報道発表資料

平成11年1月8日 この記事を印刷

農薬生態影響評価検討会の中間報告について

我が国では、農薬の登録に当たり、人の健康の保護や生活環境の保全の観点から農薬取締法に基づき、作物残留性、土壌残留性、水質汚濁性、水産動植物への毒性について厳格な評価基準を設定してきた。しかしながら欧米諸国とは異なり、野生生物や生態系への影響(いわゆる「生態影響」)そのものは対象としていない。
 このため、平成10年2月に「農薬生態影響評価検討会」(座長:須藤隆一 東北大学教授)が設置され、農薬の生態影響評価のあり方について技術的な検討が行われてきた。今般、本検討会において農薬の生態影響評価の基本的な考え方について中間的な取りまとめが行われた。
 なお、今後、さらに施策の具体化に向けた検討が行われる予定である。
[1].概要

 本検討会では、生態系や生態影響に関する考え方を整理するとともに、農薬の生態影響評価をめぐる我が国の現状と課題や欧米諸国等の生態影響評価手法に関する調査結果の検 討を踏まえ、農薬の生態影響評価の基本的な考え方を中間報告として取りまとめた。そのポイントは以下のとおりである。

  1. 具体的な評価方法については、生態系を構成する野生生物種の中から複数の代表的な生物種を選び、その生物種に対する個々の農薬の毒性と、農薬散布の際に、野生生物が被 る推定曝露量(環境中予測濃度)とを理論的あるいは実証試験データを基に検討する。その上で、毒性と環境中予測濃度を比較した毒性曝露比(TER;Toxicity Exposure Ratio)を求め、リスク評価をする手法が妥当である。

  2. 農薬の生態影響評価の導入に当たっては、欧米各国の評価システムをそのまま導入するのでは不十分であり、我が国における自然条件や生態系の成立条件等(気候条件、地形 ・土地利用、農薬の地表流出、生息する生物の違いと多様性など)を十分踏まえた上で、日本型の農薬生態影響評価システムを確立する必要がある。
     特に、農薬の曝露量の推定に当たっての基礎となる環境モデルの設定や、代表的な生物種の選定に際しては、我が国の特性を適切に反映させることが重要である。

  3. 農薬の生態影響評価は、{1}農薬登録の際に行う、生態系を代表する生物種に対する影響の事前評価を基本とするが、それだけで完結するものではなく、{2}農薬登録後のモ ニタリング結果を農薬の再評価に反映(フィードバック)させる手法を組合せることが重要である。

[2].今後の課題

 今後、本検討会では、以下に挙げる課題につき具体的な検討を行う。

  1. 農薬の曝露量の推定における日本型の環境モデルの設定及び具体的な推定手法

  2. 生態系を代表する生物種を用いた生態毒性試験法を整備

  3. 毒性曝露比(TER)を比較する評価基準(生態影響の程度を示す指標)の設定

  4. 登録された農薬の生態影響のモニタリング手法を開発し、さらに、その結果を当該農薬の再評価に反映できるようなフィードバックシステムを検討


環境庁水質保全局 行政資料
「21世紀における我が国の農薬生態影響評価の方向について」

連絡先
環境庁水質保全局土壌農薬課
課長   西尾  健  (6650)
 課長補佐 有田 洋一  (6651)
 担当   上久保、西川 (6656)

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