報道発表資料

平成19年3月8日
地球環境
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地球温暖化と感染症に係る影響に関する懇談会「地球温暖化と感染症〜いま何がわかっているのか?〜」パンフレットの作成について

 環境省では、地球温暖化により、感染症を媒介する動物の分布域が広がるなど、温暖化と感染症の関係が指摘されていることを踏まえ、こうした知見を広く国民に提供し、関心を高めることにより、感染症を予防するとともに、温暖化問題への取組を促進するため、「地球温暖化と感染症〜いま、何がわかっているのか?〜」パンフレットを作成しました。
 パンフレットの作成にあたっては、昨年度開催した「地球温暖化の感染症に係る影響に関する懇談会」メンバーの全面的な協力を得ました。

 懇談会の座長を務めていただいた、
 国立感染症研究所の倉根一郎 ウィルス第一部部長より、次のコメントをいただきました。
 「温暖化の進行に伴い、日本においてもデング熱を媒介する蚊の生息域が拡大するなど感染症のリスクが高まります。感染症の流行は、居住環境や公衆衛生など複数の要因によるので、温暖化すれば直ちに大規模な流行が起こるということではありませんが、私たちは、高まるリスクに備えて社会全体として注意を払うとともに、今後、一層の調査研究を進めていく必要があります。」

1.パンフレットのポイント(別紙1参照)

一般的に次のような条件があると、感染症にかかりやすくなる。
  • 病原体が人の体に侵入する数や機会が多い
  • 病原体を媒介する生物が多い
  • 病原体が進入しやすい居住空間や生活様式である
  • 公衆衛生状態がよくない
温暖化の進展により、日本脳炎、デング熱などを媒介する蚊など、媒介動物の分布が北方に拡大するとともに、個体数が増加する可能性がある。
コレラのように汚染された水が原因となる水媒介性感染症は、特に上下水道の設備が不十分な途上国を中心として、温暖化が進むと水温が上がり、汚染の原因となる菌が増加し、悪影響が大きくなることが懸念される。
すでに、人を刺したり噛んだり、感染症を媒介するなどの“衛生害虫”の生息域が拡大していることが確認されている。例えば、強い毒を持つセアカゴケグモやどう猛なオオミツバチなど、海外から進入し、冬期の低温に弱いと言われる生物の分布が北上している。
日本には侵入していないものの、世界各地で見られる感染症のうち、温暖化との関連の可能性が示唆されているものは次のとおり。
  • アフリカのリフトバレー熱は、蚊が媒介生物となるが、温暖化による雨量の増加により、蚊も増加し、人への感染の可能性も増加。
  • アメリカ大陸のハンタウィルス肺炎症候群は、ネズミが媒介生物となるが、温暖化による雨量の増加により、ネズミの餌が増加し、ネズミの数が増加。これにより人への感染の可能性も増加。
  • コレラ菌は海水中のプランクトンと共生している。海水温が上昇し、プランクトンが増殖すると、コレラ菌も増加することが予測される。
日本での影響が懸念されるものは次のとおり。
  • 日本近海で、下痢や皮膚疾患などを起こすビブリオ・バルフィニカスという菌が検出される地域が、近年北上している。
  • デング熱を媒介するヒトスジシマカの分布域が年々北上している。
日本においては、マラリアやデング熱といった感染症が、温暖化の進展によって、ただちに大規模な流行を起こすとか、感染するというものではありませんが、温暖化がもたらす媒介生物の分布域の拡大などにより、感染リスクが高まることが考えられます。

2.環境省 地球温暖化の感染症に係る影響に関する懇談会 メンバー

 懇談会委員は以下のとおり(敬称略、50音順)。
伊藤孝子  全国養護教諭連絡協議会副会長
岩本愛吉  東京大学医科学研究所附属病院病院長
大日康史  国立感染症研究所感染症情報センター主任研究官
兜 真徳  国立環境研究所環境健康研究領域上級主席研究員(故人)
 (座長)○ 倉根一郎  国立感染症研究所ウイルス第一部部長
川瀬 充  社団法人 愛知県ペストコントロール協会副会長
小林睦生  国立感染症研究所昆虫医科学部部長
原沢英夫  国立環境研究所社会環境システム研究領域長
武藤敦彦  財団法人 日本環境衛生センター東日本支局環境生物部次長
渡邉治雄  国立感染症研究所副所長

3.パンフレットの入手方法

 このパンフレットは、環境省ホームページ http://www.env.go.jp/earth/ondanka/knowledge.html から、ダウンロードできます。

添付資料

連絡先
環境省地球環境局総務課研究調査室
室長:塚本 直也(内線6730)
 室長補佐:名倉 良雄(内線6731)
 主査:平野 礼朗(内線6733)

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