報道発表資料

平成22年7月16日
大気環境
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平成21年度アスベスト大気濃度調査結果について(お知らせ)

 石綿による大気汚染の現状を把握し、今後の対策の検討に当たっての基礎資料とするとともに、国民に対し情報提供していくため、大気中の石綿濃度の測定を平成17年度より毎年実施しています。今般、平成21年度の測定結果を取りまとめました。
 平成21年度は、全国50地点142箇所を対象としましたが、一部の解体現場内の測定結果を除き、敷地境界及び一般環境において特に高い濃度は見られませんでした。
 なお、引き続き石綿による大気汚染の状況を把握するため、平成22年度も大気環境モニタリングを行う予定です。

1.調査目的

 本調査は、平成17年12月27日付け「アスベスト問題に係る総合対策」(「アスベスト問題に関する関係閣僚による会合」決定)に基づき、石綿による大気汚染の現状を把握し、今後の対策の検討に当たっての基礎資料とするとともに、国民に対し情報提供するために実施しているものです。

2.調査方法

(1)調査地点

 旧石綿製品製造事業場等、廃棄物処分場等及び建築物の解体工事等の作業現場をはじめ全国50地点142箇所を対象に、大気中の石綿濃度の測定を行いました。このうち、建築物の解体工事等の作業現場を除く40地点82箇所については、年2回測定を実施しました。

(2)測定方法

 試料の採取及び分析は「アスベストモニタリングマニュアル(第3版)」(平成19年5月 環境省水・大気環境局大気環境課)に基づいて行いました。これは、基本的には光学顕微鏡を用いて石綿を分析する方法です。

[備考]光学顕微鏡法
 大気を捕集したフィルターにクリソタイル(大気中に浮遊している石綿のうち大部分のもの)と同程度の屈折率の不揮発性液体を浸して透明化した後、まず位相差顕微鏡で見て総繊維数を計数し、次いで同一視野について生物顕微鏡で見える繊維数を計数し(屈折率の関係でクリソタイルは非常に見えにくくなる)、両者の差(屈折率がクリソタイルと同程度の繊維状粒子の数)を石綿繊維数とするという手法です。
 なお、「アスベストモニタリングマニュアル(第3版)」には、参考法として分析走査電子顕微鏡法等が定められており、クリソタイル以外のアスベストが混入することが考えられた場合や、従来の測定結果と比較して総繊維数が極端に高い場合など、測定結果の確認が必要と考えられる場合には、参考法により繊維の種類の同定等を行うこととされています。

(3)測定精度の管理等

 測定結果についての測定者間のばらつきを少なくするため、測定者に対する講習会やクロスチェック等の精度管理を実施しました。
 また、調査の方法、調査結果の評価等については、「環境省アスベスト大気濃度調査検討会」(座長:神山宣彦/東洋大学経済学部経済学科 自然科学研究室 教授)にて専門家の助言を得ました。

3.調査結果

(1)地域分類別の石綿(クリソタイル)濃度

 調査結果の概要は、表1のとおりです。
 なお、表1には、大気中の石綿(クリソタイル)濃度の調査結果の他、参考として、解体現場等の作業現場内の排気口等における調査結果を併せて示しています。
 また、各調査地点の地点名、調査期間、石綿(クリソタイル)濃度等は、別添1に記載したとおりです。

 石綿(クリソタイル)濃度の調査結果については、次のように総括されます。

[1]
石綿の飛散が懸念される解体現場等の敷地境界では、特に高い濃度ではありませんでした。なお、一部の解体現場の前室及び排気口付近において、共存粉じん等が多く、光学顕微鏡法では正確な定量ができませんでしたので、マニュアルの参考法である分析走査電子顕微鏡法で分析し、繊維の種類の同定等を行いました。詳細は「(2)総繊維数濃度が高かった地点における追加調査結果」の項に示したとおりです。
[2]
その他の地点においては、特に高い濃度は見られませんでした。

【参考】

大気汚染防止法に基づく石綿製品製造工場に対する敷地境界基準:10本/L(リットル)
WHO環境保健クライテリア(EHC 53):「都市における大気中の石綿濃度は、一般に1本以下〜10本/Lであり、それを上回る場合もある。」「一般環境においては、一般住民への石綿曝露による中皮腫及び肺がんのリスクは、検出できないほど低い。すなわち、実質的には、石綿のリスクはない。」

注1)
「解体現場」とは、建築物等の解体、改造または補修作業現場を意味しています。また、「敷地境界」とは、解体現場等の直近で一般の人の通行等がある場所との境界、「前室付近」とは、作業員が出入りする際に石綿が直接外部に飛散しないように設けられた室の入口の外側、「排気口付近」とは、集じん・排気装置の外部への排気口付近を意味しています。
注2)
石綿繊維数は、光学顕微鏡法により分析した結果です。(捕集フィルターにクリソタイルと同程度の屈折率の不揮発性液体を浸した後、同一視野を位相差顕微鏡と生物顕微鏡でそれぞれ繊維数を計数し、各計数結果の差を石綿繊維数(クリソタイル)とするもの。)
注3)
各測定箇所の石綿濃度の評価に当たっては、平成元年12月27日付け環大企第490号通知「大気汚染防止法の一部を改正する法律の施行について」に基づき、注4の場合を除き、各各測定箇所で3日間(4時間×3回)測定して得られた個々の測定値を測定箇所ごとに幾何平均し、その値を石綿濃度としています。
注4)
解体現場等においては、解体等の工事には短期間で終了するものがあるため、各測定箇所で1日間(4時間×1回)測定し、その測定値を石綿濃度としています。
注5)
ND(不検出)の場合には「計数した視野(100視野)で1本の繊維が計数された」と仮定して算出した値に「未満」を付けて記載しています。
注6)
表中の()内の数値は地点数における内数です。
注7)
アスベストモニタリングマニュアル第4.0版に基づき、これまで地域としていたものを「地点」とし、地点としていたものを「箇所」としています。

(2)総繊維数濃度が高かった地点における追加調査結果

 光学顕微鏡法による測定により、愛知県内の解体現場において、敷地境界では特に高い濃度ではなかったものの、前室及び排気口付近で高濃度が疑われる現場がありました。このため、直ちに環境省から所管自治体に連絡しました。所管自治体においても再度、敷地境界で大気濃度調査を行い、アスベストによる大気の汚染が無いことを確認しました。
 また、光学顕微鏡法による測定結果が高い濃度であった地点については、分析走査電子顕微鏡法で分析し確認することとしています。そのため、高濃度が疑われた当該現場の前室及び排気口付近で捕集したサンプルについても分析走査電子顕微鏡法で分析し、繊維の種類の同定等を行ったところ、高濃度のクリソタイル及びアモサイトが検出されました(表2)。

前室及び排気口において捕集したサンプルは共存粉じん量が多く、繊維と粒子の重なり合いも多いため、光学顕微鏡法では正確な定量が不可能でした。
電子顕微鏡法は、光学顕微鏡以上の高倍率に調整して計数を行う事が可能であるため、光学顕微鏡法に対して、計数可能な繊維数に大きな差が生じることがあります。そのため、光学顕微鏡法及び電子顕微鏡法による測定結果をどのように評価するかについては今後の検討課題としております。

(3)過去の調査結果との比較(継続調査地域)

 今回の調査のうち29地点60箇所については、過去の調査(平成7年度及び平成17年度〜平成20年度)と同一地点において調査を実施しました。当該地点について、調査地域分類別に集計・整理した平成21年度の結果は、表3のとおりです。
 平成7年度及び平成17年度〜平成21年度の調査結果を比較した表を表4に、グラフを別添2に示しました。石綿濃度は、低いレベルで推移していると考えられます。

4.今後の対応方針

 環境省では、引き続き石綿による大気汚染の状況を把握するため、平成22年度も大気環境モニタリングを行う予定です。
 なお、モニタリング方法については、平成22年6月10日にアスベストモニタリングマニュアル(第4.0版)を公表したところですが、今後のさらなる知見の充実や技術の進歩に向け、光学顕微鏡法、電子顕微鏡法等によって得られた測定結果の評価等も含めて、引き続き検討することとしています。

添付資料

連絡先
環境省水・大気環境局大気環境課
直通:03-5521-8295
代表:03-3581-3351
課長:山本 光昭(内線6530)
補佐:手島 裕明(内線6537)
担当:山口 久雄(内線6534)

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