報道発表資料

平成19年2月13日
大気環境
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「光害対策ガイドライン(改訂版)」の策定について

環境省では、平成10年に「光害(ひかりがい)対策ガイドライン」を策定し、光害対策への意識高揚と防止効果をもたらしてきたところです。
 しかし、ガイドライン策定後の8年の経過のなかで、光害防止に対する社会的要請の度合いは高まるとともに、光害に対する認識も多様化しつつあり、特に、光害防止を通じての地球温暖化防止対策も重要となってきました。
 一方で、照明に関しての学術的な国際機関であるCIE(国際照明委員会)から新たに「屋外照明による障害光抑制ガイド(2003)」が公表されるなど国際的にその動きが加速しています。
 これらのことを踏まえ、光害の定義を見直し、現状の光害を取り巻く国内外の動向を反映させるとともに、地域の目的に沿った豊かで快適な新しい光環境を創造することを目的に「光害対策ガイドライン」の改訂を行いました。

1.改正の経緯

 本ガイドラインは、「環境の街作り検討会光部会」において、以下の委員により検討・策定されたものである。
 当該検討会は、平成18年9月13日に第1回、10月18日に第2回、11月22日に第3回の検討を行い、「光害対策ガイドライン(改訂版)」として検討結果を取りまとめた。

環境の街作り検討会光部会 名簿(50音順、敬称略)
座長 成定 康平 元中京大学 教授
川上 幸二 岩崎電気株式会社技術開発室技術部長
近田 玲子 株式会社近田玲子デザイン事務所 代表取締役
別府 秀紀 松下電工株式会社施設・屋外照明事業部 屋外照明商品部 屋外商品企画チーム主担当
渡部 潤一 大学共同利用機構法人自然科学研究機構 国立天文台天文情報センター広報室長

2.光害対策ガイドライン改訂概要

 新しいガイドラインは、従来のガイドラインの基本的な考えを踏襲しつつ、光害対策の目的が「人間活動のみならず、動植物等自然生態系にとっても、好ましい光環境の形成」であることをより明確にし、これを達成するために、人びとに具体的にどのような配慮が必要かを、これまで以上に分かり易くなるよう改定したものである。
 以下に主な改定の概要を紹介する。

(1)用語と定義の修正

光害の定義を以下のとおり修正した。

【旧光害対策ガイドライン】
 良好な「照明環境」の形成が、漏れ光によって阻害されている状況又はそれによる悪影響を「光(ひかり)害」と定義する。狭義には障害光による悪影響をさす。
【光害対策ガイドライン(平成18年12月改訂版)】
 光害(ひかりがい)とは、良好な「光環境」の形成が、人工光の不適切あるいは配慮に欠けた使用や運用、漏れ光によって阻害されている状況、またはそれによる悪影響と定義する。
 『光環境』を人工的な光放射のみならず、自然界に存在する光放射を含んだ"光放射の存在している環境"、『照明環境』を光環境の中で"特にある目的を達成するために構築される人工的な光環境"と使い分け、その上で『良い照明環境』とは、"人工光によって造られる光環境のうち、周囲の状況(社会的状況及び自然環境)に基づいた適切な目的の設定と技術により、安全性、効率性、快適性の確保と同時に、景観や周辺環境への配慮が十分なされている環境"と改めた。
(2)策定目的の明確化
 ガイドライン策定の主旨に変更はないが、上記の『光環境』と『照明環境』の用語の使い分けを行うことにより、ガイドライン策定目的をより分かり易く記述した。
 すなわち、本ガイドラインは「良好な光環境の形成」を目的に人工照明設備のあり方を示すものであり、各地域に残されている良好な光環境を保全しつつ、地域の目的の沿った豊かで快適な新しい光環境の創造を目指すものとしている。その上で、人工照明(照明設備)の計画に際して、関係者に次の3点を考慮するよう求めるものとなっている。
[1]
エネルギーの有効利用
[2]
人間諸活動への影響
[3]
動植物(自然生態系)への影響
(3)屋外照明等のガイド

 旧ガイドラインの「3.地域特性に応じた照明環境について」「4.ガイドラインにおける照明関係者」等を、改訂版では「2.屋外照明などのガイド」の中にまとめ、旧「6-2 街路照明器具のガイド」を新「2-1屋外照明設備のガイド」に改め、屋外照明全体に適用できるように改訂した。

 特に、2-1-5「推奨性能項目」として、(1)総合効率、(2)照明率、(3)上方光束比、(4)グレアおよび人間活動への影響、(5)動植物への影響、(6)照明の時間設計の6項目を掲げ、上方光束比については以下になることを推奨している。

照明環境類型上方光束比
[1] 照明環境I 0%
[2] 照明環境II 5%以下
[3] 照明環境III 15%以下
[4] 照明環境IV 20%以下
(4)その他

 「屋外照明等設備チェックリスト」は、大幅に改訂を行った。
 改訂版では、チェックの手順が「基本計画でのチェック、実施設計でのチェック、施工後のチェック」と実際の計画に沿った流れで示されている。解説には、チェックリストの表が整備され、照明技術特性(照度、光度、上方光束比、輝度)の計算法や測定法も追加している。また、光や照明に関する専門知識がある人を検討体制に加えることなどをチェックリストに示した。

 「3.地域の目的に沿った光環境の創造」は、新たに追加した項目である。
 これは、各地域における照明環境の設計は、そこにある良好な光環境を保全しつつ、地域の目的に沿った豊かで快適な新しい光環境を創造するように行なうことが望ましいとするもので、(1)良好な光環境の保全、(2)伝統の光を生かす、(3)新しい光環境の創造、(4)良い人工照明設備への誘導、(5)光の時間設計の5つ考え方を追加した。
 照明の目的が、各地域で行なわれる活動・行為の性格等によって多様なものが考えられ、良い照明環境もそれぞれ異なったものになると想定されるからである。

3.今後の展開

(1)地方自治体等への普及
 地方公共団体の職員の良好な光環境作りについての理解を深めるために、地方公共団体への講習等の機会を設けるとともに、地方公共団体により、一層広範な普及啓発を進める。
(2)事業者等への普及
 事業者への光環境に係る情報普及の機会を検討する必要がある。また、事業者を通じた一般ユーザーへの広範な普及啓発を計る。
(3)市民等への普及
 過去に作成した光害対策ガイドラインは、必ずしも市民には十分認知されていない実態がある。市民に対して分かり易く説明する(パンフレット等)を作成する。
(4)ガイドラインの見直し等
 ガイドラインの内容は、照明関連技術の向上等に基づき見直されるべきものである。各種学会・業界等との協力体制を確立しつつ、専門的な検討を行い、逐次ガイドラインを見直し、その充実を図っていくこととする。

添付資料

連絡先
環境省水・大気環境局大気環境課大気生活環境室
(直通 03-5521-8299)
(代表 03-3581-3351)
 室長 内藤 克彦(内線6540)
 補佐 波多野 実(内線6541)
 担当 島田 佳代子(内線6544)

関連情報

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