報道発表資料本文

廃棄物の不法輸出入防止に関するワークショップ
2004年12月7-8日 於東京

議長総括(仮訳)

議長 橋詰博樹


  1. 廃棄物の不法輸出入防止ワークショップは、2004年12月7日及び8日に東京において、10か国から各国のバーゼル条約の担当官を中心に26人の参加を得て開催された。議長は私がつとめさせていただいた。
     
  2. 開会式において、小池環境大臣から挨拶があり、環境への悪影響を防ぎ、適正な循環資源の輸出入を確保するためには、バーゼル条約の枠組みを活用し、情報の共有など各国間の連携を強化することが重要であることを指摘し、参加者にバーゼル条約の既存の枠組の十分な活用を促した。また、今回のワークショップを、廃棄物や循環資源の移動に関する共通の関心事について検討するための、アジア各国間の連携体制強化の大きな契機としたいと考えている旨が表明された。
     
  3. 参加者の自己紹介の後、日本国環境省より、アジア廃棄物不法輸出入防止国際ネットワーク(以下「ネットワーク」とする)の構築を目指すというワークショップの目的が説明された。ネットワークは、参加国のバーゼル条約施行能力の向上、関係国間の情報交換体制(ネットワーク)の整備を目的とすること、また、今回のようなワークショップがネットワーク活動の一環として今後開催されることが説明された。
     
  4. セッション1では、参加者がバーゼル条約実施における経験や困難を共有した。参加した各国や中国、インドネシアのバーゼル条約地域センターから、バーゼル条約の履行体制、同条約に基づく有害廃棄物の輸出入の実績、日頃感じている課題等について発表と議論が行われた。普段は顔を合わせることのない各国の担当者が自国の現状を報告し、参加者間で情報を共有できたことは、素晴らしいことであった。また、限られた時間の中で発表のための準備をしてくれた各国、BCRCの皆様に感謝したい。
     
  5. セッション2では、中古品や非有害廃棄物と偽った有害廃棄物の輸出入について議論が行われた。複数の参加者から、自国に適切なリサイクル・処分施設がないために、リサイクルを目的とした廃電子機器の輸入が重大な環境影響を与えていることが指摘された。各国から具体例に基づく自国の経験が述べられた。中古品の扱いについては、バーゼル条約をそのまま適用する国、国内法で対応している国など、国によって対応が異なっており、有害廃棄物を含む廃棄物の越境移動を規制する効果的な対策をとることの難しさを改めて認識するとともに、情報共有の重要性が認識された。また香港から、香港が参加しているEUを中心とした廃棄物の輸出入に係る自主的な情報交換ネットワーク(IMPEL-TFS)の紹介があり、同枠組みでの取組は今後のアジア域内での廃棄物の不法輸出入を防止する有効な手段あるいはシステムになりうる可能性が示唆された。
     
  6. セッション3では、ネットワークの概念設計(以下「TOR」とする)案とホームページのサイトマップ案について議論が行われた。TOR案については、バーゼル条約等の各種条約事務局、各国の税関等との連携強化などについて意見が出され、最終的には別添のように合意するに至った。サイトマップ案については、掲載すべき情報や関係機関のサイトへのリンクを望む意見が出された。これらの意見を踏まえて、事務局がサイトマップ案を修正し、来年の第1四半期中に試行版を公表することとなった。ネットワークの名称については、優先事項を明確に示すために、廃棄物ではなく有害廃棄物とすることが合意された。TORの最終化に向けて、各国の参加者からの建設的な意見や協力が得られたことに感謝したい。今後のネットワーク活動は、今回採択されたTORに基づき行われることになる。
     
  7. セッション4は、参加者が3R(廃棄物の発生抑制、再利用、再生利用)推進のための日本の取組について理解を深める機会となった。日本国環境省から、今年のシーアイランドG8サミットにおいて我が国から提案し、開催することが同意された「3Rイニシアティブ閣僚会合」についての紹介があった。閣僚会合は、2005年4月に日本で開催される。このセッションの中で、アジア地域における廃電子機器廃棄物の発生やそれらの移動といった新たな課題について、地域としての取組が必要であるということに参加者の合意があった。
     
  8. このほか、今回のワークショップでは、有害廃棄物の不法輸出入防止に関する次のような各国の経験の紹介、提案がなされた。中古品と称した有害廃棄物の不法輸出入の防止については、1)適正な行為を行っている実績と能力がある業者であることを輸入の条件として許可を出している、2)製造されてから一定年数内の中古品(テレビ、冷蔵庫等)のみ輸入を許可している、3)輸入された中古品のリサイクルによって生じた残渣は、輸入国の施設が処理できない場合、中古品の輸出国に返送されて処理される、4)適切なアクションをとるために、すばやく情報の共有を行うとともに、中央政府と地方公共団体とが連携することが重要である、5)中央及び方政府による監視には人員及び予算に限りがあるので、公衆の意識を向上させ、地域社会が政府の監視を補完することが大切である、といった点が挙げられた。さらに、ネットワークが持続的に運営されるよう、バーゼル条約事務局による資金の手当てが期待されていることについて合意形成された。この点に関しては、必要な支援を得られるよう、日本国政府が、バーゼル条約事務局やバーゼル条約地域センターと協力・連携していくこととなった。
     
  9. 本ワークショップでは、数多くのテーマについて議論し、参加者間の情報交換を促進し、ネットワーク構築に向けた建設的で有意義な議論が行われたことから、バーゼル条約の施行や3R推進に関する理解を深めるために、来年以降、参加国において国際ワークショップを開催していくことが支持された。ワークショップは、アジア各国のバーゼル条約担当官が一同に会し、議論するという、大変貴重な、有意義な機会となった。議長として、今後も継続的なネットワーク構築のための支援と協力を参加者の方々にお願いしたい。


別添 アジア地域有害廃棄物不法輸出入防止国際ネットワークの概念設計(仮訳)[PDF(33KB)]



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