報道発表資料

平成15年8月7日
大気環境
この記事を印刷

ヒートアイランド現象による環境影響に関する調査について

環境省では、ヒートアイランド現象による環境影響に関する調査報告書を取りまとめた。これは、「ヒートアイランド対策検討委員会」(委員長:尾島俊雄早稲田大学教授)における検討の報告を取りまとめたものであり、その骨子は以下のとおりである。

[1] 東京都心部(大手町)と周辺都市(横浜、熊谷、宇都宮、銚子)のここ100年間の日最低気温の変化を比較したところ、周辺都市の上昇が2℃前後であるのに対し、東京都心部は、その2倍の勢いで上昇しており、関東平野の都市の最低気温が上昇する中でも東京都心部のヒートアイランド現象が顕著に なっていることが分かった。
[2] 東京23区内をモデル地域として都市環境気候図を作成し、熱環境における問題の所在、気候と合わせた問題の特性解析、さらに対策を検討すべき地区を抽出した。
[3] 詳細シミュレーションシステムにより、住宅地区における熱帯夜対策を中心とした対策、業務系地区における昼間の高温化を中心とした対策など、問題と地区特性に応じた対策が必要なこと、また対策地区に集中的に対策を行うことで非対策地区にも波及的な効果(気温低下)が見られることが分かった。
[4] ヒートアイランド対策を検討するための手法として、都市環境気候図と簡易計算システムをまとめた。
  
 環境省では、今回の検討結果を受けて、ヒートアイランド現象による環境影響調査を引き続き行っていくとともに、ヒートアイランド現象のメカニズム解明に向けた広域測定を行っていく。

1 経緯

 ヒートアイランド現象については、平成元年版の環境白書から取りあげており、その後、毎年夏の猛暑が重なり、同現象についての関心が高まった。このため平成10年度から、文献調査を中心とした基礎的な調査を開始した。
 平成13年8月には、仙台、東京、名古屋を対象とした実態調査および解析を踏まえ、ヒートアイランド実態把握に資するシミュレーションモデルの開発検討を行うとともに、ヒートアイランド現象抑制対策の方向性を提示し、平成14年9月には、ヒートアイランド対策として熱を管理する視点が重要であることとその管理のための手法を提案した。
 本調査は、これまでに環境省で検討してきた調査結果を踏まえ、ヒートアイランド現象の実態把握と環境影響に関する調査結果を取りまとめたものである。


2 調査結果

 本調査においては、以下のような内容について検討を行った。本調査の結果の概要は以下のとおりである。

第I部 ヒートアイランド対策の検討
 
 調査の検討過程で得られた知見や開発した手法を、第I部において都市の熱管理手法として整理した。  
  1. ヒートアイランド現象の実態把握
      
     東京都心部(大手町)と周辺都市(横浜、熊谷、宇都宮、銚子)のここ100年間の日最低気温の変化を比較したところ、周辺都市の上昇が2℃前後であるのに対し、東京都心部は、その2倍の勢いで上昇しており、関東平野の都市の最低気温が上昇する中でも東京都心部のヒートアイランド現象が顕著になっていることが分かった。
     
  2. ヒートアイランド現象拡大の要因分析
     
     ヒートアイランド現象の主な原因は、地表面被覆の人工化と人工排熱の増加である。地表面被覆については、東京23区で見ると、水面、草地・裸地などの自然的被覆が1930年代に比べて約40%失われ、建物や舗装などの人工的な被覆に変化していることが分かった。この結果、地表面被覆から放出される対流顕熱が約40%増加し、蒸発潜熱が約50%減少するとともに、冷気供給源が失われている。また、人工排熱については、1日の日射量に対して18%に相当する排熱が放出されていることが分かった。そして、東京23区内をモデル地域として都市環境気候図を作成し、熱環境における問題の所在、気候と合わせた熱環境問題の特性解析、さらに対策を検討すべき地区を抽出した。
     
  3. 数値シミュレーションによる対策の検討
     
     「簡易シミュレーションシステム」を利用して、各ヒートアイランド施策ごとの効果を比較検討し、その結果をもとに「詳細シミュレーションシステム」により23区全体の対策効果を分析した。この結果、住宅地区における熱帯夜対策を中心とした対策、業務系地区における昼間の高温化を中心とした対策など、問題と地区特性に応じた対策が必要なこと、また対策地区に集中的に対策を行うことで非対策地区にも波及的な効果(気温低下)が見られることが分かった。
     
  4. ヒートアイランド対策と熱の管理
     
     ヒートアイランド対策を行う上で、都市の熱を総合的、統一的に管理することが重要である。ヒートアイランド対策を検討するための手法として、都市環境気候図と簡易計算システムをまとめた。

 第II部 都市環境気候図の作成

  第II部では、都市環境気候図の作成方法をまとめた。


3 今後の予定

 環境省では、今回の検討結果を受けて、ヒートアイランド現象のメカニズム解明に向けた広域測定を行っていく。併せて、大気汚染との関連等のヒートアイランド現象による環境影響調査を引き続き行っていく予定である。
 また、ヒートアイランド現象抑制のための対策技術データ集の整備とそれに基づく技術評価を行い、ヒートアイランド対策関係府省連絡会議を通じた政府施策の推進を図る。




環境管理局 報告書
ヒートアイランド現象による環境影響に関する調査報告書(概要)

添付資料

連絡先
環境省環境管理局大気環境課大気生活環境室
室長   :上河原献二(内線6540)
 室長補佐:由衛 純一 (内線6543)
 担当   :荒木  肇 (内線6578)

ページ先頭へ