報道発表資料

平成21年10月20日
自然環境
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「神戸生物多様性国際対話」の結果について(お知らせ)

 平成21年10月15日(木)と16日(金)、民間企業やNGO、研究者、政府、国際機関を含む様々な関係者約300名が集まり、「神戸生物多様性国際対話」を開催しました。
 会議では、生物多様性の保全と持続可能な利用に係る民間参画の推進やポスト2010年目標をテーマとして、活発な議論が行われました。
 本会議での成果については、戦略計画の改定(ポスト2010年目標の設定)に関する日本政府の提案や、来年名古屋で開催される生物多様性条約第10回締約国会議に向けた議論の進展に活用することとしています。

1.会議の概要

(1)背景
平成20年5月に兵庫県神戸市で開催されたG8環境大臣会合において、同会合の議長国であった日本は「『神戸・生物多様性のための行動の呼びかけ』の実施のための日本の取組」を表明しました。この中では、様々な利害関係者間の情報交換、対話、議論、協力を促進するため、国際的フォーラム「神戸生物多様性対話」を開催することが明記されており、本会議はこれを踏まえて開催されたものです。
(2)会議名称
日本語:
神戸生物多様性国際対話
英語 :
Kobe Biodiversity Dialogue in 2009
(3)主催者等
主催:
環境省
共催:
日本経済団体連合会自然保護協議会
協力:
生物多様性条約事務局、国際自然保護連合(IUCN)、兵庫県、神戸市、生物多様性条約第10回締約国会議支援実行委員会
協賛:
日本航空
(4)開催期間
平成21年10月15日(木)〜16日(金)
(5)開催場所
ホテルオークラ神戸(兵庫県神戸市)

2 会議スケジュール

10月15日(木)
(1)開会挨拶
田島一成 環境副大臣
井戸敏三 兵庫県知事
日本経済団体連合会自然保護協議会 真下正樹 顧問
(2)基調講演
・「生物多様性条約COP10に向けたロードマップ」
生物多様性条約事務局 アフメッド・ジョグラフ事務局長
・「生物多様性保全に関する我が国の取組とCOP10」
環境省 鈴木正規 自然環境局長
(3)議論
議題1-1「民間参画の進展と課題」
<ファシリテーター:桐蔭横浜大学 涌井史郎教授>
○話題提供
・「ドイツ政府による「ビジネスと生物多様性イニシアティブ」」
ドイツ環境省/ドイツ技術協力公社 ドイツ政府による「ビジネスと生物多様性イニシアティブ」 エドガー・エンドルカイティス氏
・「民間参画ガイドラインについて」
環境省自然環境局生物多様性地球戦略企画室長 鳥居敏男
・「日本経団連の生物多様性への取り組みについて」
日本経済団体連合会 自然保護協議会企画部委員 西堤徹氏
・「生態系とビジネス-ビジネス界の反応と活動」
日立化成工業株式会社、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)生態系フォーカスエリア・コアチーム(FACT) 河野文子氏
・「琵琶湖いきものイニシアティブ 生物多様性の恵み豊かな社会を未来に引き継ぐための、滋賀県経済人の宣言」
滋賀経済同友会 菊池玲奈氏
○パネルディスカッション
議題1−2「条約実施への民間参画に係る企業の取組」
<ファシリテーター:国際自然保護連合(IUCN) チーフ・エコノミスト ジョシュア・ビショップ氏>
○話題提供
・「ビジネスと生物多様性:リスクと機会の概要」
国際自然保護連合(IUCN)チーフ・エコノミスト ジョシュア・ビショップ氏
・「生物多様性をリスクとチャンスの両面から管理する」
ロイヤルダッチシェル(ロンドン)、グループ生物多様性アドバイザー サシン・カピラ氏
・「「自然の恵み」に感謝!−アサヒビールグループの環境への取り組み−」
アサヒビール株式会社 社会環境推進部 竹田義信氏
・「生物多様性と生態系サービス(BES)についての住友信託銀行の戦略金融セクターの役割」
住友信託銀行株式会社 企画部CSR担当部長 金井司氏
・「新たな生物多様性ビジネスモデルの構築:生息地とエコシステムサービスへの投資」
ニューフォレスト ディレクター マリサ・メイズリッシュ氏 
○パネルディスカッション
(4)総括討論(1日目分)
<議 長:桐蔭横浜大学 涌井史郎教授>
<副議長:国際自然保護連合(IUCN) チーフ・エコノミスト ジョシュア・ビショップ氏>
10月16日(金)
(1)議論
議題2-1「戦略計画の改定(ポスト2010年目標の設定)にむけた課題と展望」
<ファシリテーター:国際自然保護連合(IUCN) 上席科学顧問 ジェフリー A.・ マクニーリー氏>
○話題提供
・「第一日目の総括と本日の論点について」
国際自然保護連合(IUCN)上席科学顧問 ジェフリー A.・マクニーリー氏
・「ポスト2010年目標の先に〜生物多様性保全の新しい枠組み」
国際自然保護連合(IUCN) 生物多様性保全グループ ディレクター ジェーン・スマート氏
・「TEEBの初期的な研究成果と提言(生態系と生物多様性の経済学)」
国際自然保護連合(IUCN) チーフ・エコノミスト ジョシュア・ビショップ氏
・「生物多様性条約戦略計画の改定(ポスト2010年目標の策定)に向けての日本国政府の取組について」
環境省自然環境局生物多様性地球戦略企画室長 鳥居敏男
・「ポスト2010年生物多様性指標に関する経験と提案」
国連環境計画世界動植物保全監視センター(UNEP-WCMC)
 生態系アセスメントプログラム主任  マット・ワルポール氏
・「ポスト生物多様性条約2010年目標に対する市民セクターからの提言」
生物多様性条約市民ネットワーク共同代表、国際自然保護連合(IUCN)日本委員会会長、日本自然保護協会理事、江戸川大学社会学部教授 吉田正人氏
○パネルディスカッション
議題2-2「新・戦略計画(ポスト2010年目標)の達成のための手段」
<ファシリテーター:元国際自然保護連合(IUCN)地域理事 赤尾信敏氏>
○話題提供
・「保護地域と生物多様性保全:ポスト2010年目標」
バードライフ・インターナショナル(アジア)/IUCN-WCPA副議長 クリスティ・マリー・C.・ノザワ氏
・「SATOYAMAイニシアティブについて」
国連大学高等研究所 上席研究員 名執芳博氏
・「持続可能な生物多様性保全の達成」
地球環境ファシリティ(GEF) 生物多様性主任専門官 マーク・ジンスキー氏
・「生物多様性の科学的モニタリング体制について」
京都大学フィールド科学教育研究センター教授 白山義久氏
・「地域づくりと生涯学習−兵庫での試み−」
兵庫県立大学専門職大学院緑環境景観マネジメント研究科、兵庫県立人と自然の博物館 中瀬勲氏
(2)総括討論(2日目分)
<議 長:元国際自然保護連合(IUCN)地域理事 赤尾信敏氏>
<副議長:国際自然保護連合(IUCN)上席科学顧問 ジェフリー A.・マクニーリー氏>
(3)閉会
○会議総括の発表
赤尾信敏氏 及び ジェフリー A.・マクニーリー氏
○閉会挨拶
神戸市 梶本日出夫 副市長
環境省 鈴木正規 自然環境局長

3 議論の概要と成果

二日間にわたる会議の概要及び成果は、次のとおりです。

<1日目:民間参画の進展と課題>
生物多様性の保全と持続可能な利用にかかる民間企業の参画について、取組に関する事例を踏まえ、これまでの進展の状況及び今後一層推進するための課題について議論が交わされた。主な議論内容は以下のとおり。
まず、生物多様性の課題に取り組むために、倫理・科学・経済の3つのアプローチを均衡させた議論を発展させるべきとの認識が共有された。その上で、生物多様性のリスクとチャンスの認識の高まりにより、民間企業における生物多様性の取組が進んできていること、これは2010年目標の数少ない成果の一つであると考えられること、生物多様性の保全を進める上で民間企業の役割は重要であることが示された。
また、企業活動における生物多様性への依存度や影響に関して定量的に評価し、その情報公開を行うことは、民間企業において生物多様性の取組を行うための重要な一歩であると指摘された。
さらに、生物多様性の保全について民間企業の参画を一層推進するためには、生物多様性の重要性の認識、企業の活動を変える要因として消費者の役割、企業のローカルな取組とグローバルな目標達成度との関連付け、生物多様性の保全を企業活動の一環として位置付けることを可能とするための様々な関係者間の対話、現実的な取組事例の提示が重要との指摘があった。
その他、生物多様性の保全と回復は、企業にとって大きなビジネスチャンスになり得るものであり、ノーネットロスなどの考え方を生物多様性の問題に適用した経験を国際的にレビューすること、認証制度などを活用した企業ブランドの向上などが議論された。
また、生物多様性を企業活動の一環として位置付けることは、貧困の削減と持続可能な発展にも寄与するとの指摘があった。
<2日目:戦略計画の改訂(ポスト2010年目標の設定)>
2010年目標の評価について総括するとともに、ポスト2010年目標の設定と実施のあり方について議論を行った。主な議論の内容は下記のとおり。
2010年目標については達成困難であることが指摘された。また、課題として、抽象的で明確さに欠けること、ベースラインがなく数値的評価が難しいことなどがあげられた。このため、ポスト2010年目標は、意欲的かつ現実的で実現可能、科学的根拠に基づき検証可能であること、さらに取組の成果が適切に評価される枠組みであること、さらに、すべての関係者が自身の目標として認識できるものであることの必要性が指摘された。
新たな戦略計画における重要な視点として、ビジネスや市民の果たす重要な役割と参加の促進、気候変動への対応、海洋保護の強化が指摘された。また、目標と指標等を同時に検討・作成すること、計画の実施に当たって2国間協力及びGEF(地球環境ファシリティー)等による多国間協力や人材育成が重要であることが指摘された。
また、生態系サービスの持続可能な利用と人類の福利向上への対応、TEEB(生態系と生物多様性の経済学)等の生物多様性の経済評価の重要性が指摘されるとともに、ポスト2010年目標の達成も含め、生物多様性の保全と持続可能な利用の推進の手段としてSATOYAMAイニシアティブが貢献できる可能性の高いことが強調された。
ポスト2010年目標を着実に実施するため、2012年(COP11)までに、各締約国が生物多様性国家戦略の策定及び改定を行うことの重要性が指摘された。
さらに、モニタリング強化の重要性が指摘され、IPBES(生物多様性と生態系サービスの政府間プラットフォーム)構築の推進、市民セクターとの連携の重要性が強調された。
<最後に>
2日間の会合を通じて議論された成果を、来年のCOP10に向けて開催される様々な関連会合の場を通じて幅広く情報共有していくことで合意した。

4 添付資料

・参考1:
神戸生物多様性国際対話 議長総括(和文)
・参考2:
神戸生物多様性国際対話 議長総括(英文)
・参考3:
ポスト2010年目標日本提案(素案)(和文)
・参考4:
ポスト2010年目標日本提案(素案)(英文)

添付資料

連絡先
環境省自然環境局自然環境計画課生物多様性地球戦略企画室
直通:03-5521-8150
代表:03-3581-3351
室長:鳥居 敏男(内線 6480)
室長補佐:高橋 一彰(内線 6488)
担当:廣澤  一(内線 6476)

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