報道発表資料

平成21年3月10日
保健対策
この記事を印刷

「工業用ナノ材料に関する環境影響防止ガイドライン」の公表について(お知らせ)

 環境省では、ナノ材料の使用実態等を踏まえた環境中への放出の可能性と管理手法についての知見の収集と整理を行うため、学識経験者等からなる「ナノ材料環境影響基礎調査検討会」を設置し、検討を行ってきました。同検討会において、今後、事業者等がナノ材料に関する環境保全上の適切な管理方策を選択するための情報を「工業用ナノ材料に関する環境影響防止ガイドライン」としてとりまとめましたのでお知らせします。

1.背景

 ナノテクノロジーは様々な分野において今後の国民生活に便益をもたらすことが期待される。一方、ヒト及び動植物へのばく露が懸念される工業的使用のために意図的に製造されるナノ材料(ナノマテリアル)(以下、「ナノ材料」という。)がヒト及び動植物に影響を及ぼすことのないよう、管理が適切に行われることが必要である。

 ナノ材料がヒトや動植物へ及ぼす影響に関する情報は徐々に得られつつあるが、まだ安全性を確保するために必要十分な情報が得られた状況にはない。一方、環境中に放出された後にその有害性が明らかになった場合に、当該物質を回収し、かつ環境を回復するために多大なコストが必要となる。また、環境経由のばく露が起これば、有害性の評価が確定される前に、ヒトあるいは動植物への被害が顕在化するおそれもある。このため、ナノ材料の利用にあたっては、ばく露の防止を未然に図ることが肝要であり、これは被害が発生した際に、原因事業者に求められる多大な負担を軽減する意味でも重要な取組である。

 ナノ材料を取り扱う事業者等によって、それらが有する知見に基づいて環境中への放出を防止するための自主的な管理が適切に行われることが期待される。

2.本ガイドラインの位置づけ

 本ガイドラインは、事業者等が適切な管理措置を講じることにより、環境経由でヒトや動植物がナノ材料にばく露されることによって生ずる影響を未然に防止することを目的とし、事業者等が環境保全上の適切な管理方策を選択するための情報について、[1]現時点までの知見、[2]当面の対応の基本的考え方、[3]今後の課題として整理したもの。

 ナノ材料は物理化学特性、生物影響等の面で多様であり、特定のナノ材料にみられた特徴と影響メカニズムが他のナノ材料にもあてまるとは限らないことにも留意が必要である。

3.管理方策として当面採るべき対策

 ヒト及び動植物へのばく露を未然に防止するための管理方策として、環境媒体への放出経路を特定し、それを踏まえたナノ材料を放出しない製造装置又は施設、製品設計、分別・管理等が行われることが基本である。また、外部放出の可能性がある場合には、それを捕捉し、除去する工程を置くことが必要である。仮に、外部放出されたナノ材料を除去する方策を採ることができない製造装置又は施設等があった場合、事業者等により安全性が十分担保されない限り、他の候補物質の活用等を検討するべきである。

(1)ナノ材料の製造事業場

 ナノ材料の製造事業場及び加工事業場では、取り扱っているナノ材料の種類の特定と、また集中的な放出管理が可能である。これらの事業場では、ナノ材料の環境中への放出を抑制するために、可能な限り事業場外への放出が行われない措置を実施することが適当である。

 製造、梱包、運搬等ナノ材料の取り扱う経路を確認し、閉鎖された場所や密閉容器等を使用する工程を閉鎖系に変更するなど、ナノ材料を放出しない措置を施す。

 また、工程の閉鎖化又は密閉化が困難である場合には、環境中にナノ材料が放出されないよう適切な処理工程を置くことが適当である。

 製造装置からの放出を防止するため、排気装置を外部への拡散防止に有効な箇所に設置する。ナノ材料のために設置された排気装置では、使用しているナノ材料の性状(粒子状のナノ材料は繊維状のものに比べてフィルターによる捕集が困難である)を勘案し、排気部分に環境放出を防止できるフィルターを使用する。
 厚生労働省が推奨する局所排気装置(ナノマテリアルの粒径又は凝集の状態、フィルターの捕集能力等を調査し、対象とするナノマテリアルが捕集可能な適切なフィルターを選定するようにし、調査を行わない場合にはHEPAフィルター又はこれと同等の性能を有するフィルターの使用)を使用することで、放出抑制には効果があると考えられるが、適正な頻度で交換する等、取扱い上の管理を十分に行う。
 ナノ材料を含む排水は必ず排水処理施設による処理を施すとともに、ナノ材料を含むと考えられる汚泥は、その性状に応じて焼却(炭素系ナノ材料)や固化(無機系ナノ材料)といった措置を施す。
 取り扱っているナノ材料について、用いた高性能フィルターの除去効率や排水処理による除去効率についての情報収集を行う。

 多くの場合、環境中への放出の主な経路は、ナノ材料を含む廃棄物を扱う際に生ずると推測される。特に、不良品や開発用に使用したナノ材料を廃棄する場合には、純度が高く、まとまった量を扱うことになるため、それらを環境中に拡散させないための措置が必要となる。また、製造事業者は製造しているナノ材料の適正な処理方法を検討・確認しておくことが適当である。

 廃棄処理においては性状に応じて焼却(炭素系ナノ材料)や固化(無機系ナノ材料)といった措置を施す。
 使用済みのフィルター、清掃時の紙・布類、不要になったナノ材料、ナノ材料の運搬容器や袋等、ナノ材料が付着している廃棄物あるいはナノ材料そのものは、他の廃棄物と区別して密閉容器に保管し、性状に応じた廃棄物処理が可能なように、含まれるナノ材料の種類や適切な処理方法を表示した上で、自社で処理を行うか又は廃棄物処理事業者に引き渡す。処理を業者に委託する場合、廃棄物データシートでの明示、及びナノ材料の種類に応じた処理方法を指示する。
 一方、ナノ材料を含む廃棄物を自社で処理する場合においては、ナノ材料の種類に応じて、(3)に準じた適正な処理を実施する。
 なお、炭素系のナノ材料が付着したグラスフィルター、無機系のナノ材料が付着した布類といった、そのままでは適正な処理が困難な廃棄物は、専門家に相談の上、環境中に放出しない措置を講ずる。

(2)ナノ材料を含む製品の製造事業者

 ナノ材料が製品に使用される場合、製品製造事業者はナノ材料をナノ材料自体の製造事業者から購入しているケースが多い。
 ナノ材料を含む製品については、使用時の放出の可能性、廃棄後の処理の必要性について、製品の企画・設計の段階において配慮し、製品を経由したばく露の防止策、表示等による使用者への注意喚起等を検討することが適当である。

 ナノ材料を用いた製品の製造を予定する場合、その使用時の放出(例:スプレー)、使用中の放出(例:塗料)、使用後の放出(例:化粧品)、廃棄時の放出の可能性について考慮する。
 基本的には、ナノ材料を放出させない用途、設計を検討する。仮に環境への放出が避けられない場合は、他の候補物質の活用を検討する。当該ナノ材料の使用が不可避な場合、そのヒトや動植物への影響、環境残留性等について、専門家へ相談しつつ設計・販売を行う。また、それらの評価結果を使用者に明らかにすることを検討する。

(3)ナノ材料の廃棄及びナノ材料を含む製品の廃棄時

 廃棄物に含まれるナノ材料の適切な処理方法が明示されているか、処理事業者に明確に伝達される場合は、中間処理施設を含めて、記載された注意事項に留意した廃棄処理が可能となる。廃棄物処理においては、性状によって焼却(炭素系ナノ材料)や固化(無機系ナノ材料)による埋立といった適切な措置を実施することが適当である。

 ばいじんや燃え殻、乾燥した汚泥などの飛散しやすい廃棄物を取り扱う時は、湿潤状態に保つ、二重梱包、密閉容器保管といった飛散防止措置の実施の上、できる限り飛散させないよう丁寧に取り扱う。
 破砕処理を行う際には製品に含まれるナノ材料が飛散することがないよう、湿潤化等の適当な処理を施す。なお、不必要な破砕も避ける。

4.今後の課題

国と事業者が連携して、以下の課題について今後とも取り組むことが必要。

ナノ材料に関する情報の収集整理
ヒト及び動植物への影響の確認(試験方法)
測定方法の開発
環境中での挙動、実態把握
管理技術の有効性の確認等

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境保健部環境安全課
直通:03-5521-8260
課長:木村 博承(6350)
課長補佐:瀬川 恵子(6353)
課長補佐:木野 修宏(6324)
担当:寺井 徹(6356)

Adobe Readerのダウンロード

PDF形式のファイルをご覧いただくためには、Adobe Readerが必要です。Adobe Reader(無償)をダウンロードしてご利用ください。

ページ先頭へ