそれのある種の総数は前回の平成12年公表のレッドリストでは251種であったが、今回377種となった。
[2]
小笠原諸島の固有種でこれまで絶滅種とされていたヨシワラヤマキサゴ及びカドエンザガイが再発見されたことから絶滅危惧I類として評価した。
[3]
河口域の干潟の種が今回新たに評価されたが、オカミミガイ科のカドバリコミミガイ等の多くの種がリストアップされた。また、カタツムリの仲間であるニッポンマイマイ(ナンバンマイマイ)科の生息状況の悪化が示唆された。
[4]
従来1種と考えられていたカワシンジュガイが2種に分かれ、新種コガタカワシンジュガイは絶滅危惧I類とされた。(カワシンジュガイはこれまでと同様に絶滅危惧II類)

6 植物I(維管束植物)レッドリストについて

 対象となる種の生育状況等を評価した結果、植物I(維管束植物)の新しいレッドリストを別添資料5のとおり取りまとめた。レッドリスト掲載種の新旧のランクの対照表は別添資料14のとおり。  なお、レッドリストに掲げられた種数(亜種を含む)は表5のとおり。

植物Iレッドリスト見直しで明らかになった点

[1]
絶滅のおそれのある種の総数は前回の平成9年公表(平成12年一部変更)のレッドリストでは1665種であったが、今回は1690種となり、総数では大きな変化がなかった。改訂前リストで絶滅のおそれのある種とされていたもののうち、174種は準絶滅危惧、情報不足又はランク外と判定された。逆に、新たにランク外、情報不足又は準絶滅危惧から今回絶滅のおそれがあると判定した種数は211種あった。
[2]
個別の種でみると絶滅危惧IA類及び絶滅危惧IB類の種は、ランクが下がる傾向、絶滅危惧II類の種はランクが上がる傾向が見られた。また、前回に情報不足だった種や新たに調査対象とした追加種の多くは絶滅のおそれがある種だった。
[3]
保全のための努力が払われた結果、絶滅の危険性が下がり、ランクが下がった種があった。例えば、アサザ、サクラソウ、シバナ、サギソウなどは準絶滅危惧と判定された。これらの種の野生個体群は保全対策の下で維持されている場合が多く、それらの保全対策の継続が必要である。
[4]
リストから除外される種、ランクが下がる種には比較的広く名前が知られた種が多く、[3]で示したように、保全の努力が進んだこと、とりわけ絶滅危惧種に関する一般の関心が浸透しつつあることが示唆される。一方、調査の精度が上がることによって、新たにリストに掲載される種が見られ、ランクが上がる種もあり、依然として絶滅のおそれのある種に指標される我が国の生物多様性の現状は厳しいと言える。
[5]
新たに絶滅もしくは野生絶滅と判定された種が19種あった。コバヤシカナワラビ以外は1980年代以前に絶滅したと推定される。絶滅原因は園芸採取、開発が多いが、絶滅原因が不明な種も多い。一方、これまで絶滅種とされていたが、今回、野生個体群が再発見された種が2種あった(リュウキュウヒメハギ、オオユリワサビ)。
[6]
絶滅または未発見しか報告がなく、ほぼ絶滅状態と推定される絶滅危惧IA類の種が19種ある。この内、1990年代以降に既知の個体群が絶滅した種が少なくとも5種ある(ヒメヨウラクヒバ、ヒナカンアオイ、テリハオリヅルスミレ、イナコゴメグサ、オオスズムシラン)。
[7]
シカの食害により、屋久島の他西日本を中心とした地域で、ヤクシマタニイヌワラビ、キレンゲショウマをはじめとする多くの種が影響を受けていることが明らかになった。
[8]
フクジュソウ、キスミレ、クロヤツシロランは新たなデータを基に見直した結果、ランク外とした。

7 植物II(維管束植物以外)レッドリストについて

 対象となる種の生息状況等を評価した結果、新しい植物II(維管束植物以外)のレッドリストを別添資料6のとおり取りまとめた。レッドリスト掲載種の新旧のランクの対照表は別添資料15のとおり。
 なお、レッドリストに掲げられた種数(亜種を含む)は表6のとおり。

植物IIレッドリスト見直しで明らかになった点

[1]
絶滅のおそれのある種の総数は前回の平成9年公表(平成12年一部変更)のレッドリストでは329種であったが、今回の見直しでは、これまで対象としていなかった生葉上苔類等を新たに対象とした他、固着地衣類等をより詳細に検討したこと等から463種となった。
[2]
蘚苔類では、絶滅のおそれのある種が180種から229種に増加した。これは、情報の集積が進んだことと生葉上苔類等について新たに評価を行ったことによる。また、ヒカリゼニゴケの既知産地の消失が確認され、最近おこなった詳細な調査でも、生育が確認できなかったことから絶滅と判断した。
[3]
藻類については、絶滅のおそれのある種が41種から110種となった。特に、湖沼、ため池等に生育するシャジクモ類の深刻な状況が明らかになった。
[4]
地衣類については、これまでのリストは比較的大型のものについて評価を行ってきたが、今回は中型以下のものについても新たに詳細な評価を行った。その結果、絶滅のおそれのある種数が45種から60種に増加した。
[5]
菌類では、松林に限定して出てくる種や、自然の砂浜にしか出ない種等を含め、より詳細な検討を行った結果、掲載種が増加した。

8 今後の対応

 環境省では、レッドリストについて広く普及を図ることで、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存への国民の理解を深めるとともに、関係省庁や地方公共団体等に配布することにより各種計画における配慮等を促す予定である。
 また、レッドリストの掲載種の中で特に保護の優先度が高い種については、更に生息状況等に関する詳細な調査の実施等により情報収集を行い、その結果及び生息・生育地域の自然的・社会的状況に応じて「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」に基づく国内希少野生動植物種に指定する等、必要な保護措置を検討する。

9 レッドリストの入手方法

以下の何れかの方法で入手可能である。
[1]
環境省自然環境局野生生物課で直接配布。
[2]
環境省ホームページよりダウンロード。
[3]
返送用封筒(A4版、切手240円分を貼り宛先を予め記入)を同封し、下記に送付。
〒100-8975
東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館
環境省自然環境局野生生物課 保護増殖係 宛

添付資料

連絡先
環境省自然環境局野生生物課
 課長:星野 一昭(6460)
 課長補佐:西山 理行(6475)
 専門官:北橋 義明(6464)
 係長:中島 治美(6469)
 直通:(03) 5521-8283

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