報道発表資料

平成12年7月3日 この記事を印刷

「地域照明環境計画策定マニュアル」の策定について

環境庁では、光害を防止し、地方公共団体が地域特性等を考慮した「地域照明環境計画」を策定するための基本的な事項についてまとめた『地域照明環境計画策定マニュアル』を策定した。これは平成10年3月に策定された「光害(ひかりがい)対策ガイドライン」と平成10年度に実施した「地域照明環境計画策定モデル事業」の成果を踏まえて策定したものである。なお、本マニュアルは、近日中に都道府県、政令指定都市及び中核市に送付し、地域照明環境計画の策定の推進等を図ることとしている。

II. マニュアルの構成と概要

  本マニュアルの構成及び概要は以下のとおりである。

1.

マニュアルの構成

  『地域照明環境計画策定マニュアル』は、大きく2編に分かれており、第I編では、光害を防止し、「良好な照明環境」を実現するための具体的な手法を解説し、第II編では、「地域照明環境計画」の策定のポイント、関連データを示している。マニュアルの構成は以下のとおりである。

I編  「良好な照明環境」の実現方法
第1章 「光害」と「良好な照明環境」
第2章 照明の目的・必要性の確認と安全性の確保(ステップ1)
第3章 光害の防止(ステップ2)
II編  地域照明環境計画の策定(ステップ3)
第1章 「地域照明環境計画」とは
第2章 「地域照明環境計画」の策定
第3章 「地域照明環境計画」に基づく施策展開
第4章 計画の策定における推計、評価方法
資料編

  また、マニュアルでは、良好な照明環境を実現するステップを、以下のように3段階に分けて説明をしている。

2. 照明の目的・必要性の確認と安全性の確保(ステップ1)

  屋外照明を設ける場合には、その場所の照明環境や自然環境に十分な注意を払い、それらをできるだけ損なわないように照明を計画する必要がある。特に国立公園などでは、まず照明の必要性を十分に検討し、また居住する人々が少なく、暗い自然環境が残されている場所に照明を設置するときは、その照明が環境を損なわないよう検討を行う必要がある。
  さらに照明の目的を達成するためには、「必要なもの」が「必要な細かさ」で容易に視認できるよう、視覚が要求する「最低の照明レベル」を確保し、安全性が損なわれないようにしなければならない。

3. 光害の防止、省エネルギーの実現(ステップ2)
 
3−

1 屋外照明の光害対策
屋外照明が周辺環境へ及ぼす影響を整理すると以下のようになる。

(1) 人間の諸活動への影響
(a) 居住者への影響(住居窓面)
(b) 歩行者への影響
(c) 交通機関への影響
[1]自動車 [2]船舶・航空機
(d) 天体観測への影響
(2) 動植物への影響
(a) 野生動植物
[1]昆虫類 [2]哺乳類・両生類・爬虫類 [3]鳥類 [4]魚類
[5]植物 [6]生態系
(b) 農作物・家畜
[1]農作物 [2]家畜

光害に対する対策のポイントをまとめると以下のようになる。
 

(1)

 居住者、歩行者、運転者への対策
 道路・街路などの屋外照明光が住居内へ強く射し込むと、居住者の安眠、プライバシーなどに悪い影響を及ぼす恐れがある。また、道路周辺施設の照明が自動車の運転者に影響を及ぼし、交通安全に支障を生ずる可能性がある。

(主な対策)
1)配光制御(遮光板、ルーバーの設置)
2)照明のW数の低減による窓面照度を低減。
3)点灯時間の管理(深夜の消灯、減灯など)
4)道路灯、街路灯、照明器具の取り付け位置の考慮。
5)道路照明等に関するJIS規格、技術指針などに準拠した照明を設置する。
 

(2)  夜空の明るさの低減対策
 都市部の光が、大気中の水分や塵などで拡散され夜空が明るくなることで、天文観測に悪影響を及ぼしている。観測所周辺の施設照明等が天文観測に対して影響を及ぼすと予測される場合には、光の影響問題を未然に防ぐような対策が必要である。

1)「光害対策ガイドライン」に準拠した上方光束比の低い照明器具を設置する。
2)高圧ナトリウムランプなど配光制御の行い易い光源を用いる。
 

(3)  植物・農作物への対策
 農作物に対する人工光の影響として、水稲やほうれん草等への影響が研究されており、その影響が大きいといわれている。街路灯を樹木、植栽の近くに設置すると、その光が樹木の生育・落葉期などに影響を及ぼす可能性がある。

1)照明設備側

・遮光板の設置などの配光制御により当該植物・農作物へ照射される光を削減
する。
・光源の消費電力(W数)を下げ、照度を抑制する。
・照明期間・時間の調整(深夜の消灯、減灯、季節を考慮した点灯時間の設定)

2)

・樹木・農作物側
夜間照明の影響の少ない品種を選択するように配慮する。
 
(4)  野生動植物への対策
[1] 昆虫
  照明施設の設置場所が郊外にあり、周囲に水田、山林、河川、湖沼などがある場合、特に季節によっては昆虫の飛来が多くなる可能性があり、食害など二次的な被害が問題となる場合がある。対策の方向としては、以下のようなものがある。

1)光源には昆虫の誘引特性の小さい光源を使用する。
2)照明器具は昆虫の生息地の方向へ光を出さないようなものを使用する。
 (遮光板の設置などによる配光制御)
3)照明点灯時間の管理。

[2]

野生動物
  野生動物への自然環境下での定量的な影響は不明であり、今後の研究が待たれる。しかし、自然の光環境のリズムが屋外照明によって乱されることにより、動物の生態リズムへの悪影響が懸念される。野生動物の生育地域においては、なるべく自然の光環境を乱さないような配慮が必要である。

3− 2 屋外照明の省エネルギー手法の整理
屋外照明設備の主な省エネルギー手法としは、以下のようなものがある。
 
(1) 効率の高い光源、器具の採用
効率の高い光源の選定(一般に演色性が高いほど効率が下がる傾向にあるが、演色性など他の条件が許す範囲で、効率の高いものを選定する)
点灯装置の効率の高いものを採用する。
(2) 適切な照明選定、設置により漏れ光の低減
照明目的を考え、漏れ光の少なくなる照明器具を選定する。
配光制御、設置位置の調整等により、適切な配光を行う。
無駄な漏れ光の低減により、光源のW数の低減ができないか検討する。
照明目的を考え、漏れ光の少なくなるよう器具を設置する。
(3) 点灯管理、メンテナンスの実施
点灯時間の管理(深夜などに消灯できないか。ただし安全性が確保できる場合のみ)
点灯方法の検討(深夜などに減灯はできないか。ただし安全性が確保できる場合のみ)
定期的な保守による省エネ(清掃、ランプの交換)

4. 地域照明環境計画の策定(ステップ3)
 
(1)

地域照明環境計画の概要
  『光害対策ガイドライン』では、市町村レベルの自治体(単独市町村又は近隣する複数の市町村共同)が、地域における良好な照明環境を実現するために、『地域照明計画』を策定し、各種施策を段階的に行うことが望ましいとしている。
  「地域照明計画」は、[1]「広域目標としての照明環境類型」の選択及び[2]「地区照明環境計画」の設定によって構成される。

地域照明環境計画の基本的な構成
1.「地域照明環境計画」の策定の主旨
1−1 計画の策定の背景と必要性
1−2 計画の構成
2.地域特性
2−1 地勢・位置
2−2 社会特性(人口、社会・経済状況、産業動向、その他歴史的背景等)
2−3 地域の自然環境の状況
2−4 土地利用状況
3.屋外照明の状況
3−1
3−2
各地区の屋外照明の状況
屋外照明に関する既存規定
景観地区の有無、景観条例、広告物条例など)
4.「地域照明環境計画」
4−1
4−2
4−3

4−4
地域内の屋外照明の状況の検討、分析
広域目標の設定(環境照明類型の設定)
地域目標達成のための各主体の役割と取組むべき方向性
(行政、事業者、住民)
地区目標の設定の検討
5.「地区照明環境計画」の策定
5−1
5−2
5−3
5−4
地区内の屋外照明の状況の検討
地区目標の詳細
目標達成のための各主体の役割と実行項目
地域目標達成のための各主体の役割と取組むべき方向性(行政、事業者、住民)

(2) 「地域照明環境計画」の位置づけ
  策定された地域照明環境計画が自治体の施策体系の体系の中で、どのように機能していくかのイメージ図を次に示す。
  環境面では、環境基本計画や地球温暖化防止実行計画への反映と、これらに基づいた各種の実施計画の中での取組が考えられる。さらに、都市景観面では、景観条例や広告物条例の中での、より光害に意識した規定の設定などがある。また、普及啓発は、自治体内部、住民、事業者それぞれに対して展開していく必要がある。

(3) 「地域照明環境計画」に基づく施策の展開方法
[1]普及啓発
・事業者、市民に対する普及啓発。
・自治体内担当部局等に対する普及啓発。
・他自治体に対する普及啓発。
・すい星が地球に接近したとき等のライトダウンキャンペーンの実施。
[2]地域環境計画への反映
・地域環境計画への反映。
・行動プランに具体的な実施項目を盛り込む。
[3]地球温暖化防止実行計画への反映
・対策項目の一つとして「屋外照明の適正化」をあげる。
・省エネルギーを意識した屋外照明設置を進める。
 (省エネルギー目標の設定、高効率な照明機器の採用)
・屋外照明の管理の適正化を進める。
 (点灯時間の管理、深夜の減灯、消灯、機器の清掃など)
[4]道路、施設整備における配慮
・道路、自治体施設の整備における配慮、率先改修。
 (光害を起こしにくい照明器具の選定、周辺への障害の有無のチェック)
・建設部局などへの要請。
・モデル地区の設定(適正な照明環境のモデル事例)
[5]環境アセスメントとの関係
・環境アセスメントにおいては、「光害対策ガイドライン」、「環境アセスメントの技術」等に基づき必要な措置を講じる。
・建築許可申請において、光害防止の要請。
[6]景観条例等の中での検討(景観地区)
・条例の中で、同時に良好な照明環境を実現していく。
・条例の中で屋外照明に関する規定を充実していく。
 (上方光束比、グレア、障害光の有無チェック、省エネルギー性、デザイン)
[7]屋外広告物設置規制条例等の中での検討
・条例の中で、広告物の照明(発光)に関する規定を充実していく。
・規定の中で照明(発光)に関する規定を充実していく。
 (上方光束比、グレア、障害光の有無チェック、光色、省エネルギー性、
デザイン性)
[8]都道府県および周辺自治体との連係
・市町村においては、国、都道府県に対し、国道および都道府県道への道路灯設置、改修等について要望をしていく。
・周辺自治体に対し、普及啓発ならびに協調関係の構築を積極的に進める。
[9]光害防止条例の制定
光害防止のための法的な体制の整備という観点から、最終的な施策としては、「光害防止条例」の制定などが考えられる。
[10]基礎データの収集
・施策効果の定量評価に必要なデータの整備。
・屋外照明設備設置量の調査。
・屋外広告物の実態調査。など
連絡先
環境庁大気保全局企画課大気生活環境室
室    長 :藤田 八暉(内線6540)
 室長補佐 :平塚 勉  (内線6541)
 担    当 :弥吉 元毅(内線6546)

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