報道発表資料

平成25年4月25日
廃棄物
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国内初となる電炉での自動車構造用鋼板の試作成功について(お知らせ)

  • 環境省では、平成24年度新規事業として、鉄スクラップを原料として電炉で製造することにより、自動車用の構造用高張力鋼板を試作し、品質検証を行う実証事業を実施しました。
     その結果、国内で初めて、高炉で製造した場合と同等の品質を持った構造用高張力鋼板を試作することに、成功しました。
  • 自動車の構造用鋼板などに鉄スクラップを用いることができれば、[1]貴重な国内資源である鉄スクラップの利用用途の拡大、[2]鉄スクラップに含まれるレアメタル等の有効活用、[3]二酸化炭素の削減(鉄鉱石は海外から遠距離輸送)、[4]使用済自動車から回収される鉄スクラップを原料として再び自動車を製造する(Car to Car)など水平リサイクルの実現、[5]高張力鋼板の低コスト化等につながるものと考えています。
  • 実用化に当たっては、大量生産に耐えうる品質安定性の確保、より多くの部材に採用されるために必要となる鋼板の更なる薄型化、製造時に使用するレアメタル等の削減等が課題であることから、環境省では、平成25年度も引き続き、実証事業を実施する予定です。

(1)鉄スクラップの利用状況

 鉄については、鉄鋼生産時等に発生する加工スクラップ、自動車などの使用済製品から回収される老廃スクラップが再び鉄鋼生産へと循環しており、我が国で年間に製造される鉄鋼製品の原料約1億3千万トンのうち、約5千万トンが鉄スクラップ由来の原料となっています(出典:日本鉄鋼連盟)。
 しかしながら、現在、鉄スクラップを原料とした鉄鋼製品は、様々な合金元素を添加した特殊鋼や、それ程高水準の品質が求められない建設用建材などに用いられており、自動車や家電製品の鋼板については天然資源である鉄鉱石を主な原料として製造されています。
 近年、国内における建設需要の減少等により、鉄スクラップの我が国からの輸出が増加しています(平成2年約40万t、平成12年約280万t、平成23年約540万t。出典:貿易統計))。

(2)高炉と電炉

 鉄を製造する方法としては、天然資源である鉄鉱石を主な原料として高炉で製造する方法と、リサイクル資源である鉄スクラップを主な原料として電炉で製造する方法の二つがあります。
 高炉で製造する場合には、エネルギーに加えて、鉄鉱石に含まれる酸素分について、コークス(石炭を蒸し焼きにした燃料)などを使用し除去することが必要なため、多くのCO2を排出します。
 一方、電炉で製造する場合には、鉄スクラップを溶かして製品化するためのエネルギーだけで足りることから、高炉で製造する時と比較してCO2の排出量は大幅に低くなり、高炉の25%程度となるとの試算もあります。

(3)事業の趣旨

 自動車の構造用高張力鋼板は、軽薄性、成形性、車体衝突時の耐久性など高い性能を求められる部材であり、かつ、鉄スクラップに少なからず含有する銅の成分値の割合を一定以下に抑えなければならないという技術上の課題があることから、現在、国内では鉄スクラップを主な原料としている電炉では製造されていません。
 本事業は、近年電炉における製造・管理技術が向上していること、鉄スクラップに鉄の張力特性等を高めるレアメタル等が含有されていることを踏まえ、現在一般的に製造されている構造用高張力鋼板と同等以上の品質(強度−伸びのバランス)を持たせることを目指して、電炉において鋼板を試作製造し、必要な品質を満すかどうか検証したものです。

(4)事業の概要

鉄スクラップ150トンを原料とし、電気炉に投入する方法により鋼板を試作。
試作した鋼板が、必要な品質を満たしているかどうかについて、溶接性評価(スポット溶接(鋼板を2枚重ねて電極ではさみ点溶接)した試作鋼板を試験片として、溶接面に対して垂直・平行に引張試験を行い溶接部の強さを調べる。)等を行い確認。

(5)事業の結果

高炉で製造した場合と同等の強度−伸びのバランスを持った鋼板の試作に成功しました。
熱間圧延された鋼板コイルは、全長にわたって品質が安定しており、溶接性など各特性試験においても現行高炉材と比較して特に劣ることは認められませんでした。
構造用高張力鋼板の試作に成功した要因としては、[1]原料の50%を市中の鉄スクラップより成分が安定している自動車工場内で発生した鉄スクラップ(新断材)を用いたこと、[2](独)物質・材料研究機構等の研究成果(微細結晶粒の組織創製技術)をベイナイト組織(炭素鋼の組織の一つで、強度等に優れる。)に応用したこと等が大きいと考えられます。
委託事業実施者 東京製鐵株式会社(一般競争入札により選定)
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実証実験の詳細な内容については、下記担当にお問い合わせ下さい。
 東京製鐵株式会社 本社 総務部 総務課
 直通 03−3501−7721
連絡先
環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部企画課リサイクル推進室
直通   :03−5521−8336
代表   :03−3581−3351
室長   :永島 徹也 (内線6831)
室長補佐:御厩敷(おんまやしき) 寛 (内線6807)
担当   :佐藤 直己 (内線6833)

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