報道発表資料

平成18年9月12日
地球環境
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第16回地球温暖化アジア太平洋地域セミナー(The Sixteenth Asia-Pacific Seminar on Climate Change)結果について

 環境省は、インドネシア環境省、オーストラリアン・グリーンハウス・オフィス(AGO)、及び社団法人海外環境協力センター(OECC)との共催により、9月5日(火)から8日(金)にかけてジャカルタ(インドネシア)で「第16回地球温暖化アジア太平洋地域セミナー」を開催しました。
 今回のセミナーでは、21か国・20機関から、約60名の行政官や専門家の出席を得て、アジア太平洋地域における気候変動と開発政策の連携・統合の視点から、「気候系に優しく気候変動の影響に強い社会の構築に向けたアジア・太平洋地域のアプローチ」をテーマに、クリーン開発メカニズム(CDM)、気候変動への適応策、教育・訓練・普及啓発、気候変動への取組がもたらす共通便益等について、多彩な発表と活発な意見交換が行われ、当分野における各国の理解が深められました。
 なお、本セミナーの成果は、本年12月にジョグジャカルタ(インドネシア)で行われる「ベター・エア・クオリティ・アジア(BAQ)2006」等の国際会議でも報告される予定。

1.開催日時・場所

平成18年9月5日(火)〜8日(金)

2.実施主体

主催 :
環境省、インドネシア環境省、オーストラリアン・グリーンハウス・オフィス(AGO)、社団法人海外環境協力センター(OECC)

3.参加者

主としてアジア太平洋地域諸国の各国政府及び国際機関等の代表者 約60名

  • 参加国(21か国):
    オーストラリア、ブータン、カンボジア、カナダ、中国、インドネシア、日本、ラオス、マレーシア、モルディブ、ミクロネシア、モンゴル、フィリピンア、韓国、サモア、シンガポール、タイ、ツバル、米国、ウズベキスタン、ベトナム
  • 国連及びその他の国際機関並びに政府機関等(20機関):
    国連開発計画(UNDP)、国連アジア太平洋経済協力社会委員会(UNESCAP)、国連気候変動枠組条約事務局(UNFCCC)、国連工業開発機構(UNIDO)、米国国際開発庁(USAID)、アジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)、アジア開発銀行クリーン・エア・イニシアティブ・アジア(CAI−Asia)、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)、韓国環境研究所(KEI)、国立環境研究所(NIES)、地球環境戦略期間(IGES)、マニラ気象局、森林研究所(CIFOR)アジア・カーボン・インターナショナル、ボゴール大学、カーボンファイナンスソリューション(CaFiS)、バギオ市(インドネシア)、スラバヤ市(インドネシア)、ペランギ(PELANGI)、その他機関等
  • 日本からは、環境省の水野理国際対策室長他が参加。また、インドネシアからは、ウィトラー環境大臣やヒルマン環境副大臣他が参加。
  • 議長は、地球環境戦略研究機関(IGES)上級コンサルタントの平石尹彦氏が務めた。

4.会議の主な成果

 アジア太平洋地域では、地球温暖化問題に対処するために、さまざま努力がなされてきた。環境省でも、各国と協力してこれまでに本セミナーを15回開催し、アジア太平洋地域における地球温暖化問題に関する知見・経験の交流、信頼の醸成及び取組の強化を支援してきた。
 本セミナーは、域内諸国における地球温暖化問題と持続可能な開発に関する情報、経験及び意見の交換を行うとともに、地域内での取組や協力を促進することを目的としており、今回のセミナーでは、以下のポイントが主要な成果として、議長サマリーにとりまとめられた。

[1]開発の取組に対して気候変動政策がもたらす影響について

  • 気候変動及び開発への取組は、世界・地域・国家・地方自治体レベルの各階層で法・政策・施策を通じて実施されており、開発活動の各レベルで気候変動問題への配慮が統合されることが重要である。また、開発援助機関がこれらを統合した形での支援を強化しつつあることが注目される。
  • 開発問題がとりわけ重要であるアジア太平洋地域諸国においては、環境担当の省庁のみならず、開発計画を担当する省庁が気候変動問題への取組に積極的に関与することが期待される。また、気候変動に配慮した持続可能な開発を実現させるためには、その実現すべき社会像についてより具体的な長期的展望を持ち、それに必要となる個々の政策・施策を包括的な形で進めることが必要である。
  • 気候変動および開発の取組を進める上で、各国はそれぞれ固有の基準・手続を有しており、これらの調整・連携が大きな課題となっている。開発活動に気候変動の緩和・適応を統合するためには、地方自治体レベルでの連携が効果的である。

[2]クリーン開発メカニズム(CDM)

  • 国際制度が構築されて間もない初期段階と比較すれば、アジア太平洋地域でのCDMは極めて大きな広がりを見せているものの、指定国家機関(DNA)に期待される機能の拡大や、セクター毎のプロジェクト数の不均衡等、課題も残されている。
  • 一般的に、持続可能な開発により大きく資するプロジェクトは、コスト等の面で実施へのハードルが高く、これらを段階的に解消することがCDMを開発促進に有効に活用する方法として重要である。とりわけ、省エネ等の二酸化炭素(CO)排出削減プロジェクトの増加が期待されており、多国間及び二国間援助機関やNGO等の取組が拡大されつつある。

[3]気候変動に対する適応

  • 気候変動への適応と緩和への取組はバランスをとりながら進めていく必要がある。
  • 気候変動に対する適応は、中・長期的な開発計画へ統合しつつ、同時に速やかに取組を進めていくことが重要であるが、現状においてはこれらの時間的スパンが異なっていることが効果的な政策実現の主要な障害となっている。また、適応のための能力向上が必要であり、政府・民間機関等の社会の各主体の活動を調整する中間的な機関(NGO、研究機関等)の役割が重要となってきている。
  • 適応のための資金の効果的・効率的な調達・活用が重要であるが、金融部門のノウハウに基づいた市場メカニズムの活用の提案が行われた。また気候変動による災害とその他の災害を区別するための指標の開発も有効な手段であると指摘する声もあった。

[4]教育・訓練・普及啓発

  • 気候変動問題に関する普及啓発は、社会の各層のターゲットを絞り込んだ形で行うことが効果的な活動の鍵であり、各国において社会経済状況が異なっていても方法論の共有が十分に可能である。
  • 国連気候変動枠組条約で開発された条約第6条(教育・訓練・普及啓発)に関するクリアリング・ハウスは、効果的な運営が可能なボリュームを確保しながら、より多くの情報が登録されることが期待されている。また、第15回セミナーおよび条約第6条に関するアジア太平洋地域ワークショップ(2005年開催)の結果を踏まえ、地球温暖化アジア太平洋地域ネットワーク(AP−Net)では、各国の取組が掲載できるウェブページが新規に作成され、参加国による活用が可能となっている。
  • インターネットを活用した教育・訓練・普及啓発活動は今後も進められるべきであるが、その一方でアジア太平洋地域ではデジタル・ディバイドも依然として問題として残されており、他の手段と併用した形で活用することが望ましい。

[5]気候変動への取組がもたらす共通便益

  • 第16回セミナーの特別テーマとして共通便益(コ・ベネフィッツ)を取り上げ、地域において気候変動への取組を進める重要な政策ツールとして焦点をあてた。共通便益として期待される主要な効果は、大気・水質汚染、健康被害の改善等が挙げられており、地域の社会・経済開発問題の改善に大きく資すると認識された。
  • セミナーにおいては米国環境保護庁(EPA)の開発した、環境統合プログラムの政策ツールを活用した体験型トレーニング・セッションを設けた。この結果、政策決定者に対してより明確な形で便益を提示することが重要であると共に、政策の実施段階においては、対処すべき問題の多面的・複雑な性質についても考慮を行うことが必要であるとの認識が強調された。
  • 気候変動への取組がもたらす共通便益に関する議論については、2006年12月に開催される「ベター・エア・クオリティ・アジア(BAQ)2006」を含むフォーラムに対するインプットとして活用されることとなった。

[6]気候系に優しく気候変動の影響に強い社会の構築に向けて

  • アジア太平洋地域における気候変動への取組として、政策立案の支援を行う本セミナーのほか、温室効果ガス目録の作成、科学分野の研究支援、社会開発分野等のネットワーク活動との協働等が幅広い活動行われている。
  • 気候変動の不確実性は、引き続き政策の実施上の課題となっているが、その対処の一環として科学研究の推進と科学的知見を政策分野へ反映させる努力が重要であり、気候変動政策の開発計画への統合を促進する大きな鍵となる。
  • 気候変動分野と並び地域の主要な優先課題事項として、貧困の撲滅や社会開発の促進、他の環境問題の改善等が挙げられるが、政策措置の調整・ネットワーク同士の協働など、今後戦略的な政策実施のために検討されるべき分野が指摘された。

添付資料

連絡先
環境省地球環境局地球温暖化対策課国際対策室
室長:水野 理(内線6772)
課長補佐:竹本 明生(内線6773)
担当:有光 由香(内線6789)

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