報道発表資料

平成24年9月11日
自然環境
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平成24年度野生生物保護対策検討会アホウドリ保護増殖分科会の開催結果について(お知らせ)

 環境省では、9月11日(火)に、「平成24年度野生生物保護対策検討会アホウドリ保護増殖分科会」を開催し、アホウドリ保護増殖事業の実施結果報告と今後の計画についての検討を行いました。
 この中で、アホウドリの最大の繁殖地である伊豆諸島鳥島において環境省が実施したモニタリング事業(今年2〜3月)により、当年生まれのヒナが前年に比べ40羽多い368羽確認されたことを報告しました。これにより、鳥島の個体群は全体でおよそ3,000羽まで増えたと推定されます
 環境省が米国内務省魚類野生生物局との協力により平成13年度から実施している日米共同衛星追跡事業では、鳥島のヒナ及び小笠原諸島聟島むこじまで人工飼育されたヒナに衛星発信器を装着して行動追跡を行っており、長いものは平成21年5月に装着し、約39ヶ月後の平成24年8月末現在までの移動経路が把握できています。
 山階鳥類研究所が環境省と米国内務省魚類野生生物局との協力により平成19年度から実施している聟島でのアホウドリ新繁殖地形成事業については、平成20・21年に鳥島から聟島へ移送し、聟島を巣立ったヒナ25羽のうちの6羽が、聟島へ帰還した(23年12月〜24年4月)ことが報告されました。事業開始5年目となる平成24年の2月11日には、昨年と同数の15羽のヒナを移送しました。本年度でヒナの移送事業は完了し、今後はアホウドリのモニタリング事業に着手することとなりました。

I 環境省野生生物保護対策検討会アホウドリ保護増殖分科会検討員

小城 春雄
北海道大学 名誉教授
尾崎 清明
(公財)山階鳥類研究所 副所長
長谷川 博
東邦大学理学部 教授
樋口 広芳
東京大学大学院農学生命科学研究科 教授 (五十音順 敬称略)

II 野生生物保護対策検討会アホウドリ保護増殖分科会での報告及び検討事項

1.鳥島での保護増殖事業について

[1]平成23年度の実施結果
平成24年2月に行った環境省の調査により、今年生まれたヒナは、鳥島の燕崎(元々の繁殖地)で290羽、初寝崎(新しい繁殖地)で72羽、その他の地点で6羽の計368羽がカウントされ、昨年よりも40羽多かった。(※このうち燕崎のヒナ15羽を2月11日に小笠原聟島へ移送した。)
分科会検討員の長谷川東邦大学教授により、アホウドリの鳥島個体群は約3,000羽と推定されている。(平成5年の保護増殖事業開始当時は約600羽)
燕崎繁殖地への土砂流入対策として、平成23年5月に崖下直下における流路変更工事を実施した。(手作業による尾根の掘削、斜面の盛り土と土のう設置)(写真1参照)しかし、平成24年2月に土砂流の痕跡が確認され、流路変更工事を行った区間の土のうが押し流されていた。
[2]今年度(平成24年度)の実施計画
鳥島での確認ヒナ数は順調に増加していることから、24年度も平成25年2〜3月にモニタリングを行う
燕崎繁殖地への土砂流入対策については、重機の投入による導入溝の採掘を含めた繁殖環境の改善計画を立て、鳥島鳥獣保護区保全事業で実施する。

図1:鳥島における2-3月期の確認ヒナ数の推移

写真1:流路変更工事実施箇所全景
(平成23年5月実施後)
※白く見える部分は土のうであり、それらを設置して流路を変更した。

写真2:流路変更工事実施箇所全景
(平成24年2月7日)
※土砂流で導水溝の土のうが押し流された


2.日米共同衛星追跡事業(平成13年度から実施中)

[1]平成21〜24年度の実施結果
ア.平成21,22,23年巣立ちヒナの追跡結果
平成21年5月中旬に、鳥島及び聟島の巣立ち前のアホウドリのヒナに、それぞれ7羽(日本2羽、米国5羽))の計14羽に発信器を装着した。このうち聟島の1羽(日本装着の発信器)に関しては、平成24年8月末現在も追跡を継続中であり、約39ヶ月間にわたって、人工衛星による行動追跡に成功している。
平成22年5月中旬には、鳥島及び聟島の巣立ち前のアホウドリのヒナに、それぞれ6羽(日本2羽、米国4羽))の計12羽に発信器を装着した。このうち鳥島1羽、聟島の1羽(ともに日本装着の発信器)に関しては、平成24年8月末現在も追跡を継続中である。
平成23年5月中旬に、鳥島及び聟島の巣立ち前のアホウドリのヒナに、それぞれ7羽(日本2羽、米国5羽)の計14羽に発信機を装着した。(図1)このうち鳥島1羽、聟島の1羽(ともに日本装着の発信器)に関しては、平成24年8月末現在も追跡を継続中である。
鳥島と聟島の雛の間には巣立ち後の最初の飛翔方向について違いが見られたが、夏季以降の行動については、顕著な違いは見られなかった。
イ.平成23年巣立ちヒナの追跡結果
平成24年5月中旬に、鳥島及び聟島の巣立ち前のアホウドリのヒナに、それぞれ6羽(日本2羽、米国4羽)の計12羽に発信機を装着した。
<追跡結果>
鳥島の雛は5月28日までに、聟島の雛は5月25日までに全ての個体が巣立ち、現在10個体で追跡継続中である。(図2)平成24年の巣立ちヒナの航跡の傾向として、平成23年巣立ちヒナと同様に、島から離れて北上せずすぐに東よりのコースを取っているものが多いことが挙げられる。オホーツク海に奥深く入ったのは聟島の1個体のみであった。
[2]今後の実施計画
平成21〜24年度に送信機を装着した個体について、電波受信が途絶えるまで引き続きデータを受信し、今後、衛星追跡結果を解析する。

図1:平成21年鳥島巣立ち個体の位置データ(H21.5.〜H23.2.)

図2:H24年放鳥12個体の位置データ(平成24年8月21日まで)

3.聟島における新繁殖地形成事業(平成19年度から実施中)

[1]今繁殖期の実施結果報告
ア.ヒナ移送と人工飼育

<移送>

2月11日に鳥島から聟島までヒナ15羽をヘリコプターで移送。

<飼育>

3月8日に1羽が死亡(吐き戻した餌による窒息死)したが、残り14羽のヒナが巣立った。
イ.デコイ・音声装置の設置
平成23年11月にデコイ・音声装置を設置し、翌年5月末まで稼働させた後撤去した(毎年同時期に設置及び撤去)。
ウ.普及啓発の実施
鳥島から聟島への新繁殖地形成事業について住民説明会を2回実施した。平成24年6月3日母島で約20名、6月4日父島で約40名が集まった。
帰還確認日 個体番号 性別 年齢 移送年 備考
12月5日 Y01 オス 4歳 平成20年 現地カメラで確認
1月29日 Y11 メス 4歳 平成20年 現地カメラで確認
3月22日 Y27 オス 3歳 平成21年  
4月9日 Y05 メス 4歳 平成20年  
4月15日 Y15 メス 3歳 平成21年  
4月16日 Y21 オス 3歳 平成21年  

表1:今繁殖期に確認された移送ヒナの帰還状況

  飛来個体数
(のべ数)
備考
12月中 2羽 現地カメラで確認
1月中 1羽 現地カメラで確認
2月中 11羽  
3月中 14羽  
4月中 11羽  
5月中 7羽  

(参考)繁殖期に確認された移送ヒナ以外のアホウドリ飛来状況

[2]次期繁殖期(平成24年2〜5月)の実施計画

デコイ・音声装置はこれまで同様平成24年11月〜25年5月まで設置し、音声装置については誘引策を拡充するため、部品の一部を交換し、出力をこれまでの2倍程度に増強する。
アホウドリの繁殖期(10月下旬〜3月下旬)に、聟島のデコイ・音声装置設置区において、飛来数、飛来場所、行動等を観察により記録する。
衛星通信により遠隔操作できる無人カメラを設置し、モニタリング実施時期以外においても行動観察を実施する。
学校等への教育活動や島民向け説明会を開催し、アホウドリ保全の普及啓発を図る。
連絡先
環境省自然環境局野生生物課
(代表:03-3581-3351)
         (直通:03-5521-8283)
課長   :中島 慶二 (内線:6460)
課長補佐:山本 麻衣 (内線:6475)
専門官  :加藤 麻理子(内線:6671)
専門官  :浪花 伸和 (内線:6469)
係長   :柳谷 牧子 (内線:6468)

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