報道発表資料

平成21年5月29日
大気環境
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(お知らせ)平成20年度アスベスト大気濃度調査結果について

 環境省では、石綿による大気汚染の現状を把握し、今後の対策の検討に当たっての基礎資料とするとともに、国民に対し情報提供していくため、平成17年度、平成18年度及び平成19年度に引き続き、建築物の解体工事等の作業現場などにおいて、大気中の石綿濃度の測定を行いました。
 平成20年度は、全国50地域149地点を対象としましたが、一部の解体現場内の測定結果を除き、敷地境界及び一般環境において特に高い濃度は見られませんでした。
 なお、引き続き石綿による大気汚染の状況を把握するため、平成21年度も大気環境モニタリングを行う予定です。

1.調査目的
 本調査は、平成17年12月27日付け「アスベスト問題に係る総合対策」(「アスベスト問題に関する関係閣僚による会合」決定)に基づき、石綿による大気汚染の現状を把握し、今後の対策の検討に当たっての基礎資料とするとともに、国民に対し情報提供していくために実施しているものです。
2.調査方法
(1)調査地点
 石綿製品製造事業場等、廃棄物処分場等及び建築物の解体工事等の作業現場をはじめ全国50地域149地点を対象に、大気中の石綿濃度の測定を行いました。このうち、建築物の解体工事等の作業現場を除く40地域82地点については、年2回測定を実施しました。
(2)測定方法
 試料の採取及び分析は「アスベストモニタリングマニュアル(第3版)」(平成19年5月環境省水・大気環境局大気環境課)によることとしました。これは、基本的には光学顕微鏡を用いて石綿を分析する方法です。
[備考]光学顕微鏡法
 大気を捕集したフィルターにクリソタイル(大気中に浮遊している石綿のうち大部分のもの)と同程度の屈折率の不揮発性液体を浸して透明化した後、まず位相差顕微鏡で見て総繊維数を計数し、次いで同一視野について生物顕微鏡で見える繊維数を計数し(屈折率の関係でクリソタイルは非常に見えにくくなる)、両者の差(屈折率がクリソタイルと同程度の繊維状粒子の数)を石綿繊維数とするという手法です。
 なお、「アスベストモニタリングマニュアル(第3版)」には、参考法として分析走査電子顕微鏡法等が定められており、クリソタイル以外のアスベスト成分が混入することが考えられた場合や、従来の測定結果と比較して総繊維数が極端に高い場合など、測定結果の確認が必要と考えられる場合には、参考法により繊維の種類の同定等を行うこととされています。
(3)測定精度の管理等
 測定結果についての測定者間のばらつきを少なくするため、測定者に対する講習会やクロスチェック等の精度管理を実施しました。
 また、調査の方法、調査結果の評価等については、「アスベスト大気濃度調査に関する検討会」(座長:神山宣彦/東洋大学経済学部経済学科 自然科学研究室教授)にて専門家の助言を得ました。
3.調査結果
(1)地域分類別の石綿(クリソタイル)濃度
 調査結果の概要は、表1のとおりです。
 なお、表1には、大気中の石綿(クリソタイル)濃度の調査結果の他、参考として、解体現場等の作業現場内の排気口等における調査結果を併せて示しています。
 また、各調査地域の地域名、調査期間、石綿(クリソタイル)濃度等は、別添1に記載したとおりです。

 石綿(クリソタイル)濃度の調査結果については、次のように総括されます。
[1]
 石綿の飛散が懸念される廃棄物処分場等及び解体現場等では、特に高い濃度ではありませんでした。なお一部の解体現場において総繊維数が高く測定されましたので、マニュアルの参考法である分析走査電子顕微鏡法に基づき、繊維の種類の同定等を行いました。詳細は「(2)総繊維数濃度が高かった地域における追加調査結果」の項に示したとおりです。
[2]
 その他の地域においては、特に高い濃度は見られませんでした。
【参考】
  • 大気汚染防止法に基づく石綿製品製造工場に対する敷地境界基準:10本/L(リットル)
  • WHO環境保健クライテリア(EHC 53):「都市における大気中の石綿濃度は、一般に1本以下〜10本/Lであり、それを上回る場合もある。」「一般環境においては、一般住民への石綿曝露による中皮腫及び肺がんのリスクは、検出できないほど低い。すなわち、実質的には、石綿のリスクはない。」
表1 平成20年度アスベスト大気濃度調査結果
※1
 「解体現場」とは、建築物等の解体、改造または補修作業現場を意味しています。
 また、「敷地周辺」とは、解体現場等の直近で一般の人の通行等がある場所との境界、「前室付近」とは、作業員が出入りする際に石綿が直接外部に飛散しないように設けられた室の入口の外側、「排気口付近」とは、集じん・排気装置の外部への排気口付近を意味しています。
※2
 石綿繊維数は、光学顕微鏡法により分析した結果です。(捕集フィルターにクリソタイルと同程度の屈折率の不揮発性液体を浸した後、同一視野を位相差顕微鏡と生物顕微鏡でそれぞれ繊維数を計数し、各計数結果の差を石綿繊維数(クリソタイル)とするもの。)
注1)
 各地点の石綿濃度の評価に当たっては、平成元年12月27日付け環大企第490号通知「大気汚染防止法の一部を改正する法律の施行について」に基づき、注2の場合を除き、各地点で3日間(4時間×3回)測定して得られた個々の測定値を地点ごとに幾何平均し、その値を当該地点の石綿濃度としています。
注2)
 解体現場等においては、解体等の工事には短期間で終了するものがあるため、各地点で1日間(4時間×1回)測定し、その測定値を当該地点における石綿濃度としています。
注3)
 ND(不検出)の場合には「計数した視野(100視野)で1本の繊維が計数された」と仮定して算出した値に「未満」を付けて記載しています。
注4)
 表中の()内の数値は地域数における内数です。
(2)総繊維数濃度が高かった地域における追加調査結果
 光学顕微鏡法による測定により、一部の解体現場で総繊維数濃度の高い現場がありました。確認のため、マニュアルの参考法である分析走査電子顕微鏡法で分析し、繊維の種類の同定等を行いました。結果の概要は表2のとおりです。

 調査結果については、次のように総括されます。
[1]
 大分県の解体現場(敷地境界)において総繊維数濃度が高かったため検体を確認したところ、繊維の大部分が石綿繊維ではなく、硫酸カルシウムでした。これは、サンプリング時に現場で行われていた、はつり作業によるものであると推測されました。
[2]
 山梨県の解体現場(前室)及び千葉県の解体現場(排気口付近)において総繊維数濃度が高かったため検体を確認したところ、繊維の大部分はアモサイトでした。このため、データを確認後直ちに現場の所管自治体に連絡し、各自治体において事業者に対し飛散防止措置を講じさせる等適切な指導がなされました。
 なお、いずれの現場についても敷地境界の石綿濃度は特に高い濃度ではなく、周辺への汚染は生じていないと考えられます。
注)はつり作業・・・コンクリートを削ったり砕いたりする作業のこと。
表2 総繊維数濃度が高かった地域における追加調査結果
(3)過去の調査結果との比較(継続調査地域)
 今回の調査のうち29地域60地点については、過去の調査(平成7年度、平成17年度、平成18年度及び平成19年度)と同一地域において調査を実施しました。当該地域について調査地域分類別に集計・整理した平成20年度の結果は、表2のとおりです。
 平成7年度、平成17年度、平成18年度、平成19年度及び平成20年度の調査結果を比較した表を表3に、グラフを別添2に示しました。石綿濃度は、低いレベルで推移していると考えられます。
表3 過去と同一調査地域における平成20年度調査結果
注)
 各地点の石綿濃度の評価に当たっては、平成元年12月27日付け環大企第490号通知「大気汚染防止法の一部を改正する法律の施行について」に基づき、各地点で3日間(4時間×3回)測定して得られた個々の測定値を地点ごとに幾何平均し、その値を当該地点の石綿濃度としています。本表では、地域分類ごとの石綿濃度の最小値、最大値及び幾何平均値を記載しています。
表4 同一調査地域における調査結果の比較
(平成7年度、平成17年度、平成18年度、平成19年度及び平成20年度)
4.今後の対応方針
 環境省では、引き続き石綿による大気汚染の状況を把握するため、平成21年度も大気環境モニタリングを行う予定です。
 なお、モニタリング方法については、従来、世界の使用量の大部分を占めていたクリソタイルを中心とした測定法を実施してきましたが、石綿製品製造工場に設置されていた「特定粉じん発生施設」が全て廃止された一方で、今後は使用されている石綿種が不特定な建築物等の解体作業等である「特定粉じん排出等作業」が石綿の主な発生源になると予想されることから、クリソタイル以外の石綿も含め、環境大気中の石綿濃度をより効率的に把握できる方法について検討し、マニュアルを改訂していく予定です。

添付資料

連絡先
環境省水・大気環境局大気環境課
直通:03−5521−8295
代表:03−3581−3351
課長 早水 輝好(6530)
課長補佐 西村 洋一(6537)
担当 植松 宗久(6534)

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