報道発表資料

平成20年11月28日
大気環境
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微小粒子状物質リスク評価手法専門委員会報告について(お知らせ)

 平成20年11月26日に開催された中央環境審議会大気環境部会微小粒子状物質リスク評価手法専門委員会第6回会議において、微小粒子状物質の定量的リスク評価手法についてのこれまでの審議結果を踏まえ、専門委員会報告がとりまとめられましたので公表します。

1.背景及び経緯

 平成20年4月にとりまとめられた微小粒子状物質健康影響評価検討会報告において、微小粒子状物質は総体として人々の健康に一定の影響を与えることが疫学知見並びに毒性知見から支持されるとされ、微小粒子に関する様々な影響について、さらに定量的な評価に関する考察を進める必要があるとされた。
 このため、平成20年6月に中央環境審議会大気環境部会の下に微小粒子状物質のリスク評価手法を検討することを目的として、微小粒子状物質リスク評価手法専門委員会(委員名簿 別紙)を設置、6回にわたり審議を行い、今般、同専門委員会の報告「微小粒子状物質の定量的リスク評価手法について」(別添)をとりまとめた。

2.報告書の概要

 欧米における微小粒子状物質の環境目標値等を導くためのリスク評価手法に関する調査結果や国内外の知見を踏まえ、リスク評価手法の【1】基礎的な考え方、【2】信頼できる疫学知見の抽出の考え方、【3】定量的解析手法に関する審議を進め、その成果をまとめた。

(1) リスク評価手法の基礎的な考え方

 微小粒子状物質の健康影響は、現下の大気環境においては、個人の健康への作用として日常的に臨床の場で観察されるものではなく、比較的小さな相対リスクが幅広い地域において疫学的に観察されるものである。
微小粒子状物質の疫学知見に基づく評価においては、様々な不確実性が存在し、集団における微小粒子状物質への短期曝露及び長期曝露に対する影響に閾値の存在を明らかにすることは難しい。このため、微小粒子状物質の濃度が低い環境下においてもいくらかの残存リスクがある可能性は否定できない。
 我が国においては、大気汚染が人の健康に好ましからざる影響を与えることのないように、微小粒子状物質の健康リスクに関する現状を踏まえた手法を採用することが考えられる。したがって、当面、現下の大気環境においてみられる一般地域集団における健康影響を低減していくという公衆衛生の観点を考慮し、疫学知見に基づく曝露量−反応関係から健康影響が生じることが確からしいとされる濃度水準を見いだし、それを微小粒子状物質の環境目標値の目安となる数値を検討する際の出発点にするのが適当と考える。
 この環境目標値の設定に関する検討に際して、主として以下の事項の内容も含めることが適当である。

1)
毒性学の知見も踏まえた健康影響メカニズムも含めた総合的な評価が必要であること。
2)
高感受性者・脆弱者の健康影響にも慎重に配慮することが必要であることから、高感受性者・脆弱者が含まれる人口集団を対象とした疫学知見に基づいた検討を加えること。
3)
考慮すべきエンドポイントは、疫学的因果関係を示している可能性が高いと考えられる様々な重篤度の健康影響の中から選択するべきであること。
4)
長期曝露ではより低濃度で慢性影響が起こり、短期曝露では、より高濃度で急性影響が起こると考えられる場合には、曝露期間による健康影響の発生に質的な差があるかを評価した上で、それぞれの環境目標値設定の必要性を検討すること。

(2) 解析に用いる信頼できる疫学知見の抽出の考え方

 長期曝露による影響をみる方法としてはコホート研究が優れており、短期曝露による影響をみる方法としては時系列解析による研究が優れている。これらの手法を用いた研究も、曝露評価、統計モデル仕様、共存大気汚染物質等の交絡と影響修飾や曝露と健康影響の時間構造に関する不確実性が存在することにも考慮し、複数の疫学知見によって総合的かつ包括的に評価すべきである。
 定量評価を行うべき具体的な疫学知見の選定に当たっては、短期曝露と長期曝露による影響について広範囲なエンドポイントに関する質の高い疫学研究を評価の対象とすべきである。特に、曝露評価が適切に行われていることが必要である。
 国内知見と国外知見の取扱いについては、総合的かつ包括的に評価することが考えられるが、国内知見と国外知見で微小粒子状物質への曝露との関連性が認められるエンドポイントの一致性やそれぞれの知見の特徴に留意して検討すべきである。

(3) 定量的解析手法

 微小粒子状物質の環境目標値の目安となる数値を検討する具体的な定量的解析手法として、疫学知見に基づく影響度評価が行われ、さらに疫学知見に基づくリスク削減予測に基づく影響度評価も行われている。本専門委員会で検討を加えた結果、現下の大気環境においてみられる健康影響を着実に低減していくという公衆衛生の観点を考慮し、「疫学知見に基づく影響度評価手法」を優先して取り組むことが適当である。
 米国やWHO等の手法や定量評価に用いられた解析手法等の情報を整理した上で、微小粒子状物質の長期曝露影響及び短期曝露影響それぞれについて、我が国において実施可能と考えられる具体的な定量的解析の手順を示した。この手順に従って定量的解析を行うに当たって、低濃度領域における曝露量−反応関係に関して、疾病構造や大気汚染状況の国内外の差異等の不確実性が大きいことを十分に考慮すべきである。

添付資料

連絡先
環境省水・大気環境局総務課
代表 03-3581-3351
課長:岡部 直己(内線6510)
補佐:松田 尚之(内線6514)
係長:山崎 寿之(内線6516)

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