(別添2)

地球温暖化対策推進大綱の進捗状況及び今後の取組の重点(案)の概要


1.総 論

「地球温暖化対策推進大綱」(平成10年6月19日、地球温暖化対策推進本部決定)では、その実施状況について毎年点検を行うこととされている。昨年7月の第1回目のフォローアップに続き、第2回目のフォローアップとして、主な対策の進捗状況及び今後の取組の重点をとりまとめた。

我が国は、京都議定書の2002年までの発効を目指して、COP6に向けた交渉に鋭意臨んでいるところである。この国際交渉の進捗状況も踏まえつつ、国民の理解と協力を得て、締結に必要な国内制度に総力で取り組む必要がある。

一方、政府の地球温暖化対策としては、地球温暖化対策推進大綱が決定された後、平成11年4月には改正「エネルギーの使用の合理化に関する法律」及び「地球温暖化対策の推進に関する法律」が施行されており、これらの制度に基づく各種の具体的な対策を引き続き着実に実施していくことが重要である。

2.主な取組

<地球温暖化対策の総合的推進>
地球温暖化対策推進法に基づき、都道府県及び市町村自らの事務・事業に関する実行計画の策定に資するため、平成11年8月に「実行計画策定マニュアル」及び「温室効果ガス総排出量算定方法ガイドライン」を作成し、全国各地で説明会を開催した。

11月には、毎年度の温室効果ガスの排出係数等について検討するため、「温室効果ガス排出量算定方法検討会」を設置した。

<エネルギー需要面の対策>
改正「エネルギーの使用の合理化に関する法律」(省エネ法)に基づき、平成11年度においては従来の特定機器(9品目)に加え、電気冷蔵庫及び電気冷凍庫を追加指定し、更なるエネルギー消費効率の向上を図った。

改正省エネ法の施行により、従来のエネルギー管理指定工場を第一種エネルギー管理指定工場(約4,100箇所)とし、エネルギー使用合理化の取組を促すため中長期的な計画の作成が義務づけられた。また、中規模のエネルギー消費工場・事業場を対象とする第二種エネルギー管理指定工場制度が発足し、約6,400箇所が指定された。

二酸化炭素排出の少ない都市・地域構造の形成、物流の効率化、公共交通機関の利用促進、交通渋滞の緩和に資する各種のインフラ整備を推進した。
車両の大型化に対応した約6,000kmにわたる橋梁の補強、合計39,000kmの道路ネットワークの形成
複合一貫輸送に対応した内貿ターミナルの整備(20港)、国際海上コンテナターミナル整備(17港)、空港または港湾への連絡を強化するための道路の整備(109箇所)
交通管理の最適化のため、全国170箇所の交通管制センターを中心とした新交通管理システム(UTMS)の整備
渋滞解消・緩和のための環状道路の整備(129箇所)、連続立体交差事業(62箇所)や、都市内駐車場の整備(50箇所)、渋滞対策プログラムに基づく主要渋滞ポイントの解消(180箇所)
首都圏の主要な料金所(54箇所)におけるノンストップ自動料金収受システム(ETC)の整備、全国的な整備(93箇所)への着手。

各省においては、関係業界の自主行動計画に関するフォローアップを実施、又は実施に向けた検討が進んでいる。通商産業省関係の28業種については、1998年度の二酸化炭素排出総量が1990年比2.0%の減少に転じた。

待機時消費電力削減技術開発や発光ダイオード等の民生部門を含む、新たな省エネルギー型技術等の開発を行うとともに、高性能工業炉をはじめとする省エネ設備の普及を図った。

クリーンエネルギー自動車等の普及促進のため、クリーンエネルギー自動車等に係る税制措置・補助金の拡充を図った。

<エネルギー供給面の対策>
原子力の開発利用に対する国民の理解と協力を得るため、情報提供や講演会・フォーラムの開催等の広報活動を実施した。また、産業振興による地域活性化に向けた支援の強化や、地元地方公共団体の創意工夫・主体的対応がより可能となるような電源三法各種交付金・補助金の使途の弾力化・統合等を図った。
新エネルギーの加速的導入として、太陽光発電の市場自立化を図るため、住宅用太陽光発電システムの補助制度を実施した。(平成11年度においては、約17,400件の申込み)。

<二酸化炭素以外の温室効果ガスに係る対策>
代替フロン等3ガスについては、平成11年5月に化学品審議会において産業界の行動計画の進捗状況のフォローアップを行った。

<植林等の二酸化炭素吸収源対策の推進>
吸収源としての機能を向上させるため、民有林、国有林を通じた治山事業、森林保全整備事業、森林環境整備事業により森林の整備を実施した。

<地球観測体制の強化>
平成11年8月に「地球観測フロンティア研究システム」を発足した。同じく8月にアジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)の活動の拠点となるAPNセンターを平成11年8月に神戸市に開設した。さらに、平成12年度より、ミレニアム・プロジェクト「高度海洋監視システム(ARGO)の構築」を推進する。

<国際協力の推進>
平成11年10月から11月にかけて開催されたCOP5において、我が国は、他の締約国とともに、京都議定書を2002年までに発効させるべきである旨を表明し、交渉の進展に積極的に貢献した。

<ライフスタイルの見直し>
平成11年5月に「地球環境と夏時間を考える国民会議」より、「国民への普及啓発活動等を行った上で、サマータイム制度の導入を図るべき」との報告書が取りまとめられ、これを踏まえ、サマータイム制度に関する普及啓発を実施した。

平成11年12月に第2回の「地球温暖化防止月間」を実施し、宮城県仙台市において国際シンポジウムの開催など全国的に広報活動を展開した。

住宅の省エネ性能等の表示の適正化を図る「住宅の品質確保の促進等に関する法律」を平成11年6月に制定した。また、平成12年8月より家電製品を対象に省エネラベリング制度を導入した。

「みどりの週間」(4月23日〜29日)を中心とした国土緑化キャンペーン及び「緑の募金法」制定4周年目のラジオキャンペーンを実施した。

脱温暖化の社会システム変革に向けて、地球温暖化対策地域推進モデル事業等、10種のモデル事業を全国的に展開した。