(参考)

  1. 環境基準
     
     環境基本法第16条の規定に基づき、騒音に係る環境上の条件について生活環境を保全し、人の健康の保護に資するうえで、維持されることが望ましい基準。朝、昼間、夕及び夜間の4時間帯のそれぞれについて、土地利用の種類、車線数によって基準値が定められている。    (中央値)


    地域の区分 時間の区分
    昼  間 朝・夕 夜  間
    A地域のうち2車線を有する道路に面する地域 55dB以下 50dB以下 45dB以下
    A地域のうち2車線を超える車線を有する道路に面する地域 60dB以下 55dB以下 50dB以下
    B地域のうち2車線以下の車線を有する道路に面する地域 65dB以下 60dB以下 55dB以下
    B地域のうち2車線を超える車線を有する道路に面する地域 65dB以下 65dB以下 60dB以下

     

    注) 1. 地域の類型A及びBのあてはめは、原則として、都市計画法第8条第1項第1号に定める用途地域に準拠して行うものとし、住宅の立地状況その他土地利用の実情を勘案して行うものとする。
        地域の類型Aは、都市計画法第9条第1項から第7項に定める第1種低層住居専用地域、第2種低層住居専用地域、第1種中高層住居専用地域、第2種中高層住居専用地域、第1種住居地域、第2種住居専用地域及び準住居地域とする。
        地域の類型Bは、同法第9条第8項から第11項に定める近隣商業地域、商業地域、準工業地域及び工業地域とする。
        用途地域のうち、同法第9条12項に定める工業専用地域については、地域の類型のあてはめを行わないものとする。
      2. 時間の区分については、次に掲げる時間の範囲内において都道府県知事が定めた時間をいう。
    昼間 午前7時又は8時から午後6時、7時又は8時まで
    朝  午前5時又は6時から午前7時又は8時まで
    夕  午後6時、7時又は8時から午後9時、10時又は11時まで
        夜間 午後9時、10時又は11時から翌日の午前5時又は6時まで
     
  2. 要請限度
     
     騒音規制法第17条第1項に基づき定められた自動車交通騒音の限度で、都道府県知事(政令により市町村長に委任)は、これを超えた場合で道路の生活環境が著しく損なわれると認めるときは、都道府県公安委員会に対し、道路交通法に規定に基づく交通規制等の措置をとるべきことを要請するものとする。その限度は、区域、時間帯に応じて定められている。        (中央値)


    区域の区分 時間の区分
    昼 間 朝・夕 夜間
    第1種区域のうち1車線を有する道路に面する区域 55dB 50dB 45dB
    第2種区域のうち1車線を有する道路に面する区域 60dB 55dB 50dB
    第1種区域及び第2種区域のうち2車線を有する道路に面する区域 70dB 65dB 55dB
    第1種区域及び第2種区域のうち2車線をこえる車線を有する道路に面する区域 75dB 70dB 60dB
    第3種区域及び第4種区域のうち1車線を有する道路に面する区域 70dB 65dB 60dB
    第3種区域及び第4種区域のうち2車線を有する道路に面する区域 75dB 70dB 65dB
    第3種区域及び第4種区域のうち2車線をこえる車線を有する道路に面する区域 80dB 75dB 65dB

     

    備考  第1種区域、第2種区域、第3種区域及び第4種区域とは、それぞれ次の各号に掲げる区域として都道府県知事が定めた区域をいう。
     第1種区域 良好な住居の環境を保全するために、特に静穏の保持を必要とする区域
     第2種区域 住居の用に供されているため、静穏の保持を必要とする区域
     第3種区域 住居のようにあわせて商業、工業等の用に供されている区域であって、  その区域内の住民の生活環境を保全するため、騒音の発生を防止する必要がある区域
       第4種区域 主として工業等の用に供されている区域であって、その区域内の住民の生活環境を悪化させないため、著しい騒音の発生を防止する必要がある区域
     

  1. 環境基準の達成状況
     
    (1)  全測定地点における環境基準の達成状況
     
     全国の測定地点(4,647地点)のうち、4時間帯(朝・昼間・夕・夜間)すべてで環境基準が達成されたのは599地点(12.9%)であった。また、環境基準が達成されなかった測定地点のうち、4時間帯すべてで達成されなかったのは2,560地点(55.1%)、4時間帯のいずれかで達成されなかったのは1,488地点(32.0%)であった。
     
     *図1-1参照。
     
    (2)  継続測定地点における環境基準達成状況の推移
     
     5年間継続して測定を行っている地点(1,877地点)を対象とした環境基準の達成状況の推移をみると、4時間帯すべてで環境基準が達成された測定地点は、208地点(11.1%)で前年の209地点(11.1%)と同様であり、過去5年でみても引き続き低い水準で推移している。
     
     *図1-2参照。
     
    注) 平成7年までは暦年(1〜12月)により集計していたが、8年より年度(4〜3月)による集計とした。
     
    (3)  大都市地域とそれ以外の地域でみた環境基準の達成状況
     
     大都市地域(東京23区及び12政令指定都市)とそれ以外の地域で環境基準の達成状況を比較すると、4時間帯すべてで環境基準が達成された測定地点の割合は大都市地域においては6.8%(601地点中41地点)であり、それ以外の地域の13.8%(4,046地点中558地点)に比べかなり低くなっている。
     
     *図1-3参照。
     
    (4)  道路の種類別にみた環境基準の達成状況
     
     道路の種類別に環境基準の達成状況をみると、4時間帯すべてで環境基準が達成された測定地点の割合は、高速自動車国道の23.5%(327地点中77地点)が最も高く、逆に、都市内高速道路(99地点中8地点)と一般国道(1,842地点中150地点)が8.1%と最も低い。
     
     *図1-4参照。
     
    注) 測定地点が2つ以上の道路の影響を 受けている場合は、それぞれの道路について集計したため、測定地点の合計は全測定地点数を上回る。
     
    (5)  時間帯の区分別にみた環境基準の達成状況
     
     時間帯の区分別に環境基準の達成状況をみると、環境基準が達成された測定地点の割合は、夜間が34.3%(4,647地点中1,596地点)と最も高く、夕が21.3%(989地点)と最も低い。
     
     *図1-5参照。
     
    (6)  地域の区分別にみた環境基準の達成状況
     地域の区分別に環境基準の達成状況をみると、4時間帯すべてで環境基準が達成された測定地点の割合は、B地域(主として商業地域)のうち2車線以下の道路を有する地域が26.4%(1,105地点中292地点)で最も高く、A地域(主として住居地域)のうち2車線の道路を有する地域が4.5%(1,616地点中73地点)で最も低い。
     
     *図1-6参照。
     
  2. 要請限度の超過状況
     
    (1)  全測定地点における要請限度の超過状況
     全国の測定地点(4,908地点)のうち、要請限度を超過したのは1,575地点(32.1%)であった。このうち4時間帯すべてで要請限度を超過したのは129地点(2.6%)、4時間帯のいずれかで超過したのは1,446地点(29.5%)であった。
     
     *図2-1参照。
     
    (2)  継続測定地点における要請限度超過状況の推移
     
     5年間継続して測定を行っている地点(1,877地点)を対象とした要請限度の超過状況の推移をみると、4時間帯すべてで要請限度を超過した測定地点は前年の44地点(2.3%)が54地点(2.9%)、4時間帯すべて又はいずれかにおいて要請限度を超過した測定地点は前年の678地点(36.1%)が708地点(37.7%)といずれもやや増加しており、過去5年でみても引き続き高い水準で推移している。
     
     *図2-2参照。
     
    注) 平成7年までは暦年(1〜12月)により集計していたが、8年より 年度(4〜3月)による集計とした。
     
    (3)  大都市地域とそれ以外の地域でみた要請限度の超過状況
     
     大都市地域(東京23区及び12政令指定都市)とそれ以外の地域で要請限度の超過状況を比較すると、4時間帯すべてで要請限度を超過した測定地点の割合は大都市地域においては2.5%(635地点中16地点)であり、それ以外の地域の2.6%(4,273地点中113地点)と比べほぼ同程度であるものの、4時間帯すべて又はいずれかにおいて要請限度を超過した測定地点の割合は、大都市においては45.5%(289地点)であり、それ以外の地域の30.1%(1,286地点)と比べ高い。
     
     *図2-3参照。
     
    (4)  道路の種類別にみた要請限度の超過状況
     
     道路の種類別に要請限度の超過状況をみると、4時間帯すべてで要請限度を超過した測定地点の割合は、一般国道が4.5%(1,945地点中88地点)で最も高く、高速自動車国道が0.3%(330地点中1地点)で最も低い。
    また、4時間帯のすべて又はいずれかで要請限度を超過した測定地点の割合は、都市内高速道路で64.6%(99地点中64地点)で最も高く、市町村道等で15.5% (856地点中132地点)で最も低い。
     
     *図2-4参照。
     
    注) 測定地点が2つ以上の道路の影響を受けている場合は、それぞれの道路について集計したため、測定地点の合計は全測定地点数を上回る。
     
    (5)  時間帯の区分別にみた要請限度の超過状況
     
     時間帯の区分別に要請限度の超過状況をみると、要請限度を超過した測定地点の割合は、夜間が26.6%(4,908地点中1,304地点)で最も高く、昼間が3.4%(169地点)で最も低い。
     
     *図2-5参照。
     
    (6)  区域の区分別にみた要請限度の超過状況
     
     区域の区分別に要請限度の超過状況をみると、4時間帯すべて又はいずれかで要請限度を超過している測定地点の割合は、第2種区域(都市計画法の「第1種・第2種中高層住居専用地域、第1種・第2種住居地域及び準住居地域」に相当)が45.2%(2,505地点中 1,133地点)で最も高い。
     
       *図2-6参照。
     
<参考>
 
_  自動車交通騒音の測定地点については、「当該地域の騒音を代表すると思われる地点」(「代表する地点」)又は「騒音に係る問題を生じやすい地点」(「問題を生じやすい地点」)とされているところである。しかしながら、両者には明確な定義が示されていないため、「問題を生じやすい地点」については、苦情が多い地点と解されやすく、全国の集計には適さないなどの指摘を受けているところである。
このため、平成8年度の調査結果について、「代表する地点」、「問題を生じやすい地点」のそれぞれを集計し、比較した。その結果、環境基準の達成率等で比較した場合、「代表する地点」と「問題を生じやすい地点」での測定結果はほぼ同じであり、両者に差は見られなかった。


  表(参考−1)環境基準
  測定地点数 4時間帯すべてで達 4時間帯のいずれか 4時間帯すべてで非
全測定地点 4,647 599(12.9%) 1,488
(32.0%)
 2,560
(55.1%)
代表する地点 4,314 557(12.9%) 1,360
(31.5%)
 2,397
(55.6%)
問題を生じや   333  42(12.6%)   122
(36.6%)
 163
(48.9%)
 
 
  表(参考−2)要請限度
  測定地点数 4時間帯すべてで達 4時間帯のいずれか 4時間帯すべてで非
全測定地点 4,908 3,333
(67.9%)
1,446
(29.5%)
129
(2.6%)
代表する地点 4,568 3,098
(67.8%)
1,351
(29.6%)
119
(2.6%)
問題を生じや   340   235
(69.1%)
   95
(27.9%)
 10
(2.9%)