別添1

新環境基本計画中間とりまとめの概要

第1部 環境及び環境政策の現状と課題

環境の現状
 産業公害と開発に伴う自然の減少を中心とする高度成長期までの環境問題は、以下のとおり変化。
環境問題の多くは、通常の事業活動や国民の日常生活に起因。同時に、不特定多数の者が原因者であるケースや原因者が同時に被害者であるケースが一般化
長期的スケールでの影響をもたらすおそれがあり、また、発生メカニズムや影響の科学的解明の十分でない問題の増加
森林、湿地、農村、都市等様々な生態系において種々の問題の発生・人間活動の都市への集中等による水質、水量、水辺環境に係る問題の発生
地球温暖化問題やオゾン層の破壊問題に見られるような地球規模の広がりを持った環境問題の発生


環境基本計画策定後における環境政策の進展
 平成6年の環境基本計画の策定以降、今日までの間に、個別分野における総合的枠組の整備や政策手法の進展など環境政策の幾つかの重要な前進が見られた。
 しかしながら、以下のような点において、今後、更なる前進を図る必要がある。
地球温暖化対策に関しては、今後の国際交渉の進展も踏まえつつ、京都議定書の目標を確実に達成するために必要な国内制度の整備・構築
<COP6後に必要に応じて見直し>
廃棄物・リサイクル対策の推進の枠組みについては、その実施のための計画を策定
化学物質対策に関しては、従来の施策の中心であった人の健康の保護の視点に加えて、化学物質の生態系に対する影響の適切な評価と管理を推進
生物多様性国家戦略については、それに基づく施策の一層の実効性の確保等を目的とした見直し
交通に起因する大気汚染問題や環境保全上健全な水循環などの分野においても、必要な施策をさらに総合的に推進


21世紀初頭の環境政策の課題
 これらに対処するため、本計画において対応すべき中心的な課題は、次の2点。
[1]持続可能な社会の構築に向けた合意を形成し、各主体の取組の基盤を強化し、取組全体の新たな段階への展開を図ること。
[2]環境問題が国民の日常生活や通常の社会経済活動と深く結びついているという環境問題の構造を踏まえ、社会経済活動のあり方やライフスタイルの転換など、環境問題の根源に遡った対応を図るよう、統合的視点に立ち、環境政策の総合的展開を強化すること。
 このため、本計画においては、第2部において持続可能な社会を目指して環境政策の総合的な展開を図っていくための考え方を示すとともに、第3部において、これを重点的、効果的に達成するため、計画期間中において戦略的に取り組むべき重要な取組を示す。

第2部 21世紀初頭における環境政策の展開の方向

持続可能な社会を目指して
 環境基本法の環境政策の理念を実現し、現在の大量生産、大量消費、大量廃棄型の社会から持続可能な社会への転換を図る。
(持続可能な社会のイメージ)
経済、社会、環境のいずれの側面からも質の高い生活を保障する社会・環境を構成する諸システムとの間に健全な関係を保ち、それらに悪影響を与えない社会
資源・エネルギー効率性と環境効率性の両面から高い効率性が達成され、大量生産、大量消費、大量廃棄型の生産と消費のパターンから脱却し、資源・エネルギーの大量消費に依存しない新しい段階に移行していく社会
循環を基調として社会経済のシステムや社会基盤が形成される社会
国土の多様な生態系が健全に維持され、人と自然との豊かなふれあいが確保される社会
環境配慮に関するルールや社会基盤が用意され、各主体が自然で容易に取組を実行できる社会
よりよい地球環境の形成に向けてリーダーシップを発揮しうる社会
 そのため、4つの長期的目標(「循環」、「共生」、「参加」、「国際的取組」)を置く。


持続可能な社会に向けた環境政策
 「あらゆる場面における環境配慮の織り込み」、「あらゆる政策手段の活用と適切な組み合わせ」、「あらゆる主体の参加」、「地域レベルから国際レベルまであらゆるレベルにおける取組」を推進。


21世紀初頭における環境政策の重点分野
 このような考え方の下に、限られた資源の重点的・効果的活用を図るため、計画期間中における重点分野を定め、問題の性質や構造を明確にした上で、問題解決のための方策や道筋を提示(第3部の戦略的プログラムの記述)。

第3部 各種環境施策の具体的な展開

戦略的プログラムの展開
 本計画期間中において、次の11項目の戦略的プログラムについて、特に重点的・戦略的に取り組む。
●環境問題=地球温暖化対策の推進
(分野別)物質循環の確保と循環型社会の形成に向けた取組
環境への負荷の少ない交通に向けた対策
環境保全上健全な水循環の確保に向けた取組
化学物質対策の推進
生物多様性の保全のための取組
●政策手段=環境教育・環境学習の推進
社会経済のグリーン化メカニズムの構築に向けた取組
環境投資の推進
●地域づくりにおける取組の推進
●国際的寄与・参加の推進


環境保全施策の体系
 環境基本計画の推進に係る施策を、環境問題の各分野、各種政策の基盤、各主体の自主的積極的取組、国際的取組について、網羅的に記述。

第4部 計画の効果的実施

 計画の効果的実施のため、以下の新たな取組を行う。

推進体制の強化
政府への環境マネジメントシステムの導入の検討
各省庁における環境配慮方針の策定


計画の進捗状況の点検
各省庁による自主的な点検の実施
これを踏まえた中央環境審議会の点検、政府への報告
政府からの点検結果の国会への報告(環境白書)、環境保全経費への反映