報道発表資料

平成20年8月29日
地球環境
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オゾン層保護対策推進月間の取組について

 9月はオゾン層保護対策推進月間です。
 1987年9月16日に「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」が採択されたことにちなみ、政府では毎年9月を「オゾン層保護対策推進月間」と定めています。
 月間中は、国・地方公共団体において、オゾン層保護・フロン対策に関する啓発活動を集中的に行います。
 フロンは、有害な紫外線を吸収するオゾン層の破壊や地球温暖化を促進することから、その対策はオゾン層保護のみならず地球温暖化防止のためにも大変重要であり、月間においては、その理解の浸透に努めていきます。

1.オゾン層保護、フロン対策の経緯と現状

 フロンは人工的に発明・製造された物質で、化学的に安定し、毒性が無い等の利点から、冷蔵庫や空調(エアコン)の冷媒、建材用断熱材の発泡、スプレー噴射剤、半導体の洗浄剤等、幅広く使われてきました。1974年に米国のローランド博士らが、有害紫外線を吸収しているオゾン層がフロンによって破壊されるメカニズムを発見し、有害紫外線の増加によって人や生態系に影響が生ずる可能性を指摘しました。また、1982年に日本の南極観測隊が南極上空のオゾン全量の異常減少を確認し、1985年には南極上空におけるオゾンホールの形成が確認されました。
 これらを踏まえ、国際的な議論の下、1985年に「オゾン層保護に関するウィーン条約」が採択され、1987年9月にフロン規制のための国際的枠組みを定める「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」が採択されました。この議定書では、フロン等の生産・消費を種類別、先進国・開発途上国別に段階的に削減することを定めており、CFC(クロロフルオロカーボン)は2010年までに、HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)は2040年までに、全廃することになっていました。昨年9月に開催されたモントリオール議定書締約国会合では、オゾン層の回復を一層促進するために開発途上国のHCFC削減スケジュールを前倒し、2030年までにHCFCを全廃することで合意しました。
 わが国は、1988年に「特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律」(オゾン層保護法)を制定・施行し、ウィーン条約及びモントリオール議定書に加入しました。同法により、既にCFCは1996年に全廃、HCFCの消費量は最大時の20%以下に削減しており、2020年までに全廃することとしています。
 モントリオール議定書に基づく世界的な取組により、フロン規制は大きな効果を上げ、フロン等のオゾン層破壊物質の生産量・消費量は大幅に削減されました。南極域上空のオゾンホールは、未だに毎年のように大規模に形成され、依然として深刻な状況が続いていますが、科学的な予測によれば、このまま順調にフロン規制が実施されると、今世紀中頃には、地球のオゾン層は1980年以前の状態まで回復すると言われています。
(環境省では「オゾン層等の監視結果に関する年次報告書」を毎年とりまとめ公表しています。)

2.フロン対策の今後の課題

(1)モントリオール議定書による規制の強化

 モントリオール議定書によるフロン規制は順調に実施されていますが、規制スケジュールの前倒し等によって、オゾン層の回復を一層促進できるため、2040年に設定されていた開発途上国のHCFC全廃スケジュールを2030年に前倒しする規制の強化について、昨年のモントリオール議定書締約国会合で合意しました。この規制スケジュール前倒しを踏まえ、開発途上国への支援を強化する必要があります。
なお、次回の締約国会合は、11 月16 日から20 日までカタールのドーハで開催予定。

(2)フロンの回収・破壊

 フロンの生産、消費規制により、オゾン層の破壊は食い止められつつありますが、冷蔵・冷凍・空調(エアコン)機器の冷媒等として既に世の中に出回っているフロンを空気中に漏出させず、回収して破壊できれば、オゾン層の回復を一層促進することができます。また、フロンは、種類によっては二酸化炭素の数千倍もの強い温室効果を持つため、フロンを回収することは、地球温暖化防止の観点からも重要です
 このため、わが国では、2001年に「特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律」(フロン回収・破壊法)を制定し、CFCとHCFCのみならず、オゾン層は破壊しないが強い温室効果を持つHFC(ハイドロフルオロカーボン)も対象として、業務用冷凍空調機器からのフロンの回収・破壊を義務づけています。さらに、フロン回収を一層徹底するために行程管理制度の導入等を主な内容とする改正フロン回収・破壊法が、昨年10月から施行されています。また、家庭用エアコン・冷蔵庫については家電リサイクル法、カーエアコンについては自動車リサイクル法により、フロンの回収を行っています。
 今後とも、これらの法律等に基づき、オゾン層保護及び地球温暖化防止の双方の観点から、フロン回収の徹底を図ることが重要です。

(3)地球温暖化防止の観点からのフロン対策

 フロンは、二酸化炭素の約百倍から1万倍以上も強い温室効果を有する物質です。つまり、温室効果が千倍のフロンを1kg漏出すると1tの二酸化炭素を出したことと同じになります
 地球温暖化防止のための京都議定書では、フッ素ガスでは、HFC、PFC(パーフルオロカーボン)、SF6(六フッ化硫黄)が規制対象(代替フロン等3ガスと呼ばれます)になっていますが、CFCとHCFCはモントリオール議定書で規制されているために規制対象になっていません。しかし、地球温暖化防止のためには、代替フロン等3ガスと同様に、CFCとHCFCを空気中に漏出させないようにする必要があります。このため、フロン回収に関する前述の三つの法律では、CFC、HCFC、HFCを回収対象物質にしています。
 CFC、HCFCはモントリオール議定書の規制により排出がいずれ少なくなってきますが、逆にHFCは、CFCとHCFCの代替物質として使われ始めた物質であり、今後、使用量の増大が予想されていますので、その排出抑制等を防止することがますます重要であり、今年から京都議定書の第1約束期間入り、政府の京都議定書目標達成計画(平成20年3月)でもその対策が位置づけられています。

(4)脱フロン社会を目指して

 フロンは、熱を効率よく運ぶ冷媒等として現代社会で大変便利に使われている物質です。しかし、オゾン層破壊、地球温暖化の防止のため、その生産等が規制されるようになり、CFC→HCFC→HFCの順で使用が代替されています。しかし、オゾン層を破壊しないHFCも地球温暖化防止の見地から問題視されており、更なる対応が必要です。
 このため、そもそもフロンを他の種類の物質に代替できないかを考え、フロンを使わなくて済む社会にすることも考える必要があります。そうすれば、フロン回収といった事後の余計な費用を負担する必要もなくなります。例えば、家庭用冷蔵庫ではイソブタン、業務用の冷凍機器や冷蔵機器ではアンモニアや二酸化炭素が代替冷媒として利用されています。
 しかし、家庭用エアコンやカーエアコンの冷媒は今のところHFC以外には考えられないと言われており、HFCの中でも温暖化係数(二酸化炭素を1とする温室効果の力)が小さい物質に代替することも検討する必要があります。
 特に、カーエアコンについては、EUにおいて温暖化係数150以下に規制するという指令が出されており、産業の国際競争力維持の見地からも、脱フロン又は低温暖化係数化が今後の重要な技術開発分野になっています

 フロン対策は、オゾン層保護のみならず地球温暖化防止のために大変重要で、かつ効果のあるものですので、皆様のご協力をお願い申し上げます。

3.オゾン層保護対策推進月間における取組

環境省

(1)ポスター〜未来の子どもたちへ、プレゼント。オゾン層保護と地球温暖化防止のためにフロン類の大気放出を抑え、すてきな地球をプレゼントしましょう。〜

 フロンの回収を訴えるポスターを、経済産業省等関係府省庁及びオゾン層・気候保護産業協議会と協力して約1万部作成し、地方公共団体、国の出先機関、業界団体等に配布し、期間中掲示します(http://www.env.go.jp/earth/ozone/month/index.html)。

(2)パンフレット「オゾン層を守ろう2008」

 学校教育や環境イベント等で活用していただくため、オゾン層破壊の状況やその対策をわかりやすく解説したパンフレット「オゾン層を守ろう」を地方公共団体、関係業界に配布します。

(3)ホームページを通じた広報

 環境省ホームページ上に、オゾン層保護対策推進月間に関するページを設置し、各種普及啓発用資料を紹介しています。本ページから普及啓発用資料を自由にダウンロードしていただけます(http://www.env.go.jp/earth/ozone/month/index.html)。

(4)アジア地域オゾン層保護担当官ネットワーク会合等の開催

 9月19日から22日の間、東京において、国連環境計画(UNEP)と環境省が共催でアジア地域オゾン層保護担当官ネットワーク会合等を開催します。この会合では、アジア地域のオゾン層保護担当官や国際機関が一同に会してオゾン層破壊物質削減に向けた対処策が検討される予定です。環境省としても、日本の技術・経験の情報提供を通じて、途上国支援を強化していきます。

(5)関連行事への協力

 日刊工業新聞社主催の「第11回オゾン層保護・地球温暖化防止大賞」を後援し、フロン対策を通じ、オゾン層の保護や地球温暖化防止に大きく寄与した技術・事業者等に環境大臣賞を贈賞します。

地方公共団体

 各地方公共団体において、講演会の開催・イベント会場や庁舎での展示、ポスター・パンフレット等の配布、HPやテレビ、ラジオを利用した広報等、オゾン層保護・フロン回収を呼びかける取組が実施されます(別添)。

添付資料

連絡先
環境省地球環境局(旧)環境保全対策課フロン等対策推進室
直通 03-5521-8329
室長 江口 博行(内6750)
補佐 永野 和則(内6751)
担当 山口 裕司(内6753)

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