報道発表資料

平成16年5月11日
地球環境
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事業者からの温室効果ガス排出量検証ガイドライン(試案)

事業者の自主的な温室効果ガスの排出量削減を効果的に進めていくためには、事業者自身が自らの事業活動に起因する温室効果ガスの排出量を正確に算定するとともに、その算定結果について第三者機関による検証を受け、取組の透明性・信頼性を確保することが重要です。
 排出量の算定方法については、環境省としては既に昨年7月に「事業者からの温室効果ガス排出量算定ガイドライン(試案)」を公表し、事業者に活用いただいているところです。(http://www.env.go.jp/earth/ondanka/santeiho/index.html
 一方、排出量を算定した結果の検証方法についてはガイドラインが存在せず、取組を進める上での課題となっていました。このため、環境省としては、事業者が排出量を算定した結果について、第三者機関が適正かつ的確に評価するための「事業者からの温室効果ガス排出量検証ガイドライン(試案)」を策定・公表することとしました。
 今後、この検証ガイドラインが各検証機関・事業者により実地に活用され、排出量検証の取組が促進されることが期待されます。環境省としても、こうした実地の活用結果や、現在中央環境審議会等において行われている地球温暖化対策推進大綱の評価・見直し等を踏まえ、検証ガイドラインの内容の一層の充実を図っていくこととしています。

1.背景

  •  京都議定書の6%削減約束を達成するためには、国、地方公共団体、事業者及び国民といったすべての主体がそれぞれの役割に応じて総力を挙げて取り組むことが必要です。そのうち、事業者について、現行の地球温暖化対策推進大綱においては、自主的な排出削減対策を実施することが基本となっており、政府としてこれを一層促進するための支援策を講じることとしています。
  •  事業者の自主的な温室効果ガスの排出量削減を効果的に進めていくためには、事業者自身が、自らの事業活動に起因する温室効果ガスの排出量を正確に算定し、これに基づく現実的な削減計画を立案・実施し、その成果を把握・評価・公表することが必要です。さらに、こうした取組をより実効あるものとするためには、各事業者が排出量算定結果について、第三者機関による検証を受け、取組の透明性・信頼性を確保することが重要です。
  •  事業者が自主的に温室効果ガスの排出量を算定する方法については、環境省としては平成15年7月に「事業者からの温室効果ガス排出量算定方法ガイドライン(試案)」を公表していますが、排出量算定結果に対する検証方法、特に、第三者検証に利用される方法は、国際的にも未だ発展段階にあり、国内においてもガイドラインがなく、取組を進める上での課題となっていました。
  •  以上を踏まえ、環境省では、事業者が事業活動に起因する温室効果ガス排出量を算定した結果について、第三者が適正かつ的確に評価できる検証ガイドラインを策定することにしました。

2.検証ガイドライン(試案)の概要

  •  検証ガイドライン作成のコンセプトは、以下の3点です。
    [1] 算定結果の透明性・信頼性を確保し、適正かつ的確な第三者検証を実施可能にすること
    [2] 海外の検証に関するガイドライン等を調査した上で、イギリスのガイドライン(UKAS Guidance)を主として参考としたこと
    [3] 検証機関間の手法の相違(特にISO的発想と会計監査的発想の相違)を調整し、検証手法を統一すること
  •  このようなコンセプトに基づいて、検証ガイドラインは主として以下の3点から構成されています。
    [1] 組織の信頼性の確保及び検証人の資格を含む検証機関に対する要求事項
    [2] リスクアプローチ(※1)を踏まえた実際の検証プロセス
    [3] 検証結果の判定及び報告
  •  検証ガイドラインの適用範囲は、事業者が温室効果ガス排出量を確立された基準に従って算定した結果について、検証機関が独立した第三者として検証を実施するための指針提供です。また、異なった年度間の温室効果ガス排出量の算定結果に対する検証にも使用することができますが、適用条件に関する差異を適切に反映する必要があります。
  •  具体的な検証プロセスは<検証の流れ>で示しています。この図は、一般的な本社(算定事業者の責任部署)における文書等による検証及び実際にGHGsを排出しているサイトへの現地訪問検証をどのような順序で実施するかを概念的に表しています。
  •  検証計画の策定は、非常に重要であり、リスクアプローチに基づく事前検討を行い、現地訪問調査対象サイトを選定する必要があります。リスクアプローチは、会計監査基準に盛り込まれている概念で、検証結果の保証水準をどのように設定するかによって異なります。この概念を導入して検証を実施する必要性は一般的に理解されていますが、未だ抽象的な部分が多く、具体的な実施手法は個々の検証機関が実践を通じて培って行く必要があります。
  •  検証チームの選定も重要であり、その選定基準を示しています。また、検証チームに要求される能力や経験についても言及しています。この部分は、京都メカニズムのCDM制度に適用されている基準を全面的に取り入れています。
  •  検証結果に対してどのような判断が下されるかは、検証を受けた事業者にとっては最大の関心事であるとともに検証機関にとっても最重要事項です(※2)。その結果の表現は、会計監査で使用されている表現を取り入れました。排出量検証結果に対する意見表明としてこの形で定着させるかどうかについては、今後実際に使用する中で検討していく必要があります。
    a)
    無限定適正
     b)
    限定付き適正
     c)
    不適正
     d)
    意見差し控え
     

3.今後の予定

  •  この検証ガイドラインは、検証機関が前述の検証目的を効果的かつ効率的に実施し、事業者の検証に対する期待に応えるため、第三者が独立した立場で検証する際の標準的な指針を提供しようするものであり、今後、検証機関・事業者等による本検証ガイドラインを活用した排出量検証の取組の促進が期待されます。
  •  この検証ガイドラインは未だ実践での使用がなされていないものであり、実際に活用される中で、改善すべき点等が明らかになってくるものと考えられます。環境省としても、現在実施中の排出量取引試行事業において本ガイドラインを適用することにより、その課題の抽出を図っていきます。また、2005年から導入されるEU排出量取引制度の検証基準等の国際的動向や、中央環境審議会等において現在行われている地球温暖化対策推進大綱の評価・見直しの結果等についても考慮する必要があります。
  •  環境省としては、今後、こうした状況を踏まえつつ、この検証ガイドラインについて所要の修正を行い、内容の一層の充実を図っていくこととしています。

    ※ 環境省ウェブサイト(http://www.env.go.jp/)においては、検証ガイドライン本体と参考資料(UKAS Guidance等)とを併せて掲載しています。

     

添付資料

連絡先
環境省地球環境局地球温暖化対策課
課長:清水 康弘(6770)
 補佐:小笠原 靖(6796)
 係長:内藤 冬美(6796)
 担当:岡田 慶昭(6781)

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