報道発表資料

平成13年10月4日
自然環境
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第6回自然環境保全基礎調査「巨樹・巨木林フォローアップ調査」について

環境省自然環境局生物多様性センター(山梨県富士吉田市)は、第6回自然環境保全基礎調査(緑の国勢調査)「巨樹・巨木林フォローアップ調査」の結果をとりまとめた。
 この調査は、1988年(昭和63年)に初めて実施された「巨樹・巨木林調査」で報告された巨木の現況及び前回調査以降新たに確認された巨木の現況を把握するために、2000年(平成12年)に全国の市町村及び全国巨樹・巨木林の会(会長 伊藤秀三長崎大学名誉教授)の会員に協力を呼びかけて行ったもの。
 調査対象は、原則として地上から1.3mの高さでの幹周りが3m以上の木とし、幹周り3m以上に育ちにくい樹種(ツバキ、マユミなど)については、3m未満でも調査対象とした。
 調査の結果、1,661市町村(回答率51%)と全国巨樹・巨木林の会会員などから回答があり、10,367本の巨木が新たに報告される一方、枯死・伐採等により失われた巨木が1,660本報告され、調査対象となった巨木は全国で64,479本となった(前回調査で確認された巨木は55,798本)。
 今回の調査では、前回調査では報告の少なかった山岳部・離島から数多くの報告があり、エノキ(徳島県一宇村)、スダジイ(東京都御蔵島村)等の樹種で国内最大級の巨木が確認されたが、なお未発見の巨木が多数存在することも推定されている。また、前回調査と同様に、その所有形態、信仰等、名称等から人との関わりの中で残ってきた巨木が多いことが示された。
 環境省は、地域づくりや環境教育との連携並びに各種事業計画へのデータ活用などを通した巨木の保全・活用方策の推進に資するために、年内に調査結果を報告書として公表し、その概要をまとめた小冊子を調査協力者等に配布する予定

1. 調査概要

 「巨樹・巨木林フォローアップ調査」は、国内の巨木(原則として地上から1.3mの高さでの幹周りが3m以上の木)の現況を把握し、自然環境保全施策に資することを目的に実施した。

 第4回自然環境保全基礎調査巨樹・巨木林調査として昭和63年度に初めて実施して以来、今回が前回調査のフォローアップとして2回目の調査となる。前回の調査では、全国で55,798本の巨木が確認されていた。

2. 調査年度

 平成11、12年度

3. 調査方法

(1) 実施方法
 調査は、全国の市町村及び全国巨樹・巨木林の会(会長:伊藤秀三 長崎大学名誉教授)会員に調査票と調査マニュアルを送付し、調査協力を依頼した。
(2) 調査対象
[1] 基本的には、地上から約1.3mの高さでの幹周(囲)が3m以上の樹木。
[2] 幹周3m以上に生長しにくい樹種(ツバキ、マユミ等)については、幹周3m未満でも調査対象とした。
(3) 調査内容
[1] 追跡調査  前回の調査で確認された巨木を対象に実施
[2] 新規調査  前回の調査以降新たに確認された巨木を対象に実施
(4) 調査項目
[1] 追跡調査  健全度(枯死情報含む)、幹周、巨木の所在地(住所)等
[2] 新規調査    
○基礎的項目  ア.単木・並木・樹林の別、イ.独特の呼称・名称の有無、
 ウ.位置、エ.林内の巨木本数、オ.所有者(管理者)、
 カ.測定値(樹種名、幹周、樹高、枝張、株立状況)、
 キ.樹齢、ク.健全度、ケ.欠損の状況、コ.計測位置
○保護の項目  ア.保護制度指定状況、イ.解説板等の有無
○生態的項目  ア.周囲の状況、イ.根元の状況、
 ウ.動物生息の有無、エ.着生植物等の状況、
○人文的項目  ア.信仰対象の有無、イ.故事・伝承の有無、
 ウ.直接利用状況、エ.視認性、
○その他の項目  ア.特記事項(保護対策事例等)
       

4. 調査結果

(1) 市町村回答状況
 調査協力を依頼した3,252市町村の内、1,661市町村から回答を得た(回答率51%)。
(2)

巨木本数

前回調査本数 55,798本
(追跡調査本数)  (28,576本)
枯死等 −1,660本
重複   −6本
幹周未記入*   −20本
小 計 54,112本
新規調査本数 10,367本
合 計 64,479本
*: 追跡調査の結果、幹周が調査対象基準(3m)以下であったため、幹周を未記入で調査票を返送してきたもの。
(3) 枯死・伐採・消失
 枯死等1,660本の内訳は、枯死 927本、伐採 540本、消失 193本であった。樹種別にみると、スギ(313本)、ケヤキ(301本)、マツ(226本)の順で多かった。枯死の原因は、297本について回答があり、主な原因は、台風・強風(198本)、病虫害(55本)であった。
(4) 枯死した主な巨木
 枯死した巨木の内、前回調査の樹種別巨木リスト中で最上位のものは次のとおりであった。
呼称(所在地)樹種名幹周(当時)枯死等の時期・原因
−(岡山県有漢町(うかんちょう)) エノキ 860cm  時期・原因とも不明
−(熊本県鹿北町(かほくまち)) イチイガシ 980cm  時期不明・台風による倒木
−(和歌山県高野町) ツガ 673cm  1993年当該木らしき切株確認
利賀のトチノキ
(富山県利賀村(とがむら))
トチノキ 960cm  1998年枯死により伐採
岡の松
(香川県志度町(しどちょう))
クロマツ 900cm  1993年病虫害により枯死
−(北海道名寄市) ミズナラ 910cm  時期不明・枯死
−(岡山県鏡野町) ムクノキ 950cm  時期不明・倒伏
(5) 多くの巨樹・巨木林が確認された地域ベスト5
都道府県市町村
 1  東京都  3,799本  1  奥多摩町(東京都)  891本
 茨城県 3,274本  御蔵島村(東京都) 649本
 千葉県 2,662本  角館町(秋田県) 444本
 新潟県 2,624本  熊本市 348本
 静岡県 2,354本  日光市 327本
 前回調査のベスト5市町村(日光市、静岡市、金沢市、水戸市、富士宮市)に比べ、今回の上位3町村に代表されるように山間部、離島からの報告が増加したのが特徴である。
(6) 今回新たに確認された国内最大級の巨木
樹種名呼称(所在地)幹周
 エノキ  赤羽根大師の大エノキ(徳島県一宇村)   870cm
 カツラ  権現山の大カツラ(山形県最上町) 2,000cm
 スダシイ  御蔵島の大ジイ(東京都御蔵島村) 1,379cm
 ブナ  ブナ日本一(秋田県角館町)   860cm
 ミズナラ  なし(秋田県角館町) 1,130cm
(7) 幹周3m以上に生長しにくい樹種(ツバキ、マユミなど)についても407本が確認され、その内284本は幹周3m以上のものであった。
(8) 巨木と人との関わり
 巨木の所有者の約3/5(市町村から回答がなく更新されなかったデータを除いて算出)は社寺であり、社寺林として多くの巨木が残されてきたことが示された。また、全体の1/4の巨木が信仰等の対象となっており、約1/6の巨木が名称を、約1/20の巨木が故事・伝承を有していることから、人との関わりの中で残ってきた巨木が多いことが示された。
[1] 巨木の所有者  社寺:57%(21,262本)、個人:20%(7,335本)
[2] 巨木に関する信仰・タブー・祭がある巨木  全体の25%(16,088本)
[3] 名称のある巨木  全体の16%(10,259本)
[4] 故事・伝承のある巨木  全体の6%(3,621本)
(9) 巨木と地域振興
 二戸市(岩手県)、最上地方(山形県)、奥多摩町(東京都)、御蔵島村(東京都)、一宇村(徳島県)、対馬(長崎県)など全国各地で巨木を活かした地域づくりが行われている。

5. 調査結果の公表

 調査結果は、年内に報告書として公表し、その概要をまとめた小冊子を調査協力者等に配布する予定。

6. 問合せ先

 環境省自然環境局生物多様性センター 自然保護専門員 堀内(TEL0555(72)6033)

7. 参考

(1) 国内最大級の巨木写真(別紙参照)及び提供元
[1]

名称:北金ヶ沢のイチョウ、所在地:青森県西津軽郡深浦町、幹周:2,200cm、

写真提供:深浦町役場

[2]

名称:赤羽根大師の大エノキ、所在地:徳島県美馬郡一宇村、幹周870cm、

写真提供:一宇村役場

[3]

名称:権現山の大カツラ、所在地:山形県最上郡最上町、幹周:2,000cm、

写真提供:最上町役場

[4]

名称:御蔵島の大ジイ、所在地:東京都御蔵島村、樹種名:スダジイ、

幹周:1,379cm、写真提供:日野正幸氏

[5]

名称:将軍杉、所在地:新潟県東蒲原郡三川村、幹周:1,931cm、

写真提供:中原桂子氏

  [6]

名称:ブナ日本一、所在地:秋田県仙北郡角館町、幹周:860cm、

写真提供:高橋 弘氏

 
  {注:巨木写真はホームページには未掲載}

添付資料

連絡先
環境省自然環境局生物多様性センター
センター長     笹岡 達男
 自然保護専門員 堀内 直
 〒403−0005
 山梨県富士吉田市上吉田剣丸尾5597-1
 Tel:0555−72-6033

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