報道発表資料

平成13年6月25日
地球環境
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4つの社会・経済シナリオについて−「温室効果ガス排出量削減シナリオ策定調査報告書」−

温室効果ガスについては、長期的、継続的に削減を行っていく必要がありますが、その排出は、社会経済の姿・あり方に依存します。

 このためには、まず、将来の温室効果ガス排出量を推計する際のベースとなる社会経済シナリオを設定する必要がありますが、将来の社会や経済の発展の方向には多くの不確実性が含まれており、一つのシナリオをベースとするよりも、複数のシナリオをベースとして推計を行い、その結果生じた将来排出量の幅の中で議論を行うことが望ましいと考えられます。実際、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)では、世界全体の温室効果ガス排出量を推計するのに、4つの異なる社会の発展方向を想定しています。

 そこで、環境省委託事業により、有識者から構成される「温室効果ガス排出量削減シナリオ策定ワーキンググループ」を設置し、将来の日本の社会経済の発展についてのいくつかのシナリオ(日本国シナリオ)を作成し、日本の将来排出量や対策効果量の推計に資するものを提供することを目的に検討を行いました。
【ポイント】

 日本国シナリオのストーリーライン(叙述的シナリオ)の作成
 IPCCの排出シナリオであるSRESシナリオを踏襲し、日本国シナリオのストーリーラインを作成しました。
 SRESシナリオでは、4つのシナリオ(A1、A2、B1、B2)が設定されており、すべて現在よりも豊かな世界を描いていますが、それぞれ発展の方向性が異なります。A、Bは経済志向か環境志向かを、1、2は地球主義志向か地域主義志向かを表しており、これらの組合せにより4つのシナリオが示されています。日本国シナリオにおいてもこの枠組みを踏襲しました。
 なお、4つの日本国シナリオは、「A1:世界市場主義シナリオ」、「A2:地域・伝統重視シナリオ」、「B1:環境技術牽引シナリオ」、「B2:新地域自立シナリオ」との名称にしました。


 各シナリオにおける二酸化炭素排出量の推計結果
 各シナリオについて2030年までの二酸化炭素排出量の推計を行ったところ、基準年(1990年)の排出量を100とすると、「世界市場主義シナリオ(A1)」では2030年には144、「地域・伝統重視シナリオ(A2)」では114、「環境技術牽引シナリオ(B1)」では103、「新地域自立シナリオ(B2)」では94となりました。


図 各シナリオにおける二酸化炭素排出量の推計結果

 (注) ここで行った二酸化炭素排出量の推計は燃料の燃焼起源のみを対象としており、工業プロセスや廃棄物起源は含んでいない。




 まとめ
 推計の結果、シナリオによって我が国の二酸化炭素の排出量は2030年において50%の相違が見られました。地球温暖化対策が考慮されていない排出量にもかかわらず、このような大きな差が生じるということは、発展のパターンすなわち社会・経済構造改革のあり方によって地球温暖化対策の程度や意味が大きく異なってくることを示唆しています。
 今後、20年、30年という長期にわたる地球温暖化対策を論じる場合には、地球温暖化対策だけを個別に議論していくのではなく、我が国がどのような社会・経済構造を志向するのか、その改革の方向は地球温暖化対策の方向性と一致しているのかといった議論を十分に行っていく必要があると考えられます。
 

    詳しくはこちら 「温室効果ガス排出量削減シナリオ策定調査報告書」

連絡先
環境省地球環境局地球温暖化対策課
課   長 竹内恒夫(6770)
 調 査 官  石飛博之(6771)
 課長補佐 染野憲治(6781)

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