報道発表資料

平成22年3月24日
自然環境
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「生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)プレ・コンファレンス新しい生物多様性目標を考える〜生物多様性と生態系サービスの保全にむけて〜」の開催結果について(お知らせ)

 平成22年3月21日(日)〜22日(月)、愛知県名古屋市において、国内外の科学者や国際機関、NGOなど約300名が参加し、「COP10プレ・コンファレンス 新しい生物多様性目標を考える〜生物多様性と生態系サービスの保全にむけて〜」を開催しました。
 本会議では、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)において討議される生物多様性条約の新しい生物多様性目標、いわゆる「ポスト2010年目標」に関するさまざまな論点について議論が行われました。また、21日午前中には、「科学と政策の対話」と題し、科学と政策の連携強化について田島環境副大臣と科学者との意見交換を行いました。
 なお、本会議の成果については、今後報告書として取りまとめるとともに、COP10に向けた国際的議論の進捗に活用していく予定です。

1.目的

 COP10プレ・コンファレンスは、本年10月に愛知県名古屋市で開催されるCOP10にむけ、研究者や国際機関等が集い、ポスト2010年目標の策定に科学的視点から提言を行うために開催したものです。

2.開催概要

(1)
主催
環境省、DIVERSITAS(注)、名古屋大学、生物多様性条約事務局
(注)
DIVERSITAS(生物多様性科学国際共同計画): 国連教育科学文化機関(UNESCO)、国際科学会議(ICSU)等により推進されている国際的な研究プログラム。生物多様性に関する科学研究の推進、生物多様性の保全及び持続的な利用のための科学的知識の提供を目的としています。
(2)
日時・場所
平成22年3月21日(日) 10:00〜17:00、22日(月) 9:00〜17:00
愛知県名古屋市千種区不老町 名古屋大学構内 豊田講堂
(3)
参加者
国内外の研究者、国際機関、NGOなど 約300名
(4)
プログラム
3月21日
[1]
開会
主催者挨拶
 田島一成(環境副大臣)
 浜口道成(名古屋大学総長)
 Harold Mooney(DIVERSITAS科学委員会議長、米・スタンフォード大学教授)
[2]
基調講演
「生物多様性条約新戦略計画の策定」
   David Cooper(生物多様性条約事務局(SCBD))
「生物多様性条約を支持する新たな仕組み」
   Anne Larigauderie(DIVERSITAS事務局長)
[3]
科学と政策の対話:IPBESの設立に向けて
進行:足立直樹(株式会社レスポンスアビリティ代表取締役)
パネリスト:
田島一成(環境副大臣)
Anantha Duraiappah(IHDP〔地球環境変化の人間社会側面に関する国際研究計画〕事務局長)
Margaret Palmer(米・メリーランド大学教授、チェサピーク生物学実験所所長)
Harold Mooney(DIVERSITAS科学委員会議長、米・スタンフォード大学教授)
Mark Lonsdale(豪・連邦科学産業研究機構主任研究員)
[4]
セッション1:生物多様性の喪失を引き起こす間接要因
議長:
David Cooper(生物多様性条約事務局)
講演1
「市民、企業及び政府の協力体制の確立に向けて:共生社会への日本の挑戦」
矢原徹一(九州大学教授)
足立直樹(株式会社レスポンスアビリティ代表取締役)
講演2
「間接要因の作用:EUでの経験」
Ybele Hoogeveen(欧州連合環境保護庁)
講演3
「ガバナンス」
Phillipe Le Prestre(カナダ・ラヴェル大学教授)
講演4
「市民への普及啓発」
Thomas Elmqvist(スウェーデン・ストックホルム大学教授)
パネルディスカッション
3月22日
[1]
基調講演
「21世紀における生物多様性の未来:生物多様性条約における地球規模生物多様性概況 第3版(GBO-3)」
 Paul Leadley(仏・パリ第11大学教授)
[2]
セッション2:生物多様性の喪失を引き起こす直接要因
議長:
Robert Scholes(南アフリカ科学産業技術研究所)
講演1
「淡水生態系でのかく乱の現象」
Margaret Palmer(米・メリーラント゛大学教授、チェサヒ°ーク生物学実験所所長)
講演2
「日本における生物多様性の変化を引き起こす直接要因の影響の減少」
中静 透(東北大学教授)
講演3
「東南アジアにおける生物多様性の変化を引き起こす直接要因の影響の減少」
Rodrigo Fuentes(ASEAN生物多様性センター長)
パネルディスカッション
-
「山地系におけるかく乱の減少」
 Eva Spehn(GMBA〔地球規模山地生物多様性評価〕事務局、スイス・バーゼル大学)
-
「持続可能な農業の育成」
 Lijbert Brussaard(オランダ・ワヘニンゲン大学教授)
-
「外来種の管理」
 Mark Lonsdale(豪・連邦科学産業研究機構)
[3]
セッション3:生物多様性とそれに関連する生態系サービスの保全と回復
議長:
Anantha Duraiappah(IHDP事務局長)
講演1
「SATOYAMAイニシアティブ」
武内和彦(東京大学教授、国連大学副学長)
講演2
「生態系サービスの管理〜南アフリカの経験を通して」
Robert Scholes(南アフリカ科学産業技術研究所)
講演3
「体系的保全計画」
Daniel Faith(オーストラリア国立博物館)
パネルディスカッション
-
「農業生態系の回復と農業における遺伝的多様性のステータスの向上」
 Lijbert Brussaard(オランダ・ワヘニンゲン大学教授)
-
「漁業の回復」
 松田裕之(横浜国立大学教授)
-
「温室効果ガス削減に関する生物多様性の役割強化」
 Sandra Diaz(アルゼンチン・コルドバ大学教授)

3.結果概要

 本会議における主要な議論については以下のとおりです。
 なお、本会議の成果については、今後、最終的な報告書として取りまとめを行い、条約の科学技術助言補助機関会合(SBSTTA)をはじめCOP10にむけた関連会合等における国際的議論の進捗に活用していく予定です。

(1)
科学と政策の連携強化
 3月21日午前中の「科学と政策の対話」では、田島環境副大臣の参加のもと、科学と政策との連携強化の必要性について議論が行われました。特に、国連環境計画(UNEP)のもとで検討が進められている「生物多様性と生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)」について、国連の国際生物多様性年である今年をきっかけとした設立が必要との認識が強調されました。
(2)
ポスト2010年目標に関する提言 二日間の会議においては、ポスト2010年目標について、さまざまな観点から意見交換が行われました。特に、全般的意見の概要は以下のとおりです。
-
ポスト2010年目標は野心的かつ現実的であるべき
-
ポスト2010年目標は、生物多様性減少の直接要因・間接要因にそれぞれ対応すべき
-
目標の実施のためには、社会的プロセスの検討が重要(例:ガバナンスや制度)
-
日本の里地里山の事例に見られるように、人間活動の縮小による人為的なかく乱の減少が生物多様性劣化の直接要因となりうることを認識
-
生態系の回復・再生は、目標達成の有効なツールとなりうる
-
特に短期目標の検討にあたっては、対策を講じてから結果が出るまでに時間差があることを考慮すべき
-
2020年までの短期目標として20の目標案が条約事務局から提示されているが、数を減らし簡略化すべき など
(3)
地球規模の生物多様性観測の推進  生物多様性保全に関する政策の立案実施のため、生物多様性観測推進の重要性が指摘されるとともに、本会議の翌日(3月23日)には、特にアジア地域各国の専門家の参加により、アジア太平洋地域における生物多様性観測ネットワーク(AP−BON: Asia-Pacific Biodiversity Observation Network)に関する今後の活動計画案が議論され、生物多様性観測データの収集・統合・提供等の活動の必要性が確認されました。我が国としてもこのような活動への支援を通じて、生物多様性保全の政策における科学的基盤の強化を推進していくこととしています。
連絡先
環境省自然環境局自然環境計画課生物多様性地球戦略企画室
代表:03-3581-3351
直通:03-5521-8150
室長:鳥居 敏男(6480)
室長補佐:中島 尚子(6488)
担当:奥田 青州(6476)

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