報道発表資料

平成12年7月19日 この記事を印刷

平成11年度環境測定分析統一精度管理調査結果(ダイオキシン類)について

1. 環境庁では、環境測定分析に関する技術の向上等を目的として、環境測定分析統一精度管理調査を実施しているが、前年度に引き続き平成11年度においてもダイオキシン類を対象とする調査を実施したところであり、今般、平成12年度環境測定分析検討会において、結果が取りまとめられた。
 
2. 平成11年度は、ノナン溶液調製試料と土壌試料を対象として調査を行った。地方公共団体及び民間の分析機関計99機関の回答があり、その結果、両試料ともに統計的な異常値等を除外した後の各分析機関の間のTEQのばらつきは、昨年度と同程度かやや良好であり、過去に農薬等について実施した調査結果等と比べても相応なものであった。
 
3. しかしながら、回答の約1割に計算や記入上のミスがあったほか、土壌試料で、一部のダイオキシン類異性体及びコプラナーPCB異性体に異常値として棄却される回答が多かったことなどから、精度管理のための取組の継続・強化の必要性が指摘されている。
 
4. 環境庁としては、今後、各分析機関にこの結果をフィードバックするとともに、今月末にも技術講習会を開催する予定。また、平成12年度も調査を継続するとともに、精度管理に係る取組を推進するため、分析機関に示す指針等を作成する予定。
(参考)
1. 環境測定分析統一精度管理調査:
 環境庁が昭和50年度より行っている調査で、環境測定分析に従事する諸機関が、均一に調製された環境試料を指定された方法等により分析することによって得られた結果を検討、評価することにより、環境測定分析の精度の向上を図るものである。
2. ノナン溶液調製試料:
 ノナン(炭化水素の一つ)にダイオキシン類の2,3,7,8−位塩素置換異性体である17項目を添加し、混合・均一化した試料。
3. TEQ
 ダイオキシン類等の量をダイオキシン類の中で最強の毒性を有する2,3,7,8-四塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシンの量に換算した量として表していることを示す記号。

1. 調査の経緯等
 環境庁では、昭和50年度より環境測定分析データの信頼性確保のために、環境測定分析検討会及び環境測定分析統一精度管理調査部会を設置し、様々な環境汚染物質を対象とした環境測定分析統一精度管理調査を行ってきた。
 近年注目の高いダイオキシン類は、低濃度での毒性が問題となっているにもかかわらず、その分析技術についての全国統一的な調査が行われていなかったことから、平成10年度に環境測定分析統一精度管理調査部会に超微量有害化学物質検討分科会を設置し、ダイオキシン類等の環境濃度が超微量の有害化学物質に関する調査方法の検討等を行った。
 この検討結果に基づき、平成10年度からダイオキシン類に関する調査を開始し、昨年7月には第1回調査に関する報告書を取りまとめたが、今般、平成11年度に実施したダイオキシン類の「ノナン溶液調製試料」、「土壌試料」に対する地方公共団体及び民間の分析機関からの回答結果に基づき、上記の分科会及び検討会において報告書を取りまとめた。
2. 調査の目的
 本調査は、環境測定分析に従事する諸機関が、均一に調製された環境試料を指定された方法、又は任意の方法により分析することによって得られた結果から、前処理条件、測定機器の使用条件等によるデータの偏差その他分析実施上の具体的な問題点等を調査することにより、
[1] 全国の分析機関におけるデータの偏差に関する実態を把握する。
[2] 参加機関の分析者が自己の技術を客観的に認識して、その一層の向上を図る契機とする。
[3] 各分析方法についての得失を明らかにして、分析手法、分析技術の改善を図る。
ものであり、これらを踏まえ、環境測定分析の精度の向上を図り、環境測定データの信頼性の確保に資することを目的とするものである。
3. 調査の結果
 分析は各分析機関に指定した方法注1)により行った。
 参加申し込み機関は、地方公共団体及び民間の分析機関合わせて112機関あり、このうち回答のあった機関は99機関であった(表1)。
 まず、明らかな記入間違い、計算間違いを行っていると思われる機関に対して連絡をとり、先方の申し出に基づき、数値の訂正を行った(表2
 両試料のTEQのヒストグラムを図1、2に示す。また、異常値等を棄却注2)後、基本的な統計量(平均値、室間精度(CV)注3)、最小値、最大値及び中央値)を算出した(表3)。
 各試料についての結果概要を以下に示す。
(1) ノナン溶液調製試料
 ダイオキシン類17異性体のすべてについて、ND等により棄却される回答はなかった。各異性体の室間精度(CV)は概ね20〜30%で、Grubbsの方法により異常値を棄却した場合の室間精度(CV)は10〜20%と良好な結果であった注4)。平均値は中央値とほぼ一致し、ヒストグラムも概ね平均値を中心とした分布を示していた。
(2) 土壌試料
 ダイオキシン類、コプラナーPCBとも比較的濃度の低い異性体に「ND等」とする回答がみられた。
異常値棄却前の室間精度(CV)をみると、ダイオキシン類異性体では17項目中12項目で50%を超え、コプラナーPCB異性体では12項目中9項目で100%を超えていた。
 異常値棄却後の室間精度(CV)は、一部の異性体を除いたダイオキシン類異性体及びコプラナーPCB異性体、ダイオキシン類同族体及びTEQですべて20〜30%であり、相応のばらつきであった注4)。
4. 今後の取り組み
 ダイオキシン類の測定分析における精度管理の重要性にかんがみ、平成12年度においても調査を継続する必要があるが、記述間違いや計算間違いに関する修正措置の取りやめなど調査方法の変更を行うとともに、マニュアルと併用すべき精度管理の指針の作成・普及を図るべきである。
注1) 分析方法
[1]  ノナン溶液調製試料については、「ダイオキシン類に係る土壌調査暫定マニュアル」(平成10年1月環境庁水質保全局土壌農薬課)、「有害大気汚染物質測定方法マニュアル(ダイオキシン類及びコプラナーPCBs)」(平成11年3月、環境庁大気保全局大気規制課)、JISK0311:1999(排ガス中のダイオキシン類及びコプラナーPCBの分析方法)、JISK0312:1999(工業用水・工場排水中のダイオキシン類及びコプラナーPCBの分析方法)等に準じて分析した。
[2]  土壌試料については、[1]の土壌調査暫定マニュアルに基づき分析した。ただし、コプラナーPCBについては、[1]の有害大気汚染物質測定方法マニュアル、JISK0311、JISK0312等に準じて分析した。
2) 異常値等の棄却
 両試料の結果とも、分析結果については次のように異常値を棄却した。((イ)、(ロ)合わせて「異常値等」とした)
(イ)「ND」「○○以下」又は「0」で示されているもの(以下、「ND等」という)を除いた後、
(ロ)Grubbsの方法により、両側確率5%で棄却されるもの(以下、「異常値」という)を棄却した。
3) 室間精度
 同一試料の測定において、試験室が異なっている測定値の精度をいう。精度は、測定値のばらつきの程度であり、通常は標準偏差、変動係数(相対標準偏差)で表す。標準偏差はSD、変動係数(相対標準偏差)はCV(RSD)で示す。
4) 結果の評価についての判断基準
 分析方法が類似のこれまでの調査事例等を考慮し、室間精度(CV)が20%以下の場合は「良好な結果」、20〜30%の場合は「相応な結果」と考えられる。
・平成7年度、10年度に実施した農薬類(フェニトロチオン)の室間精度(CV)は、30〜35%、揮発性有機化合物(テトラクロロエチレン等)では25〜30%であった(参考表1)参照。
5. 検討員名簿
(1) 平成12年度環境測定分析検討会検討員
(五十音順、敬称略、◎印は座長)
氏 名 所 属
大嶋 和雄 茨城大学教育学部教授
大槻 元東京水産大学教授
佐藤 寿邦 横浜国立大学工学部教授
杉本 仁彦 社団法人日本環境測定分析協会水質部会長
滝澤 行雄 国立水俣病総合研究センター所長
武田 明治 日本大学生物資源学部教授
土屋 悦輝 東京都立衛生研究所環境保健部長
土屋 隆夫 東京都環境科学研究所長
森田 昌敏 国立環境研究所地域環境研究グループ統括研究官
山崎 慎一 東北大学農学部教授
(2) 平成12年度環境測定分析統一精度管理調査部会検討員
(五十音順、敬称略、◎印は座長)
氏 名 所 属
伊藤 裕康 国立環境研究所化学環境部主任研究員
稲葉 一穂 国立環境研究所水土壌圏環境部主任研究員
今井 地質調査所地殻化学部地球化学研究室長
冨永 資源環境技術総合研究所統括研究調査官
西村 哲治 国立医薬品食品衛生研究所環境衛生化学部第三室長
牧野 和夫 国立環境研究所環境研修センター主任教官
山崎 慎一 東北大学農学部教授
山本 貴士 国立環境研究所地域環境研究グループ研究員
(3) 平成12年度環境測定分析統一精度管理調査部会超微量有害化学物質検討分科会検討員
(五十音順、敬称略、◎印は座長)
氏 名 所 属
青笹 摂南大学薬学部助手
伊藤 裕康 国立環境研究所化学環境部主任研究員
今川 資源環境技術総合研究所水圏環境保全部主任研究官
鈴木 規之 国立環境研究所地域環境研究グループ総合研究官
松田 宗明 愛媛大学農学部助手

添付資料

連絡先
環境庁企画調整局環境研究技術課
課          長 :勝又 宏  (内6240)
 試験研究調整官 :松井 佳巳(内6241)
 主          査 :伊藤 恒之(内6244)
 担          当 :齋藤 広伸(内6246)

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