報道発表資料

平成24年11月29日
地球環境
この記事を印刷

COP18 サイドイベント「低炭素社会実現のための共通課題−低炭素社会国際研究ネットワーク(LCS-RNet)の取組−」の開催結果について(お知らせ)

 2012 年11 月27 日(火)、カタール・ドーハで開催中の第18 回気候変動枠組条約締約国会議(COP18)EUパビリオン内にて、サイドイベント「低炭素社会実現のための共通課題−低炭素社会国際研究ネットワーク(LCS-RNet)の取組」が開催されました。
 本サイドイベントでは、2012年9月に英国・オックスフォードで実施されたLCS-RNetの第4回年次会合の成果の報告と、LCS-RNetのような知識共有型ネットワークの役割と今後の方向性について、LCS-RNetが来年度3月に第一フェーズの活動を終了するにあたり、第一フェーズの活動を総括し、来る第二フェーズにどのような形で活動を継続すべきかが議題とされました。
 本サイドイベントは、英国エネルギー気候変動省(DECC)、英国エネルギー研究センター(UKERC)と、公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)に事務局が置かれているLCS-RNet事務局との共催で、我が国からは、谷津龍太郎環境省地球環境審議官が開会挨拶を行ったほか、西岡秀三LCS-RNet事務局長がLCS-RNetの紹介を行い、甲斐沼美紀子国立環境研究所フェローがLCS-RNet第4回年次会合での主要な議論を説明しました。サイドイベントにはおよそ45名が参加し、登壇者のみならず参加者をも含んでの積極的な意見交換が行われました。

1.LCS-RNet の概要

(1)経緯

 LCS-RNetは、2008年5月のG8環境大臣会合(神戸:5月24‐26日)において我が国の提案により設立が合意されたものである。それぞれ自国の低炭素社会を実現するための研究を行っている、各国を代表する研究機関(注1)により2009年4月に正式に立ち上げられ、同月に開催されたG8環境大臣会合において、今後LCS-RNetの活動成果をG8環境大臣会合に定期的に報告していくよう求められた。2009年10月には第1回年次会合がイタリアのボローニャにて、2010年9月には第2回年次会合がドイツのベルリンにて、2011年10月には第3回年次会合がフランスのパリにて、また、本年 9月には第4回年次会合が英国のオックスフォードにて開催された。

 注1:現時点での参加国・機関は、我が国(国立環境研究所(NIES)、地球環境戦略研究機関(IGES)の2機関)のほか、フランス(環境・開発国際研究所(CIRED)ほか3機関)、イタリア(新技術・エネルギー環境庁(ENEA)ほか1機関)、韓国(国立環境研究院(NIER))、英国(英国エネルギー研究センター(UKERC))、ドイツ(ヴッパタール気候・環境・エネルギー研究所(WI))、インド(インド経営研究大学アーメダバード校(IIMA)ほか5 機関)の7 カ国からの16研究機関である。

(2)目的

[1]
G8 や気候変動枠組条約締約国会議などの気候政策の意思決定プロセスへの科学的 知見の提供
[2]
低炭素社会研究の推進及び様々な研究に関する情報交換
[3]
政策決定者やNGO、市民らと研究者の対話の推進

2.サイドイベント概要

  • 本サイドイベントでは、本年9 月に実施されたLCS-RNetの第4回年次会合の成果の報告と、LCS-RNetのような知識共有型ネットワークの役割と今後の方向性について、LCS-RNet が来年度3月に第一フェーズの活動を終了するにあたり、第一フェーズの活動を総括し、来る第二フェーズにどのような形で活動を継続すべきかが討議された。
  • 冒頭挨拶では、まず日本国環境省から、日本の具体的な取組みとして、今年 7 月から施行された固定価格買取制度(FIT)、10月から導入された温暖化対策税、また、9月に策定された「革新的エネルギー・環境戦略」における再生可能エネルギーの飛躍的導入の方針等が挙げられ、日本が東日本大震災からの復興支援と並行して目標の達成に向けて最大限の努力を続けていること等が紹介された。続けて英国エネルギー気候変動省(DECC)からは、科学と政策のつながりの必要性が取り上げられ、LCS-RNetの特徴の一つである、低炭素社会に向けた政府の政策決定過程に深く関与する研究者のネットワークの重要性や先取性について言及があった。更に、フランス・エコロジー・持続可能な開発・運輸・住宅省からは、政府をあげて低炭素社会に向けた「転換(Transition)」を起こしていくべきとの認識が高まっており、この「転換」を起こすには様々なステークホルダーの協働が不可欠であること、その中でも特に科学が政策に適切に反映されていくことが要であり、研究者と政策担当者との更なる協働を可能にするLCS-RNetの潜在的な重要性が今後更に高まるのではとの期待が表明された。
  • LCS-RNet 第4回年次会合では、「技術開発と行動様式の変化」、「気候資金とグリーン成長」、「国家及び地方政策の調整と炭素価値」、「低炭素への変換のための科学と政策の相互交流」、「低炭素活動を強調するための国際的な協調」の5点の主要課題(KeyFindings)が挙げられた。本サイドイベントの第一部ではこれらの主要課題を概説し、更に主要課題と深く関連する研究成果について発表が行われた。
  • 本サイドイベントの第二部ではパネルディスカッション形式の議論が展開された。英国DECC及び日本国環境省は、国内の研究者・研究機関が政策立案に果たしてきた役割について触れ、今後政策立案に科学的な知見がますます必要となることを強調した。 中国の登壇者は、国内の政策立案に対する研究者・研究機関の役割について一定の進捗が認められるとしながらも、政策立案への科学的な知見の反映がまだ不十分であるとの現状を紹介した。さらに、欧州気候基金(EuropeanClimateFoundation)の登壇者は、グリーン成長ベストプラクティスイニシアティブ(GGBP)プロジェクトについて触れ、低炭素・グリーン成長の実現に向けて、今回イタリア、英国、日本が紹介したような研究者による科学的知見の政策立案への適切なインプットが、一つの優良事例として途上国にも適用可能なのではないかとの示唆を行った。
  • そのほか、日本国環境省からは、日本が既存の知識共有ネットワークや他のステークホルダーと協働する形で、低炭素成長に貢献していく用意があること、LCS-RNetの更なる拡大について各国政府と協力していく用意があること、2013年7月に日本にて開催予定のLCS-RNet第5回年次会合までに、LCS-RNetの望ましいあり方についてのコメントを広く受け付けたいこと、また、日本国政府は最近、今後排出量が増加すると予想されるアジア諸国における低炭素社会を推進するべく、LCS-RNetで得られた知見を元に低炭素アジア研究ネットワーク(LoCARNet)を立ち上げたところ、今後LCS-RNetとLoCARNet との連携を図っていきたいとの発言があった。
  • また、参加者から、現在の知識共有ネットワークには課題と可能性の両方があり、多層的なステークホルダーへの浸透・展開について一定の困難さを指摘しつつ、気候変動の緩和分野のみならず適応分野との連携や、また、分野横断的な広がりを促進していくべきことが指摘され、イベントは盛況のうちに終了した。

3.今後の予定

LCS-RNetの第5回年次会合は、2013年7月に神奈川県横浜市で開催予定。同時期に、アジアを対象とした研究ネットワークである「低炭素アジア研究ネットワーク(LoCARNet)」の第2回会合も開催される予定。

連絡先
環境省地球環境局総務課研究調査室
直通  :03-5521-8247
代表  :03-3581-3351
室長  :辻原 浩   (内線 6730)
専門官:星野 ゆう子 (内線 6745)
担当  :稲子谷 昂子(内線 6733)

Adobe Readerのダウンロード

PDF形式のファイルをご覧いただくためには、Adobe Readerが必要です。Adobe Reader(無償)をダウンロードしてご利用ください。

ページ先頭へ