報道発表資料

平成23年9月30日
水・土壌
この記事を印刷

被災地の海洋環境のモニタリング調査結果の公表について(お知らせ)

 環境省では、東日本大震災を受け、被災地の海洋環境について緊急的に有害物質等のモニタリング調査(第1次)を実施しました(調査実施日:6月3日〜20日)。
 この度全ての調査項目の分析が終了したため、海洋環境緊急モニタリング調査検討会での検討結果を踏まえ、以下のとおり公表します。
 なお、環境省では、今後も継続して監視を実施することとします。

1.調査結果概要

ア)環境基準調査

(1)生活環境の保全に関する環境基準(生活環境項目)

 環境基準値と比較して問題となる値はありませんでした。

(2)人の健康の保護に関する環境基準(健康項目)

 全ての項目について環境基準値を下回っていました。

(3)ポリ塩化ビフェニル(PCB)

 海水中のPCBは、いずれの測点においても環境基準値を下回っていました。堆積物中のPCBは、いずれの測点においても暫定除去基準値を下回っていました。PCB廃棄物に由来すると考えられる汚染は現時点では検出されませんでした。

(4)ダイオキシン類

 震災による影響は確認されず、いずれの測点においても環境基準値を下回っていました。ただし、宮古-1の堆積物ではコプラナーPCBの占める割合が他の測点よりも高く、それが過去に使用されたPCB製品に由来している可能性が否定できませんでした。

イ)有害物質等調査

(1)油分(炭化水素)

 海水中及び堆積物中の炭化水素は概ね既存の調査(海上保安庁 海洋汚染調査)の結果の範囲内でした。一部の測点において他よりも相対的に高い値が検出されましたが、震災による影響はみられませんでした。

(2)臭素系難燃剤(PBDE及びHBCD)

 海水中及び堆積物中のPBDEは既存の調査結果の範囲内でしたが、震災に伴い負荷が増大した可能性があり、一部の測点において他よりも相対的に高い値が検出されました。
 海水中のHBCDはいずれも定量下限値未満でした。一方、堆積物中のHBCDは既存の調査結果の範囲内でしたが、震災に伴い負荷が増大した可能性があり、一部の測点において他よりも相対的に高い値が検出されました。また、仙台湾は発生源に近く、三陸海域は発生源から離れていることが示唆されました。

(3)有機フッ素化合物(PFOS及びPFOA)

 海水中及び堆積物中の有機フッ素化合物は既存の調査結果の範囲内でした。いずれも河川を介して海域に流出していることが示唆されました。

(4)その他の有害化学物質

 浸水地域での取扱量が多い有害化学物質のうち、海水中に溶解する性質を有するものとして、1,2-ジクロロエタン、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトニトリルを選定し、海水中の濃度を調査したところ、1,2-ジクロロエタン及びアセトニトリルはいずれも検出されず、N,N-ジメチルホルムアミドは定量下限値前後の低い値でした。

ウ)海底ごみ調査

 離岸1km以遠の海域においてサイドスキャンソナー調査(注)を実施した結果、海底に沈積しているごみが検知されました。三陸海域では沿岸に近い海域にやや多く分布する傾向がみられ、仙台湾では比較的沖合まで広がって分布する傾向がみられました。
 サイドスキャンソナーでごみが検知された地点のうち、6地点において水中カメラによる撮影を行ったところ、いずれの地点においても海域起源と思われるごみ(養殖施設の残骸等)が発見されました。このうち2地点においては陸域起源と思われるごみ(ホームタンク、ロッカーあるいは冷蔵庫と推定されるごみ)も発見されましたが、大型のがれき等(倒壊家屋、自動車等)は発見されませんでした。
 地震後の津波によって流されたがれきのうち、木質系等の軽いものについては海域に流出しやすく、流出後は浮遊してさらに広範囲に拡散する一方で、コンクリートや金属等の重いものについては海域に流出しにくく、流出したとしても海底に速やかに沈降し、あまり拡散はしないと推測されておりましたが、今回の調査結果はこの推測を裏付けるものであるとの考えが検討会においても了承されました。

注:
サイドスキャンソナー調査とは、海底に向けて音響パルスを発信し、その反射・散乱波を受信することにより、海底の地形や沈積物の状況を把握するものです。

エ)放射性物質調査

 7測点で調査を行い、海水中の濃度はセシウム134及びセシウム137とも全て不検出でした。海底土の濃度については、セシウム134では<10〜620Bq/kgの範囲、セシウム137では24〜760Bq/kgの範囲でした。

2.まとめ

 化学物質調査では、環境基準が設定されている項目(生活環境項目、健康項目及びダイオキシン類)はいずれも問題となる値は検出されませんでした。PCB、ダイオキシン類及び油分については、震災による影響は今のところみられませんでした。一方、PBDEについては震災に伴い負荷が増大した可能性があり、一部の測点において他よりも相対的に高い値が検出されました。
 海底ごみ調査では、三陸海域では沿岸に近い海域にやや多く分布する傾向がみられ、仙台湾では比較的沖合まで広がって分布する傾向がみられました。一部の海域では陸域起源と思われるごみが発見されましたが、調査対象とした離岸1〜20kmの海域においては全体的なごみの密度は比較的小さく、至るところに大型のごみがある状態ではないことが明らかとなりました。この結果は、震災で発生したがれきの性状から推測される状況と一致していました。
 海域に流出し沈積した家屋やがれき等から時間が経つにつれて有害物質が海水や堆積物中に溶出する可能性や、陸域での廃棄物処理に伴い今後有害物質が発生し海域を汚染する可能性もあることから、今後も引き続き、これらの状況について監視を続けていくこととします。

3.海洋環境緊急モニタリング調査検討会検討員

(50音順、敬称略)
石坂 丞二名古屋大学地球水循環研究センター教授
井上 均見海上保安庁海洋情報部環境調査課海洋汚染調査室長
小城 春雄北海道大学水産学部名誉教授
白山 義久独立行政法人海洋研究開発機構理事
田中 勝鳥取環境大学サステイナビリティ研究所長・特任教授
田辺 信介愛媛大学沿岸環境科学研究センター教授
中田 英昭長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科長(座長)
西田 周平東京大学大気海洋研究所教授
野尻 幸宏独立行政法人国立環境研究所地球環境研究センター上級主席研究員
牧 秀明独立行政法人国立環境研究所地域環境研究センター海洋環境研究室
主任研究員

参考

関連公表資料

東日本大震災の被災地における環境モニタリング調査について(平成23年5月2日)
被災地の海洋環境のモニタリング調査結果(速報)の公表について(平成23年7月8日)
被災地の海洋環境のモニタリング調査結果(中間報告)の公表について(平成23年7月22日)
詳細な資料等については、環境省のHPにおいて公表予定
環境省URL:http://www.env.go.jp/earth/kaiyo/monitoring.html

添付資料

連絡先
環境省水・大気環境局水環境課海洋環境室
直通:03-5521-9025
代表:03-3581-3351
室長:森 高志(内線6630)
室長補佐:宮元 康一(内線6631)
担当:黒川 忍(内線6632)

Adobe Readerのダウンロード

PDF形式のファイルをご覧いただくためには、Adobe Readerが必要です。Adobe Reader(無償)をダウンロードしてご利用ください。

ページ先頭へ