報道発表資料

平成16年6月25日
地球環境
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酸性雨対策調査総合とりまとめ報告書について

環境省が1983〜2000年度に実施した第1次から第4次までの酸性雨対策調査と、2001年度及び2002年度の酸性雨調査を併せた計20年間の調査結果が、環境省酸性雨対策検討会(座長:秋元肇 海洋研究開発機構地球フロンティア研究システム大気組成変動予測研究領域長)により取りまとめられました
 これにより得られた主な知見は、次のとおりです。
  • 全国的に欧米並みの酸性雨が観測されており、また、日本海側の地域では大陸に由来した汚染物質の流入が示唆された。
     
  • 現時点では、酸性雨による植生衰退等の生態系被害や土壌の酸性化は認められなかった
     
  • 岐阜県伊自良湖いじらこ等への流入河川や周辺土壌において、pHの低下等酸性雨の影響が疑われる理化学性の変化が認められた。ただし、これらの変化はいずれも直ちに人の健康並びに流域の植物及び水生生物等の生態に何らかの影響を及ぼすレベルにはない

1.酸性雨の状況(降雨等モニタリング結果)

  • 植物に対して急性被害が懸念されるpH 3.0未満の降水は観測されなかった。しかしながら2000年から2002年に全国23地点で実施した調査においては、pH4未満の試料が全体の約5%を占め、依然として欧米並みの酸性の降雨が観測された。
  • 硫酸イオン及び硝酸イオンの沈着量の季節変動が見られ、本州中北部日本海側と山陰では冬季に最大を示した。これら日本海側の地域では硫黄や窒素の酸化物の大気中への供給量が冬季に増加していると考えられ、大陸に由来した汚染物質の流入が示唆された。
  • 全国的に春季のオゾン濃度の上昇が見られ、日本海側で同じトレンドで高濃度となっていることから、越境大気汚染による寄与が大きいことが示唆された。

2.生態系への影響(植生、土壌・陸水モニタリング結果)

  • 現時点では、酸性雨に起因する植生衰退が広範に認められる状況にはなく、酸性雨による生態系被害が顕在化しているとは判断できなかった。
  • なお、植生モニタリング調査地域で見られた樹木の衰退原因としては、病虫害(マツ材線虫病等)等原因が推定できるものが多く、酸性沈着や土壌酸性化が主因として断定される衰退木は確認されなかったしかし、一部で、アカマツ等に原因が不明とされた衰退木が見られた。
  • 全般的には急激な土壌の酸性化は進行していないと考えられた。
  • ただし、岐阜県伊自良湖等への流入河川や周辺土壌においてpHの低下等酸性雨の影響が疑われる理化学性の変化が認められた。これらの変化はいずれも直ちに人の健康並びに流域の植物及び水生生物等の生態に何らかの影響を及ぼすレベルにはないものの、こうした集水域については引き続き重点的な調査を行い、変化を注視する必要がある

3.今後の課題

  • 酸性雨による影響は長期継続的なモニタリング結果によらなければ把握しにくく、また、湖沼や土壌の緩衝能力が低い場合には一定量以上の酸性物質の負荷の集積により急激に影響が発現する可能性があること等から、今後とも長期モニタリングを着実に実施していく必要がある。
  • モニタリング及び調査研究等を、東アジア酸性雨モニタリングネットワーク(EANET)を通じて広く普及することによって、東アジア地域の国々のモニタリングや対策の立案に助力することが重要である。
  • 大気・植生・土壌・陸水等の環境要素を同時に関連づけて測定する、統合的なモニタリングが必要である。また、岐阜県伊自良湖等のように、酸性沈着の影響が疑われる集水域においては特に重点的なモニタリングの展開が必要である。
  • 今後必要な調査研究としては、[1]酸性雨の生態影響に係る機構解明、[2]大気汚染物質の長距離輸送の機構解明、[3]東アジア地域の酸性雨問題に対する統合評価モデルの開発等が挙げられる。

添付資料

連絡先
環境省地球環境局(旧)環境保全対策課
課長  :荒井 真一(内線6740)
 課長補佐:瀬川 恵子(内線6745)
 技官  :佐野 敦 (内線6745)

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