報道発表資料

平成23年3月31日
自然環境
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「絶滅のおそれのある野生動植物種の野生復帰に関する基本的な考え方」について(お知らせ)

 環境省では、平成19年度より生息域外保全方策検討事業を開始し、生息域外保全のあり方等に関する検討を重ね、今般、「絶滅のおそれのある野生動植物種の野生復帰に関する基本的な考え方(以下、野生復帰に関する基本的な考え方とする)」を作成しましたのでお知らせします。
 この野生復帰に関する基本的な考え方は、野生復帰の位置づけや実施する際に必要とされる検討事項とその進め方について、全分類群に共通する横断的な考え方を示すことにより、適切な野生復帰を推進することを目的としています。

(1)作成の背景

環境省は、種の保存における生息域外保全の取組を推進するため、平成19年度より進めてきた生息域外保全方策検討業務の一環として「絶滅のおそれのある野生動植物の生息域外保全に関する基本方針(以下、基本方針とする)」を策定し、これを公表した(平成21年1月)。
しかしながら、生息域外保全を行った個体の野生復帰に際し、野生復帰個体の遺伝的地域特性への配慮の欠如や、自然の生息地以外への個体導入事例があり、これらの不適切な取組により同種個体群や対象地域の生態系等へ与える悪影響が懸念されている。
その背景には、野生復帰を実施する際に必要とされる検討事項や実施条件等が具体的に示されておらず、これらに係る共通認識の欠如が実施上の障害の一つとなっていると考えられた。

(2)野生復帰に関する基本的な考え方の作成

こうした状況を踏まえ、平成21年度より環境省において、「野生復帰方策検討委員会(※)」を設置し、生息域外保全からの野生復帰のあり方等に関する検討を進めてきた。(※委員については資料2参照。)
今般、これらの考え方を取りまとめ、環境省において、「絶滅のおそれのある野生動植物種の野生復帰に関する基本的な考え方」を作成した。
なお原案について、学会、自然保護団体等への意見照会を実施し、いただいた御意見についても検討委員会での議論を反映した。(事例については資料3参照)

(3)野生復帰の考え方の概要(全文については資料1参照。)

野生復帰の位置づけ

 「野生復帰」とは、生息域外におかれた個体を自然の生息地(過去の生息地を含む)に戻し、定着させることで、種の絶滅回避のための保全の取組手法の一つである。

野生復帰の範囲(図1)

 IUCN作成の再導入ガイドラインで定義された各種の再導入手法のうち、生息域外個体群を活用した「再導入」及び「補強」によって、生息域内で存続可能な自立個体群を定着させることである。

野生復帰による期待される効果と懸念される悪影響

期待される効果
生息域内個体群の復活または個体数の増加
地域文化の再生や地域社会の活性化といった社会的効果 等
懸念される悪影響
生態系・生息域内個体群の撹乱
病原体及び寄生生物の伝播・外来生物の非意図的導入 等

野生復帰の検討の進め方(図2)

1.野生復帰実施の検討

 野生復帰にあたっては、その必要性と実現可能性の両面から、各主体や関係者による十分な事前検討の実施が望ましい。

2.野生復帰の必要性の評価

 野生復帰の必要性は科学的な視点に立って、対象種の[1]現状把握、[2]将来予測・影響把握、[3]必要性の評価、という手順に従って実施する。

3.野生復帰の実施可能性の評価

 野生復帰の実施可能性は、[1]適切な野生復帰候補地の確保、[2]野生復帰に適した生息域外個体群の確保、[3]野生復帰技術の集積、[4]実施体制の整備、の条件を満たすかどうかを検討し評価する。

野生復帰実施計画の作成

 野生復帰を実施する際には実施前に、「2.野生復帰の必要性の評価」及び「3.野生復帰の実施可能性の評価」における検討結果を基に、「野生復帰実施計画」を作成する。

野生復帰実施における配慮事項

 野生復帰の開始から個体群の自立的な定着まで、生息域内保全の取組と綿密な連携の上で実施する。


図1 本文書における野生復帰の適用範囲(IUCN再導入ガイドライン準拠)

図2 野生復帰実施に至る検討フロー

添付資料

連絡先
環境省自然環境局野生生物課
(代表:03-3581-3351)
(直通:03-5521-8283)
課長:亀澤 玲治(6460)
課長補佐:堀内 洋(6475)
専門官:大林 圭司(6469)
係長:浪花 伸和(6469)

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