報道発表資料

平成22年9月30日
自然環境
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ラムサール条約湿地潜在候補地の選定について(お知らせ)

 環境省では、ラムサール条約湿地の登録を推進するため、ラムサール条約湿地としての国際基準を満たすと認められる湿地(潜在候補地)を全国から172ヶ所選定しました。そのうち、地元自治体等から登録への賛意が得られ、国内法による保護担保措置の確保が整ったものから、次回(COP11:2012年)以降の締約国会議の機会にラムサール条約湿地への登録を進めていきます。

1.ラムサール条約湿地潜在候補地の選定について

(1)既存候補地

1999年に行われたラムサール条約第7回締約国会議(COP7)において、2005年のラムサール条約COP9までに、世界のラムサール条約湿地を2,000ヶ所以上に増加(おおむね倍増)させることを目標とすることが決定されました。(現在の目標は2015年までに2,500ヶ所以上に増加させることとなっています。)
これを受けて、国内のラムサール条約湿地の登録を推進するため、平成16年から平成17年にかけてラムサール条約湿地候補地検討会を開催し、54ヶ所の登録候補地の選定を行い、登録に向けた調整等を行った結果、2008年のラムサール条約COP10までに、このうち22ヶ所をラムサール条約湿地に登録しました(平成22年9月末現在国内のラムサール条約湿地は37ヶ所、世界では1898ヶ所)。

(2)今回の検討

上記(1)の検討から5年以上が経過し、渡り鳥の個体数等の新たな知見が得られるとともに、ラムサール条約COP9における新たな国際基準9(鳥類以外の湿地に依存する動物種等の1%以上の個体数を支える湿地)の追加や、ラムサール条約COP10における水田の持つ生物多様性保全上の役割に着目した決議10.31(通称「水田決議」)の採択により、ラムサール条約湿地の登録に関する新たな評価軸が加わりました。
こうした状況の変化を踏まえ、今後のラムサール条約湿地の登録を一層推進するため、平成22年2月から8月にかけてラムサール条約湿地候補地検討会(上記(1))を再度開催し、各地の湿地に係る最新の知見等を基に、科学的・客観的な観点からラムサール条約湿地の国際基準を満たすと認められる湿地を幅広く「潜在候補地」として選定する作業を進めてきました(具体的な選定方法は別添資料1)。
潜在候補地は、国際基準を満たすと認められる湿地を抽出したものです。今後、ラムサール条約湿地として登録するためには、国際基準を満たすだけでなく、[1]地元自治体等の賛意、[2]鳥獣保護法、自然公園法等の国内法による保護担保措置が必要になります。

<検討会委員>

氏名分野所属・役職
呉地 正行 鳥類 日本雁を保護する会 会長
小林 聡史 自然保護 釧路公立大学経済学部 教授
新庄 久志 湿地全般・ワイズユース 釧路国際ウェットランドセンター 主任技術委員
鈴木 孝男 底生生物 東北大学大学院生命科学研究科 助教
辻井 達一 湿地植生 財団法人 北海道環境財団 理事長 (座長)
中須賀 常雄 マングローブ 元琉球大学農学部 教授
林 正美 昆虫 埼玉大学教育学部 教授
細谷 和海 魚類 近畿大学農学部 教授
松井 正文 両生は虫類 京都大学大学院人間・環境学研究科 教授
<検討会の開催経緯>(いずれも公開)
平成21年度
平成22年2月2日 第1回検討会
平成22年3月4日 第2回検討会
平成22年度
平成22年6月25日 第3回検討会
平成22年7月26日 第4回検討会
平成22年8月24日 第5回検討会

(3)選定結果

今般、検討会での議論を踏まえ、9つある国際基準のいずれかを満たすと認められる日本全国の湿地172ヶ所をラムサール条約湿地の潜在候補地として選定しました(別添資料2)。

<国際基準別の潜在候補地数>

国際基準潜在候補地数
国際基準1 76
国際基準2 54
国際基準3 86
国際基準4 3
国際基準5 7
国際基準6 51
国際基準7 16
国際基準8 28
国際基準9 4

<地域別の潜在候補地数>

地域潜在候補地数
北海道地方 21
東北地方 24
関東地方 15
中部地方 27
近畿地方 10
中国地方 13
四国地方 6
九州地方 56

<湿地タイプ別の潜在候補地数>

湿地タイプ潜在候補地数
陸域 湿原 17
河川(渓流を含む) 41
湖沼 35
水田・ため池等の人工湿地 28
その他の陸域 17
海域
(汽水域を含む)
河口域 38
塩性湿地 9
マングローブ湿地 12
干潟 47
藻場 28
サンゴ礁 8
その他の海域 17
注:
潜在候補地によっては、複数の国際基準に該当する場合や、複数の湿地タイプを有する場合がある。
検討会で議論された湿地の内、さらなる知見の充実が必要な湿地や、渡り鳥の生息状況等の今後の推移を見定める必要がある湿地については、今後の状況を踏まえて潜在候補地とするかどうか検討することとしました。
各潜在候補地の名称や区域については、ラムサール条約湿地の登録に向けた調整を進める中で、必要に応じて再度精査します。また、検討委員より「東京湾」「有明海」等のように湿地の機能に密接なつながりを有する複数の潜在候補地を有する地域については一体的な登録を目指すべきとの意見があった事を踏まえ、ラムサール条約湿地の登録に当たっては、一体的な機能を有する複数の潜在候補地を統合する必要性についても検討していきます。
平成17年に選定した54ヶ所の既存候補地のうち未登録の32ヶ所については、「知床半島サケ・カラフトマス遡上河川」及び「大田原市の湧水湿地」について最新の知見では国際的な基準を満たしている事が認められませんでしたが、その他の湿地(30ヶ所)は潜在候補地に選定されました。
平成13年に我が国における保全上重要な湿地を対象に環境省が全国から500ヶ所選定した「日本の重要湿地500」に該当している潜在候補地は172ヶ所中150ヶ所でした。これは、渡り鳥の個体数等の新たな知見が得られ、国際基準を満たす新たな湿地が加わったためです。
今回の検討では、ラムサール条約湿地の国際基準に照らして国際的な重要性が認められる湿地を選定したものであり、それ以外に我が国に他の観点から重要な湿地があることを否定するものではありません。

2.今後の予定

2012年5月にルーマニアのブカレストで開催予定のラムサール条約COP11に向けて、今回選定した潜在候補地から6ヶ所以上の新規のラムサール条約湿地登録を目指します。登録のためには、潜在候補地であることに加えて、地元自治体等の賛意や国内法による保護担保措置が得られている又は得られる見込みが高いことが必要です。COP11に向けた登録のために、来年度(平成23年度)中を目処に地元自治体等の賛意の確認や国内法による保護担保措置の適用、条約事務局への通報などの条件整備や手続を行っていきます。
COP11以降についても、潜在候補地の内、地元自治体等から登録への賛意が得られ、国内法による保護担保措置が整ったものから、COP12以降の締約国会議の機会に登録を進めていきます。
潜在候補地については、ラムサール条約湿地への登録に限らず、今後の湿地保全に当たっての参考資料として活用します。
水田決議を踏まえ、既存の登録湿地についても、それらと一体的に保全を図る必要がある周辺水田について、ラムサール条約湿地としての区域拡張を目指します。

添付資料

連絡先
環境省自然環境局野生生物課
直通:03−5521−8283
代表:03−3581−3351
課長:亀澤 玲治(6460)
課長補佐:堀内 洋(6475)
係長:中山 直樹(6468)

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