報道発表資料

平成15年3月31日
自然環境
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農林水産省と環境省の連携による「田んぼの生きもの調査2002」の結果について

農林水産省と環境省が、今年度、連携して実施した「田んぼの生きもの調査2002」の結果がまとまりました。
 本調査は、環境との調和に配慮した農業農村整備事業を推進するために、農林水産省国営事業所等が、農業水路等(全国335地区)における魚類・カエルの生息状況等を調査したものであり、ドジョウ、メダカ、ニホンアマガエル等多くの魚類・カエルが確認されました。
 環境省としては、調査・分析手法の助言・提案等を行うとともに、環境省実施の「自然環境保全基礎調査」による全国分布との比較分析等を行いました。その結果、自然環境保全基礎調査では、比較的調査密度の低い農地周辺の水路において、メダカの分布地点が新たに確認されたほか、近年、関東地方に侵入してきたヌマガエルが、埼玉県、群馬県で確認されるなど、本調査によって自然環境保全基礎調査のデータを補完する有効なデータが収集されたものと考えられます。
 環境省では、今後とも、農林水産省との連携調査を、生物多様性の保全に資するよう積極的に推進していきたいと考えています。

1. 調査目的

 農林水産省が、改正土地改良法を踏まえて、農業農村整備事業の内容を、環境との調和に配慮した、自然と共生する田園環境創造型に転換するにあたり、水田周辺水域の生態系の現状を把握するため、全国の農業水路、ため池において、平成13年度から農林水産省と環境省とが連携して生物生息調査を実施しています。

2. 環境省と農林水産省との連携内容

環境省から、調査分析手法への助言・提案等
環境省の自然環境保全基礎調査(緑の国勢調査)との情報交換(情報の補完)

3. 調査対象と調査箇所数

 調査対象種:魚類・カエル(カエルは平成14年度より調査対象)

 調査地区:335地区(平成13年度:211地区)

 魚類調査1850地点(平成13年度:1098地点)、カエル調査697地点。

魚類とカエルの調査地点は重複する場合があります。
 昨年度から行っている「一般調査」に加え、本年度から定置網を用いるなど、より調査の精度を上げた「基幹調査」も行いました。
  《資料1》

4. 調査機関

(1) 実施機関(基幹調査を実施)
   地方農政局:国営事業所、土地改良調査管理事務所
 北海道開発局、沖縄総合事務局、水資源開発公団・・・計97出先機関(平成13年度:17出先機関)
(2) 協力機関(一般調査を実施)
   都道府県、土地改良区及び県土地改良事業団体連合会、市町村、小学校・こどもエコクラブ・田んぼの学校・・・計118団体(平成13年度:100団体)
本年度の調査に協力していただいた小学校・こどもエコクラブ・田んぼの学校の団体数は、昨年度の3団体から49団体に増加しました。
  《資料2》

5. 調査期間

 H14年6月中旬〜10月下旬

6. 調査結果

(1) 結果概要
確認された魚種:22科79種(我が国に生息する淡水魚は、亜種を含み約300種)
確認されたカエル:4科12種(我が国に生息するカエルは、亜種を含み42種)
  《資料3》
多く確認された魚種
   ドジョウ  142地区 308地点(36都道府県)
   メダカ 102地区 169地点(32道県)
   タモロコ 67地区 149地点(27道府県)
   モツゴ 70地区 135地点(29道府県)
   カワムツ 70地区 124地点(26都府県)
  
本調査でメダカが確認された169地点のうち、自然環境保全基礎調査のメダカの分布情報(約10km四方の2次メッシュ)と重ね合わせると、平成13年度の45メッシュに加え、今回新たに43メッシュでメダカの生息が確認されたことになります。
  
多く確認されたカエル
   アマガエル  132地区 214地点(40道府県)
   トノサマガエル 86地区 175地点(30府県)
   ヌマガエル 83地区 173地点(26府県)
(2) 希少種
魚では、ニッポンバラタナゴ(絶滅危惧IA類)、ホトケドジョウ(絶滅危惧IB類)やメダカ(絶滅危惧II類)など8種、カエルではダルマガエル(絶滅危惧II類)1種、合計9種の希少種が確認されました。
  (希少種:環境省が作成したレッドリストに挙げられている生物種)
(3) 移入種
国外移入種の確認状況
   魚類ではオオクチバス、ブルーギル等の9種、両生類ではウシガエル1種が確認されました。
  
新たな分布が確認された種(自然環境保全基礎調査との比較)
   近年、関東地方に侵入してきたヌマガエルが、同地方の埼玉県、群馬県で確認されました。
 北海道に生息するフクドジョウが、福島県で確認されました。
 宮城県、栃木県、茨城県、埼玉県、静岡県で国外移入種のカラドジョウが確認されました。
  (移入種:過去あるいは現在の自然分布域外に導入された種)
  《資料4》

7. 調査結果の分析

魚類については、我が国に生息する淡水魚約300種のうち、79種(26%)が確認され、カエルは、わが国に生息するカエル種42種のうち、12種(29%)が確認されました。農業水路などの水域は、これらの生物の生息に大きな役割を果たしていると考えられます。
(本州に生息するカエル17種のうち、11種(65%)が本調査で確認されています。)
  
中でも多く確認された種は、魚類では、ドジョウ、メダカ、タモロコ、モツゴ、カワムツで、カエルでは、アマガエル、トノサマガエル、ヌマガエルでした。いずれも、昔から水田の周りによくいると言われている種が含まれており、これらの生物が多く生息していることが確認されました。
  
ドジョウとメダカは、より水田に近い小用水路や小排水路で多く見られました。両種ともに、一般的には水田とその周辺の水路を移動して生活していると言われており、本調査の結果は、そのことを改めて確認したことになります。
 また、カワムツは取水口に近い幹線用水路に多く見られました。本種は、河川の上〜中流域に多く生息している魚です。そのため本調査の結果では、河川から取水口を通じて幹線用水路内に流入したカワムツが多いことを示していると思われます。
  《資料5》
 
水路の流速(表面流速)と確認された魚類の上位5種との関係を見ると、メダカとタモロコ、モツゴは比較的流速の遅い水路で多く確認されました。カワムツとドジョウは、流速の速い水路と遅い水路の両方で確認されました。
  《資料6》
  
ヌマガエルは、東海、北陸地方以西の水田周辺でみられ、特に九州、沖縄地方において多く確認されました。トノサマガエルは、中国地方の水田周辺で多く確認されました。また、アマガエルは、全国いずれの地方においても確認されていますが、特に東北地方で多く確認されました。
  《資料7》
  
メダカを例にして、本調査と自然環境保全基礎調査との情報交換を行いました。本調査でメダカが確認された32道県(102地区169地点)を、自然環境保全基礎調査のメダカの分布情報(約10km四方の2次メッシュ)と重ね合わせると、124メッシュの生息分布となります。これにより、自然環境保全基礎調査で確認されている691メッシュ及び、平成13年度の45メッシュに加えて、今回新たに43メッシュでメダカの生息が確認されたことになります。
 本調査により、自然環境保全基礎調査を補完する有効なデータを収集することが出来ました。
  《資料8》  

8. 今後の展開方向

来年度以降も農林水産省との連携を図り、継続的に生物調査を実施するとともに、より効果的な調査手法の導入等について検討を進めます。
地域の方々が実施する生態系保全や環境保全、環境教育等の地域活動などとの連携をさらに進めます。

添付資料

連絡先
環境省自然環境局自然環境計画課
課長     田部 和博 (内線:6430)
 課長補佐  堀上 勝  (内線:6428)
 担当     佐々木一郎(内線:6491)
環境省生物多様性センター(0555-72-6033)
 センター長 北沢 克巳
 調査科    並木 光行

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