報道発表資料

平成23年11月18日
地球環境
この記事を印刷

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)「気候変動への適応推進に向けた極端現象及び災害のリスク管理に関する特別報告書」の公表について(お知らせ)

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第34回総会(平成23年11月18日〜19日、於ウガンダ共和国・カンパラ)において、「気候変動への適応推進に向けた極端現象及び災害のリスク管理に関する特別報告書」(Special Report on Managing the Risks of Extreme Events and Disasters to Advance Climate Change Adaptation:SREX)の政策決定者向け要約が承認されるとともに、報告書本編が受諾されましたので、その概要をお知らせします。

1.「気候変動への適応推進に向けた極端現象及び災害のリスク管理に関する特別報告書」(SREX)について

 SREXは、気候変動と極端な気象・気候現象(以下「極端現象」という。)の関係及びこれらの現象の持続可能な開発への影響などに関する科学的文献を評価し、政策決定者等が気候変動に関連する災害リスク管理及び気候変動への適応施策に利用できるように取りまとめたものである。このうち、政策決定者向け要約(SPM)については、総会に先んじて開催された第1・第2作業部会総会(平成23年11月14日〜17日、開催地同じ)において、各国政府代表団により最終的な確認が行われ、全会一致で取りまとめられた。
 本報告書では、IPCC第4次評価報告書(AR4、2007年公表)作成時に用いられた複数の地球温暖化予測モデルの計算結果をもとに極端現象に着目した解析結果が示されるとともに、極端現象と災害に対するリスク管理を気候変動への適応にどのように活かしていくか等に関するAR4以降の新しい科学的知見が評価・引用されている。
 我が国は、本報告書作成にあたり、専門家による原稿執筆や査読、SPM作成等を通じ積極的な貢献を行ってきた。本報告書に取りまとめられた知見は、2013〜2014年に公表予定のIPCC第5次評価報告書の取りまとめにも活用されるとともに、今後の「気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC)」をはじめとする気候変動対策のための様々な議論に科学的な根拠を与える重要な資料となると評価される。

2.SREXの主な結論

 SREXのSPMでは、[1]背景、[2]曝露1、脆弱性2、極端現象、影響及び災害損失の観測・所見、[3]災害リスク管理と気候変動への適応:過去の極端現象における経験、[4]極端現象の将来予測とその影響及び災害損失の評価、[5]変化する極端現象及び災害のリスクへの対応の5構成のもと、極端現象による災害に着目した気候変動適応策に関する科学的視点や見解をまとめている。
 SPMの主要な結論は以下の通りである。また、概要を別紙に示す。

 人の生活やその他の社会経済活動等が極端現象により悪影響を受ける可能性がある場所に存在すること。例えば、台風経路にあたる地域に人口が集中している場合、その地域は台風に対して曝露が大きいという。
 2 極端現象による悪影響の受けやすさ、対処できない度合い。例えば、極端な高温には高齢者の方が脆弱であると言える。

「気候変動への適応推進に向けた極端現象及び災害のリスク管理に関する特別報告書(SREX)」政策決定者向け要約の主要な結論

構成A:背景

リスクが現実化した時、曝露と脆弱性は災害リスクと影響の主要な決定要因となる。
気候変動は、極端現象の発生頻度、強度、空間的広がり、持続期間やタイミングの変化をもたらし、前例のない極端現象を発生させる可能性がある。

構成B:曝露と脆弱性、極端現象とその影響及び災害損失の観測・所見

いくつかの極端現象は、大気中の温室効果ガス濃度の増加を含む人為的影響により変化している。暑い日/夜の数の増加、寒い日/夜の数の減少(世界的規模、可能性が高い)、強い降雨の強度の増加(世界的規模、中程度の確信度)、平均海面水位上昇による沿岸域の極端な高潮の増加(可能性が高い)、熱帯低気圧の活動(風速、発生数、持続期間)の変化(低い確信度)。
気象・気候に関連する災害による経済損失は、地域、年によって大きな変動がみられるが、増加傾向にある(高い確信度)。人口と財産・資産の暴露の増加は、長期間の経済損失の変化の主要因である(高い確信度)が、気候変動が影響していることを排除できない(中程度の証拠、高い一致度)。

構成C:災害リスク管理と気候変動に対する適応:過去の極端現象における経験

災害リスク管理と気候変動への適応を統合し、地域、国、国際レベルでの開発の政策と実行に取り込むことはあらゆるレベルで有益である(高い一致度、中程度の証拠)。

構成D:極端現象の将来予測とその影響及び災害損失の評価

気候予測モデルは21世紀末までに気温の極端な値の大幅な増加を予測している。例えば、20世紀末に20年に一度起こる暑い日は、今世紀末にはほとんどの地域で2年に一度起こる可能性が高い(北半球の高緯度地域では5年に一度)。
21世紀中に強い降雨の発生頻度あるいは総降水量に占める強い降雨の割合が世界の多くの地域で増加する可能性が高い。
熱帯低気圧の最大風速が増加する可能性が高いが、すべての大洋で増加するわけではない。世界的には熱帯低気圧の発生数は減少するか基本的に変化しない可能性が高い。

構成E:変化する極端現象及び災害のリスクに対する準備と対応

後悔の少ない対策と呼ばれるもの(災害の早期警報、リスクコミュニケーションなど)は、将来予測される曝露・脆弱性・極端現象の変化に対する初動の取り組みとなり、すぐに役立つとともに将来の極端現象の変化に対応する土台となる(高い一致度、中程度の証拠)。また、モニタリング・評価・学習・研究・技術革新を反復するプロセスは、災害リスクを小さくし、極端現象への適応を促進する。

添付資料

連絡先
環境省地球環境局総務課研究調査室
直通:03-5521-8247
代表:03-3581-3351
室長  :松澤 裕 (内線6730)
室長補佐:佐々木 緑(内線6731)
係長  :河里 太郎(内線6735)

Adobe Readerのダウンロード

PDF形式のファイルをご覧いただくためには、Adobe Readerが必要です。Adobe Reader(無償)をダウンロードしてご利用ください。

ページ先頭へ