報道発表資料

平成21年9月4日
大気環境
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「微小粒子状物質に係る環境基準の設定について(答申)」について(お知らせ)

 環境大臣が中央環境審議会会長に対して諮問した「微小粒子状物質に係る環境基準の設定について」について、平成21年9月3日(木)付けで答申がなされたのでお知らせいたします。

 平成20年12月9日に環境大臣が諮問した「微小粒子状物質に係る環境基準の設定について(諮問)」は、中央環境審議会大気環境部会に設置された環境基準専門委員会及び微小粒子状物質測定法専門委員会において検討が重ねられ、9月3日に開催された中央環境審議会大気環境部会(部会長:坂本和彦埼玉大学大学院理工学研究科教授)において両専門委員会報告を含めた答申案が取りまとめられました。これを受けて、同日、中央環境審議会会長から次のとおり、環境大臣に対し答申がなされました。
 なお、環境省としては、本答申を踏まえ、微小粒子状物質に係る環境基準について告示する予定としています。

※ 答申(別添1,2を含む。)のホームページへの掲載は来週以降に行います。

1.答申の内容

(1)微小粒子状物質に関する人の健康影響に係る判定条件と指針について、別添1の微小粒子状物質環境基準専門委員会報告及び別添2の微小粒子状物質測定法専門委員会報告を了承する。
 これに基づき、微小粒子状物質に係る環境基準の設定に当たっての指針値は下表のとおりとする。

物質 環境上の条件 測定方法
微小粒子状物質 1年平均値が15μg/m3以下であり、かつ、1日平均値が35μg/m3以下であること。 濾過捕集による質量濃度測定方法又はこの方法によって測定された質量濃度と等価な値が得られると認められる自動測定機による方法
備考
 微小粒子状物質とは、大気中に浮遊する粒子状物質であって、その粒径が2.5μmの粒子を50%の割合で分離できる分粒装置を用いて、より粒径の大きい粒子を除去した後に採取される粒子をいう。

(2)本環境基準の設定に伴う課題は次のとおりである。

 微小粒子状物質による大気汚染の状況を的確に把握するため監視測定体制の整備を促進するとともに、微小粒子状物質が様々な成分で構成されていることを踏まえ、体系的に成分分析を行う必要がある。
 微小粒子状物質の削減対策については、固定発生源や移動発生源に対してこれまで実施してきた粒子状物質全体の削減対策を着実に進めることがまず重要である。
 微小粒子状物質は、発生源から直接排出される一次生成粒子のみならず、大気中の光化学反応、中和反応等によって生じる二次生成粒子で構成される。また、我が国では、都市地域のみならず人為発生源由来粒子の影響が少ないと考えられる地域においても硫酸塩や土壌粒子等の粒子が相当程度含まれており、海外からの移流分も影響していると推察されるなど、微小粒子状物質の発生源は多岐にわたり、大気中の挙動も複雑である。
 このため、微小粒子状物質やその原因物質の排出状況の把握及び排出インベントリの作成、大気中の挙動や二次生成機構の解明等、科学的知見の集積について、地方公共団体、研究機関と連携を取りながら、関係事業者の協力を得つつ、実施する必要がある。その上で、大気汚染の状況を踏まえながら、より効果的な対策について検討する必要がある。
 国内の施策に加えて、近隣諸国等との間で、大気汚染メカニズム等に係る共通理解の形成を進めつつ、汚染物質削減に係る技術協力を推進する必要がある。

2.答申別添1「微小粒子状物質環境基準専門委員会報告」の概要

本専門委員会は、微小粒子状物質定量的リスク評価手法専門委員会報告、微小粒子状物質等に係る国内外の疫学その他の分野の科学的知見等を踏まえ、微小粒子状物質に関する特性や人の生体内での挙動、環境大気中濃度、健康影響に関する定性的評価、健康影響に関する定量的評価、定量的評価の検討を踏まえた環境基準の設定に当たっての指針値に関する検討、環境基準の達成状況の評価に関する調査・審議を行った。
 微小粒子状物質の曝露による健康影響については、疫学及び毒性学の数多くの科学的知見から、呼吸器疾患、循環器疾患及び肺がんの疾患に関して総体として人々の健康に一定の影響を与えていることが示された。その一方で、報告において、現時点の科学的知見にみられる微小粒子状物質の健康影響は、疫学知見や解析手法の充実により、初めて検出可能となった人の健康に影響を及ぼすおそれ(健康リスク)の上昇が示された。微小粒子状物質に関する疫学知見において集団として観察される健康リスクの上昇は、集団を構成する個人の個別的な因果関係を推測できるものではないが、公衆衛生の観点から低減すべきものである。
 微小粒子状物質の曝露による健康影響については、長期曝露による健康影響と短期曝露による健康影響の両者について示しており、これらの健康影響を踏まえ、曝露濃度分布全体を平均的に低減する意味での1年平均値に関する基準(長期基準)と高濃度領域の濃度出現を減少させる意味での1日平均値に関する基準(短期基準)を併せて設定することが妥当。
 現時点で収集可能な国内外の科学的知見から総合的に判断し、地域の人口集団の健康を適切に保護することを考慮して微小粒子状物質に係る環境基準設定に当たっての指針値として次のとおり提案した。
長期基準の指針値
  年平均値 15 μg/m3 以下
短期基準の指針値
  日平均値 35 μg/m3 以下
 微小粒子状物質に係る環境基準の達成状況の評価は、次の考え方を基本に行うことを提案した。
[1]
長期基準に関する評価は、測定結果の年平均値を長期基準(年平均値)と比較する。
[2]
短期基準に関する評価は、測定結果の1日平均値のうち年間98パーセンタイル値を代表値として選択して、これを短期基準(日平均値)と比較する。
 微小粒子状物質の健康影響に関しては、その閾値の有無を明らかにすることは困難であることから、今般提示した指針値等についても、研究の進歩による新しい知見をこれに反映させるべく、一定期間ごとに改めて評価、点検されるべき。
 今般の評価において示された様々な不確実性の減少に努めるため、死亡や死亡以外の様々なエンドポイントを対象に、感受性の高い者・脆弱性を有する者も含めた地域集団を対象とした国内知見の充実を図り、我が国における微小粒子状物質の環境大気中濃度の測定及び曝露による健康影響の現状を把握する必要がある。
 なお、本専門委員会は、平成20年12月19日に中央環境審議会大気環境部会において設置され、計10回(平成21年2月4日〜平成21年8月24日)にわたって審議された。

3.答申別添2「微小粒子状物質測定法専門委員会報告」の概要

本専門委員会は、国内外の文献調査やこれまでのモニタリング結果、並行測定試験の結果等を踏まえ、環境大気中の微小粒子状物質の標準測定法、標準測定法の等価法として用いる自動測定機が満たすべき基本的条件、自動測定機の等価性の評価方法等について審議を行った。
微小粒子状物質の測定については、その物理的特性等を踏まえ、米国EPAの連邦標準測定法(Federal Reference Method, FRM)に準じたフィルタ法を標準測定法として採用することが適当であること、日常的な監視や効果的な対策の検討のためには自動測定機による測定が有用であることを示した。また、標準測定法及び自動測定法ともに、測定濃度範囲は日平均値として2〜200μg/m3が妥当であることとした。
標準測定法については、分粒装置の特性、恒量条件等の満たすべき基本的条件と、サンプリング及び秤量の条件と手順等を示し、その誤差については、環境基準値付近で±10%以内の確保に努めることが適当とした。
自動測定機については、標準測定法との並行測定試験において良好な直線関係を有すること、同機種の自動測定機の機差が一定範囲にあること等の満たすべき基本的条件を示した。
標準測定法の等価法として用いる自動測定機の等価性評価については、その評価方法の確立の必要性や標準測定法との並行試験の方法について示すとともに、米国の連邦等価測定法(Federal Equivalent Method, FEM)による評価方法とその問題点、及び品質管理の考え方をもとにした評価方法を示しつつ、実際の評価に当たっては更に詳細な検討が必要であるとした。
最後に、今後の課題として、測定機の信頼性の確保や精度管理、簡易測定法の開発、測定法や等価性評価方法の検証、効果的な削減対策の検討に資するための継続的な成分分析の実施を挙げた。
 なお、本専門委員会は、平成20年12月19日に中央環境審議会大気環境部会において設置され、計5回(平成21年2月27日〜平成21年8月27日)にわたって審議された。
連絡先
環境省水・大気環境局総務課
代表 03-3581-3351
直通 03-5521-8290
課長 木村 祐二(内線6510)
補佐 松田 尚之(内線6514)
担当 永森 一暢(内線6516)

環境省水・大気環境局大気環境課
代表 03-3581-3351
直通 03-5521-8293
課長 山本 光昭(内線6530)
補佐 西村 洋一(内線6537)
担当 鈴木 あや子(内線6547)

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