報道発表資料

平成16年9月6日
地球環境
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平成14年度海洋環境モニタリング調査結果について

 環境省では、平成14年度海洋環境モニタリング調査結果を取りまとめました。この調査は、日本周辺海域の調査地点における陸域からの汚染による水質・底質への影響やプラスチック類漂流物の量、海洋生物に蓄積される汚染物質の濃度等について調査することにより、海洋の汚染状況を把握することを目的としています。
 東京湾沖及び富山湾沖を対象とした今回の調査では、従来のデータと比較して著しい海洋環境の変化は認められませんでしたが、海洋環境の経年的変化等を把握するため今後も継続して調査し、総合的な解析を実施していく予定です。

<調査結果の概要>

 環境省では、昭和50年度から平成6年度まで実施してきた「日本近海海洋汚染実態調査」で得られた調査結果を基礎としつつ、国連海洋法条約が我が国で発効したことを受け、従来の水質、底質等の調査に海洋生態系等を対象に加え調査内容を拡充した「海洋環境モニタリング調査」を平成10年度から実施している。海洋環境モニタリング調査では、日本周辺の海域を3〜5年で一巡するように調査計画を立てている。
 今回報告する調査結果は、東京湾沖及び富山湾沖で平成14年11月〜12月に試料を採取し、調査海域の水質、底質及び生体試料に関して、汚染物質等の分析を行った結果を取りまとめたものである。
 

【調査海域】

水質、底質、プラスチック類等
  東京湾沖(B測線)8点
富山湾沖(G測線)6点
図1 平成14年度海洋環境モニタリングの調査位置図
生体濃度
  4海域<親潮域(仙台湾等)、黒潮域(東京湾等)、東シナ海域(有明海等)、日本海域(富山湾等)>のムラサキイガイ等3〜5類
図2 平成14年度海洋環境モニタリング(生体濃度調査)の調査位置図

【調査結果の評価】

 今回の調査は、陸域起源の汚染原因が海洋環境にどのような影響を与えているかを把握することを主な目的としており、調査の結果から次のような状況にあると考えられた。

  1. 水質
     今回調査した項目のうち、海水中のカドミウム、鉛、総水銀、PCB、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素、ダイオキシン類の6項目については環境基準が設定されている。今回の調査結果とこれらの基準を比較すると、いずれも基準値以下となっていた(表−1参照)。
     なお、ポリ塩化ビフェニル(PCB)、ダイオキシン類及び炭化水素については陸域からの負荷の影響が示唆された。
    表−1
    測定項目 環境基準 測定結果
      最小値〜最大値(検体数)
    カドミウム 0.01 mg/L以下 0.0000047〜0.000086 mg/L(133)
    0.01 mg/L以下 0.000056〜0.00032 mg/L(133)
    総水銀 0.0005 mg/L以下 <0.0000003〜0.0000006 mg/L(133)
    PCB 検出されないこと(注2) 0.00000004〜0.00000022 mg/L(14)
    硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素 10 mg/L以下 0.0022〜0.60 mg/L(119)
    ダイオキシン類 1 pg-TEQ/L以下 0.00034〜0.015 pg-TEQ/L(14)
    注1:
    注2:
    環境基準の設定されている項目についての測定結果
    「検出されないこと」は定められた測定方法の定量限界を下回ることであり、ここでは、0.0005mg/L以下となる
    ○ポリ塩化ビフェニル(PCB)
     東京湾沖、富山湾沖ともに湾内では沖合に比べて高い値であった。

    ○ダイオキシン類及び炭化水素
     全般的に低い値であったが、東京湾沖では東京湾内で沖合に比べて高い濃度であった。ただし、富山湾沖においては全測点で同程度の低い値であった。
  2. 底質
     今回調査した項目のうち、堆積物中の水銀とPCBについては底質の暫定除去基準が、ダイオキシン類については環境基準が設定されている。今回の調査結果とこれらの基準とを比較すると、いずれも基準値以下となっていたと考えられる。(底質の水銀に関する暫定除去基準については、測線を引いた海域の沿岸の基準値を求めたものである。)(表−2参照)。
     なお、カドミウム、鉛等一部の重金属類やPCB、ダイオキシン類等については陸域からの負荷の影響が示唆された。
    表−2
    測定項目 環境基準又は暫定除去基準 測定結果
      最小値〜最大値(検体数)
    水銀 C(注4)(暫定除去基準) 0.016〜0.22 ppm(13)
    PCB 10 ppm(暫定除去基準) 0.00053〜0.057 ppm(13)
    ダイオキシン類 150 pg-TEQ/g以下(環境基準) 0.43〜34 pg-TEQ/g(13)
    注3:
    注4:
    環境基準あるいは暫定除去基準の設定されている項目についての測定結果
    C=0.18×(△H/J)×(1/S)(ppm)
    △H=平均潮差(m)、J=溶出率、S=安全率
    例えば、△H=1.0m(東京湾芝浦港)、0.13m(富山湾富山港)、J=5×10-4、S=100とすると、C=3.6ppm(東京湾)、0.47ppm(富山湾)となる。

    ○重金属類
     カドミウム、鉛については東京湾沖、富山湾沖ともに沿岸では沖合に比べて高い値であった。総水銀については東京湾沖では沿岸で沖合に比べて高い値であり、富山湾沖では沿岸から沖合まで同程度の低い値であった。

    ○PCB、ダイオキシン類、ベンゾ(a)ピレン
     東京湾沖、富山湾沖ともに沿岸では沖合に比べて高い値であった。

    ○有機スズ化合物
     東京湾沖においては、沿岸で沖合に比べて高い値であった。一方、富山湾沖においては、全ての測点で低い値となっていた。

    ○直鎖アルキルベンゼン及びコプロスタノール
     直鎖アルキルベンゼン及びコプロスタノールはそれぞれ下水及びし尿に含まれる物質であることから、これらによる海洋への影響を判断する指標として測定している。今回の調査結果では、全測点で検出された。沖合域における調査結果の値は、これまで投入処分海域で観測された値と同様のレベルであり、海洋投入処分の影響であるのか、陸域からの影響なのか、もともとのバックグラウンドレベルなのかについては判断できないため、今後もデータを収集した上で解析を進めることとする。

  3. 生体濃度 

    ムラサキイガイ、底生性サメ類、イカ類、タラ類については平成10〜14年度、甲殻類については平成12〜14年度の結果をまとめているが、これまでの結果からははっきりした経年変化が認められなかった。引き続き調査を続け、データを蓄積した上で解析を進めることとする。

  4. プラスチック類等調査

     プラスチック類等は、海面表層からネットで採取した。
     東京湾沖では、東京湾の外側に位置する測点(B−4)で最も多くの浮遊性プラスチック類が観測された。富山湾沖では、沿岸寄りの測点(G−1)で最も多く観測された。なお、両測線とも、前回同測線で調査した平成11年度に比べて平均量が少ない結果となったが、これは観測時に不具合があったためと考えられる。このため、今回の調査からは測点間の比較は可能であるが、漂流物の経年的な増減傾向を推察することはできなかった。

まとめ
 今回調査した海洋の汚染物質については、今後も陸域からの負荷が継続、増加する可能性があり、一方、拡散等により自然に減少していくことも考えられることから、今後の推移を推定することは難しく、引き続き、計画的に調査を行い、経年変化を把握することが重要であると考えられる。
 また、我が国の管轄権が及ぶ海域全般の環境を把握する観点からは、陸域起源の汚染だけでなく、船舶起源の海洋汚染の状況を把握することが必要と考えられる。
 特に陸域起源の廃棄物の海洋投入処分に関しては、先般、ロンドン条約96年議定書に対応するために「海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律」の一部改正が行われ、廃棄物の海洋投入処分が、平成19年5月までに許可制になるとともに、許可申請に当たって海洋環境への影響の評価を行うことが義務づけられることとなっている。この制度の的確な運用のためには、廃棄物の海洋投入処分に伴う海洋環境の状況の変化を把握していくことが必須であることから、海洋投入処分が行われている海域の環境の状況を定期的に把握する体制を構築していくことが特に重要であると考えられる。

地球環境局 報告書
平成14年度海洋環境モニタリング調査結果について(要約)

 なお、海洋環境モニタリング調査のデータは、(独)国立環境研究所が作成して いる「環境GIS」に掲載されています。14年度調査結果についても、今後掲載する予定です。

添付資料

連絡先
環境省地球環境局(旧)環境保全対策課
課長:荒井 真一(内線6740)
 補佐:田中 紀彦(内線6741)
 係長:長崎 孝俊(内線6746)
 担当:中田有宇子(内線6746)

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